3月 1, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアの国営港湾運営会社Pelindo(ペリンド)

インドネシアの港湾運営を担う重要な国営企業(BUMN)、Pelabuhan Indonesia（ペラブハン・インドネシア）通称Pelindoは、国内外の物流と経済活動において中心的な役割を果たしています。本記事では、インドネシアの社会になくてはならない国営港湾会社Pelindoについて詳しく解説します。

Pelindo(ペリンド)の会社概要

PT Pelabuhan Indonesia (Persero)、通称Pelindoは、インドネシアの国営港湾運営会社で、1992年に設立されました。 2021年10月1日、Pelindo I、II、III、IVの4社が統合され、現在のPelindoが誕生しました。本社はジャカルタに位置し、インドネシア全土の110の商業港を管理・運営しています。主な事業内容は、コンテナおよび非コンテナ貨物の取扱い、物流サービス、海事サービスなど、多岐にわたります。

会社名： PT Pelabuhan Indonesia (Persero)

創業年： 1992年（2021年に統合再編）

本社所在地： ジャカルタ、インドネシア

Pelindo

Pelindo(ペリンド)の創業の経緯やストーリー

Pelindoの起源は、1992年にインドネシア政府が国内の港湾運営を効率化するために設立した4つの国営企業、PT Pelindo I、PT Pelindo II、PT Pelindo III、PT Pelindo IVに遡ります。これらの企業は、それぞれ異なる地域の港湾を管理していましたが、 2021年10月1日、政府の戦略的イニシアチブとして、これら4社が統合され、現在のPT Pelabuhan Indonesia (Persero)が誕生しました。この統合の目的は、国内の港湾サービスの一体化と物流エコシステムの強化を図り、インドネシアの海上輸送ネットワークをより効率的かつ競争力のあるものにすることでした。

Pelindo(ペリンド)の事業内容とサービス内容

Pelindoは、インドネシア全土の港湾運営、開発、投資を手掛ける企業として、以下の主要な事業とサービスを提供しています：

コンテナターミナル運営： 国内外の貨物輸送を支えるため、主要港湾でのコンテナ取扱業務を行っています。
港湾管理： 港湾施設の維持・管理、インフラの開発、効率的な運営を通じて、物流の円滑化を推進しています。
輸送サービス： 港湾間および港湾と内陸部を結ぶ輸送サービスを提供し、サプライチェーンの最適化に貢献しています。
投資活動： 港湾関連インフラやサービスの拡充を目的とした投資を行い、地域経済の発展に寄与しています。

Pelindo(ペリンド)の主要なマイルストーン

Pelindoの歴史における重要なマイルストーンを以下に詳しく紹介します：

1877年： タンジュン・プリオク港の建設開始。当時、スンダ・クラパ港の水深が浅くなり、大型船の入港が困難となったため、新たな主要港としてタンジュン・プリオク港が選ばれました。
1992年： インドネシア政府が港湾運営の効率化を目的に、PT Pelindo I、II、III、IVの4つの国営企業を設立。
2017年： ジャカルタ国際コンテナターミナル（JICT）がインドネシア最大のコンテナターミナルとして位置づけられ、週に35～40隻の船舶にサービスを提供する能力を持つまでに成長。
2017年： フランスの海運会社CMA CGMの大型船「CMA CGM Otello」がJICTに初寄港し、タンジュン・プリオク港とアメリカ西海岸（ロサンゼルスおよびオークランド）を結ぶ新たな航路が開設されました。これにより、インドネシアの輸出入業者の生産性向上が期待されました。
2021年10月1日： PT Pelindo I、II、III、IVの4社が統合され、PT Pelabuhan Indonesia (Persero)が正式に発足。この統合により、国内の港湾サービスが一元化され、物流エコシステムの強化と国際競争力の向上が図られました。

Pelindo(ペリンド)の過去に発生した問題

Pelabuhan Indonesia（ペラブハン・インドネシア、以下Pelindo）は、インドネシアの主要な港湾運営を担う国営企業として、その長い歴史の中でいくつかの課題や問題に直面してきました。以下に、Pelindoが過去に直面した主な問題を詳しく説明します。

1. 経済的要因による貨物取扱量の減少

2020年、世界的な新型コロナウイルス（COVID-19）パンデミックの影響により、Pelindo II（現Pelindo）のコンテナ取扱量は前年に比べて10%減少しました。この減少は、パンデミックによる経済活動の停滞と移動制限が主な要因とされています。

2. 統合後の運営と資本支出に関する課題

2021年10月1日、Pelindo I、II、III、IVの4社が統合され、新たにPT Pelabuhan Indonesia (Persero)が設立されました。この統合により、運営の効率化や市場支配力の強化が期待されましたが、一方で以下のような課題も浮上しました：

ビジネス統合のリスク： 統合後の運営効率の向上や資本配分の最適化を図る中で、統合プロセスの複雑さや大規模な組織再編成に伴うリスクが指摘されました。

大規模な資本支出計画： Pelindoは、2021年から2022年にかけて約12兆から15兆ルピアの資本支出を計画しており、新ターミナルの建設や既存施設の維持管理などが含まれます。この大規模な投資計画に伴う実行リスクや資金調達の課題が懸念されました。

3. 価格設定と資本支出に関するリスク

Pelindoは、インドネシア全土に広がる大規模な港湾資産を有しており、その市場支配力は依然として強固です。しかし、以下のようなリスクも存在します：

価格設定の柔軟性： Pelindoは、港湾、海運、物流関連の協会と協議し、運輸省の承認を得て料金改定を行う必要があり、価格設定の柔軟性に制約があるとされています。

資本支出のリスク： 高い設備稼働率を背景に、Pelindoは主要港湾での容量拡大を計画していますが、大規模な資本支出計画に伴う実行リスクや資金調達の課題が指摘されています。

これらの課題に対処するため、Pelindoは運営効率の向上、資本支出の慎重な管理、そして政府との連携強化などの戦略を採用しています。これにより、インドネシアの港湾サービスの質と効率性を高め、国内外の物流ネットワークの強化に努めています。

Pelindo(ペリンド)のインドネシアのユーザーの反応

Pelabuhan Indonesia（ペラブハン・インドネシア、以下Pelindo）は、インドネシアの港湾運営を担う国営企業として、国内外の物流の要として機能しています。その活動に対するインドネシア国内のユーザーや関係者の反応は、多岐にわたります。以下に、具体的な事例を挙げて説明します。

1. CSR活動への評価

Pelindoは、企業の社会的責任（CSR）の一環として、環境保全活動にも積極的に取り組んでいます。例えば、ジャカルタ市のプルイット調整池において、水草やゴミの除去作業を支援するために、3台の除去船を供与した実績があります。この取り組みにより、地域の環境改善に貢献し、地元住民や関係者から高い評価を受けています。

2. 石炭積替地点における安全管理と環境への配慮

Pelindoは、石炭の積替地点において、環境保護と安全管理の観点から、積替区域を厳格に制限しています。これは、石油・ガスの生産地域と重なる場合が多く、海底に敷設されたパイプラインの保護や、漁業活動への影響を最小限に抑えるためです。このような取り組みは、環境保護団体や地元漁業関係者から支持を得ています。

総じて、Pelindoの活動に対するインドネシア国内のユーザーや関係者の反応は、環境保全や安全管理への積極的な取り組みを評価する声が多く見られます。しかし、具体的なユーザーの声や詳細なフィードバックに関する情報は限られており、さらなる調査が必要とされています。

まとめ

Pelabuhan Indonesia（ペラブハン・インドネシア）、通称Pelindoは、インドネシア全土の港湾運営を統括する国営企業であり、国内外の物流と経済活動において中心的な役割を果たしています。 1992年の設立以来、2021年の4社統合を経て、現在では110の商業港を管理・運営しています。主な事業内容は、コンテナおよび非コンテナ貨物の取扱い、物流サービス、海事サービスなど、多岐にわたります。これらのサービスを通じて、インドネシアの海上輸送ネットワークの効率化と国際競争力の向上に寄与しています。

本記事で使用した単語の解説

Pelabuhan Indonesia（ペラブハン・インドネシア）： インドネシア語で「インドネシアの港」を意味し、国営港湾運営会社であるPelindoの正式名称。
コンテナターミナル： 貨物の積み下ろしや保管を行う施設で、主にコンテナ貨物を取り扱う。
港湾管理： 港湾施設の維持・管理、インフラ開発、運営効率化など、港湾に関連する全般的な管理業務。
物流サービス： 貨物の輸送、保管、配送など、サプライチェーン全体をサポートするサービス。
海事サービス： 船舶の入出港手続き、航行支援、タグボートの提供など、海上輸送に関連するサービス。