
4月 17, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
日本の建設業界では、深刻な人手不足が続いており、特に地方の中小規模の建設会社や高齢化が進む地域では、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも注目されているのが、「特定技能 建設業」としてのインドネシア人建築大工スタッフの活用です。
本記事では、特定技能「建設業」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。建設業界での外国人採用を検討している方や、インドネシア人材に関心のある工務店・建設事業者の方は、ぜひご一読ください。
特定技能「建設業」は、日本の建設現場における深刻な労働力不足を背景に、2019年に新たに設けられた在留資格制度です。この制度により、一定レベルの専門知識や技能を持った外国人が、建築・土木・設備工事などの実務に従事することが認められています。
業務内容
特定技能「建設業」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。
※主要業務に携わることが前提であり、単純労働や雑務のみの従事は対象外です。
特定技能 建設業の取得方法
特定技能「建設業」の在留資格を取得するためには、主に以下のような要件があります。
在留期間と更新
受け入れ事業者の要件
特定技能「建設業」の外国人を受け入れる建設会社や工務店は、以下の条件を満たす必要があります。
特定技能「建設業」は、日本のインフラ整備や災害復旧、地域建設需要を支える即戦力人材として期待される制度であり、建設企業は適切な手続きを踏むことで、インドネシア人材などの外国人技能者を合法的・安定的に受け入れることが可能となります。
インドネシア人の建設スタッフは、その国民性や文化的な背景から、以下のような特長を持っています。
インドネシアには「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」という助け合いの精神が根付いており、仲間と協力しながら仕事を進めることを自然に行います。
建設現場ではチームでの作業や重機の共同操作、安全確保が必要な場面が多いため、この協調性は非常に大きな武器となります。
インドネシア人は穏やかで落ち着いた性格の人が多く、真面目にコツコツと業務をこなす傾向があります。
建設現場で求められる継続的な作業や細かな手作業に対しても粘り強く対応できる姿勢があり、集中力やストレス耐性の面でも高く評価されています。
多くのインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝など宗教的な行動を大切にしています。
現場での休憩時間に礼拝の時間を確保したり、ラマダン期間中の体調変化や勤務への影響に配慮することで、安心して働ける環境を整えることが可能です。
仕事に真摯に取り組む一方で、家族との時間や休息を大切にする文化があります。
そのため、連日の長時間労働や休日の過度な出勤が続くと、モチベーションの低下につながることもあります。
無理のない勤務スケジュールの調整や、柔軟な休暇取得制度の導入が定着率向上につながります。
インドネシアでは比較的柔軟な時間感覚が一般的であり、日本の厳格な時間管理文化とはギャップが生じる場合もあります。
ただし、多くのインドネシア人は日本のルールや職場慣習に順応しようとする姿勢を持っており、丁寧な教育と日々のサポートによって改善が期待できます。
特に安全ミーティングや朝礼、納期のある工程管理においては、時間厳守の意識を持たせることが重要です。
このように、インドネシア人の建設業人材は、協調性と勤勉さに優れ、建築・土木現場において即戦力となる可能性を秘めています。
文化的な違いを理解した上で、丁寧なフォローと安全に配慮した職場づくりを行うことが、長期的な雇用関係を築くうえで非常に重要です。
日本におけるインドネシア人建設人材の数は、近年着実に増加しています。特に、特定技能制度の導入以降、建設業分野でのインドネシア人労働者の受け入れが拡大しています。
2024年時点で、特定技能制度全体の外国人労働者数は約25万人に達し、前年比で大幅な増加を記録しました。
このうち、インドネシア人労働者は制度全体で約44,000人を占めており、建築・土木・設備工事などの建設業分野にも多くの人材が配置されています。
建設業分野に限れば、2024年時点で特定技能「建設業」分野の外国人労働者数は約21,000人。
その中でインドネシア人は約6,200人と推計されており、ベトナム、フィリピンと並ぶ主要な国籍の一つとなっています。
技能実習制度においても、大工、型枠、とび、鉄筋、配管などの建設関連業務に従事するインドネシア人技能実習生は年々増加傾向にあります。
2024年には、建設分野の技能実習生全体のうちインドネシア人が約19%を占めており、送り出し国としての存在感を高めています。
2024年現在、日本に在留しているインドネシア人労働者の総数は約169,539人となっており、前年比39.5%増と急成長を見せています。
この増加は、日本国内の深刻な労働力不足に対応するため、特定技能制度や技能実習制度を通じて、インドネシアからの人材受け入れが加速していることを示しています。
これらのデータから、建設業分野におけるインドネシア人労働者の存在感が確実に高まっていることがわかります。今後も、両国間の協力強化や制度整備の進展により、日本の建設現場におけるインドネシア人材の活躍がさらに広がることが期待されます。
インドネシア人の建設人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントをまとめました。
給与
インドネシア人を含む外国人建設スタッフの給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。
具体的な金額は、在留資格や地域、建設現場の規模・職種によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
※これはあくまで平均値であり、勤務地、職種(例:大工、とび、型枠)、経験年数などにより大きく異なる場合があります。
採用時の初期費用
外国人建設人材を採用する際には、以下のような初期費用が発生します。
継続的な支援費用
特定技能1号で雇用する場合、受け入れ建設企業には、外国人材への支援が義務付けられています。登録支援機関に委託する場合、以下の費用が必要です。
その他の費用
建設分野においても、以下のような継続的な費用が発生する可能性があります。
これらの費用は、雇用主の支援方針や地域の物価、スタッフの生活状況によって異なります。
採用を検討する際は、単に給与だけでなく、総合的なコストを事前に見積もっておくことが重要です。
インドネシア人材の雇用は、建設現場の慢性的な人材不足を補うだけでなく、将来的な技能継承や多国籍チームの形成による現場の活性化にもつながります。適切な受け入れ体制と支援のもとで、建設業の未来を支えるパートナーとしての活用が期待されています。
インドネシアの文化・宗教とその影響
インドネシア人を建設スタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが、現場での安定した定着につながります。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
宗教習慣への理解と対応
インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、国民の約85%がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝や、ラマダン(月間断食)期間中の食事や体調管理、作業効率などに配慮が必要です。
建設現場の休憩時間に礼拝のための短時間休憩を設けたり、ラマダン中は重作業の調整や水分補給への配慮を行うなど、柔軟な対応が望まれます。
転職への抵抗が少ない文化
インドネシアでは、より良い条件や職場環境を求めて転職することが一般的とされています。
長期的な雇用を目指すには、キャリアパスの提示や待遇の明確化のほか、働きやすい現場づくりなど「定着の工夫」が不可欠です。
時間感覚の違いへの対応
インドネシアでは、時間に対して比較的寛容な文化があります。遅刻や時間のルーズさが見られることもありますが、丁寧な説明と日々の積み重ねにより、日本の時間管理文化を理解してもらうことができます。
建設現場では工期や資材搬入のタイミング、安全ミーティングなどの関係で厳密なスケジュール管理が必要なため、教育とフォローが非常に重要です。
注意や指導は配慮ある方法で
インドネシア人は、人前で強く叱責されることに敏感です。
注意や指導は、できる限り個別に時間をとって、相手の気持ちを尊重した形で行うことで、信頼関係の構築につながります。
コミュニケーションを大切にする姿勢
インドネシア人は、同僚との会話や交流を大切にし、職場の人間関係を重視する傾向があります。
建設業では、作業工程を安全かつスムーズに進めるために、チーム間でのコミュニケーションが非常に重要となります。こうした特性は現場の連携強化や雰囲気づくりにもプラスになります。
労働制度の違いを理解する
インドネシアには「THR(宗教手当)」や、家族行事に関連した休暇制度などが存在します。
病欠や帰省休暇の取り扱いも日本とは異なるため、雇用契約時にこうした点を丁寧に説明し、相互理解を得たうえで雇用を進めることが大切です。
日本の建設業界では高齢化と職人不足が深刻化しており、外国人材の採用が年々加速しています。
その中でもインドネシア人は、協調性、勤勉さ、まじめで穏やかな性格から、多くの建設現場や工務店において高く評価されています。
文化や価値観の違いに理解を持ち、適切な受け入れ体制を整えることで、長期的な戦力として活躍してもらうことが可能です。
特定技能(建設業)
技能評価試験と日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用可能。
登録支援機関と連携することで、日本語や生活面の支援も受けられます。
技能実習制度(建設関連分野)
実習生として3年間(延長で最長5年)、大工、鉄筋、型枠、とびなどの建設実務を通して技能を習得。
実習修了後、特定技能に移行すれば継続雇用も可能です。
大学・専門学校卒業者(技人国)
建築・土木・設備関連の学科を卒業した人材を「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用。
施工管理、設計、品質管理など、より高度な業務に従事できます。
インドネシア人材の活用は、日本の建設業界が抱える構造的課題に対する重要な解決策の一つです。
しっかりとした準備と文化的理解をもって受け入れることで、現場に新たな活力と安定した施工体制をもたらすことができるでしょう。
インドネシア人は、人とのつながりや調和を大切にする国民性を持ち、協調性や粘り強さ、穏やかで真面目な性格が多く見られます。これらの特性は、チームワークが求められる建設現場において、大きな強みとなります。
一方で、日本とは異なる文化的背景を持つことから、価値観や行動様式にギャップが生じる場合もあります。たとえば、
などが挙げられます。
こうした違いには、現場での丁寧なオリエンテーションや継続的な教育・指導を通じて対応することが大切です。相互理解を促しながら、日本の建設業界で求められる安全意識や作業スタイルに徐々に適応してもらうことで、スムーズな現場運営が可能になります。
インドネシアには多くの送り出し機関が存在しますが、それぞれの教育体制や管理品質には大きな差があります。
そのため、しっかりとした指導体制と実績を持つ信頼できる機関との連携が、採用の成否を分ける重要なポイントになります。
たとえば、弊社のパートナーである LPK Timedoor では、日本人の専任指導者が常駐し、
などを実施しています。
このような事前教育は、就業後の職場適応をスムーズにし、離職リスクの低減にも効果があります。
インドネシア人の多くはイスラム教徒であり、1日5回の礼拝やラマダン中の断食など、日常生活に宗教的行動が組み込まれています。また、家族とのつながりを大切にする文化も強く、家族の事情によって急な帰省や休暇を希望することもあります。
このような文化的価値観を尊重し、
などの制度的・運用的な配慮を行うことで、従業員は「理解されている」という実感を持ちやすくなります。
結果として、職場への愛着やモチベーションの向上、定着率の改善へとつながる可能性が高くなります。
インドネシア人の建設スタッフは、協調性・勤勉さ・真面目さといった面で優れた資質を持つ人材です。文化や習慣の違いを理解し、適切な育成とサポート体制を整えることで、長期的に信頼できるスタッフとして建設現場で活躍してもらうことが可能になります。
日本の建設業界では、特定技能制度や技能実習制度を通じたインドネシア人建設人材の受け入れが年々増加しています。人手不足の解消と持続可能な労働力確保の両面において、インドネシア人は協調性、勤勉さ、適応力の高さから大きな戦力となり得ます。
一方で、宗教・文化的背景や時間感覚などに違いがあるため、採用・育成の際には相互理解を深める体制づくりが欠かせません。信頼できる送り出し機関との連携や、現場での丁寧な指導、支援体制の整備を通じて、インドネシア人材とともに建設業の未来を築いていくことが求められています。
LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
所在地と連絡先:
住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226
電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通)
メール: [email protected]
Website: lpktimedoor.com
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インドネシアの基本情報をおさらい
インドネシアは、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家で、約17,000の島々から構成されています。 以下に、インドネシアの基本情報をまとめます。
面積
約192万平方キロメートルで、日本の約5倍の広さを持ちます。
人口
約2億8,000万人で、世界第4位の人口を有します。
首都
ジャカルタで、人口は約1,067万人です。
民族
約1,300の民族が存在し、主要な民族としてジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人などが挙げられます。
言語
公用語はインドネシア語です。
宗教
国民の約87%がイスラム教を信仰しており、その他にキリスト教(10.4%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教(0.7%)などがあります。
気候
赤道直下の熱帯性気候で、5~10月が乾季、11~4月が雨季となっています。
時差
東西に長いため、3つの時間帯があります。ジャワ島などの西部は日本より2時間遅れ、中部は1時間遅れ、東部は日本と同じ時間帯です。
インドネシアは、多様な文化と豊かな自然を持つ国であり、その多様性が国の魅力となっています。
本記事で使用した単語の解説
特定技能(とくていぎのう)
2019年に創設された在留資格制度。人手不足が深刻な14分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くことを認めた制度。建設業も対象の一つ。
建設分野特定技能評価試験
建設業で特定技能として就労するために必要な技能試験。大工・型枠・とび・配管など分野ごとに実施されており、日本語での理解も必要。
技能実習制度
開発途上国の若者が日本で技術を学び、帰国後に母国で活かすことを目的とした制度。建設分野は人気職種の一つ。
JFT-Basic(日本語基礎テスト)
特定技能の取得要件となる日本語能力試験。日本語能力試験(JLPT)N4レベル相当。
登録支援機関
特定技能外国人に対して、生活支援や相談対応、日本語学習などの支援を行う機関。受け入れ企業が直接行うことも、外部に委託することも可能。
建設特定技能受入協議会
特定技能外国人を建設業で受け入れる場合に加盟が必要な業界団体。雇用管理や受け入れ環境の整備、報告義務の遵守などを目的とする。
ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)
インドネシア語で「助け合い」の意味。インドネシアの国民性を表すキーワードで、集団作業や現場作業において重要な文化的背景。
THR(Tunjangan Hari Raya)
イスラム教の断食明け(レバラン)前に支払われるボーナスのこと。帰省や休暇に絡む文化的要素として認識しておくことが大切。
FAQ(よくある質問)
Q1. インドネシア人はどのような建設業務に従事できますか?
A. 建築大工、とび、型枠、内装仕上げ、配管、鉄筋、足場組立など、現場で必要とされる多くの専門職に従事可能です。単純労働のみの従事は認められていません。
Q2. 採用までにどのくらいの期間がかかりますか?
A. 人材選定、書類準備、試験合格、在留資格の取得を含めると、平均で3〜6ヶ月ほどかかるのが一般的です。
Q3. 日本語が話せないと働けませんか?
A. 特定技能では日本語能力試験N4レベル、またはJFT-Basicの合格が求められます。現場用語の理解や安全確認のため、日本語学習支援も重要です。
Q4. 採用にかかるコストはどのくらいですか?
A. 初期費用(紹介料、渡航費、住居準備等)で20〜60万円程度、登録支援機関への委託費は月額2〜4万円が目安です。その他、在留資格更新費や日本語学習支援費などもあります。
Q5. ラマダン中の対応は必要ですか?
A. はい。体力や集中力の変化に配慮し、作業内容や時間帯の調整、礼拝時間の確保など、柔軟な対応が求められます。理解ある対応が信頼構築につながります。
Q6. 特定技能と技能実習の違いは?
A. 技能実習は「学ぶ」ことが主目的であり、転職不可・期限付きです。特定技能は「即戦力」として働くことが前提で、一定の条件を満たせば転職や在留期間の延長も可能です。
Q7. 安全面の不安はありませんか?
A. 現場ルールや安全教育を事前に行い、日本人スタッフと同等に研修を受けさせることで、事故やトラブルのリスクを低減できます。送り出し機関と連携した基礎教育も効果的です。
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