
4月 1, 2025 • インドネシア
3月 1, 2025 • インドネシア • by Delilah
目次
インドネシアの国営エネルギー企業(BUMN)、プルタミナ(PT Pertamina (Persero))は、1957年の設立以来、石油・ガスの探鉱・生産から精製・販売、再生可能エネルギーの開発、物流サービス、コンサルティング業務に至るまで、多岐にわたる事業を展開しています。 Pertaminaというガソリンスタンドを見られたことがある方も多いかと思います。一方近年では政府の汚職の温床になっているという暗い闇が明るみになり話題となっています。本記事では、インドネシアの社会になくてはならない国営企業(BUMN)Pertamina(プルタミナ)について詳しく解説します。
インドネシアの国営企業であるプルタミナ(Pertamina)は、エネルギー供給と新エネルギーおよび再生可能エネルギーの開発に強くコミットし、国家のエネルギー安全保障と自給自足を維持するために重要な役割を果たしています。
プルタミナ(Pertamina)の創業は、インドネシアのエネルギー産業の発展と密接に関連しています。1950年代、インドネシア政府はスマトラ島の油田管理を目的として、PT Eksploitasi Tambang Minyak Sumatera Utaraを設立しました。1957年12月10日、この組織はPT Perusahaan Minyak Nasional(略称:PERMINA)に改称され、これがプルタミナの前身となりました。
PERMINAの初代社長には、インドネシア国軍の中将であったイブヌ・ストウォ(Ibnu Sutowo)が就任しました。彼のリーダーシップの下、PERMINAは国内の石油資源の開発と管理を進め、1958年には初めて石油の輸出を開始しました。さらに、1962年にはバンドンに石油アカデミー(Oil Academy)を設立し、石油産業の専門人材の育成に力を入れました。
1961年、インドネシア政府は石油・ガス産業の国家管理を強化するため、PERMINAとは別にPN Pertaminを設立しました。しかし、業務の重複や効率化の観点から、1968年8月20日にPERMINAとPertaminは合併し、PN Pertambangan Minyak dan Gas Bumi Negara、通称プルタミナ(Pertamina)が誕生しました。
1971年、インドネシア政府は法律第8号を制定し、プルタミナに対して国内の石油・ガス資源の探査、生産、精製、販売における独占的権利を付与しました。これにより、プルタミナは国家のエネルギー供給の中核を担う企業としての地位を確立しました。
その後も、プルタミナは国内外での事業拡大や再編を経て、インドネシアの主要な国営エネルギー企業として成長を続けています。特に2003年には株式会社(Persero)化し、PT Pertamina (Persero)として新たなスタートを切りました。
プルタミナ(PT Pertamina (Persero))は、インドネシアの国営エネルギー企業として、多岐にわたる事業とサービスを展開しています。その活動は、石油・ガスの上流・下流部門から、再生可能エネルギーの開発、物流サービス、コンサルティング業務にまで及びます。
プルタミナは、石油・天然ガスの探鉱、開発、生産を行っています。国内外の油田・ガス田の操業を通じて、エネルギー資源の安定供給に努めています。特に、PT Pertamina Hulu Energiの下で上流サブホールディングを運営し、効率的な資源開発を推進しています。
プルタミナは、6つの石油精製施設を運営し、石油製品の精製と供給を行っています。また、5,407箇所のガソリンスタンドを通じて、国内の燃料需要に応えています。
さらに、PT Kilang Pertamina Internasionalの下で製油所および石油化学サブホールディングを運営し、石油化学製品の製造・販売も手掛けています。
プルタミナは、PT Pertamina Gas Negaraの下でガスサブホールディングを運営し、天然ガスの供給とインフラ整備を行っています。国内のガス需要の増加に対応するため、LNG(液化天然ガス)の調達や供給、関連インフラの開発にも注力しています。例えば、東京ガスとの戦略的協力により、インドネシア国内でのLNGバリューチェーン構築に取り組んでいます。
プルタミナは、PT Pertamina Power Indonesiaの下で電力および新エネルギー・再生可能エネルギー(NRE)サブホールディングを運営しています。2030年までに温室効果ガス排出量を2010年比で30%削減し、2026年までに10.2ギガワット相当の再生可能エネルギーを開発する目標を掲げています。
この取り組みの一環として、丸紅株式会社と共同で、バイオマス由来のCO₂回収・貯蔵(BECCS)事業やバイオマス燃料の製造事業など、脱炭素事業の開発に取り組んでいます。
プルタミナは、PT Pertamina International Shippingの下で統合海上物流サブホールディングを運営し、エネルギー製品の輸送と物流サービスを提供しています。日本郵船株式会社との協業により、液化CO₂やLNGの輸送分野での協力体制を強化し、低・脱炭素社会の実現に貢献しています。
プルタミナは、東アジア地域(主に日本、韓国、台湾)において、ビジネスプロジェクトの立ち上げに関するコンサルティングや、エネルギー市場の動向調査・分析・情報提供を行っています。また、投資促進活動やリエゾン業務を通じて、現地企業や政府機関との連携を強化しています。
プルタミナは、これら多岐にわたる事業とサービスを通じて、インドネシアのエネルギー供給の安定と持続可能な発展に寄与しています。また、国内外のパートナー企業との協力を深め、グローバルなエネルギー市場においても重要な役割を果たしています。
プルタミナ(Pertamina)は、インドネシアの国営石油会社として長い歴史を持ちますが、その過程でいくつかの問題や課題に直面してきました。以下に、特筆すべき事例を詳述します。
1. 1970年代の経営危機
1970年代、プルタミナは石油価格の高騰に伴い、多角的な事業展開を積極的に行いました。しかし、1975年に約100億ドルの負債が明らかとなり、深刻な経営危機に直面しました。この問題は、政府による大規模な救済措置と経営改革を通じて解決されました。
2. 2007年のLPG販売に関する競争法違反疑惑
2007年、インドネシアの事業競争監視委員会(KPPU)は、南スマトラ州におけるプルタミナのLPG販売に関して、競争法違反の疑いで調査を行いました。しかし、同年5月23日にKPPUは、プルタミナに違反事実がないとする決定を下しました。
3. 2012年のタンカー売却問題
2012年、プルタミナは所有するタンカーの売却を計画しましたが、この決定は国会や市民からの批判を招きました。売却の透明性や手続きに関する懸念が示され、国政調査権の行使が申請される事態となりました。
これらの事例は、プルタミナが直面した主な問題を示しています。同社はこれらの課題を乗り越え、インドネシアのエネルギー供給を支える重要な役割を果たし続けています。
4. 2025年に発覚した巨額汚職事件
2025年2月、プルタミナの子会社であるPT Pertamina Patra NiagaやPT Pertamina International Shippingの幹部らが、2018年から2023年にかけての原油および製油所製品の輸入に関連する汚職の疑いで逮捕されました。この不正行為により、国家に約193.7兆ルピア(約120億ドル)の損失が生じたと報告されています。具体的には、国内供給を優先すべき規制に反し、高価格の輸入原油を調達したり、低品質の燃料を高品質として販売するなどの手口が明らかになっています。この事件は、インドネシア史上最大級の汚職事件として注目を集めています。
これらの事例は、プルタミナが直面した主な問題を示しています。同社はこれらの課題を乗り越え、インドネシアのエネルギー供給を支える重要な役割を果たし続けています。
プルタミナは、インドネシア国内でのエネルギー供給の要として広く認知されており、国民の生活に欠かせない存在となっています。特に、再生可能エネルギーの開発や環境への配慮など、持続可能なエネルギー供給への取り組みは、ユーザーから高く評価されています。
プルタミナは、60年以上にわたりインドネシアのエネルギー供給を支え、多様な事業展開と持続可能なエネルギーへの取り組みを通じて、国民の信頼を築いてきました。
プルタミナは、インドネシアのエネルギー供給を支える中核企業として、石油・ガスの上流・下流部門から再生可能エネルギーの開発、物流サービス、コンサルティング業務まで、多岐にわたる事業を展開しています。 その歴史の中で、いくつかの課題にも直面しましたが、持続可能なエネルギー供給と環境保護の両立を目指し、革新的な取り組みを続けています。 インドネシア国内では、国民の生活に欠かせない存在として広く認知され、特に再生可能エネルギーの開発や環境への配慮などの取り組みが高く評価されています。
Q1: プルタミナの設立目的は何ですか?
A1: プルタミナは、インドネシアの石油・ガス資源の探査、生産、精製、販売を一元的に管理し、国家のエネルギー安全保障と自給自足を維持するために設立されました。
Q2: プルタミナはどのような再生可能エネルギー事業を展開していますか?
A2: プルタミナは、バイオマス由来のCO₂回収・貯蔵(BECCS)事業やバイオマス燃料の製造事業など、再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組んでいます。
Q3: プルタミナが直面した主な課題は何ですか?
A3: プルタミナは、1975年の経営危機や、2007年のLPG販売に関する競争法違反疑惑、2012年のタンカー売却問題など、いくつかの課題に直面しました。 これらの問題は、政府の介入や内部改革を通じて解決されています。
Q4: インドネシア国内でのプルタミナの評価はどうですか?
A4: プルタミナは、インドネシア国内でのエネルギー供給の要として広く認知されており、特に再生可能エネルギーの開発や環境への配慮など、持続可能なエネルギー供給への取り組みが高く評価されています。
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