インドネシアの重要な国営企業(BUMN)であるIndonesia Asahan Aluminium、通称Inalum(イナルム)は、国内唯一のアルミニウム製錬会社として、インドネシアの産業発展に大きく貢献しています。 その歴史は、日本企業との協力から始まり、現在では国営企業として独自の道を歩んでいます。本記事では、インドネシアの社会になくてはならない国営アルミニウム製錬会社Inalumについて詳しく解説します。
Inalumの会社概要
Inalumは、インドネシア政府と日本企業の共同出資により設立されたアルミニウム製錬会社であり、国内唯一のアルミニウム製錬所を運営しています。 その目的は、インドネシアの豊富な天然資源を活用し、国内の産業発展と経済成長に寄与することです。
会社名 : PT Indonesia Asahan Aluminium (Inalum)
創業者 : インドネシア政府と日本企業のコンソーシアム
創業年 : 1976年
本社所在地 : 北スマトラ州バタムラヤ
Inalumの創業の経緯やストーリー
Inalumの設立は、インドネシア政府と日本企業の間で締結された「アサハン協定」に遡ります。 1975年、インドネシア政府と日本の企業連合は、北スマトラ州アサハン川流域での水力発電とアルミニウム製錬事業に関する協定を締結しました。 この協定に基づき、1976年にPT Indonesia Asahan Aluminiumが設立され、1983年には製錬所の操業が開始されました。 当初は日本企業が過半数の株式を保有していましたが、2013年にインドネシア政府が全株式を取得し、完全な国営企業となりました。
Inalumの事業内容とサービス内容
Inalumの主な事業は、アルミニウムの製錬と販売です。 北スマトラ州のバタムラヤにある製錬所では、年間約25万トンのアルミニウムを生産しています。 また、アサハン川の水力発電所を運営し、製錬所への電力供給を行っています。 さらに、Inalumは国内のアルミニウム需要を満たすだけでなく、輸出も行い、インドネシアの外貨獲得にも貢献しています。
Inalumのの主要なマイルストーン
1975年7月7日 : インドネシア政府と日本の12社の企業連合が「アサハン協定」を東京で締結。
1976年1月6日 : PT Indonesia Asahan Aluminium(イナルム)がジャカルタで設立され、アサハンプロジェクトの開発と運営を開始。
1983年 : 北スマトラ州のクアラタンジュンにあるアルミニウム製錬所が操業を開始し、年間25万トンの生産能力を持つ。
2013年11月1日 : インドネシア政府がイナルムの全株式を取得し、完全な国営企業となる。
2017年11月 : イナルムが国営鉱業持株会社「PT Indonesia Asahan Aluminium(Persero)」として、アンタム、ブキット・アサム、ティマなどの国営鉱業企業を傘下に持つ持株会社となる。
2018年10月10日 : イナルムがマサチューセッツ工科大学(MIT)エネルギー・イニシアティブ(MITEI)と協力し、低炭素エネルギー技術の研究開発を推進することを発表。
2018年12月21日 : イナルムがフリーポート・マクモラン社およびリオ・ティント社からPTフリーポート・インドネシア(PTFI)の株式を取得し、PTFIの過半数株式を保有することとなる。
2020年6月19日 : イナルムがPTヴァーレ・インドネシア(PTVI)の株式20%を取得する売買契約を締結。
2023年1月5日 : イナルムのクアラタンジュン製錬所が、アルミニウム・ステュワードシップ・イニシアティブ(ASI)のパフォーマンススタンダードV3(2022)の認証を取得。
2023年10月10日 : イナルムがエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA)と協力し、クアラタンジュン製錬所のパイロット還元セルのアップグレードを完了。
Inalumの過去に発生した問題
環境問題 : PTフリーポート・インドネシア(PTFI)の株式取得に関連して、グラスバーグ鉱山の環境問題が指摘され、イナルムは銀行団からの融資交渉において環境問題の解決を条件とされるなど、環境保護への取り組みが求められた。
株式取得交渉 : PTVIの株式20%を取得する際、政府が取得先としてイナルムを指名し、交渉が進められた。
Inalumに対するインドネシアのユーザーの反応
イナルムは、インドネシア唯一のアルミニウム製錬企業として、国内のアルミニウム需要を支える重要な役割を果たしています。 そのため、国内の産業界やユーザーから高い評価を受けています。 また、環境保護や持続可能な開発への取り組みも評価されており、ASIの認証取得などがその証とされています。
まとめ
Indonesia Asahan Aluminium(Inalum)は、インドネシア唯一のアルミニウム製錬会社として、国内の産業発展と経済成長に大きく寄与しています。 1975年の「アサハン協定」に基づき設立され、2013年には完全な国営企業となりました。 その後も持続可能な開発や環境保護への取り組みを強化し、国内外から高い評価を受けています。
本記事で使用した単語の解説
アサハン協定 : 1975年にインドネシア政府と日本の企業連合が締結した協定で、北スマトラ州アサハン川流域での水力発電とアルミニウム製錬事業に関するもの。
製錬所 : 鉱石から金属を取り出す工場のこと。
持株会社 : 他の会社の株式を所有し、その経営を支配・管理する会社。
アルミニウム・ステュワードシップ・イニシアティブ(ASI) : アルミニウム産業における持続可能性と環境保護を推進する国際的な非営利組織。
パフォーマンススタンダードV3(2022) : ASIが定める、環境・社会・ガバナンスに関する基準の最新版。
FAQ
Q1: Inalumはどのような事業を行っていますか?
A1 : Inalumは主にアルミニウムの製錬と販売を行っています。 また、アサハン川の水力発電所を運営し、製錬所への電力供給も行っています。
Q2: Inalumはいつ国営企業になりましたか?
A2 : 2013年11月1日にインドネシア政府が全株式を取得し、完全な国営企業となりました。
Q3: Inalumは環境保護にどのように取り組んでいますか?
A3 : Inalumは環境保護と持続可能な開発に積極的に取り組んでおり、2023年1月にはクアラタンジュン製錬所がASIのパフォーマンススタンダードV3(2022)の認証を取得しています。
Q4: Inalumの年間アルミニウム生産量はどれくらいですか?
A4 : 北スマトラ州バタムラヤにある製錬所では、年間約25万トンのアルミニウムを生産しています。
Q5: Inalum は他の企業とどのような協力を行っていますか?
A5 : Inalum は2018 年にマサチューセッツ工科大学(MIT )エネルギー・イニシアティブと協力し、低炭素エネルギー技術の研究開発を推進しています。 また、2023 年にはエミレーツ・グローバル・アルミニウム(EGA )と協力し、製錬所の技術アップグレードを行いました。
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