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Our Works

ありがたいことに
500社以上に信頼され
Webサイト、アプリを開発

インドネシアやエジプトなど、世界各地に拠点を展開

Testimonials

お客様の声

この度の移行作業において、Timedoor チームの皆さまの素晴らしいお仕事に心より感謝申し上げます。
私たちの側ではすべて完璧に進み、プロフェッショナリズムとご支援に深く感謝しております。

この素晴らしいコラボレーションに、改めてお礼申し上げます。

Chris Quade Couto

Executive Assistant of Turtle Foundation

タイムドアの提供するサービスに非常に満足しています。サティアと彼のチームは協力するのが非常に気持ちが良く、効率的で共感力に富んでいることが証明されました。彼らは期限内に完全な機能を備えたウェブサイトを提供し、使いやすいCMSを提供しました。プロセス全体を通じて、彼らの細部への注意と問題解決能力に常に感銘を受けました。

Alvita Chen

Associate Director of SAKA Museum

間違いなくインドネシアで最高レベルのIT企業です。 私は希望通りの機能的で魅力的なWebサイトを実現してくれるプロフェッショナルな企業を探していました。数ヶ月にもわたって5社を比較し、Timedoorを選んだのは正解でした。 チームの誰もが情熱的で、経験豊富で、必要なときにいつでも助けてくれます。 どれだけビジネスに密接になってくれるか、問い合わせに素早く対応してくれるか、このような大事なポイントを理解してくれる会社です。

Hugo

Founder of INDA SURF

いつも当社のホームページに対する手厚い支援とサポートをありがとうございます。 とても良いモラルを持ち、本気で顧客を助けようとしているので、私はTimedoorのチームを信頼できました。 彼らは私たちの要求と質問に素早く応答してくれます。結果には大変満足しており、今後のプロジェクトでもTimedoorチームに手伝っていただきたいと思っています。

Chinatsu Ishiodori

Founder of Siki Bali & Rumah Kecil

当ホテルのWebサイトとそのシステムを開発してくれました。Timedoorは専門的なことへの知見も深く、常に時間厳守をしてくれるのでプロジェクトが計画通りに進みます。The Oasis Kutaを代表して、私はTimedoorに、特に裕さんと開発チームに感謝しています。そして私たちは彼らの仕事にとても満足しています。 今日では日々の仕事は、すべての要求とニーズを満たしてくれた完璧なシステムを作り上げてくれたので、すべてがより簡単になりました。

Pipin Haryanto

General Manager of Oasis Kuta Hotel

私は初めてTimedoorチームに会った時から、彼らと良いビジネス関係を築けると感じ取りました。 このチームはプロフェッショナルで且つフレンドリーです。 常に良いコミュニケーションを持っており、マネジメント会社のサイト、建設会社のサイト、教育機関のサイトなど様々な当社のサービスのWebサイトを全て任せています。古かったサイトが見事に新しいサイトに生まれ変わりました。

Fatin Hamamah

Founder of Abhinaya Villa Management

Timedoorのチームは皆プロフェッショナルです。とても素敵な会社概要サイトを作っていただいたこと心より感謝しています。優れたコミュニケーション能力と対応力を持ち、常に創造的で解決策を生み出してくれる会社だと感じました。Timedoorのサービスに非常に満足しています。専門的で重要なWebサービスを作れる会社を探している人には、是非Timedoorをお勧めします。

Furukawa Teito

Founder of Luxindo Property

インドネシアでは本当に必要としているものを理解している良いホームページの開発者を見つけるのは難しいです。 私はバリ島やジャカルタでビジネスをしていますが、自分のビジネスの哲学と概念を表現するホームページを作りたいと思っていました。Timedoor Indonesiaは自分が想像していたもの以上のものをデザインし納品してくれました。

Till Marzloff

Architect of Tiga Kotak

Timedoorは7South Coffeeのために素晴らしいウェブサイトを新しく作ってくれました。我々はその結果に非常に満足しています。 私たちは、より多くの国に展開するため、またオンラインでのマーケティングを強化するため、Timedoorのサービスを今後も使っていきたいと思います。 彼らのチームはプロでいて、且つ一緒に楽しく働くことができます!

Lance Shay

Founder of 7 South Coffee

実績

Hino
Volkswagen
BNI
Indosat
Broco
Caroline
Shimajiro
Jiipe
LIA
Spin Fish
Bali TV
Bali Post
Asita
Mercure
Kura-Kura Bus
Bubba Gump
Siki
Watabe
Kamaya Bali
Tasini
Granola
Hideaway
Hundred Seeds
JAIF
J Trust Bank
Nissan
Sharp Point
Cow Style
Honda
Yamaha

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160-0004 Tokyo, Shinjuku, Yotsuya 3 Chome 2-1 Frontplace Yotsuya Building 2F

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Our Team

Why We Have a Strong Team

Timedoor's Team

Why We Have a Strong Team

PT. Timedoor Indonesiaは2014年にインドネシアのバリ島で創業された日本人が経営するスタートアップです。当社ではWeb制作やスマホアプリ開発、オフショア開発をはじめとしたITソリューション、子供向けのIT教育事業、日本語職業訓練および人材事業などテクノロジーとヒトの力をフル活用してインドネシアや日本で様々なサービスを提供しています。

Timedoor's Ceo Mr. Yutaka

We are Japanese
based IT Startup

言葉も文化もわからないインドネシアに来てはや10年が経ち、私自身も当社の社員もインドネシアの社会も大きな成長を遂げました。これまでの10年間色々な方の助けを借りながらシステム開発やデザイン、教育を通じてインドネシアの社会のお役に立てるよう日々懸命に働いてまいりました。 当社の社員はみんな若く活気があり、様々なバックグラウンド、地域、宗教から集まっています。成長を続ける東南アジア最大の市場インドネシアを拠点にしてインドネシアや日本の社会に貢献できるよう今日も若くて元気いっぱいの社員と共に日々挑戦しております。

Timedoor Career

We Are Hiring New Talents!

Timedoorでは常に可能性と情熱にあふれた若者を歓迎しています。自分自身に挑戦してもっと成長したいと思っている方にとって、Timedoorは最適な場所の一つです。当社ではWebのプログラマー、デザイナー、スマホアプリ開発者、教育者または営業やビジネス開発のスタッフを募集しています。

私たちの冒険に参加してください!

Why Us?

私たちは、ユーザーフレンドリーで、高性能かつ安全なウェブサイトを構築します。

日本人による品質管理と管理体制

社内では品質管理を徹底しており、100以上のチェックリストを通過した上でのサービスローンチとなります。 また日本人ブリッジSEやインドネシア人の日本語人材によりお客様のコミュニケーションや言語の問題が最小限に収まるようにサポートさせていただいております。

高い社員定着率

インドネシアのバリ島という特殊な文化、環境の中でビジネスをしており、かつ社内のイベントやアウティング、 風通しのいい会社になる努力を徹底的に行なっており、転職文化の発展途上国にあって離職率5%以下で安定した人材の確保ができております。

採用に力を入れています

弊社では現地の理系の高専や大学とMOUを交わし、インターンシップを通じて多くの学生を受け入れ 、技術レベルやマインドセットを確認できた方が弊社のフルタイムになり厳しいトレーニングを受けます。入社時には最低4年から7年のプログラミング経験があります。

結果にコミットする

最新の技術を使用して最高に設計されたウェブサイトであっても、そのウェブサイトがお客様の成果につながらない限り無意味です。お客様のウェブサイトを訪問するユーザーが製品やサービスに良い印象を持っていただいたり、お問い合わせや購入に繋げていくことに我々もコミットさせていただきます。 「お客様のビジネスの結果に貢献するシステムを開発する」– Timedoorではこれを最優先事項としてお客様と一緒に取り組ませていただきます

ISO 27001認証取得済みのセキュリティ基準

弊社では、国際的に認められたISO 27001規格に準拠し、お客様のデータを厳格に保護しています。安全なサーバー環境、アクセス制御、継続的なリスク評価を通じて、サイバー脅威からビジネスを守り、円滑な運用を支援します。

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特定技能人材の採用コストはいくら?法律を事前にチェック

7月 16, 2026 • インドネシア

特定技能人材の採用コストはいくら?法律を事前にチェック

日本では少子高齢化と人手不足が続く中で、外国人人材の採用は一部の大企業だけの選択肢ではなくなりつつあります。特に、介護、外食、宿泊、製造、建設、農業、飲食料品製造などの現場では、特定技能人材の採用を検討する企業が増えています。 ただし、特定技能人材の採用を考えるときに、多くの企業が最初に気にするのが「結局いくらかかるのか」という点です。人材紹介料、登録支援機関への委託費、在留資格申請費、渡航費、住居準備費、通訳費、生活支援費など、費用項目が多く、初めて見るとかなり複雑に感じられます。 しかも特定技能の場合、単に費用が発生するだけではありません。「その費用を誰が負担するべきか」という法律上の問題があります。企業が負担すべき費用を外国人本人に負担させてしまうと、後からトラブルになる可能性があります。人材採用のつもりが、気づけば法令違反の入口に立っている。なかなか人間社会らしい罠です。 本記事では、特定技能人材の採用にかかる主なコスト、初期費用と月額費用の目安、採用ルートごとの違い、そして採用前に必ず確認しておきたい法律上のポイントを整理します。     特定技能人材の採用コストは大きく分けて2種類ある 特定技能人材の採用コストは、大きく分けると「採用するまでにかかる初期費用」と「採用後に継続してかかる運用費用」に分けられます。 初期費用には、人材紹介料、面接・選考費、在留資格申請に関する費用、渡航費、住居の準備費、入国時の送迎費、生活立ち上げ支援などが含まれます。一方、運用費用には、登録支援機関への月額支援委託費、通訳・相談対応費、日本語学習支援費、定期面談、各種届出・更新手続きに関する費用などが含まれます。 この2つを分けて考えないと、「採用時に50万円かかったから終わり」と誤解してしまいます。特定技能1号では、受入れ後も支援計画に基づく支援が必要です。つまり、採用はゴールではなく、むしろそこから企業側の運用責任が始まります。 初期費用は1人あたり30万円から150万円程度まで幅がある 特定技能人材の初期費用は、採用ルートや業種、国内採用か海外採用かによって大きく変わります。日本国内にすでにいる外国人材を採用する場合は、渡航費や海外側手続きが少ないため、比較的費用を抑えやすくなります。 一方、海外から新たに呼び寄せる場合は、現地での募集、面接、教育、書類準備、渡航、入国後の生活立ち上げなどが必要になり、初期費用は高くなりやすいです。特に、送り出し国ごとの手続き、現地教育の有無、日本語力、業種ごとの資格要件によって費用に差が出ます。 実務上の目安としては、国内採用であれば1人あたり30万円から80万円程度、海外採用であれば1人あたり60万円から150万円程度を想定しておくと、極端に甘い予算計画にはなりにくいでしょう。もちろん、これはあくまで一般的な目安であり、実際には紹介会社、登録支援機関、行政書士、採用国、業種、会社の受入れ体制によって変動します。 月額費用は1人あたり1万5000円から4万円程度が多い 特定技能1号の外国人を受け入れる場合、企業は義務的支援を実施する必要があります。この支援を自社で行うこともできますが、実務上は登録支援機関に委託する企業も多くあります。 登録支援機関への月額委託費は、一般的には1人あたり月額1万5000円から4万円程度で設定されることが多いです。安いところでは1万円台、高いところでは3万円から5万円程度になる場合もあります。 ただし、月額費用が安いからといって単純に良いとは限りません。事前ガイダンス、生活オリエンテーション、空港送迎、行政手続き同行、定期面談、母国語相談、緊急対応、在留資格更新サポートなどが月額費用に含まれているのか、別料金なのかを確認する必要があります。 月額2万円と聞いて契約したら、実際には同行1回ごとに追加料金、通訳は別料金、夜間対応は別料金、在留資格更新も別料金ということもあります。人類はどうしてこうも「月額」という言葉に夢を見てしまうのでしょうか。契約書の内訳確認は必須です。     特定技能人材の採用で発生する主な費用項目 特定技能人材の採用では、単に人材紹介料だけを見ていては全体像をつかめません。ここでは、実際に発生しやすい費用項目を順番に整理します。 人材紹介料 人材紹介会社や外国人材紹介サービスを利用する場合、採用決定時に紹介手数料が発生します。特定技能人材の紹介料は、定額制で設定されることが多く、1人あたり20万円から80万円程度が一つの目安です。 日本国内にいる外国人材を紹介してもらう場合は20万円から50万円程度、海外在住者を現地から採用する場合は40万円から80万円程度になることがあります。もちろん、業種や人材の経験、日本語能力、資格、採用難易度によって変動します。 紹介料を見るときには、単に金額だけでなく、返金規定も確認すべきです。入社後1か月以内、3か月以内、6か月以内に退職した場合に、どの程度返金されるのか。自己都合退職と会社都合退職で扱いが変わるのか。そもそも返金制度があるのか。ここを曖昧にしたまま契約すると、早期離職時に企業側が全額負担することになります。 在留資格申請に関する費用 海外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請が必要になります。日本国内にいる留学生、技能実習修了者、別の在留資格を持つ外国人を特定技能に変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要になります。すでに特定技能で働いている人を引き続き雇用する場合は、在留期間更新許可申請が必要です。 在留資格認定証明書交付申請そのものには、国に納める手数料は基本的にかかりません。一方、在留資格変更許可や在留期間更新許可では、2025年4月1日以降、窓口申請で6000円、オンライン申請で5500円の手数料が設定されています。 ただし、実務では申請書類の作成や提出を行政書士などに依頼することも多く、その場合は別途報酬が発生します。行政書士報酬は案件の難易度や依頼範囲によって異なりますが、1人あたり5万円から20万円程度を見込むケースが多いでしょう。 登録支援機関への委託費 特定技能1号では、受入れ企業が外国人本人に対して支援を行う必要があります。自社で支援体制を整えられる企業であれば、自社支援も可能です。しかし、外国語対応、定期面談、相談対応、生活支援、行政手続き同行などを自社だけで行うのは、想像以上に手間がかかります。 そのため、多くの企業は登録支援機関に支援業務を委託します。月額支援費は1人あたり1万5000円から4万円程度が一般的な目安です。さらに、初期費用として2万円から10万円程度が発生するケースもあります。 登録支援機関を選ぶときは、費用だけでなく、対応言語、業種理解、緊急対応、面談の質、在留資格更新への対応、トラブル時の動き方を確認する必要があります。安いだけで選ぶと、結局、企業の担当者がほとんどの対応を背負うことになります。安物買いの労務トラブルという、実に味わい深い悲劇です。 事前ガイダンス費用 特定技能1号では、雇用契約締結後、在留資格申請前に事前ガイダンスを実施する必要があります。ここでは、仕事内容、労働条件、報酬、入国手続き、生活上の注意点、保証金や違約金契約がないことなどを、外国人本人が十分に理解できる言語で説明します。 登録支援機関に委託する場合、事前ガイダンスが月額費用に含まれる場合もあれば、1回あたり2万円から6万円程度の別料金となる場合もあります。海外在住者に対してオンラインで実施する場合も、通訳や資料翻訳が必要になれば費用が発生します。 生活オリエンテーション費用 入国後または在留資格変更後には、生活オリエンテーションが必要です。日本での交通ルール、医療、年金、税金、防災、ゴミ出し、銀行口座、携帯電話、相談窓口、労働関係法令など、生活に必要な情報を説明します。 生活オリエンテーションを登録支援機関に委託する場合、1回あたり2万円から8万円程度の費用が設定されることがあります。月額支援費に含まれるか、別料金かは契約によって異なります。 この項目を軽く見る企業もありますが、生活ルールを理解しないまま働き始めると、近隣トラブル、遅刻、税金や保険の未理解、ゴミ出し問題、交通事故などにつながることがあります。日本人同士でも説明不足で揉めるのに、言語も制度も違う人に「雰囲気で分かって」は無理があります。 渡航費 海外から特定技能人材を呼び寄せる場合、航空券などの渡航費が発生します。国や時期によって差がありますが、東南アジアから日本への片道航空券であれば、数万円から10万円台になることが多いです。繁忙期や直前手配ではさらに高くなる場合があります。 法律上、来日時の航空券を必ず企業が負担しなければならないと一律に定められているわけではありません。ただし、送出国の法令や現地ルールで企業側負担が求められる場合があります。また、帰国費用については、本人が負担できない場合に受入れ機関が負担すべき場面があります。 実務上は、海外採用の場合、企業側が航空券を負担するケースも多くあります。採用競争力の面でも、渡航費をすべて本人負担にすると、優秀な人材から選ばれにくくなる可能性があります。 空港送迎費 特定技能1号では、外国人が出入国する空港や港での送迎が義務的支援に含まれます。この送迎にかかる交通費は、受入れ機関側の負担になります。 空港から勤務地や住居まで距離がある場合、交通費や人件費は意外と大きくなります。たとえば地方の事業所で、成田空港や関西国際空港から数時間かけて移動する場合、電車代、バス代、車両費、同行者の人件費が発生します。 採用計画を作る際には、「空港に着いたら勝手に来てください」では済まない点を理解しておく必要があります。制度はそこまで都合よく企業の願望に合わせてくれません。 住居確保に関する費用 特定技能1号では、住居確保に関する支援も必要です。企業が必ず家賃そのものを負担しなければならないわけではありませんが、物件情報の提供、不動産会社の紹介、必要に応じた同行、保証人や保証会社の利用支援などが求められます。 外国人本人に適当な保証人がいない場合、賃貸保証会社を利用することがあります。この場合、保証会社に支払う手数料については、受入れ機関側が負担すべき費用とされています。 また、社宅を用意する場合には、敷金、礼金、仲介手数料、家具家電、寝具、生活用品などの初期費用が発生します。企業がどこまで負担し、どこから本人負担とするのかは、労働条件通知書や雇用契約、社宅規程などで明確にしておくべきです。 注意したいのは、企業が本人から家賃や水道光熱費を控除する場合です。実費を合理的に控除すること自体は可能でも、不透明な金額を控除したり、相場より高い寮費を徴収したりすると、トラブルや行政指導につながる可能性があります。 通訳・翻訳費 特定技能人材の採用では、通訳や翻訳が必要になる場面が多くあります。面接、雇用契約、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談、相談対応、医療機関への同行、行政手続きなどです。 支援に必要な通訳人の確保費用は、受入れ機関が負担すべき費用とされています。つまり、義務的支援のために通訳が必要であれば、その費用を外国人本人に請求することはできません。 通訳費は、言語や地域、専門性によって異なります。登録支援機関の月額費用に含まれる場合もあれば、1時間あたり5000円から数万円程度の追加費用が発生する場合もあります。特に医療、労務トラブル、行政対応などでは、単なる日常会話ではなく正確な説明が必要になります。 日本語学習支援費 特定技能人材は、一定の日本語能力を持っていることが前提ですが、それでも働き始めてから日本語学習の支援は重要です。制度上も、日本語学習機会の提供は義務的支援の一つです。 ただし、必ず高額な日本語学校に通わせなければならないわけではありません。教材の案内、オンライン学習の機会提供、地域の日本語教室の紹介、社内学習時間の設定など、会社の状況に合わせた支援が考えられます。 費用としては、無料の地域教室を活用する場合もあれば、オンライン教材や日本語講師を利用して月数千円から数万円程度かかる場合もあります。現場で長く働いてもらいたいのであれば、日本語学習支援は単なる制度対応ではなく、定着投資として考えるべきです。 行政手続き・届出対応費 特定技能では、雇用開始後も各種届出や管理が必要です。雇用条件の変更、退職、支援計画の変更、登録支援機関の変更などがあれば、必要な届出を行わなければなりません。 また、外国人雇用状況の届出も必要です。雇用保険の被保険者になる場合は雇用保険の届出により対応するケースが多いですが、雇用保険の被保険者でない場合には、別途、外国人雇用状況届出書をハローワークに提出する必要があります。 2025年4月からは、特定技能所属機関による定期届出の頻度が見直され、従来の四半期ごとから年1回に変更されています。これは企業側の事務負担軽減につながりますが、随時届出や必要書類の管理が不要になるわけではありません。     国内採用と海外採用でコストはどう違うのか 特定技能人材の採用コストを考えるうえで、最も大きな分岐点は「国内採用」か「海外採用」かです。同じ特定技能でも、採用ルートによって費用もリスクもかなり変わります。 国内採用は初期費用を抑えやすい 国内採用とは、すでに日本にいる外国人を特定技能として採用する方法です。たとえば、技能実習2号を良好に修了した人、留学生から特定技能に変更する人、すでに別会社で特定技能として働いている人などが対象になります。 国内採用のメリットは、海外渡航費や現地手続きが少なく、面接も比較的しやすいことです。すでに日本で生活しているため、日本の生活ルールや職場文化にある程度慣れている人もいます。 一方で、国内にいる優秀な特定技能候補者は、すでに他社からも採用対象として見られています。そのため、給与、勤務条件、住居、職場環境、キャリアパスが弱い企業は、採用競争で不利になりやすいです。 国内採用の初期費用は、紹介料、在留資格変更費用、行政書士費用、支援初期費用、住居関連費用などを合わせて、30万円から80万円程度を見込むケースが多いでしょう。 海外採用は母集団を広げやすいが初期費用が高くなりやすい 海外採用とは、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ネパール、ミャンマー、スリランカなど、海外在住の候補者を採用して日本に呼び寄せる方法です。 海外採用のメリットは、候補者の母集団を広げやすいことです。日本国内だけで探すよりも、若く意欲のある人材に出会える可能性があります。また、採用前に日本語教育や職種別教育を行うことで、一定の準備をしたうえで来日してもらうこともできます。 一方で、海外採用では費用項目が増えます。現地募集、面接、書類準備、翻訳、現地教育、送り出し国の手続き、渡航費、入国時支援、住居準備などが必要になります。国によっては、現地側で指定された手続きや認定機関を経る必要もあります。 海外採用の初期費用は、1人あたり60万円から150万円程度を想定しておくと現実的です。もちろん、紹介会社や送り出し国、教育内容、渡航費負担の有無によって変わります。 技能実習から特定技能への移行は比較的スムーズな場合がある 技能実習2号を良好に修了した人は、一定の条件を満たせば、特定技能1号への移行において技能試験や日本語試験が免除される場合があります。そのため、すでに日本で働いた経験がある人を採用できる点は大きなメリットです。 ただし、技能実習と特定技能は制度の目的が異なります。技能実習は国際貢献や技能移転の制度として設計されてきたのに対し、特定技能は人手不足分野での就労を認める在留資格です。したがって、雇用条件、業務内容、支援体制、転職可能性なども異なります。 技能実習からの移行だから簡単だろう、と安易に考えるのは危険です。本人の希望、職種の適合性、分野ごとの要件、在留期限、書類準備、支援体制を確認する必要があります。     法律上、企業が負担すべき費用とは 特定技能人材の採用では、「費用がいくらか」だけでなく、「誰が負担するのか」が非常に重要です。ここを間違えると、採用コストの問題ではなく、法令遵守の問題になります。 義務的支援にかかる費用は本人に負担させてはいけない 特定技能1号では、受入れ企業は支援計画に基づいて義務的支援を行う必要があります。この義務的支援にかかる費用は、原則として受入れ機関が負担しなければなりません。 たとえば、事前ガイダンス、空港送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、行政手続きへの同行、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、交流促進、会社都合による契約終了時の転職支援、定期面談などが該当します。 これらの支援を登録支援機関に委託した場合の費用を、外国人本人の給与から控除することはできません。「支援してあげているのだから本人負担でよい」という発想は、制度上かなり危険です。支援は善意のサービスではなく、受入れ機関側の義務です。 通訳費も支援に必要なものは企業負担 義務的支援を実施するために通訳が必要な場合、その通訳費は受入れ機関が負担すべき費用です。特定技能人材本人に請求してはいけません。 たとえば、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談、相談対応、行政手続き同行などで通訳が必要になることがあります。本人が十分に理解できる言語で説明しなければ、支援を実施したとは言いにくくなります。 形式的に日本語資料を渡しただけで「説明しました」とするのは危険です。本人が理解できていないなら、制度上の支援として不十分と見られる可能性があります。紙を渡せば人は理解する、という幻想はそろそろ人類も卒業した方がよいでしょう。 空港送迎費は企業負担 特定技能1号の義務的支援には、出入国時の送迎が含まれます。したがって、空港や港での送迎にかかる交通費は、受入れ機関側の負担になります。 特に海外から採用する場合、入国時の空港送迎は最初の重要な支援です。本人にとっては、慣れない国に到着した直後です。日本語が十分でない状態で、電車を乗り継ぎ、地方の事業所まで自力で来てもらうという運用は、制度の趣旨から見ても適切とは言いにくいでしょう。 保証会社の保証料は企業負担になる場合がある 外国人本人が賃貸物件を契約する際、保証人がいない場合には賃貸保証会社を利用することがあります。この保証会社に支払う手数料については、受入れ機関が負担すべき費用とされています。 一方で、家賃そのものを企業が必ず負担しなければならないわけではありません。家賃を本人負担にすることは可能ですが、その場合でも、金額や控除方法は明確で合理的である必要があります。 企業が社宅を提供する場合も、本人から家賃相当額を徴収するなら、実費や相場とのバランス、給与控除の同意、労働条件通知書への記載などを整えておくべきです。 帰国費用は本人が負担できない場合に企業負担となる 特定技能外国人が帰国する場合、帰国費用は常に企業が負担しなければならないわけではありません。ただし、本人が帰国費用を負担できない場合には、受入れ機関が負担する必要があります。 また、送出国の法令や二国間の取決めによって、渡航費や関連費用について企業側負担が求められる場合があります。海外採用では、日本側の制度だけでなく、相手国側のルールも確認する必要があります。     外国人本人に負担させてはいけない費用に注意する 特定技能人材の採用で特に注意すべきなのは、外国人本人に不適切な費用負担をさせないことです。これは道徳の話だけではなく、制度上の信用に関わる問題です。 保証金や違約金契約は禁止される 特定技能制度では、外国人本人やその家族から保証金を徴収したり、契約不履行に対する違約金を定めたりすることは問題となります。事前ガイダンスでも、保証金の徴収や違約金契約がないことなどを説明する必要があります。 たとえば、「3年以内に辞めたら50万円支払う」「途中退職したら紹介料を本人に請求する」「逃げないように保証金を預かる」といった運用は、非常に危険です。いかにも昭和の地下室で考えられたようなルールですが、現在の制度では通用しません。 紹介手数料を本人から取ることは原則としてできない 日本の職業紹介のルールでは、有料職業紹介事業者が求職者本人から手数料を徴収することは、原則として禁止されています。例外はありますが、一般的な特定技能人材の採用で、本人に紹介手数料を負担させる前提で考えるべきではありません。 採用企業が人材紹介会社に支払う紹介料を、後から外国人本人に請求したり、給与から控除したりすることは避けるべきです。紹介料は採用企業が求人者として支払うコストと考えるのが基本です。 送出国側の高額な借金にも注意する 海外採用では、日本側の企業が直接費用を取っていなくても、現地側で候補者が高額な手数料や借金を負っている場合があります。これがあると、来日後に本人が強い経済的プレッシャーを抱え、失踪、転職、過重労働、生活トラブルにつながる可能性があります。 そのため、採用前には、本人がどの機関にいくら支払ったのか、借金があるのか、保証金や違約金契約がないかを確認することが重要です。二国間取決めの目的の一つも、悪質な仲介事業者の排除にあります。 安く採用できると思ったら、実は本人が現地で大きな借金を背負っていた。これは企業にとっても本人にとっても良い採用ではありません。採用コストを見える化するなら、企業側の支出だけでなく、本人側の負担も確認すべきです。     特定技能人材の給与・待遇で注意すべきこと 特定技能人材の採用では、採用費用だけでなく、給与や待遇の設定も重要です。ここを誤ると、在留資格の審査や雇用後の労務管理で問題になります。 日本人と同等以上の報酬が必要 特定技能外国人の報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等以上である必要があります。外国人だから安く雇える、という考え方は制度上通用しません。 同じ職場で同じ業務をしている日本人よりも明らかに低い給与を設定している場合、在留資格申請で問題になる可能性があります。給与、手当、賞与、昇給、控除、労働時間、休日、福利厚生などを総合的に確認する必要があります。 特定技能は「安い労働力を輸入する制度」ではありません。ここを勘違いしている企業は、採用後に定着しないだけでなく、行政対応でも苦労することになります。人件費を削るためだけの制度利用は、だいたい長持ちしません。 最低賃金だけを見てはいけない 給与設定では、地域別最低賃金を下回らないことは当然です。しかし、最低賃金を守っていれば十分というわけではありません。同じ業務の日本人と比べて合理的な水準か、業界相場と比べて極端に低くないか、残業代や深夜手当が正しく支払われるかが重要です。 特定技能人材は転職が可能です。技能実習と違い、一定の範囲で転職の自由があります。そのため、給与や労働環境が悪ければ、他社へ移る可能性があります。採用費用をかけたのに、数か月で退職されるケースもあります。 採用コストを下げたいなら、紹介料を数万円削るよりも、定着率を上げる方が効果的です。採用費を節約して離職率を上げるのは、穴の空いたバケツに水を注ぎながら水道代を嘆くようなものです。 給与控除は明確にする 寮費、水道光熱費、食費、制服代などを給与から控除する場合は、本人への説明、同意、控除額の合理性が重要です。控除の内容が不透明だと、トラブルになりやすくなります。 特に、社宅や寮を提供する場合は、家賃の設定が実費に見合っているか、過大な利益を乗せていないかを確認すべきです。外国人本人が内容を理解できる言語で説明されているかも重要です。     登録支援機関を利用する場合のチェックポイント 登録支援機関は、特定技能人材の受入れにおいて非常に重要なパートナーです。ただし、登録されているからといって、すべての機関が同じ品質というわけではありません。ここは人間界の資格制度あるあるです。登録と実力は、似ているようで別物です。 料金体系が明確か まず確認すべきは、料金体系です。月額費用に何が含まれているのか、初期費用はいくらか、事前ガイダンスや生活オリエンテーションは別料金か、定期面談や通訳費は含まれるのか、在留資格更新はサポート対象かを確認します。 「月額2万円」とだけ書かれていても、実際には多くの支援が別料金であれば、年間総額は高くなります。見積書では、月額費用、初期費用、項目別費用、実費精算、緊急対応費、行政書士費用の有無を分けて確認すべきです。 対応言語が候補者に合っているか インドネシア人を採用するならインドネシア語、ベトナム人ならベトナム語、ネパール人ならネパール語など、本人が理解できる言語で対応できるかを確認します。 英語だけで十分な場合もありますが、すべての候補者が英語で労働条件や行政手続きを正確に理解できるわけではありません。特に、給与控除、社会保険、税金、契約解除、転職、在留資格更新などは、本人の理解が不十分だと後から問題になります。 業種ごとのルールを理解しているか 特定技能は分野ごとにルールが異なります。介護、建設、外食、飲食料品製造、農業、宿泊、自動車整備、工業製品製造業など、それぞれに業務範囲、協議会加入、試験、受入れ要件、支援上の注意点があります。 登録支援機関が制度一般には詳しくても、自社の業種に詳しいとは限りません。採用予定の分野で支援実績があるか、過去に同じ業種の受入れを支援したことがあるかを確認しましょう。 相談・苦情対応が実際に機能するか 特定技能1号では、外国人本人からの相談や苦情に対応する体制が必要です。ここで重要なのは、名目上の窓口があるかではなく、実際に対応できるかです。 電話番号だけ書いてあるが誰も出ない、母国語対応と書いてあるが翻訳アプリ頼み、緊急時に連絡が取れない、会社側の都合しか聞かない。このような支援体制では、本人の不満が蓄積し、離職やトラブルにつながります。 登録支援機関に丸投げしすぎない 支援を登録支援機関に委託しても、受入れ企業の責任が消えるわけではありません。雇用主はあくまで企業です。登録支援機関に委託しているから大丈夫、という考えは危険です。 職場での指導、労働時間管理、給与支払い、安全衛生、ハラスメント防止、人間関係、キャリア形成は、企業側が責任を持って対応すべき領域です。登録支援機関は生活支援や制度運用のサポートをしてくれますが、職場文化までは魔法の杖で変えてくれません。     特定技能人材を自社支援する場合のコスト 登録支援機関に委託せず、自社で支援を行うことも可能です。自社支援ができれば月額委託費を抑えられる可能性があります。 自社支援には体制整備が必要 自社支援を行うには、支援責任者や支援担当者を置き、外国人本人に対する中立的な支援ができる体制を整える必要があります。また、外国人が理解できる言語で相談対応や説明ができることも重要です。 受入れ人数が少ないうちは、登録支援機関に委託した方が結果的に安くなる場合もあります。逆に、数十人以上を継続的に採用する企業であれば、社内に外国人支援チームを作ることで、長期的なコストを抑えられる可能性があります。 人件費を忘れてはいけない 自社支援は、外部委託費が不要になる一方で、社内担当者の人件費がかかります。事前ガイダンス、生活オリエンテーション、定期面談、相談対応、行政手続き同行、住居支援、日本語学習支援などを行うには時間が必要です。 月額委託費を削減できたとしても、社内担当者が毎月多くの時間を使うなら、それは見えないコストです。会計上は目立たなくても、現場の負担としては確実に存在します。 一定人数以上なら内製化も検討できる 1人から5人程度の受入れであれば、登録支援機関への委託の方が現実的な場合が多いでしょう。一方、10人、20人、50人と継続的に受け入れる場合は、自社支援体制の構築を検討する価値があります。 ただし、最初から完全内製化を目指すより、最初は登録支援機関に委託し、制度運用や支援内容を学びながら、徐々に社内体制を整える方が安全です。最初から全部自社でやろうとして混乱するのは、なかなか企業運営における伝統芸能です。     採用コストを下げるための現実的な方法 特定技能人材の採用コストは、単純に安い業者を選べば下がるわけではありません。むしろ、安さだけで選ぶと、早期離職や法令トラブルで高くつくことがあります。 採用ルートを複数持つ 一つの紹介会社だけに依存すると、費用や人材の質を比較できません。国内採用、海外採用、学校・日本語教育機関、既存社員からの紹介、現地パートナーなど、複数の採用ルートを持つことで、費用と質のバランスを取りやすくなります。 ただし、無許可の仲介者や不透明なブローカーを使うのは避けるべきです。安く見えても、本人側に高額な費用負担がある場合、来日後のトラブルにつながります。 紹介料だけでなく定着率を見る 紹介料が30万円の会社と60万円の会社があった場合、単純に30万円の方が得とは限りません。60万円でも、候補者の選抜、事前教育、日本語教育、定着支援、返金規定がしっかりしていれば、結果的に安くなる可能性があります。 逆に、紹介料が安くても、入社後すぐに辞めてしまえば、採用費、教育時間、現場負担が無駄になります。特定技能採用では、採用単価よりも、1年後、3年後に何人残っているかを見るべきです。 職場側の受入れ準備を整える 外国人材の定着率は、本人の能力だけで決まるわけではありません。職場側の受入れ体制が大きく影響します。指示の出し方、マニュアル、教育担当者、生活相談、宗教や文化への配慮、評価制度、昇給制度などが整っているかが重要です。 同じ国籍の人材を採用しても、会社によって定着率は大きく変わります。つまり、採用コストを下げたいなら、紹介会社を値切る前に、職場を辞めたくならない環境にする方が効果的です。 支援業務の一部を内製化する 登録支援機関にすべて委託するのではなく、一部を自社で対応する方法もあります。たとえば、日常相談や日本語学習支援は自社で行い、制度上の書類や定期面談は登録支援機関に委託するなどの組み合わせです。 ただし、義務的支援として必要な内容を満たせるかどうかは慎重に確認する必要があります。中途半端な内製化は、費用削減ではなく責任の迷子を生みます。     採用前に確認すべき法律チェックリスト 特定技能人材を採用する前に、最低限、以下のような点を確認しておく必要があります。ここを飛ばして採用を進めると、後から書類不備、在留資格不許可、労務トラブル、行政対応に追われることになります。 業務内容が特定技能の対象分野に合っているか 特定技能は、どの仕事でもできる在留資格ではありません。対象となる特定産業分野と業務区分が決まっています。自社の業務が該当するかを確認する必要があります。 たとえば、同じ飲食関連でも、外食業に該当するのか、飲食料品製造業に該当するのかで要件が変わります。製造業でも、工業製品製造業のどの業務区分に該当するのかを確認しなければなりません。 雇用契約が基準を満たしているか 特定技能では、雇用契約の内容が重要です。報酬が日本人と同等以上であるか、労働時間や休日が適切か、社会保険や労働保険の加入が適切か、給与控除が明確かを確認します。 また、原則として直接雇用が基本です。一部の分野では派遣形態が認められる場合もありますが、どの分野でも自由に派遣できるわけではありません。派遣での受入れを考える場合は、分野別のルールを必ず確認する必要があります。 支援計画を作成できるか 特定技能1号では、支援計画の作成と実施が必要です。事前ガイダンス、空港送迎、住居確保、生活オリエンテーション、行政手続き同行、日本語学習、相談対応、交流促進、転職支援、定期面談などを、どのように実施するかを整理しなければなりません。 支援計画は、書類上だけ整えても意味がありません。実際に実施できる体制があるかが重要です。現場に支援担当者がいない、本人が理解できる言語で説明できない、相談窓口が機能していないという状態では、支援計画の実効性に問題が出ます。 協議会加入や分野別要件を確認する 特定技能では、分野によって協議会への加入や特有の要件があります。建設、介護、外食、飲食料品製造、宿泊、農業など、それぞれ所管省庁のルールがあります。 分野別要件を確認せずに採用を進めると、在留資格申請の段階で止まることがあります。制度全体の共通ルールだけでなく、自社の分野に関する要領別冊や所管省庁の資料を確認することが大切です。 地域の共生施策への協力確認を行う 2025年4月からは、特定技能制度において地域の共生施策との連携が強化されています。特定技能所属機関は、外国人が活動する事業所所在地や住居地の市区町村に協力確認書を提出することなどが求められます。 また、地方公共団体が実施する共生施策を確認し、それを踏まえて支援計画を作成・実施する必要があります。外国人材の受入れは、会社の中だけで完結するものではなく、地域社会との関係も含めて考える段階に入っています。     1人採用した場合の費用イメージ ここでは、特定技能人材を1人採用した場合の費用イメージを、国内採用と海外採用に分けて整理します。実際の金額は会社や業種によって変わるため、あくまで試算の考え方として見てください。 国内採用の場合 国内にいる外国人材を採用する場合、主な費用は人材紹介料、在留資格変更申請に関する費用、登録支援機関の初期費用、住居支援、生活オリエンテーションなどです。 人材紹介料が30万円から50万円、行政書士費用が5万円から15万円、入管手数料が5500円または6000円、登録支援機関の初期費用が2万円から10万円、住居関連や生活立ち上げで5万円から30万円程度かかると考えると、初期費用はおおむね40万円から100万円程度になることがあります。 その後、登録支援機関への月額費用として1万5000円から4万円程度が継続して発生します。年間では18万円から48万円程度です。これに在留期間更新、通訳、追加同行、日本語学習などの費用が加わる場合があります。 海外採用の場合 海外から呼び寄せる場合、国内採用の費用に加えて、現地募集、現地教育、翻訳、渡航費、入国時送迎、住居準備などが発生します。 人材紹介料が40万円から80万円、行政書士費用が5万円から20万円、渡航費が5万円から15万円、現地教育や書類翻訳などが5万円から30万円、登録支援機関の初期費用や生活立ち上げで10万円から40万円程度かかることがあります。 そのため、海外採用の初期費用は、1人あたり60万円から150万円程度を見込むケースが多くなります。さらに、採用国や業種によっては、現地側の手続きや教育費が加わる場合があります。 初年度総額で見ることが重要 特定技能人材の採用費用は、初期費用だけでなく初年度総額で見るべきです。たとえば、初期費用が80万円、月額支援費が3万円であれば、初年度の支援費は36万円です。合計すると、初年度だけで116万円になります。 さらに、住居、通訳、日本語学習、在留資格更新、社内教育の人件費などを含めると、実際の負担はさらに増えます。 逆に、2年目以降は人材紹介料や渡航費が発生しないため、継続雇用できれば1年あたりの実質コストは下がります。つまり、特定技能採用では、早期離職を防ぐことが最大のコスト対策になります。     特定技能採用でよくある費用トラブル 特定技能人材の採用では、費用をめぐるトラブルが起きやすいです。事前に典型的なパターンを知っておくことで、かなり防ぐことができます。 見積もりに含まれる範囲が曖昧 最も多いのは、見積もりに含まれる範囲が曖昧なケースです。紹介料に在留資格申請サポートが含まれるのか、登録支援費が含まれるのか、初期ガイダンスや生活オリエンテーションが含まれるのかを確認しないまま契約してしまうと、後から追加費用が発生します。 契約前には、紹介料、支援費、申請費、通訳費、渡航費、住居費、更新費、返金規定を分けて確認しましょう。 本人負担の費用が不透明 企業側の費用だけでなく、外国人本人が母国でいくら支払っているかも重要です。現地ブローカーや教育機関に高額な費用を支払っている場合、本人が来日前から借金を抱えていることがあります。 本人の借金が大きいと、来日後に給与への不満が高まりやすく、失踪や転職のリスクも上がります。採用前に、本人負担の有無、金額、支払先、借金の有無を確認することが大切です。 早期退職時の返金規定がない 紹介料を支払った後、本人が短期間で退職してしまうことがあります。その場合、紹介会社との契約に返金規定がなければ、企業側が全額負担することになります。 返金規定は、入社後何日以内なら何%返金されるのか、自己都合退職と会社都合退職で扱いが違うのか、無断退職の場合はどうなるのかを確認しましょう。 登録支援機関の対応が弱い 登録支援機関に委託したものの、定期面談が形式的、相談対応が遅い、母国語対応が弱い、行政手続きに詳しくないというケースもあります。 支援の質が低いと、外国人本人の不満が会社に向きます。企業側からすれば「支援機関に払っているのに」と感じるかもしれませんが、本人から見れば雇用主は会社です。委託先の質も、採用リスクの一部として考える必要があります。   特定技能採用は安いのか、高いのか 特定技能人材の採用は、日本人の中途採用と比べて安い場合もありますが、単純に安いとは言えません。紹介料だけを見れば、日本人の年収連動型紹介料より低く見える場合があります。しかし、特定技能では、在留資格申請、義務的支援、生活支援、通訳、住居、更新手続きなどが追加で発生します。 そのため、特定技能採用を「安い労働力」と考えると失敗しやすいです。むしろ、採用、教育、支援、定着までを含めた人材投資として考えるべきです。 一方で、しっかりと受入れ体制を作り、長く働いてもらえる環境を整えれば、特定技能人材は非常に大きな戦力になります。採用難の業界では、日本人採用だけに依存するよりも、安定した人材確保の選択肢になり得ます。     採用前に企業が準備すべきこと 特定技能人材の採用を始める前に、企業側で準備すべきことがあります。ここを飛ばして紹介会社に丸投げすると、採用後に現場が混乱します。 仕事内容を明確にする まず、担当してもらう業務内容を明確にします。特定技能の対象業務に該当するか、日本人社員と業務範囲がどう違うのか、どの作業を任せるのかを整理します。 業務内容が曖昧だと、在留資格申請書類も作りにくく、入社後のミスマッチも起きやすくなります。 給与と待遇を整理する 給与、手当、残業、休日、寮費、控除、昇給、賞与、社会保険を整理します。外国人だから別ルールにするのではなく、日本人と比較して合理的に説明できる待遇にする必要があります。 社内の教育担当者を決める 外国人材が入社した後、誰が業務を教えるのかを決めておきます。教育担当者が決まっていないと、本人は誰に質問すればよいかわからず、現場も混乱します。 日本語が完璧ではない人に対しては、口頭説明だけでなく、写真付きマニュアル、動画、翻訳資料、チェックリストなどが有効です。 生活支援の範囲を決める 住居探し、銀行口座、携帯電話、役所手続き、通勤方法、病院、買い物、ゴミ出しなど、どこまで会社が支援するのかを決めておきます。 登録支援機関に委託する場合でも、会社側で把握しておくことが重要です。本人が生活で困れば、最終的には仕事にも影響します。 採用後のキャリアを考える 特定技能1号は通算で上限があります。一方、分野によっては特定技能2号への移行も可能です。長く働いてもらいたい場合は、技能向上、日本語学習、資格取得、リーダー候補化などのキャリア設計を考える必要があります。 目先の人手不足を埋めるだけでは、本人も会社も長期的なメリットを得にくくなります。採用した後にどう成長してもらうかまで考えることが、結局は採用コストの回収につながります。     まとめ 特定技能人材の採用コストは、国内採用か海外採用か、紹介会社を使うか、自社採用するか、登録支援機関に委託するか、自社支援するかによって大きく変わります。 一般的な目安として、国内採用では初期費用が30万円から100万円程度、海外採用では60万円から150万円程度になることがあります。採用後は、登録支援機関への月額支援費として1人あたり1万5000円から4万円程度が継続的に発生することが多いです。 ただし、重要なのは金額だけではありません。特定技能1号では、義務的支援にかかる費用を外国人本人に負担させることはできません。通訳費、空港送迎費、住居確保支援の一部、生活オリエンテーション、相談対応など、企業側が負担すべき費用があります。 また、保証金や違約金契約、本人への紹介料請求、不透明な給与控除は大きなリスクになります。採用前には、費用の総額だけでなく、誰が何を負担するのか、法律上問題がないかを確認する必要があります。 特定技能採用は、安く人を集めるための裏技ではありません。適切な費用をかけ、正しい手続きを行い、職場と生活の両面で支援し、長く働いてもらうための制度です。最初に少し丁寧に設計すれば、企業にとっても外国人本人にとっても、非常に価値のある採用手段になります。     インドネシアの人材育成・採用ならLPK Timedoor ​LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。 所在地と連絡先: 住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226​ 電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通) メール: [email protected] Website:  ​lpktimedoor.com Instagram: https://www.instagram.com/lpk_timedoor/     インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor  システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業 [embed]https://youtu.be/yXZ4Zk2Q4rU?si=wuMx-QOko3MGbTkE[/embed] お問い合わせはこちら     Timedoor CEO 徳永 裕の紹介はこちら         本記事で使用した単語の解説 特定技能 特定技能とは、日本の人手不足分野で一定の技能や日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。特定技能1号と特定技能2号があります。 特定技能1号 特定技能1号は、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が、対象分野で働くための在留資格です。通算在留期間に上限があり、受入れ企業には義務的支援が求められます。 特定技能2号 特定技能2号は、より熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格です。更新により長期就労が可能で、一定の条件を満たせば家族帯同も可能です。 受入れ機関 受入れ機関とは、特定技能外国人を雇用する企業や事業者のことです。特定技能所属機関とも呼ばれます。 登録支援機関 登録支援機関とは、受入れ企業から委託を受けて、特定技能1号外国人への支援を行う機関です。出入国在留管理庁に登録された機関である必要があります。 義務的支援 義務的支援とは、特定技能1号外国人を受け入れる企業が実施しなければならない支援です。事前ガイダンス、空港送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、相談対応、定期面談などがあります。 支援計画 支援計画とは、特定技能1号外国人に対して、受入れ企業がどのような支援を行うかをまとめた計画です。在留資格申請において重要な書類になります。 在留資格認定証明書 在留資格認定証明書とは、海外にいる外国人を日本に呼び寄せる際に必要となる書類です。日本での活動内容が在留資格に合っているかを事前に確認するためのものです。 在留資格変更許可 在留資格変更許可とは、すでに日本にいる外国人が、現在の在留資格から別の在留資格へ変更するための許可です。留学から特定技能へ変更する場合などに必要になります。 在留期間更新許可 在留期間更新許可とは、現在の在留資格で引き続き日本に滞在するために、在留期間を延長する手続きです。 有料職業紹介事業者 有料職業紹介事業者とは、求人企業と求職者をマッチングし、採用が決まった場合などに手数料を受け取る事業者です。日本では、求職者本人から手数料を取ることは原則として禁止されています。 保証金 保証金とは、途中退職や失踪を防ぐ名目で本人や家族から預かる金銭のことです。特定技能制度では、このような保証金の徴収は大きな問題になります。 違約金契約 違約金契約とは、契約に違反した場合に一定の金額を支払わせる契約です。外国人本人に対して、退職時などの違約金を定めることは避けるべきです。     FAQ 特定技能人材を1人採用するのに、結局いくら必要ですか? 国内採用であれば初期費用として30万円から100万円程度、海外採用であれば60万円から150万円程度を見込むケースが多いです。さらに採用後は、登録支援機関への月額支援費として1人あたり1万5000円から4万円程度が継続的に発生することがあります。 登録支援機関への委託は必須ですか? 必須ではありません。受入れ企業が要件を満たし、自社で義務的支援を実施できる場合は自社支援も可能です。ただし、外国語対応、相談対応、定期面談、行政手続き同行などが必要になるため、初めて受け入れる企業では登録支援機関に委託するケースが多いです。 登録支援機関の費用は外国人本人に請求できますか? できません。義務的支援にかかる費用は、受入れ企業が負担する必要があります。登録支援機関に支払う支援委託費を、外国人本人の給与から控除することは避けるべきです。 人材紹介料を外国人本人に負担させることはできますか? 原則としてできません。有料職業紹介では、求職者本人から手数料を徴収することは原則禁止されています。紹介料は求人者である企業側の採用コストとして考えるべきです。 海外から採用する場合、航空券は企業負担ですか? 来日時の航空券について、日本法上すべてのケースで企業負担と一律に決まっているわけではありません。ただし、送出国の法令や現地手続きで企業側負担が求められる場合があります。また、帰国費用については本人が負担できない場合に受入れ機関が負担する必要があります。 空港送迎の費用は誰が負担しますか? 空港や港での送迎は義務的支援に含まれるため、その交通費は受入れ機関が負担します。本人に負担させることは適切ではありません。 家賃は企業が負担しなければなりませんか? 住居確保の支援は必要ですが、家賃そのものを必ず企業が負担しなければならないわけではありません。ただし、保証会社の保証料など、住居確保支援に必要な一部費用は企業負担となる場合があります。家賃や水道光熱費を本人負担にする場合は、金額や控除方法を明確にする必要があります。 特定技能人材は日本人より安く雇えますか? その考え方は危険です。特定技能外国人の報酬は、同じ業務を行う日本人と同等以上である必要があります。外国人だから低賃金でよいという制度ではありません。 早期退職された場合、紹介料は戻ってきますか? 紹介会社との契約内容によります。返金規定がある場合もあれば、ない場合もあります。契約前に、何か月以内の退職で何%返金されるのか、自己都合退職と会社都合退職で扱いが違うのかを確認する必要があります。 特定技能採用で一番注意すべき費用は何ですか? 見落としやすいのは、採用後の継続費用です。紹介料や渡航費だけでなく、登録支援機関への月額費用、通訳費、在留資格更新費、生活支援費、社内教育の人件費まで含めて初年度総額を見ておく必要があります。  

なぜインドネシア人材は介護の分野で一番人気なのか?

7月 12, 2026 • インドネシア

なぜインドネシア人材は介護の分野で一番人気なのか?

日本の介護業界では、外国人材の採用がすでに特別な選択肢ではなくなりつつあります。 以前は「外国人を採用するべきかどうか」という議論が中心でした。しかし現在は、「どの国の人材を、どの制度で、どのように採用し、どう定着してもらうか」という段階に入っています。 その中で、近年特に存在感を強めているのがインドネシア人材です。 介護分野では、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、ネパール、中国、スリランカなど、さまざまな国の人材が日本で働いています。その中でもインドネシア人材は、特定技能介護の分野で最も多い国籍として確認されており、EPAによる介護福祉士候補者の受け入れでも長い歴史があります。 では、なぜインドネシア人材は介護分野でこれほど人気があるのでしょうか。 「優しい国民性だから」「親日だから」「若い人が多いから」といった説明だけでは、かなり不十分です。たしかにそれらは一部の理由にはなりますが、採用実務の現場では、もう少し複雑な要素が絡み合っています。 インドネシア人材が介護分野で評価される背景には、日本側の深刻な介護人材不足、インドネシア側の若い人口構造、海外就労への関心、日本語学習者の多さ、EPAから続く制度的な実績、特定技能試験との相性、そして介護という仕事とインドネシア社会の価値観との相性があります。 この記事では、インドネシアのことをあまり知らない方にも分かりやすいように、インドネシア人材が介護分野で人気を集める理由を、制度、統計、文化、採用実務の観点から詳しく解説します。   日本の介護業界では何が起きているのか 介護人材不足は一時的な問題ではない 日本の介護業界で外国人材の受け入れが進んでいる最大の理由は、単純に人手が足りないからです。 厚生労働省の推計では、2022年度時点の介護職員数は約215万人です。一方で、2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要になるとされています。 つまり、2026年度までに約25万人、2040年度までに約57万人を追加で確保する必要があるということです。 この数字は、介護施設が採用広告を少し改善したり、給与を少し上げたりするだけで解決できる規模ではありません。日本では高齢者が増え続ける一方で、若い働き手は減っています。介護を必要とする人が増え、介護を担う人が減る。構造として、かなり厳しい状況です。 介護は、人の生活を支える非常に重要な仕事です。しかし、身体的にも精神的にも負担が大きい仕事でもあります。夜勤、排泄介助、入浴介助、食事介助、認知症対応、家族対応、記録業務、事故防止、感染症対策など、現場で求められることは非常に多くあります。 それにもかかわらず、給与水準や社会的評価が、必ずしも仕事内容に見合っているとは言い切れません。理念だけでは現場は回りません。現場は人で回ります。あまりに当たり前ですが、社会はだいたい当たり前のことを問題が深刻化してから思い出します。 国内人材だけでは将来の需要を満たしにくい 日本国内でも、介護職員の処遇改善、離職防止、生産性向上、介護ロボットやICTの導入、多様な人材の活用など、さまざまな対策が進められています。 しかし、人口構造そのものが変化している以上、国内人材だけで介護需要をすべて満たすことは難しくなっています。 特に地方では、若い人材の採用が非常に難しくなっています。介護施設が求人を出しても応募が少ない。応募があっても定着しない。夜勤に入れる人が足りない。ベテラン職員に負担が集中する。このような状況は、すでに多くの地域で現実になっています。 このような背景から、外国人介護人材の受け入れは「一時的な補助」ではなく、介護事業を継続するための重要な選択肢になっています。 外国人介護人材の受け入れ制度は複数ある 日本で外国人が介護分野で働く制度には、主にEPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つがあります。 EPAは、経済連携協定に基づく公的な受け入れ制度です。インドネシア、フィリピン、ベトナムから看護師候補者や介護福祉士候補者を受け入れてきた歴史があります。 在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得した外国人が、日本で介護職として働くための在留資格です。長期的に日本で働く道につながる重要な資格です。 技能実習は、もともと日本の技能を海外へ移転することを目的とした制度です。介護職種も対象になっていますが、制度の趣旨は単純な労働力確保とは異なります。 特定技能は、人手不足が深刻な分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための制度です。介護分野では、介護技能評価試験、介護日本語評価試験、日本語試験への合格などが求められます。 この中でも、近年の介護人材採用で特に注目されているのが特定技能「介護」です。     インドネシア人材が介護分野で人気と言われる根拠 特定技能介護でインドネシアが最も多い インドネシア人材が介護分野で人気と言われる最大の根拠は、実際に特定技能介護の在留者数でインドネシアが最も多い国籍になっていることです。 厚生労働省の資料では、令和6年12月末時点の介護分野における特定技能外国人の国籍を見ると、インドネシアが最も多く、次いでミャンマー、ベトナム、フィリピン、ネパールの順となっています。 これは単なる印象論ではありません。介護分野において、インドネシア人材は実数として大きな存在感を持っています。 採用市場では、評判だけでなく実績が重要です。すでに多くのインドネシア人が日本の介護現場で働いているという事実は、新たに採用を考える施設にとって大きな安心材料になります。 EPAから続く受け入れの歴史がある インドネシアと日本の介護人材の関係は、最近突然始まったものではありません。 日本は、日・インドネシア経済連携協定に基づき、2008年度からインドネシア人看護師候補者・介護福祉士候補者を受け入れてきました。 EPAによる受け入れは、単なる労働力不足対策ではなく、経済連携の一環として行われてきた制度です。候補者は日本で働きながら介護福祉士国家試験の合格を目指し、受け入れ施設も学習支援を行います。 この長い歴史があるため、日本側にもインドネシア側にも、介護人材の教育、送り出し、受け入れ、国家試験対策、生活支援に関する経験が蓄積されています。 まったく新しい国から人材を受け入れる場合、日本側は文化、宗教、教育水準、生活支援、トラブル対応などを一から学ぶ必要があります。しかしインドネシアの場合、すでに多くの先行事例があります。 この「受け入れの歴史」は、採用する側にとって非常に大きな意味を持ちます。 インドネシア政府側にも日本就労への関心がある インドネシア側でも、日本で働く人材の送り出しは重要なテーマになっています。 インドネシアには、海外で働く労働者を支援・管理する政府機関があり、日本向けの看護師・介護福祉士候補者のG to Gプログラムも実施されています。 G to Gとは、Government to Governmentの略で、政府間の枠組みによる人材送り出しを意味します。 このような公的な枠組みがあることは、日本側の採用にとって大きな安心材料になります。もちろん、すべての採用がG to Gで行われるわけではありませんが、国として日本向け人材育成に関心を持っていることは、長期的な採用ルートを考えるうえで重要です。     インドネシアという国の基本を理解する インドネシアは東南アジア最大級の人口大国 インドネシアは、東南アジア最大の人口を持つ国です。世界全体で見ても、人口規模は上位に入ります。 日本人から見ると、インドネシアはバリ島のイメージが強いかもしれません。しかし実際には、ジャワ島、スマトラ島、カリマンタン島、スラウェシ島、パプアなど、非常に広い国土と多様な地域を持つ大国です。 人口が多いということは、当然ながら若い労働力の母数も大きいということです。 日本では若年人口が減少していますが、インドネシアにはこれから海外で働きたい若者が多く存在します。この人口構造の違いが、日本の介護業界とインドネシア人材を結びつける大きな背景になっています。 若い人材が多く、海外就労への関心も高い インドネシアでは、海外で働くことは珍しい選択肢ではありません。 マレーシア、台湾、香港、シンガポール、中東、日本、韓国など、さまざまな国でインドネシア人が働いています。家族を支えるため、より高い収入を得るため、将来の生活基盤を作るために海外就労を選ぶ人も多くいます。 特に地方部では、国内だけでは十分な給与やキャリア機会を得にくい場合があります。そのため、日本で働くことは、若者にとって現実的なキャリアの選択肢になり得ます。 介護分野で働くには、日本語学習、介護技能の学習、試験、面接、渡航準備など、多くのステップを乗り越える必要があります。簡単ではありません。それでも挑戦する人材がいるということは、採用側にとって大きな可能性です。 多民族・多文化社会である インドネシアは、300以上の民族集団を持つ多民族国家です。言語、文化、宗教、生活習慣も地域によって大きく異なります。 そのため、「インドネシア人はこういう人たち」と一言で決めつけるのは危険です。ジャワ島出身者、バリ島出身者、スラウェシ島出身者、スマトラ島出身者では、文化的背景も性格傾向も異なることがあります。 ただし、多様な社会の中で生活しているため、異なる文化や価値観に触れる機会が多い人もいます。これは、日本の職場や地域社会に適応するうえでプラスに働く場合があります。 採用では、国籍だけでなく、出身地域、教育歴、家庭環境、宗教、本人の性格、海外経験、学習意欲を丁寧に見ることが重要です。     介護という仕事とインドネシア人材の相性 家族を大切にする価値観が介護と重なりやすい インドネシア社会では、家族とのつながりが非常に強い傾向があります。 都市化が進み、核家族化も進んでいますが、それでも親、祖父母、兄弟、親戚との関係を大切にする価値観は広く残っています。高齢者を敬うこと、家族を助けること、困っている人を支えることは、多くの地域で自然な価値観として受け止められています。 介護の仕事では、利用者を単なる「サービス対象」としてではなく、一人の生活者として尊重する姿勢が求められます。 この点で、インドネシア人材の中には、高齢者に対して柔らかく接することが得意な人が多いと評価されることがあります。 ただし、「インドネシア人なら全員介護に向いている」と考えるのは危険です。国籍で人を雑に分類するのは、採用で一番やってはいけない手抜きの一つです。 大切なのは、文化的な相性を理解しつつ、一人ひとりの適性を見極めることです。 穏やかなコミュニケーションが現場に合いやすい インドネシア人は、一般的に対立を避け、場の空気を大切にする傾向があると言われます。 日本の介護現場では、利用者、家族、看護師、ケアマネージャー、同僚、上司など、多くの人と協力しながら働きます。そのため、相手に配慮しながら話す力や、落ち着いて対応する力が重要です。 特に認知症の利用者への対応では、強い言い方や一方的な指示ではなく、穏やかな声かけ、待つ姿勢、相手の不安を受け止める態度が求められます。 インドネシア人材の中には、このような対応を自然に身につけやすい人もいます。 一方で、穏やかさには注意点もあります。 困っていても「大丈夫です」と答えてしまう人がいます。分からないことがあっても、上司や先輩に遠慮して質問しない場合があります。 そのため、日本側は「何も言わないから問題がない」と判断してはいけません。沈黙を都合よく解釈するのは、人間社会のよくある失敗です。 助け合いの価値観がチームケアに合いやすい インドネシアには、Gotong Royongという考え方があります。 これは、地域や共同体の中で助け合う、協力する、互いに支えるという意味を持つ言葉です。現代の都市部では昔ほど強くない部分もありますが、協力や相互扶助を大切にする価値観は、インドネシア社会を理解するうえで重要です。 介護現場もまた、個人プレーだけでは成り立ちません。 介護職員、看護師、ケアマネージャー、リハビリ職、管理者、厨房、清掃、家族など、多くの人が連携して利用者の生活を支えます。 インドネシア人材がチームにうまく入ることができれば、現場の雰囲気を良くし、チームケアの一員として大きな力を発揮する可能性があります。     日本語学習者の多さが人気を支えている インドネシアは日本語学習者が非常に多い国 インドネシアは、日本語学習者が非常に多い国です。 国際交流基金の2025年度情報では、インドネシアの日本語学習者数は732914人とされています。日本語学習者数は世界的にも上位であり、日本語教育の土台がある国だと言えます。 日本のアニメ、漫画、音楽、ゲーム、観光、日系企業、日本で働く先輩の存在などが、日本語学習への入口になっています。 近年では、特定技能制度や日本での就労機会が、日本語学習の目的に大きな影響を与えています。つまり、趣味として日本語を学ぶ人だけでなく、実際に日本で働くために日本語を学ぶ人も増えているということです。 介護では日本語力が定着を左右する 介護分野では、日本語力が非常に重要です。 利用者との会話、体調確認、申し送り、介護記録、事故報告、服薬確認、緊急時対応など、日本語が必要になる場面は数えきれません。 特定技能「介護」では、日本語能力試験N4以上またはJFT-Basicなどの日本語要件があります。しかし、N4はあくまで入口です。 N4に合格しているからといって、日本の介護現場で必要な日本語をすべて使いこなせるわけではありません。 「昨日より食欲がありません」 「立ち上がる時にふらつきがありました」 「夜間に何度も起きていました」 「いつもより表情が暗いです」 「薬を飲むことを嫌がっています」 このような細かい状態変化を正確に伝える力が必要です。 そのため、採用時点の日本語力だけで判断するのではなく、入職後も継続して介護日本語を伸ばす仕組みが必要です。 発音面で日本語と相性がよい部分もある インドネシア語はアルファベットを使い、発音が比較的規則的な言語です。 日本語とは文法が大きく異なりますが、母音の発音には比較的近い部分があります。そのため、インドネシア人材の日本語は、日本人にとって比較的聞き取りやすいと感じられることがあります。 ただし、助詞、敬語、漢字、介護記録、方言、早口の指示は大きな壁になります。 介護現場では、「ちょっと見といて」「さっきの件、あとで記録しておいて」「この方、今日は少し様子が違うから気をつけて」のような省略の多い日本語が飛び交います。 日本人同士でも曖昧な表現を、外国人材がすぐに理解できるとは限りません。 日本側は、やさしい日本語で伝える力を身につける必要があります。     インドネシア人材が施設側に評価されやすい理由 まじめに学ぶ候補者が多い インドネシアから日本の介護職を目指す人材の多くは、日本語学習、介護学習、試験、面接、書類準備、渡航準備など、多くのプロセスを経て来日します。 この過程を乗り越えた人材は、少なくとも日本で働くことに対して一定の覚悟を持っています。 もちろん、全員が優秀というわけではありません。中には日本の生活や介護の仕事を十分に理解しないまま来日する人もいます。 しかし、しっかり教育された候補者であれば、まじめに仕事を覚えようとする姿勢、利用者に丁寧に接する姿勢、長く働きたいという意欲が見られることがあります。 若くて長期育成しやすい インドネシア人材の多くは20代から30代前半の若い層です。 介護施設にとって、若くて長期的に育成できる人材は非常に貴重です。日本国内では、若い介護職員の採用自体が難しくなっています。 若い外国人材を採用し、数年かけて日本語力、介護技術、チーム連携、利用者理解を育てることができれば、将来的には現場の中核人材になる可能性があります。 特に介護福祉士国家資格の取得を目指す人材であれば、単なる短期就労ではなく、日本でのキャリア形成を考えることができます。 女性人材だけでなく男性人材にも期待できる 介護分野では女性人材が注目されることが多いですが、インドネシアからは男性人材にも期待できます。 日本の介護現場では、移乗介助、入浴介助、夜勤、緊急時対応など、体力が求められる場面もあります。もちろん介護は力だけの仕事ではありませんが、身体介助がある以上、体力のある人材は現場で重要です。 インドネシア人男性の中には、家族を支えるために海外でしっかり働きたいという動機を持つ人もいます。 ただし、男性だから力仕事、女性だから生活支援という単純な分け方は避けるべきです。本人の適性、性格、希望、介護観を見たうえで配置することが重要です。     他国人材と比べたインドネシア人材の特徴 ベトナム人材との違い ベトナム人材は、日本の技能実習や特定技能で非常に大きな存在感を持っています。 製造業、建設、農業、外食など、幅広い分野でベトナム人材は多く働いてきました。日本語学習への意欲も高く、若い人材も多い国です。 一方で、介護分野に限ると、近年はインドネシア人材の存在感が非常に強くなっています。 理由の一つは、EPAや特定技能介護の流れの中で、インドネシアから介護分野へ進むルートが形成されていることです。 また、ベトナム人材は製造業や建設業など他分野への就労選択肢も多く、介護だけに集中しているわけではありません。 フィリピン人材との違い フィリピン人材は英語力が高く、看護や介護、家事労働、ホスピタリティ分野で国際的に評価されています。 介護や看護の国際労働市場では、フィリピン人材は非常に強いブランドを持っています。日本だけでなく、アメリカ、カナダ、イギリス、中東、シンガポールなど、多くの国がフィリピン人材を求めています。 つまり、フィリピン人材は優秀ですが、国際的な競争も激しいということです。 一方、インドネシア人材は、人口規模、日本語学習者の多さ、日本向け就労への関心、介護分野での受け入れ実績を背景に、日本の介護施設にとって採用候補を確保しやすい面があります。 ミャンマー人材との違い ミャンマー人材も近年、介護分野で急速に存在感を高めています。 若く、まじめで、日本語学習に熱心な人材が多いと評価されることがあります。 一方で、ミャンマーは政治・社会情勢の影響を受けやすく、送り出しや渡航の安定性に注意が必要です。 インドネシアは人口規模が大きく、政府間の枠組みや民間の教育機関も比較的整っているため、長期的な採用ルートを作りやすいという強みがあります。 ネパール人材との違い ネパール人材も日本で増えています。 若く、海外就労への意欲が高く、日本語学校経由で日本に来る人も多くいます。介護分野でも今後さらに増える可能性があります。 一方で、インドネシアは人口規模、日本語学習者数、EPAから続く介護分野の歴史、政府間の枠組みという点で、介護分野における土台が大きいと言えます。 採用の安定性を考えると、インドネシアは非常に有力な国の一つです。     インドネシア人材採用のメリット 採用母集団が大きい インドネシア人材の大きなメリットは、採用母集団の大きさです。 人口が多く、若年層も厚く、日本で働きたい人材が一定数いるため、採用候補者を集めやすい傾向があります。 ただし、候補者数が多いことと、全員が日本の介護に向いていることはまったく別です。 大量に候補者がいても、日本語力、介護理解、生活適応力、長期就労意欲が不足していれば、採用後に現場が苦労するだけです。 採用母集団が大きいということは、きちんと選考すればよい人材に出会える可能性が高いという意味です。誰でも採ればよいという意味ではありません。 介護職への志望動機を作りやすい インドネシア人材の中には、看護系、医療系、福祉系の学歴や経験を持つ人もいます。 また、家族を支えたい、日本で長く働きたい、将来介護福祉士を取りたい、日本語を使ってキャリアを作りたいという動機を持つ人もいます。 介護という仕事は、入職前の理解が非常に重要です。 「日本に行けるなら何でもいい」という人材を採用すると、入浴介助、排泄介助、夜勤、認知症対応の現実に直面したときに離職リスクが高まります。 そのため、インドネシアで候補者を育成する段階から、介護の仕事内容を正確に伝えることが大切です。 長期キャリアを描きやすい 特定技能「介護」は、原則として通算5年までの在留資格です。 しかし、介護福祉士国家資格に合格すれば、在留資格「介護」へ変更し、長期的に日本で働くことが可能になります。 これは、介護分野ならではの大きな特徴です。 他の分野では特定技能2号への移行が重要になりますが、介護分野では介護福祉士資格を取得することで長期就労の道が開けます。 そのため、採用時点から「5年で終わり」ではなく、「介護福祉士を目指すキャリアパス」を提示することができます。 インドネシア人材の中には、家族のために長く安定して働きたい人、日本で生活基盤を作りたい人、将来リーダーや教育担当になりたい人もいます。 施設側がキャリアパスをきちんと設計できれば、定着率向上につながります。     インドネシア人材採用で注意すべきポイント 日本語力は入職後も伸ばす前提で考える インドネシア人材の採用で最も重要な課題の一つは、日本語力です。 特定技能の試験に合格していても、現場で必要な日本語をすべて使いこなせるわけではありません。 介護現場では、利用者の体調変化を正確に伝える必要があります。また、事故やヒヤリハットが起きたときには、事実を正確に報告し、記録しなければなりません。 そのため、採用後には、介護日本語、記録、申し送り、事故報告、家族対応などの教育を継続する必要があります。 宗教や食事への配慮が必要 インドネシアは世界最大級のムスリム人口を持つ国です。 そのため、インドネシア人材を採用する場合、食事、礼拝、ラマダンなどへの理解が必要になる場合があります。 ただし、これを過度に難しく考える必要はありません。 豚肉やアルコールを避ける、食事内容を事前に確認する、礼拝の時間について相談できる雰囲気を作る、ラマダン中の体調管理に注意する、といった基本的な配慮で対応できることも多くあります。 重要なのは、本人に確認することです。 同じインドネシア人でも、宗教実践の程度は人によって異なります。毎日きっちり礼拝する人もいれば、そこまで厳格ではない人もいます。 「インドネシア人だから全員こうだ」と決めつけるのは危険です。 遠慮して問題を言わないことがある インドネシア人材の中には、上司や先輩に対して遠慮し、困っていることを言い出せない人もいます。 日本の職場では「分からないことがあったら聞いてください」と言いがちですが、それだけでは不十分です。 分からないことを聞くには、心理的な安全性が必要です。 「こんなことを聞いたら怒られるのではないか」 「迷惑をかけるのではないか」 「評価が下がるのではないか」 このように感じると、本人は黙ってしまいます。 その結果、ミス、事故、ストレス、離職につながることがあります。 採用側は、定期面談、やさしい日本語での確認、メンター制度、母語で相談できる窓口などを用意することが重要です。 日本人職員側の受け入れ教育も必要 外国人材採用でよくある失敗は、外国人側だけに努力を求めることです。 日本語を覚えなさい。日本のルールを守りなさい。報連相をしなさい。介護記録を書きなさい。利用者に丁寧に接しなさい。 もちろん、これは必要です。 しかし、日本人職員側にも教育が必要です。 やさしい日本語で伝える力、文化の違いを理解する力、宗教や食事への配慮、指示の出し方、フィードバックの仕方、外国人材を孤立させないチーム作りが必要です。 外国人材を採用するということは、単に人を一人増やすことではありません。職場のマネジメントを変えることです。     採用を成功させるための実務ポイント 採用前に仕事内容を正直に伝える インドネシア人材を採用する際は、介護の仕事内容を正直に伝えることが重要です。 特に、排泄介助、入浴介助、夜勤、認知症対応、身体介助、記録業務については、採用前に必ず説明するべきです。 「日本で働けます」 「給料が高いです」 「高齢者を助ける仕事です」 これだけでは不十分です。 介護の仕事には、きれいな面と大変な面があります。そこを理解したうえで応募する人材の方が、入職後に定着しやすくなります。 日本語力だけでなく性格と適性を見る 採用面接では、日本語力だけを見てはいけません。 もちろん日本語力は重要です。しかし、介護では性格、忍耐力、清潔感、観察力、チームワーク、学習意欲、ストレス耐性も重要です。 日本語が少し上手でも、介護への理解が浅い人材は現場で苦労します。逆に、日本語はまだ完璧でなくても、素直に学び、利用者に丁寧に向き合える人材は伸びる可能性があります。 面接では、なぜ介護を選んだのか、高齢者と接した経験はあるか、排泄介助や入浴介助をどう理解しているか、日本で何年働きたいのか、介護福祉士を目指す意思があるか、困ったときに相談できるタイプかを確認することが重要です。 入職後3か月を特に丁寧に支援する 外国人材の定着では、入職後3か月が非常に重要です。 この期間に、生活、仕事、人間関係、日本語、食事、通勤、寮、睡眠、ホームシックなど、さまざまな問題が出ます。 最初の3か月に孤立させてしまうと、本人の不安が大きくなり、離職リスクが高まります。 特に介護施設では、現場が忙しいため、新人教育が後回しになりがちです。 しかし、ここで手を抜くと、後でさらに大きな負担になります。 最初に丁寧に教える。何度も確認する。分からないことを聞きやすくする。生活面もサポートする。日本人職員にも協力を求める。 この基本を積み重ねることが、定着につながります。 介護福祉士取得までの道筋を示す インドネシア人材に長期的に活躍してもらうには、介護福祉士取得までの道筋を示すことが重要です。 国家試験に合格するには、実務経験、日本語力、専門知識、試験対策が必要です。 施設側が学習時間の確保、教材提供、先輩職員の支援、試験対策講座の案内などを行えば、本人のモチベーションは高まりやすくなります。 「5年働いて終わり」ではなく、「資格を取って長く働ける」という未来を見せることが、インドネシア人材の定着には大きな意味を持ちます。     なぜ「一番人気」と言われるのか 供給力と制度適合性のバランスがよい インドネシア人材が介護分野で人気を集める理由を一言で言えば、バランスの良さです。 人口規模が大きい。若い人材が多い。海外就労への関心がある。日本語学習者が多い。介護分野の制度ルートがある。EPAからの歴史がある。特定技能試験の受験環境がある。文化的に高齢者ケアと相性がある。日本側の受け入れ事例が増えている。 これらが重なっているため、インドネシア人材は介護分野で採用しやすく、育成しやすく、定着可能性も期待しやすい国の一つになっています。 採用側がイメージしやすい国になってきた 外国人材採用では、採用側の心理的ハードルも重要です。 まったく知らない国の人材を採用するより、すでに多くの受け入れ事例がある国の人材の方が、施設側は安心しやすくなります。 インドネシア人介護人材は、すでに日本各地で働いています。先行事例が増えれば増えるほど、採用側は「自社でも受け入れられるかもしれない」と考えやすくなります。 この安心感も、人気を支える要素です。 ただし人気と成功は別物 最後に大切なことを言うと、インドネシア人材が人気だからといって、採用すれば必ず成功するわけではありません。 人気の国だから大丈夫。介護に向いていると聞いたから大丈夫。日本語学習者が多いから大丈夫。宗教も何とかなるだろう。 このような考え方は危険です。 採用の成功は、国籍ではなく、候補者の質、教育、マッチング、受け入れ体制、現場の理解、キャリア支援で決まります。 インドネシア人材は非常に有力な選択肢です。しかし、採用側が何も準備しなくてよい魔法の人材ではありません。そんな都合のよい魔法があるなら、介護業界はここまで苦労していません。     まとめ インドネシア人材が介護分野で人気を集める理由は、一つではありません。 日本側では、介護人材不足が深刻化し、国内人材だけでは将来の需要を満たすことが難しくなっています。2026年度には約240万人、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされ、外国人材の受け入れは現実的な選択肢になっています。 一方、インドネシア側には、若い人口、海外就労への関心、日本語学習者の多さ、介護や看護系教育を受けた人材、EPAから続く日本との制度的なつながりがあります。 さらに、家族や年長者を大切にする文化、穏やかなコミュニケーション、チームで助け合う価値観は、介護現場と相性を持ちやすい面があります。 ただし、インドネシア人材を採用すれば自動的に成功するわけではありません。 日本語教育、宗教や食事への配慮、入職後のメンター制度、現場職員への受け入れ教育、介護福祉士取得までのキャリア支援が必要です。 インドネシア人材は、介護分野において非常に有力な選択肢です。しかし本当に大切なのは、「インドネシア人だから採用する」のではなく、「一人ひとりの適性を見て、長く活躍できる環境を作る」ことです。 結局のところ、介護は人が人を支える仕事です。 だからこそ、採用もまた、人を数字や国籍だけで見るのではなく、その人の背景、意欲、学習力、将来性を見て判断する必要があります。     インドネシアの人材育成・採用ならLPK Timedoor ​LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。 所在地と連絡先: 住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226​ 電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通) メール: [email protected] Website:  ​lpktimedoor.com Instagram: https://www.instagram.com/lpk_timedoor/     インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor  システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業 [embed]https://youtu.be/yXZ4Zk2Q4rU?si=wuMx-QOko3MGbTkE[/embed] お問い合わせはこちら   Timedoor CEO 徳永 裕の紹介はこちら         本記事で使用した単語の解説 特定技能 特定技能とは、日本の人手不足分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。介護、外食、農業、建設、製造など複数の分野があります。 特定技能「介護」 特定技能「介護」とは、日本の介護現場で働くための特定技能の一分野です。介護施設などで身体介護、生活支援、記録、チームケアなどに従事します。 EPA EPAとは、Economic Partnership Agreementの略で、経済連携協定を意味します。日本はインドネシア、フィリピン、ベトナムなどとEPAに基づき、看護師候補者や介護福祉士候補者の受け入れを行ってきました。 介護福祉士 介護福祉士とは、日本の介護分野における国家資格です。介護の専門職として、利用者の生活支援、身体介護、相談支援、チームケアなどを行います。 在留資格「介護」 在留資格「介護」とは、介護福祉士の資格を持つ外国人が、日本で介護職として働くための在留資格です。特定技能「介護」から長期就労を目指す場合の重要なキャリアパスになります。 介護技能評価試験 介護技能評価試験とは、特定技能「介護」で働くために必要な介護の基礎的な知識や技能を確認する試験です。介護の基本、身体と心の仕組み、コミュニケーション、生活支援技術などが問われます。 介護日本語評価試験 介護日本語評価試験とは、介護現場で必要となる日本語を確認する試験です。通常の日本語能力だけでなく、介護現場で使われる言葉や表現の理解が求められます。 JFT-Basic JFT-Basicとは、国際交流基金日本語基礎テストのことです。日本で生活し働くために必要な基礎的な日本語能力を測る試験で、特定技能の日本語要件として使われます。 JLPT N4 JLPT N4とは、日本語能力試験のレベルの一つです。N5からN1まであり、N4は基本的な日本語をある程度理解できる水準とされています。特定技能ではN4以上が一つの目安になります。 LPK LPKとは、インドネシア語のLembaga Pelatihan Kerjaの略で、職業訓練機関を意味します。日本向け人材の場合、日本語教育、介護教育、生活指導、面接対策などを行う機関もあります。 送り出し機関 送り出し機関とは、外国人材を日本など海外へ送り出すための手続きや教育を行う機関です。国や制度によって役割や許可の仕組みが異なります。 G to G G to Gとは、Government to Governmentの略で、政府間の枠組みによる人材送り出しを意味します。インドネシアと日本の看護師・介護福祉士候補者の送り出しでも使われる仕組みです。 Gotong Royong Gotong Royongとは、インドネシア語で助け合い、協力、相互扶助を意味する考え方です。地域社会や共同体の中で互いに支え合う文化を表す言葉として使われます。 ムスリム ムスリムとは、イスラム教を信仰する人を意味します。インドネシアにはムスリムが多く、食事、礼拝、ラマダンなどへの理解が必要になる場合があります。 ラマダン ラマダンとは、イスラム暦における断食月です。ムスリムは日の出から日没まで飲食を控えることがあります。介護現場では、本人の体調や勤務シフトに配慮することが大切です。     FAQ Q. インドネシア人材は本当に介護分野で人気があるのですか? A. はい。特定技能介護の分野では、インドネシアが最も多い国籍として確認されています。EPAによる介護福祉士候補者の受け入れでも長い歴史があり、介護分野における主要な送り出し国の一つです。 Q. なぜインドネシア人材は介護に向いていると言われるのですか? A. 家族や年長者を大切にする文化、穏やかなコミュニケーション、助け合いの価値観、日本語学習者の多さ、介護分野での制度的な受け入れ実績などが理由です。ただし、国籍だけで適性を決めるのではなく、個人ごとの性格や経験を見ることが重要です。 Q. インドネシア人材を採用する場合、日本語力は十分ですか? A. 特定技能で来日する場合、一定の日本語要件は満たしています。ただし、介護現場で必要な日本語は入職後も学び続ける必要があります。特に記録、申し送り、事故報告、利用者との会話には継続的な教育が重要です。 Q. 宗教上の配慮は大変ですか? A. インドネシアにはムスリムが多いため、食事、礼拝、ラマダンなどへの配慮が必要になる場合があります。ただし、本人によって実践の程度は異なります。最初に本人と確認し、現場で無理なく対応できるルールを作ることが大切です。 Q. インドネシア人材は長く働いてくれますか? A. 長く働く可能性はありますが、採用後の支援次第です。日本語教育、生活支援、職場での人間関係、キャリアパス、介護福祉士取得支援などが定着に大きく影響します。採用して終わりではなく、育成する前提が必要です。 Q. インドネシア人材とフィリピン人材ではどちらがよいですか? A. どちらが絶対に良いというものではありません。フィリピン人材は英語力や看護・介護分野での国際的評価が強みです。インドネシア人材は人口規模、日本語学習者の多さ、日本向け介護人材の増加、制度的な受け入れ実績が強みです。施設の方針や受け入れ体制に合うかで判断するべきです。 Q. インドネシア人材の採用で失敗しやすいポイントは何ですか? A. 仕事内容を十分に説明しないこと、日本語力を過信すること、宗教や食事の配慮を軽視すること、日本人職員への受け入れ教育をしないこと、入職後のフォローを現場任せにすることです。特に最初の3か月の支援が弱いと、早期離職につながりやすくなります。 Q. 採用時には何を確認すべきですか? A. 日本語力、介護への理解、志望動機、家族の同意、長期就労の意思、介護福祉士を目指す意欲、身体介護への理解、ストレス耐性、相談できる性格かどうかを確認することが重要です。 Q. インドネシア人材は地方の介護施設でも採用できますか? A. 採用は可能です。ただし、地方では生活支援がより重要になります。交通手段、買い物、病院、宗教や食事、住居、地域との関係など、都市部以上に丁寧な支援が必要です。地方施設こそ、受け入れ設計の差が定着率に出やすいです。 Q. インドネシア人材を採用する一番のポイントは何ですか? A. 候補者の質を見極めることと、受け入れ体制を整えることです。インドネシア人材は介護分野で非常に有力な選択肢ですが、国籍だけで成功が保証されるわけではありません。採用前教育、入職後支援、日本人職員の理解、キャリア支援をセットで考えることが重要です。  

クールジャパンから投資されたインドネシアのWAKUWAKU JAPANがいつの間にか終わっていた

7月 11, 2026 • インドネシア

クールジャパンから投資されたインドネシアのWAKUWAKU JAPANがいつの間にか終わっていた

官民ファンド「クールジャパン機構」は2015年、SKY Perfect JSATとともに、海外向け日本専門チャンネル「WAKUWAKU JAPAN」の拡大に向けて投資を決定しました。 当時の計画では、総投資額は110億円。そのうちCool Japan Fundが44億円、SKY Perfect JSATが66億円を出資する形でした。 この金額だけを見ると、かなり本気の国家的プロジェクトだったことがわかります。 しかし、そのWAKUWAKU JAPANは、2022年3月31日に放送を終了しました。 インドネシアで長くビジネスをしている方の中にも、「そういえば、あれ終わっていたのか」と思う人は少なくないかもしれません。 今回は、インドネシアのWAKUWAKU JAPANとは何だったのか、なぜうまくいかなかったのか、そしてクールジャパン政策の失敗から何を学べるのかを整理してみます。   WAKUWAKU JAPANとは何だったのか WAKUWAKU JAPANは、日本のテレビ番組や日本文化を海外に届けるための日本専門チャンネルでした。 日本のドラマ、アニメ、映画、音楽、スポーツ、旅行番組、文化紹介番組などを、現地語字幕や吹き替えで放送していました。 インドネシアでは2014年に放送が始まり、MNCグループ系の有料テレビサービスなどを通じて視聴できる形でした。 狙いはわかりやすいものでした。 日本の番組を見てもらう。日本への関心を高める。日本旅行、日本食、日本の商品、日本の地方、日本企業への興味につなげる。 つまり、テレビ番組を入口にして、日本全体のファンを増やそうとしたわけです。 構想としては、決しておかしくありません。 問題は、その方法がインドネシア市場に合っていたのか、という点です。   なぜインドネシアだったのか インドネシアは、WAKUWAKU JAPANにとって重要な初期市場でした。 理由は明確です。 人口が多い。若年層が多い。経済成長が期待されている。日本に対する好感度も比較的高い。アニメ、特撮、日本食、日本旅行、日本語学習に関心を持つ人もいる。 日本側から見れば、インドネシアは日本コンテンツを広げる有望市場に見えたはずです。 しかし、ここに大きな落とし穴があります。 「日本に興味がある人がいる」、「日本が好きな人が多い」ことと、「日本専門の有料テレビチャンネルが継続的に見られ、事業として成立する」ことは、まったく別の話です。 日本が好きな人がいるから、日本の番組専門チャンネルも見られるはず。 この考え方は、少し甘かったようです。     なぜWAKUWAKU JAPANは終わったのか 有料テレビの時代からスマートフォンの時代へ WAKUWAKU JAPANの一番大きな問題は、有料テレビチャンネルを中心にしたモデルだったことです。 2014年当時は、有料テレビにもまだ成長の余地がありました。 しかし、その後のインドネシアでは、スマートフォンとインターネットが一気に普及しました。 YouTube、TikTok、Instagram、Netflix、Viu、Disney+ Hotstar、Vidioなどが広がり、視聴者はテレビの前でチャンネルを選ぶより、スマートフォンで好きな動画を見るようになりました。 WAKUWAKU JAPANは、テレビ時代の発想で作られた事業でした。 しかし、インドネシアの視聴者は、すでにスマートフォン時代へ移っていました。 テレビチャンネルは、視聴者に自分で探してもらう必要があります。 決まった時間に見る必要があります。 一方、YouTubeやTikTokは、アルゴリズムが勝手に動画を視聴者の前に運んできます。 自分の好きな時に好きな動画を見れます。 この差はかなり大きかったと言えるでしょう。   「日本の良いものを届ければ伝わる」という発想 WAKUWAKU JAPANには、日本側によくある考え方が見えます。 日本には良いコンテンツがある。日本には良い文化がある。だから、それを海外に届ければ、海外の人も好きになってくれる。 この考え方は、半分正しく、半分危険です。 日本のアニメ、漫画、ゲーム、日本食、観光には確かに魅力があります。 しかし、海外市場では「良いもの」だけでは売れません。 現地の生活に合っているか。価格が合っているか。見つけやすいか。買いやすいか。SNSで話題にしやすいか。友人に共有したくなるか。 ここまで設計しなければ、市場には広がりません。 日本の良さを見せるだけでは足りないのです。   ローカライズが翻訳に寄りすぎた WAKUWAKU JAPANは、日本番組をインドネシア語で届けました。 これは重要です。 しかし、本当のローカライズは翻訳だけではありません。 インドネシア人がどのようなテンポの番組を好むのか。どのような出演者に共感するのか。どのSNSで話題になるのか。家族で見るのか、一人でスマホで見るのか。宗教的・文化的にどのような配慮が必要なのか。日本の番組に字幕を付けて流すだけでは、インドネシア人の生活の中に深く入り込むのは難しかったのだと思います。   クールジャパンの失敗として見るWAKUWAKU JAPAN WAKUWAKU JAPANは、単なるテレビチャンネルの失敗ではありません。 クールジャパン政策の弱さをよく表した事例でもあります。 クールジャパンとは、日本の文化、食、観光、コンテンツ、商品、サービスなどを海外に広げようとする政策です。 方向性そのものは間違っていません。 実際、日本のアニメ、漫画、ゲーム、日本食、訪日観光には大きな力があります。 問題は、日本側が「日本の魅力」を自分たちで定義し、それを海外に届ければ受け入れられると考えてしまうことです。 ここを間違えると、Cool Japanは「日本の良いものを見せてあげる」政策になってしまいます。 しかし、海外の消費者は日本を応援するためにお金を払うわけではありません。 自分にとって便利か、楽しいか、安いか、かっこいいか、かわいいか、信頼できるかで判断します。   Cool Japan Fundの損失問題 WAKUWAKU JAPANだけでなく、Cool Japan Fund全体も厳しい評価を受けています。 報道では、2026年にはCool Japan Fundの累積損失が540億円規模に達し、廃止や統合が検討されているとも報じられています。 もちろん、投資ファンドである以上、すべての案件が成功するわけではありません。 しかし、問題は「失敗した投資があった」ことではありません。 市場理解が甘いまま大きな資金を入れたこと。日本ブランドへの期待が強すぎたこと。 現地で本当に売れる仕組みを作り切れなかったこと。 撤退判断や改善サイクルが遅くなりやすかったこと。 様々な問題があります。     WAKUWAKU JAPAN以外の失敗例 マレーシアのIsetan The Japan Store クールジャパンの失敗例としてよく挙げられるのが、マレーシアのIsetan The Japan Storeです。 これは、クアラルンプールに日本のライフスタイルを発信する商業施設を作る構想でした。 Cool Japan Fundは、Isetan Mitsukoshi Holdingsとともに、約970000000円を投資する計画を発表しました。 日本の食品、ファッション、化粧品、雑貨、インテリア、伝統工芸などを紹介し、日本企業の海外展開を支援する狙いがありました。 しかし、需要は十分に伸びませんでした。 報道では、同店は2017年に約4500000ドルの損失を出し、Cool Japan Fundは最終的に株式をIsetan Mitsukoshi側へ売却したとされています。 この事例が示しているのは、「日本らしいものを集めれば売れる」という考え方の限界です。 現地の消費者にとって、価格は合っていたのか。日常的に買う理由はあったのか。ハラル対応や商品構成は十分だったのか。ローカル競合と比べて選ばれる理由はあったのか。 そこまで詰めなければ、どれだけ日本らしい空間を作っても、商売としては厳しくなります。   Anime Consortium Japan Anime Consortium Japanも、Cool Japan関連の象徴的な案件の一つです。 日本のアニメを海外に公式配信し、海賊版対策や海外市場拡大につなげることを目指したプロジェクトでした。 日本アニメは海外で強いコンテンツです。方向性としては理解できます。 しかし、これも簡単ではありませんでした。 海外の動画配信市場には、Netflix、Crunchyroll、YouTube、各国ローカル配信サービスなど、多くの競合があります。 重要なのは、作品の強さだけではありません。アプリの使いやすさ、価格、字幕品質、配信スピード、決済のしやすさ、コミュニティ、マーケティングも必要です。 日本側が「公式配信です」と言っても、ユーザーは便利で見やすい場所を選びます。 正しいだけでは勝てません。 市場は道徳の授業ではなく、ユーザー体験の競争です。   何が共通していたのか WAKUWAKU JAPAN、Isetan The Japan Store、Anime Consortium Japanには、共通する問題があります。 日本側が「日本の良いもの」を中心に考えすぎたことです。 日本の番組だから見られる。日本の商品だから買われる。日本のアニメだから使われる。日本の百貨店だから信頼される。 この考え方は、入口としては間違っていません。 しかし、実際にビジネスとして成立させるには 現地の人が自分のお金と時間を使う理由を作らなければなりません。 日本ブランドは確かに強みになります。しかし、それはスタート地点であって、ゴールではありません。 インドネシア進出企業が学ぶべきこと 日本ブランドだけでは売れない インドネシアでは、日本に対する信頼や好感はあります。 しかし、それだけでは売れません。 インドネシアの消費者には無料と百円では大きな違いがあります。 日本ブランドは入口にはなりますが、決定打にはなりません。 WAKUWAKU JAPANも、「日本の番組です」だけでは不十分でした。 輸出ではなくローカライズが必要 日本企業が海外進出で失敗しやすい理由の一つは、日本で成功したものをそのまま持ってくることです。 日本でうまくいった商品やサービスでも、インドネシアではそのまま通用しないことがあります。 価格を変える。広告表現を変える。販売チャネルを変える。決済方法を変える。宗教や文化に配慮する。 全て現地の方の目線で見直すところから始める必要があるでしょう。 小さく試して、数字で判断する WAKUWAKU JAPANや一部のCool Japan案件のような大きな構想は、見た目は魅力的です。 しかし、インドネシア市場では、最初から大きく張るより、小さく試し、数字を見て改善する方が現実的です。 まず小さなターゲットに絞る。SNSで反応を見る。広告表現を試す。価格をテストする。顧客の行動を確認する。うまくいったものだけ拡大する。 このような仮説検証型の進出が重要です。 実際に私も子供向けのITスクールを70拠点以上インドネシアで展開していますが まずは無料のボランティアでトライアルをして その後に有料の教室を小さな投資額でスタートし 自社の教室の取り組みがうまく行ってからフランチャイズ展開 というように小さな成功と失敗を繰り返しながら広げていきました。 [caption id="attachment_13129" align="alignnone" width="768"] Timedoorアカデミー教室で子供たちと[/caption]     まとめ WAKUWAKU JAPANは、2014年にインドネシアで始まった日本専門の海外向けテレビチャンネルでした。 Cool Japan Fundは、この事業の拡大に向けて44億円を投資する計画を立てていました。 しかし、WAKUWAKU JAPANは2022年3月31日に終了しました。 本記事で分析したように様々な失敗の理由があるでしょうが、私は2億8,000万人のこの親日の国には日本のIPやアニメ、コンテンツなどのビジネスは無限の可能性があると信じています。 ぜひ日本の関係者の皆さまにはここから学んで、インドネシアのマーケットに挑戦してほしいと願っています。       インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor  システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業 [embed]https://youtu.be/yXZ4Zk2Q4rU?si=wuMx-QOko3MGbTkE[/embed] お問い合わせはこちら     Timedoor CEO 徳永 裕の紹介はこちら         本記事で使用した単語の解説 WAKUWAKU JAPAN 日本のテレビ番組や日本文化を海外向けに放送していた日本専門チャンネルです。インドネシアでは2014年に始まり、2022年に終了しました。 Cool Japan 日本の文化、食、観光、コンテンツ、商品、サービスなどを海外に広げようとする政策や考え方です。 Cool Japan Fund Cool Japan関連事業に投資する官民ファンドです。日本の商品やサービスの海外展開を支援する目的で設立されました。 累積損失 過去から現在までに積み上がった損失の合計です。単年度の赤字ではなく、複数年にわたる損失の累計を指します。 OTT インターネットを通じて動画コンテンツを提供するサービスのことです。Netflix、Viu、Disney+ Hotstar、Vidioなどが代表例です。 ローカライズ 商品やサービスを現地市場に合わせることです。翻訳だけでなく、文化、価格、販売方法、広告表現、ユーザー体験まで含みます。     FAQ WAKUWAKU JAPANは今もインドネシアで見られますか? 現在は見られません。WAKUWAKU JAPANは2022年3月31日に放送とライブ配信を終了しました。 Cool Japan FundはWAKUWAKU JAPANにいくら投資したのですか? 2015年の計画では、WAKUWAKU JAPANへの総投資額は110億円で、そのうちCool Japan Fundが44億円、SKY Perfect JSATが66億円を出資する予定でした。 WAKUWAKU JAPANの最大の敗因は何ですか? 有料テレビチャンネルを中心にしたモデルが、スマートフォン、SNS、OTTの時代に合わなくなったことです。加えて、現地化不足や収益モデルの重さも影響しました。 Cool Japan Fundはどれくらい損失を出しているのですか? 英語報道では、Cool Japan Fundの累積損失は2024年度末時点で383億円、2026年には540億円規模に達したと報じられています。 WAKUWAKU JAPAN以外の失敗例はありますか? 代表例として、マレーシアのIsetan The Japan StoreやAnime Consortium Japanがあります。どちらも日本の文化やコンテンツを海外に広げる狙いはありましたが、現地需要や収益性に課題がありました。 日本コンテンツはインドネシアでまだ可能性がありますか? 可能性はあります。アニメ、漫画、ゲーム、日本語学習、日本旅行、日本食などには今も需要があります。ただし、テレビチャンネル型ではなく、SNS、動画配信、イベント、EC、コミュニティを組み合わせる必要があります。

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