5月 12, 2025 •
インドネシア
インドネシアの有名大学ランキング2025:進出企業が知っておくべき高等教育の実力と魅力
インドネシアは、人口約2.8億人を擁する東南アジア最大の経済大国であり、近年では教育分野でも急速な発展を遂げています。特に高等教育機関の質の向上と国際的な評価の獲得に力を入れており、QS世界大学ランキングやTHE世界大学ランキングなど、国際的な指標でもその存在感を高めています。
本記事では、インドネシアに進出中または進出を検討している経営者・マネージャーの皆様に向けて、インドネシアの主要大学のランキングと特徴を詳しく解説します。現地での人材採用や産学連携を検討する際の参考としてご活用ください。
インドネシアの主要大学ランキング(2025年版)
以下に、2025年の主要な国際大学ランキングにおけるインドネシアの大学の位置付けを示します。
1. インドネシア大学(Universitas Indonesia, UI)
QS世界大学ランキング2025:206位
THE世界大学ランキング2025:801–1000位
所在地:デポック(ジャカルタ近郊)
インドネシア最古の国立大学であり、国内外で高い評価を受けています。医療、法学、経済学など多岐にわたる学部を有し、研究活動も活発です。特に産学連携や国際協力に力を入れており、多くの国際的なプロジェクトに参画しています。
2. ガジャ・マダ大学(Universitas Gadjah Mada, UGM)
QS世界大学ランキング2025:239位
THE世界大学ランキング2025:1201–1500位
所在地:ジョグジャカルタ
インドネシアの中部に位置する国立大学で、農学、社会科学、医学など幅広い分野で高い評価を受けています。特に地域社会との連携を重視しており、地方開発や社会貢献活動にも積極的です。
3. バンドン工科大学(Institut Teknologi Bandung, ITB)
QS世界大学ランキング2025:256位
THE世界大学ランキング2025:1201–1500位
所在地:バンドン
インドネシアを代表する工科大学で、工学、情報技術、自然科学分野での研究が盛んです。多くの技術系企業との連携実績があり、スタートアップ支援やイノベーション創出にも力を入れています。
4. エアランガ大学(Universitas Airlangga, UNAIR)
QS世界大学ランキング2025:308位
THE世界大学ランキング2025:1201–1500位
所在地:スラバヤ
医療・生命科学分野で特に評価が高い国立大学です。医学部は国内でもトップクラスの実績を持ち、国際的な医療研究にも積極的に参加しています。
5. ボゴール農科大学(IPB University)
QS世界大学ランキング2025:426位
THE世界大学ランキング2025:1201–1500位
所在地:ボゴール
農業、環境科学、食品技術などの分野で国内外から高い評価を受けている大学です。持続可能な農業や環境保全に関する研究が盛んで、国際的なプロジェクトにも多数参画しています。
6. パジャジャラン大学(Universitas Padjadjaran, UNPAD)
QS世界大学ランキング2025:596位
QSアジア大学ランキング2025:134位
所在地:バンドン(西ジャワ州)
UNPADは、法学、医学、農学、経済学など多岐にわたる分野で高い評価を受けている国立大学です。特に法学部は国内外での評価が高く、司法制度や人権に関する研究が盛んです。また、農学部では持続可能な農業や食品安全に関する研究が進められており、地域社会との連携も強化されています。
7. ディポネゴロ大学(Universitas Diponegoro, UNDIP)
QS世界大学ランキング2025:721–730位
QSアジア大学ランキング2025:241位
所在地:スマラン(中部ジャワ州)
UNDIPは、環境科学、都市計画、海洋学などの分野で知られる国立大学です。特に海洋学部は、インドネシアの海洋資源の持続可能な利用に関する研究で注目されています。また、都市計画や環境管理に関するプログラムも充実しており、地方自治体や企業との共同研究が盛んです。
8. ブラウィジャヤ大学(Universitas Brawijaya, UB)
QS世界大学ランキング2025:801–850位
QSアジア大学ランキング2025:49位
所在地:マラン(東ジャワ州)
UBは、農業、経済学、法学、医学など幅広い分野で教育・研究を行う国立大学です。特に農学部は、持続可能な農業技術や食品安全に関する研究で国内外から高い評価を受けています。また、医学部では地域医療や公衆衛生に関する研究が進められており、地域社会への貢献が期待されています。
9. インドネシア教育大学(Universitas Pendidikan Indonesia, UPI)
THE世界大学ランキング2025:1501+位
所在地:バンドン(西ジャワ州)
UPIは、教育学を中心とした国立大学で、教員養成や教育政策に関する研究で知られています。特に初等教育や特別支援教育に関するプログラムが充実しており、教育現場での実践的な研修も行われています。また、教育技術やカリキュラム開発に関する研究も進められており、教育改革に貢献しています。
10. インドネシア・イスラム大学(Universitas Islam Indonesia, UII)
THE世界大学ランキング2025:1501+位
所在地:ジョグジャカルタ
UIIは、1945年に設立されたインドネシア最古の私立大学の一つで、イスラム教の価値観を基盤とした教育を提供しています。法学、経済学、工学、医学など多様な学部を有し、特に法学部は国内外での評価が高いです。また、国際的な大学との連携も積極的に行っており、留学生の受け入れや共同研究にも力を入れています。
インドネシアの大学制度の概要
1. 大学の種類
インドネシアの高等教育機関は大きく分けて次の4種類があります:
Universitas(総合大学):文系・理系問わず幅広い学部を持つ。例:UI(インドネシア大学)、UGM(ガジャ・マダ大学)。
Institut(専門大学):特定の分野(例:工学、農業など)に特化。例:ITB(バンドン工科大学)。
Sekolah Tinggi(単科大学):1つの分野に集中した教育機関(例:経済、教育、観光など)。
Politeknik(ポリテクニック):職業訓練や技術教育を重視する実務的な高等教育機関。
2. 学位の体系
インドネシアでは以下のような学位体系が用意されています:
学位
インドネシア語
年数
説明
学士
Sarjana (S1)
4年
一般的な学士号。卒業論文が必要。
修士
Magister (S2)
1.5~2年
研究や実務をベースにした大学院課程。
博士
Doktor (S3)
3~5年
論文執筆・審査が中心の研究課程。
専門職短大
Diploma (D1~D4)
1~4年
職業教育に特化。Politeknikで取得可能。
3. 公立と私立の違い
公立大学(Negeri):国家予算によって運営され、入学競争が激しい。入試は全国統一試験(SNBTなど)を通じて行われる。
私立大学(Swasta):独立した法人が運営。学費は高めだが、入学のハードルは比較的低い。中には国際認証を取得している有力校もある。
4. 入試制度
公立大学入試は「SNBT(Seleksi Nasional Berdasarkan Tes)」という全国共通試験が主流です。
私立大学はそれぞれの大学が独自の選抜方法(筆記試験や面接など)を採用しているケースが多いです。
5. 教育言語と国際化
教育は基本的にインドネシア語で行われますが、国際プログラム(International Class)では英語を用いる授業も増えています。
QSやTHEなどの国際ランキング向上を意識し、海外大学との提携、ダブルディグリープログラム、交換留学制度の整備が進んでいます。
6. 特徴的な点
カリキュラムに宗教教育が含まれる(特に国立大学では必修)。
卒業論文と地域貢献活動(KKN)が卒業の条件として設けられている大学も多い。
オンライン教育や夜間・週末クラスも増加中(特に働きながら学ぶ成人向け)。
インドネシアの高等教育の現状と課題
インドネシアには約4,500の高等教育機関が存在し、その中には国際的な評価を受ける大学も増えてきています。政府は教育分野への投資を強化しており、特に研究開発や国際的な連携に力を入れています。しかし、都市部と地方部の教育格差や、教育の質の均一化など、まだ多くの課題も抱えています。
まとめ
インドネシアの高等教育は、政府の投資拡大と大学側の国際化努力によって急速にレベルを高めています。QSやTHEなどの世界的ランキングで上位に入る大学が増えており、特にインドネシア大学・ガジャ・マダ大学・バンドン工科大学は研究力と産学連携の両面で頭角を現しています。企業が現地で人材採用や共同研究を行う際は、①大学ごとの専門分野と国際提携状況、②英語プログラムやインターンシップの有無、③地域ごとの産業集積との相性を照合して選定することが成功のカギです。
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本記事で使用した単語の解説
QS世界大学ランキング:英国Quacquarelli Symonds社が発表する大学格付け。研究力・雇用者評価・国際性などが指標。
THE世界大学ランキング:Times Higher Education誌による格付け。教育・研究・引用・国際性・産業収入で評価。
産学連携:大学と企業が研究や人材育成を共同で行う枠組み。共同研究、インターンシップ、共同特許などを含む。
SNBT:Seleksi Nasional Berdasarkan Tes。インドネシア公立大学共通入試。
International Class:授業を英語で実施する国際プログラム。留学生や多国籍企業向け人材を育成。
KKN:Kuliah Kerja Nyata。学生が地域社会で実地活動を行う必修プログラム。
Diploma D4:ポリテクニックなどで取得できる4年制高等職業資格。実務重視で学士(S1)と同等に扱われる場合もある。
Swasta:私立大学の総称。学費は高めだが入学定員が多く、国際認証取得校も存在。
Negeri:国立大学の総称。国家予算を受け、入試競争率が高い。
Double Degree:2大学が共同で学位を授与するプログラム。インドネシア国内大学と海外大学の連携が増加中。
FAQ
Q1. インドネシアで企業が優秀な理系人材を採用する場合、どの大学に注目すべきですか?
A1. 工学系ならバンドン工科大学(ITB)とガジャ・マダ大学(UGM)が筆頭候補です。AI・データサイエンス分野はインドネシア大学(UI)の情報工学系も実績があります。
Q2. 私立大学と国立大学では、企業連携のしやすさに違いがありますか?
A2. 私立大学は手続きが比較的迅速で、英語プログラムや共同ラボ設置など柔軟に対応する傾向があります。一方、国立大学は研究資源とブランド力が強みですが、契約手続きに時間がかかる場合があります。
Q3. 英語で授業を受けられる学生を確保したい場合、どこで探せばよいですか?
A3. UI、UGM、ITB などの国際クラス在籍者、またはBINUS University やPresident University など英語系私立大学の卒業生が適しています。
Q4. 地方拠点での採用を考えていますが、都市部との学力格差は大きいですか?
A4. 首都圏・ジョグジャカルタ・バンドンなど主要学術都市と一部地方では依然として教育環境に差があります。ただし、地方国立大学(UNDIP、UBなど)は特定分野で高評価を獲得しており、奨学金やオンライン学習拡充で格差縮小が進行中です。
Q5. インドネシアの大学と共同研究を始める際の第一歩は?
A5. まず関心分野の教授・研究センターをリストアップし、在インドネシア日本商工会議所(JJC)や大学の国際オフィス経由でコンタクトを取るのが効果的です。MOU締結前に、小規模な共同ワークショップや学生プロジェクトから着手するとスムーズに連携を深められます。
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