
3月 25, 2025 • インドネシア
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
日本の鉄道分野では、慢性的な人手不足が続いており、特に地方路線や中小規模の鉄道事業者では、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも注目されているのが、「特定技能 鉄道」としてのインドネシア人鉄道スタッフの活用です。
本記事では、特定技能「鉄道」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。鉄道分野での外国人採用を検討している事業者や、インドネシア人材に関心のある鉄道会社の方は、ぜひご一読ください。
特定技能「鉄道」は、日本の鉄道業界における労働力不足を背景に、2023年に新たに設けられた在留資格制度です。この制度により、一定レベルの専門知識やスキルを持った外国人が、運行保守や安全管理などの業務に従事することが認められています。
業務内容
特定技能「鉄道」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。
※主要な現場業務に携わることが前提であり、単純作業のみの配置は対象外です。
特定技能鉄道の取得方法
特定技能「鉄道」の在留資格を取得するためには、主に以下のような要件があります。
在留期間と更新
受け入れ鉄道事業者の要件
特定技能「鉄道」の外国人を受け入れる鉄道会社や関連法人は、以下の条件を満たす必要があります。
特定技能「鉄道」は、日本の鉄道現場における即戦力として期待される制度であり、企業は適切な手続きを踏むことで、外国人材の受け入れが可能となります。
インドネシア人の鉄道スタッフは、その国民性や文化的な背景から、以下のような特長を持っています。
助け合いを大切にする文化
インドネシアには「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」という助け合いの精神が根付いており、仲間と協力しながら作業を進めることが自然に行われます。
駅や車両整備、構内保守などではチーム連携が非常に重要となるため、この協調性は大きな強みとなります。
穏やかで真面目な性格
インドネシア人は穏やかで落ち着いた性格の人が多く、時間をかけて丁寧に業務を覚えていく傾向があります。
鉄道のように安全第一が求められる現場において、慎重で誠実な姿勢は現場の安定運営に寄与します。
宗教的な生活習慣への配慮
多くのインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝などを大切にしています。
駅施設や保守拠点などでも、礼拝スペースの設置や時間帯の調整を行うことで、安心して業務に集中できる環境を整えることが可能です。
家族や生活とのバランスを重視
インドネシア人は家族との時間を大切にする価値観が強く、過度な残業や連続勤務が続くと疲労や離職の要因となることがあります。
業務シフトの工夫や定期的な休暇の取得を促すことで、長期的な定着につながります。
時間感覚の違い
インドネシアでは比較的おおらかな時間感覚が一般的であり、日本の鉄道業界のような厳格な時間厳守文化とはギャップが生じることもあります。
ただし、日本のルールを理解しようとする意欲は強く、現場でのOJTや定期的な指導により順応は十分可能です。
このように、インドネシア人の鉄道人材は、協調性と安定した性格を兼ね備えており、鉄道現場において即戦力として期待できます。文化や生活習慣の違いを理解した上で、働きやすい環境を整え、丁寧にフォローすることで、双方にとって良好な雇用関係を築くことができます。
日本におけるインドネシア人の鉄道分野での就労者数は、今後の制度整備と共に増加が期待されている分野です。特に、特定技能制度に鉄道業務が追加されたことで、インドネシア人材の活用が徐々に進んでいます。
特定技能(鉄道分野)
2024年時点で、特定技能制度全体の外国人労働者数は約25万人に達し、前年比で大きく増加しました。このうち、インドネシア人労働者は約44,000人を占めており、多くが介護、製造、農業などの分野で活躍していますが、鉄道分野にも今後の増加が見込まれています。
特定技能「鉄道」分野は、2023年に新設された比較的新しい枠組みであるため、2024年時点での外国人労働者数はまだ限定的ですが、各鉄道会社や地域交通事業者が導入を進め始めています。現在、全国で数百人規模の受け入れが始まっており、その中でもインドネシア人材の割合は高まる傾向にあります。
技能実習(鉄道関連分野)
鉄道分野は従来、技能実習制度の対象外とされていましたが、車両整備や構内補助業務など、一部の周辺業務においては受け入れ事例がありました。今後は、技能実習制度の見直しや育成就労制度の導入により、鉄道に関連する実務教育プログラムが整備されていくと考えられています。
全体としての傾向
2024年現在、日本に在留しているインドネシア人労働者の総数は約169,539人で、前年比39.5%増と急速に拡大しています。これは日本の労働力不足への対策として、インドネシアからの人材受け入れが各分野で加速していることを反映しています。鉄道分野もその一環として、今後ますます注目される領域です。
これらのデータから、鉄道分野におけるインドネシア人労働者の活躍は、今後の制度拡充や現場ニーズにより、着実に拡大していくことが見込まれます。将来的には、駅業務、整備、保守など多様なポジションで、インドネシア人材が日本の鉄道インフラを支える重要な存在となることが期待されています。
インドネシア人鉄道人材の給料やその他費用
インドネシア人の鉄道人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントにまとめました。
給与
インドネシア人を含む外国人鉄道スタッフの給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。具体的な金額は在留資格や勤務地によって異なりますが、一般的な水準は以下の通りです。
※金額は参考値であり、地域、勤務内容、夜勤の有無、経験年数などにより変動します。
採用時の初期費用
外国人鉄道人材を採用する場合、以下のような初期費用が発生します。
継続的な支援費用
特定技能1号で雇用する場合、鉄道会社などの受け入れ機関は、外国人材への支援が法律で義務付けられています。登録支援機関に委託するケースでは、以下のような支援費用が発生します。
その他の費用
鉄道分野での外国人雇用においても、次のような継続費用が必要になることがあります。
これらの費用は、企業の支援方針や地域の生活コスト、本人の生活スタイルによって異なります。採用前には、給与だけでなくトータルコストを見積もることが重要です。
インドネシア人材の活用は、鉄道業界における人手不足対策や多様化対応、国際的な組織づくりに貢献する可能性があります。適切な投資と支援を行うことで、安定した労働力の確保につながります。
インドネシアの文化・宗教とその影響
インドネシア人を鉄道スタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが、現場での安定した定着につながります。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
宗教習慣への理解と対応
インドネシアは世界最大のイスラム教国で、国民の約85%がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝やラマダン(断食月)期間中の食事・体調管理、作業効率への配慮が必要となります。
駅業務や保守作業中にも、礼拝のための短時間休憩を設けたり、ラマダン中は業務量の調整やスケジュール変更を行うなど、柔軟な対応が求められます。
転職への抵抗が少ない文化
インドネシアでは、より良い職場環境や条件を求めて転職することが一般的です。
長期的な雇用を目指すには、キャリアパスや昇給制度を提示する、職場の人間関係や労働環境を整えるなど、定着に向けた配慮が不可欠です。
時間感覚の違いへの対応
インドネシア人は時間に対して寛容な傾向があり、日本の鉄道業界のように「秒単位」での時間管理を行う文化とのギャップがあります。
しかし、多くのインドネシア人はルールを守る努力を惜しまず、OJTや研修を通じて日本式の時間感覚に順応していくことが可能です。
注意や指導は配慮ある方法で
インドネシア人は人前での強い叱責を恥と捉える文化があり、感情的な指導は逆効果となることがあります。
注意をする場合は、なるべく個別に時間をとり、相手を尊重した形で伝えることで、信頼関係の維持と改善につながります。
コミュニケーションを大切にする姿勢
インドネシア人は仲間との交流を重視する傾向があり、職場でも雑談やチームワークを大切にします。
駅や保守チームの現場においても、良好な人間関係が生産性や職場の雰囲気の向上に直結します。
労働制度の違いを理解する
インドネシアでは「THR(宗教手当)」や家族行事に関連する休暇制度が根付いており、病気・帰省・冠婚葬祭などへの対応が日本と異なるケースがあります。
雇用契約の段階でこれらの制度を丁寧に説明し、誤解のないよう合意を得ておくことが大切です。
日本の鉄道業界では人手不足が顕著となっており、外国人材の活用が今後の持続的な運行体制維持に不可欠となっています。
その中でもインドネシア人材は、穏やかで協調性があり、真面目な性格から高く評価されています。
文化や価値観の違いに理解を持ち、適切な受け入れ体制を整えることで、鉄道の現場で長期的に活躍してもらうことが可能です。
鉄道分野での採用ルートは主に3つ
特定技能(鉄道)
技能評価試験と日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用可能。
登録支援機関と連携することで、生活支援や語学サポートも受けられます。
育成就労制度(新設予定)
将来的に導入予定の育成就労制度では、実務経験と教育を組み合わせた人材育成が可能となり、より長期的なキャリア形成につなげられます。
大学・専門学校卒業者(技人国)
鉄道関連の大学や専門学校を卒業した人材を「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用。
鉄道運営、サービス設計、安全管理、企画業務など、専門性の高い業務にも従事可能です。
インドネシア人材の活用は、日本の鉄道業界が直面する構造的課題に対する実効性ある解決策の一つです。
制度の理解と現場での工夫によって、現場に新たな活力と持続可能な労働力をもたらすことができるでしょう。
インドネシア人の強みと課題を理解する
インドネシア人は、人とのつながりや調和を大切にする国民性を持ち、協調性・粘り強さ・穏やかで真面目な性格が多く見られます。これらの特性は、チームでの連携や冷静な対応が求められる鉄道現場において、大きな強みとなります。
一方で、日本とは異なる文化的背景を持つことから、価値観や行動様式にギャップが生じることもあります。たとえば:
といった点が挙げられます。
これらの違いには、就業前のオリエンテーションや、現場での継続的な教育・指導を通じて対応することが重要です。相互理解を深めながら、日本の鉄道業務スタイルに徐々に適応してもらうことで、現場運営がよりスムーズになります。
信頼性の高い送り出し機関との連携
インドネシアには多くの送り出し機関(LPK)が存在しますが、教育体制や管理レベルには大きな差があります。
そのため、質の高い教育と管理を実施している信頼できる機関と連携することが、採用成功の鍵となります。
たとえば、弊社の提携先である LPK Timedoor では、日本人の専任講師が常駐し、以下のような教育を提供しています:
このような事前準備を行うことで、就業後の現場定着がスムーズになり、離職リスクの低減にもつながります。
宗教・家庭事情など文化的側面への理解
インドネシア人の多くはイスラム教徒であり、1日5回の礼拝やラマダン中の断食など、日常生活に宗教的慣習が根付いています。また、家族とのつながりを重視する文化も強く、冠婚葬祭や急な家族都合による帰省・休暇の希望が出ることもあります。
そのため、以下のような配慮が重要になります:
こうした文化的理解と配慮が、「職場で理解されている」という安心感につながり、定着率の向上やモチベーションの維持に貢献します。
日本の鉄道分野では、少子高齢化と人手不足の進行により、外国人材の受け入れが今後さらに重要になります。
その中でも、協調性・勤勉さ・まじめさに優れたインドネシア人材は、鉄道業界の即戦力として大きな可能性を秘めています。
一方で、文化・宗教・時間感覚といった違いが存在するため、相互理解に基づいた受け入れ体制の構築が不可欠です。
信頼できる送り出し機関とのパートナーシップや、現場での丁寧な指導・支援体制の整備を通じて、インドネシア人材と共に、安全で持続可能な鉄道運営を実現していくことが求められています。
LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
所在地と連絡先:
住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226
電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通)
メール: [email protected]
Website: lpktimedoor.com
Instagram: https://www.instagram.com/lpk_timedoor/
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インドネシアの基本情報をおさらい
インドネシアは、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家で、約17,000の島々から構成されています。 以下に、インドネシアの基本情報をまとめます。
面積
約192万平方キロメートルで、日本の約5倍の広さを持ちます。
人口
約2億8,000万人で、世界第4位の人口を有します。
首都
ジャカルタで、人口は約1,067万人です。
民族
約1,300の民族が存在し、主要な民族としてジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人などが挙げられます。
言語
公用語はインドネシア語です。
宗教
国民の約87%がイスラム教を信仰しており、その他にキリスト教(10.4%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教(0.7%)などがあります。
気候
赤道直下の熱帯性気候で、5~10月が乾季、11~4月が雨季となっています。
時差
東西に長いため、3つの時間帯があります。ジャワ島などの西部は日本より2時間遅れ、中部は1時間遅れ、東部は日本と同じ時間帯です。
インドネシアは、多様な文化と豊かな自然を持つ国であり、その多様性が国の魅力となっています。
本記事で使用した単語の解説
特定技能ビザ(とくていぎのうびざ)
2019年に新設された在留資格制度で、人手不足が深刻な14分野において、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できる制度です。鉄道分野は2023年に追加されました。
鉄道技能評価試験
特定技能「鉄道」を取得するための専門的な技能試験で、日本の鉄道業務に必要な知識や実務能力が問われます。
JFT-Basic(日本語基礎テスト)
日本語能力試験(JLPT)と同様、日本語の理解力を測る試験で、特定技能ビザ取得の要件に利用されることがあります。N4レベルと同等です。
登録支援機関
外国人材の生活支援や労働環境のサポートを行う機関。特定技能外国人を受け入れる企業は、原則としてこの機関と連携することが義務付けられています。
LPK(Lembaga Pelatihan Kerja)
インドネシアにおける職業訓練機関のこと。日本で働くことを目指す若者に対し、語学や専門知識の教育を行います。
ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)
インドネシアに根付く「助け合いの精神」。共同体で協力し合うという考え方で、チームワークが求められる職場で強みとなります。
THR(Tunjangan Hari Raya)
インドネシアにおける「宗教手当」。主にラマダン明けに支給される特別手当で、家族との行事を大切にする文化的背景があります。
育成就労制度
技能実習制度の後継制度として政府が検討している新制度で、より実践的な学習とキャリア形成に重点を置いた労働・教育の仕組みです。
よくある質問(FAQ)
Q1. 特定技能「鉄道」の試験は難しいですか?
A1. 鉄道技能評価試験は、駅業務や保守作業に関する基礎知識と安全対応の理解が求められる内容です。日本語能力はN4レベル以上が必要とされますが、しっかりとした事前教育を受けていれば合格は十分に可能です。
Q2. インドネシア人を鉄道業界で採用するメリットは?
A2. 協調性、勤勉さ、穏やかな性格を持ち、現場でのチームワークや安定した勤務が期待できます。文化への理解と丁寧なサポートがあれば、長期的な戦力として活躍できます。
Q3. ラマダン中の勤務は問題ありませんか?
A3. 基本的に問題ありませんが、体力の消耗や体調への配慮から、軽作業への調整や勤務時間の見直しを行う企業もあります。礼拝時間への対応も含め、事前の相談と制度づくりが重要です。
Q4. 採用までにどのくらいの費用がかかりますか?
A4. 採用初期費用として、紹介料、渡航費、住居準備費、在留資格申請費などを含めて概ね40〜60万円程度が目安です。加えて、月々の支援機関費用が2〜4万円かかる場合があります。
Q5. どのような業務に従事させることができますか?
A5. 駅での案内・改札・乗客対応、構内清掃、保守・点検、車両整備の補助、安全管理業務などが対象です。単純労働ではなく、現場業務に従事することが前提です。
Q6. 日本語が話せないスタッフでも採用できますか?
A6. 基本的に日本語能力N4相当(またはJFT-Basic)の合格が求められます。ただし、会話が得意でない場合でも、業務マニュアルの整備やOJTを通じて対応可能です。
Q7. どのような送り出し機関を選べばよいですか?
A7. 日本語教育と鉄道分野に特化した訓練を提供している、実績豊富なLPKを選ぶことが重要です。現地での管理体制やアフターケアの有無も確認ポイントです。
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