3月 1, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアの国営鉄道会社KAI(Kereta Api Indonesia)

インドネシアの国営鉄道会社KAI(Kereta Api Indonesia)

インドネシアの鉄道輸送を担う重要な国営企業(BUMN)、PT Kereta Api Indonesia(KAI)は、長い歴史と多くの変遷を経て、現在の姿に至っています。 本記事では、インドネシアの社会になくてはならない国営鉄道会社KAIについて詳しく解説します。

 

KAIの会社概要

PT Kereta Api Indonesia(KAI)は、インドネシア全土で鉄道輸送サービスを提供する国営企業(BUMN)です。 1945年の設立以来、旅客および貨物輸送を通じて国の経済と社会の発展に寄与しています。

  • 会社名: PT Kereta Api Indonesia(Persero)
  • 創業者: インドネシア政府
  • 創業年: 1945年9月28日
  • 本社所在地: ジャカルタ、インドネシア

KAI Indonesia

 

 

KAIの創業の経緯やストーリー

インドネシアの鉄道輸送の歴史は、オランダ植民地時代に遡ります。 独立後、1945年9月28日にインドネシア政府は鉄道資産を国有化し、PT Kereta Api Indonesia(当時は別の名称)を設立しました。 この日付は、現在KAIの設立記念日として祝われています。 設立当初、KAIは植民地時代からの老朽化したインフラと限られたリソースという課題に直面しましたが、国の発展とともにサービスを拡大し、近代化を進めてきました。

 

 

KAIの事業内容とサービス内容

KAIは、インドネシア全土で以下の主要なサービスを提供しています:

  • 旅客輸送: 長距離、中距離、近距離の列車サービスを運行し、各都市や地域を結んでいます。 特にジャカルタ首都圏では、通勤電車(KRL)を運行し、日々多くの通勤者に利用されています。
  • 貨物輸送: 石炭、石油、農産物などの貨物輸送サービスを提供し、国内の物流ネットワークの重要な一翼を担っています。
  • 関連サービス: 駅施設の管理、鉄道関連の不動産開発、観光列車の運行など、多岐にわたるサービスを展開しています。

 

 

KAIの主要なマイルストーン

KAIの歴史には、多くの重要な出来事が刻まれています。特に以下のマイルストーンは、同社の発展に大きな影響を与えました:

  • 1945年9月28日:設立 インドネシア独立直後、政府は鉄道資産を国有化し、現在のKAIの前身となる組織を設立しました。
  • 1990年8月1日:Perumkaへの改組 鉄道事業の効率化と近代化を目指し、公共企業体であるPerusahaan Umum Kereta Api(Perumka)に改組されました。
  • 1995年:Argo BromoおよびArgo Gedeの導入 高級列車サービス「Argo」シリーズの最初の列車として、Argo BromoとArgo Gedeが運行を開始しました。これにより、快適性と速度を追求した新しい旅客サービスが提供されました。
  • 1998年:PT Kereta Api(Persero)への改組 企業の競争力強化を目的に、Perumkaから株式会社形態のPT Kereta Api(Persero)に改組されました。
  • 2010年:PT Kereta Api Indonesia(Persero)への社名変更 ブランド強化とサービス向上を図り、社名を現在のPT Kereta Api Indonesia(Persero)に変更しました。
  • 2011年9月28日:新ロゴの導入 企業イメージの刷新とモダンな印象を与えるため、新しいロゴを発表しました。
  • 2020年9月28日:75周年記念と新ロゴの発表 設立75周年を迎え、さらなる革新と成長を象徴する新たなロゴを導入しました。

 

 

KAIの過去に発生した問題

KAIはその歴史の中で、いくつかの課題や問題に直面してきました。 特に、鉄道事故や安全性の問題、老朽化したインフラの維持管理、そしてサービスの質に関する利用者からの苦情などが挙げられます。 例えば、1987年のビンタロ事故では、多くの死傷者を出し、鉄道の安全性に対する信頼が揺らぎました。 また、2023年には日本からの中古電車の輸入を巡る論争があり、政府機関との調整や国内製造業との関係性が注目されました。

 

 

KAIのインドネシアのユーザーの反応

インドネシアのユーザーからのPT Kereta Api Indonesia(KAI)に対する反応は、サービスの質や利便性に関してさまざまです。 一部のユーザーは、KAIが提供するサービスの質やプロモーション、利便性に満足しており、特に公式モバイルアプリ「KAI Access」の利便性が顧客満足度と忠誠心に寄与していると報告されています。

しかし、新しいサービス導入時には技術的な問題が発生することもあり、例えば、ジャボデベックLRTの運行開始直後には一時的な運行停止が発生し、ユーザーに不便をかけたケースもありました。

また、インドネシア初の高速鉄道「ジャカルタ‐バンドン高速鉄道(KCJB)」の運賃が高額であるとの指摘もあり、一部のユーザーからは地元住民には利用しづらいとの声も上がっています。

総じて、KAIのサービスは多くのユーザーから高く評価されていますが、新サービス導入時の技術的課題や価格設定に関するフィードバックも存在し、これらの点でさらなる改善が期待されています。

 

 

まとめ

PT Kereta Api Indonesia(KAI)は、インドネシア全土で鉄道輸送サービスを提供する国営企業であり、1945年の設立以来、旅客および貨物輸送を通じて国の経済と社会の発展に大きく貢献してきました。 その歴史はオランダ植民地時代に遡り、独立後の国有化を経て、現在では多様なサービスと近代的なインフラを備えています。 ユーザーからは、公式モバイルアプリ「KAI Access」の利便性が高く評価される一方、新サービス導入時の技術的課題や価格設定に関するフィードバックもあり、さらなる改善が期待されています。

 

 

本記事で使用した単語の解説

  • PT(Perseroan Terbatas): インドネシア語で「株式会社」を意味し、有限責任の法人形態を指します。
  • Kereta Api: インドネシア語で「鉄道」を意味し、「Kereta」は「車両」、「Api」は「火」を指します。
  • KAI Access: PT Kereta Api Indonesiaが提供する公式モバイルアプリで、チケット予約や時刻表の確認などが可能です。
  • LRT(Light Rail Transit): 軽量軌道輸送システムの略称で、都市部での中量輸送を担う公共交通機関を指します。
  • ジャボデベックLRT: ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシを結ぶLRTシステムで、首都圏の交通渋滞緩和を目的としています。
  • ジャカルタ‐バンドン高速鉄道(KCJB): ジャカルタとバンドンを結ぶインドネシア初の高速鉄道プロジェクトで、移動時間の大幅な短縮が期待されています。

 

 

FAQ

  1. KAIのチケットはどのように購入できますか?
    KAIのチケットは、公式モバイルアプリ「KAI Access」や公式ウェブサイト、駅のチケットカウンター、または提携している旅行代理店を通じて購入できます。
  2. 「KAI Access」アプリの主な機能は何ですか?
    「KAI Access」アプリでは、チケットの予約・購入、時刻表の確認、予約状況の確認、電子チケットの表示などが可能です。
  3. インドネシアの鉄道で喫煙は許可されていますか?
    いいえ、インドネシアの鉄道および駅構内では、喫煙や電子タバコの使用は禁じられています。
  4. 妊娠中でも列車を利用できますか?
    はい、妊娠中の方も列車を利用できますが、妊娠35週目以降の方は、医師の診断書を持参することが推奨されています。
  5. ジャカルタ‐バンドン高速鉄道の運賃はどのくらいですか?
    具体的な運賃は座席のクラスや時期によって異なりますが、一部のユーザーからは高額であるとの指摘があります。最新の運賃情報は公式ウェブサイトや「KAI Access」アプリでご確認ください。

 

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