3月 1, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアの国営郵便会社POS Indonesia

インドネシアの郵便・物流業界において、長い歴史と広範なネットワークを誇る国営企業(BUMN)のPT Pos Indonesia（ポス・インドネシア）は、時代の変化とともに進化し続けています。本記事では、インドネシアの社会になくてはならない国営郵便会社POS Indonesiaについて詳しく解説します。

POSの会社概要

インドネシアの国営企業(BUMN)であるPT Pos Indonesia (ペーテー・ポス・インドネシア)は、郵便・物流サービスを提供する企業であり、インドネシア全土に広がる広範なネットワークを通じて、個人および法人向けに多様なサービスを展開しています。インドネシア人はKantor POS(カントルポス)と呼ぶ事が多いです。

会社名: PT Pos Indonesia (Persero)

創業者: G.W.バロン・ファン・インホフ

創業年: 1746年

本社所在地: バンドン、インドネシア

Kantor Pos

POSの創業の経緯やストーリー

PT Pos Indonesia（ペーテー・ポス・インドネシア）の歴史は、インドネシアの郵便・通信サービスの発展と密接に関連しています。その起源は、1746年8月26日にオランダ領東インド総督のG.W.バロン・ファン・インホフがバタヴィア（現在のジャカルタ）に最初の郵便局を設立したことに始まります。この郵便局は、特にジャワ島外のオフィス間やオランダとの間で取引を行う商人たちの手紙の安全を確保するために設立されました。その後、郵便サービスは公共サービスとしての役割を果たし、4年後にはスマランに2つ目の郵便局が設立され、バタヴィアとスマラン間の定期的な郵便連絡が確立されました。

1875年には、郵便サービスが電信サービスと統合され、「POSTEN TELEGRAFDIENST」として運営を開始しました。さらに、1877年には国際郵便連合（Union Postale Universelle、UPU）に加盟し、国際的な郵便サービスを提供する体制が整いました。

第二次世界大戦中、日本の占領下にあったインドネシアでは、郵便・電信・電話（PTT）も日本軍の管理下に置かれていました。しかし、1945年9月27日、インドネシアの若者たちはバンドンにあるPTTの中央局を日本軍から奪還し、インドネシア共和国のPTTとして再編成しました。この出来事は「PTT奉仕の日」として記念されています。

1961年、PTTは政府の公式機関から新たに設立された公社である郵便・電気通信サービス会社に転換されました。その後、1965年7月6日、インドネシア政府はこの会社を郵便・為替サービスを担当する「PN Pos Giro」と、電気通信サービスを担当する「PN Telekomunikasi」の2つの公社に分割しました。郵便サービスを担当する「PN Pos Giro」は、1978年に再編成され、1995年6月6日の政府令により現在の「PT Pos Indonesia（Persero）」として設立されました。

現在、PT Pos Indonesiaはインドネシア全土に広がる約24,000のサービス拠点を持ち、郵便、物流、金融サービスなど多岐にわたるサービスを提供しています。また、情報通信技術の進歩に伴い、電子商取引分野への参入やデジタル決済サービスの提供など、新たな挑戦を続けています。

POSの事業内容とサービス内容

PT Pos Indonesiaは、郵便、物流、金融サービスなど、多岐にわたる事業を展開しています。全国に約24,000のサービス拠点を持ち、都市部から農村部、さらには離島地域までカバーしています。郵便サービスとしては、手紙や小包の配送、速達サービス、国際郵便などを提供しています。物流サービスでは、倉庫管理、貨物輸送、サプライチェーンマネジメントなどを手掛けています。また、金融サービスとして、送金、支払い代行、貯蓄サービスなども行っています。さらに、情報通信技術の進歩に伴い、電子商取引の分野にも進出し、オンラインショッピングプラットフォームやデジタル決済サービスの提供を開始しています。

POSの主要なマイルストーン

1746年: バタヴィア（現在のジャカルタ）に最初の郵便局が設立される。
1875年: 郵便サービスが電信サービスと統合され、「POSTEN TELEGRAFDIENST」として運営開始。
1877年: 国際郵便連合（Union Postale Universelle、UPU）に加盟し、国際的な郵便サービスを開始。
1945年9月27日: 日本の占領下からPTT（郵便・電信・電話）をインドネシアの若者たちが奪還し、インドネシア共和国のPTTとして再編成。この日は「POSTEL奉仕の日」として記念される。
1965年: 「Perusahaan Negara Pos dan Giro（国営郵便・為替会社）」として再編成。
1978年: 「Perum Pos dan Giro（公共企業体郵便・為替）」に改組され、国内外の郵便・為替サービスを一元的に提供。
1995年6月: 株式会社形態の「PT Pos Indonesia (Persero)」として設立され、現在に至る。

POSの過去に発生した問題

PT Pos Indonesiaは、その長い歴史の中でいくつかの課題に直面してきました。特に、情報通信技術の進歩とともに、従来の郵便サービスの需要が減少し、電子メールやデジタル通信手段の普及により、郵便物の取扱量が減少するという問題がありました。さらに、民間の物流企業や新興の電子商取引プラットフォームとの競争が激化し、市場シェアの維持・拡大が課題となっています。これらの問題に対処するため、PT Pos Indonesiaはサービスの多様化やデジタル化、電子商取引分野への参入などの戦略を展開しています。

POSのインドネシアのユーザーの反応

PT Pos Indonesiaは、全国的なサービスネットワークと長年の信頼性から、多くのインドネシア国民に利用されています。特に、遠隔地や離島地域では、他の物流サービスが行き届かない場所でもサービスを提供しており、地域社会にとって重要な存在となっています。近年では、電子商取引の普及に伴い、PT Pos Indonesiaの物流サービスの需要も増加しています。ユーザーからは、サービスの迅速化やオンライン追跡システムの導入など、サービス向上への取り組みが評価されています。一方で、民間企業との競争が激化する中、さらなるサービスの質向上やデジタル化への対応が求められています。

まとめ

インドネシアの国営企業であるPT Pos Indonesia (ペーテー・ポス・インドネシア)は、郵便・物流・金融サービスを提供し、全国に広がるネットワークを通じて個人や法人向けに多様なサービスを展開しています。 1746年の創業以来、長い歴史を持ち、情報通信技術の進歩や市場の変化に対応しながら、電子商取引分野への参入やデジタル決済サービスの提供など、新たな挑戦を続けています。