4月 12, 2025 • 特定技能・技能実習, インドネシア • by Reina Ohno

特定技能ビザのインドネシア人「飲食料品製造業」人材の特徴や採用方法を徹底解説

日本の飲食料品製造業界では、深刻な人手不足が続いており、特に都市部の中小規模の食品工場や高齢化が進む製造現場では、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも注目されているのが、「特定技能飲食料品製造業」としてのインドネシア人スタッフの活用です。

本記事では、特定技能「飲食料品製造業」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。食品製造分野での外国人採用を検討している方や、インドネシア人材に関心のある工場管理者・企業の方は、ぜひご一読ください。

飲食料品製造分野の特定技能人材とは？

特定技能「飲食料品製造業」は、日本の食品製造業界における慢性的な人材不足を背景に、2019年に新たに設けられた在留資格制度です。この制度により、一定レベルの衛生知識や製造スキルを持った外国人が、加工食品や冷凍食品、弁当・惣菜などの製造現場で就労することが認められています。

業務内容

特定技能「飲食料品製造業」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。

加工・調理作業：食材のカット、計量、混合、加熱、冷却など
包装・梱包作業：商品のパッキング、ラベル貼付、出荷準備など
検品・品質管理：異物混入チェック、賞味期限・見た目の確認など
清掃・衛生管理：作業場や器具の洗浄、衛生チェック対応など

※製造ラインの中核業務が対象であり、単純作業のみを行う業務は含まれません。

特定技能「飲食料品製造業」の取得方法

特定技能「飲食料品製造業」の在留資格を取得するためには、主に以下のような要件があります。

技能試験と日本語試験に合格
- 飲食料品製造分野特定技能評価試験（CBT方式）
- 日本語能力試験N4以上、またはJFT-Basic（日本語基礎テスト）
技能実習2号修了者
- 飲食料品製造分野において良好に修了した場合、試験免除が可能
食品系専門学校卒業者
- 一定のカリキュラムを修了している場合、試験免除の可能性あり

在留期間と更新

最大で通算5年間の在留が可能
更新は1年、6か月、または4か月単位
5年以内に他の在留資格（例：介護、技術・人文知識・国際業務）への移行も検討可能

受け入れ企業の要件

特定技能「飲食料品製造業」の外国人を受け入れる企業や法人は、以下の条件を満たす必要があります。

適切な業務内容：食品の加工作業、品質管理、衛生管理など食品製造に関する業務であること
受け入れ人数の制限：日本人等の常勤職員数に応じた範囲内であること
特定技能協議会への加入：初めて特定技能外国人を雇用した日から4カ月以内に、飲食料品製造業分野の特定技能協議会に加入すること

特定技能「飲食料品製造業」は、日本の食産業を支える即戦力として期待される制度であり、食品メーカーや中小の製造事業者は、適切な手続きを踏むことで外国人材の受け入れが可能となります。

インドネシア人の飲食料品製造スタッフの特徴や性格は？

インドネシア人の飲食料品製造スタッフは、その国民性や文化的な背景から、以下のような特長を持っています。

助け合いを大切にする文化

インドネシアには「ゴトン・ロヨン（Gotong Royong）」という助け合いの精神が根付いており、仲間と協力しながら作業を進めることを自然に行います。
食品製造の現場では、ライン作業や分担作業が基本となるため、この協調性は大きな強みとなります。

穏やかで勤勉な性格

インドネシア人は穏やかで落ち着いた性格の人が多く、真面目にコツコツと作業をこなす傾向があります。
単純作業や立ち仕事が多い食品工場の業務にも順応しやすく、ストレス耐性が高いことから、食品製造業に向いていると評価されています。

宗教的な生活習慣への配慮

多くのインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝など宗教的な行動を大切にしています。
職場においても、礼拝スペースの確保や礼拝時間への配慮を行うことで、安心して働いてもらえる環境を整えることができます。

家族や私生活を重んじる価値観

仕事には真摯に取り組みつつも、家族との時間や休息を大切にする文化があります。
そのため、過度な長時間労働や休日出勤が続くとモチベーションが下がることもあり、働きやすいシフト調整が重要となります。

時間感覚の違い

インドネシアでは比較的ゆるやかな時間感覚を持つ人が多く、日本の厳格な時間管理文化とはギャップが生じる場合もあります。
ただし、多くのインドネシア人は日本のルールに順応しようと努力する姿勢を持っており、丁寧な教育やサポートによって改善が可能です。

このように、インドネシア人の食品製造人材は、協調性と勤勉さに優れ、製造現場において即戦力となる可能性を秘めています。文化的な違いを理解した上で、丁寧なフォローと働きやすい環境を整えることが、長期的な雇用関係を築くうえで重要です。

日本で働くインドネシア人飲食料品製造人材の数は？

日本におけるインドネシア人飲食料品製造人材の数は、近年着実に増加しています。特に、特定技能制度の導入以降、食品製造分野でのインドネシア人労働者の受け入れが拡大しています。

特定技能（飲食料品製造分野）

2024年時点で、特定技能制度全体の外国人労働者数は約25万人に達し、前年比で大幅な増加を記録しました。
このうち、インドネシア人労働者は制度全体で約44,000人を占め、食品製造分野にも多くの人材が配置されています。

飲食料品製造分野に限れば、2024年時点で特定技能「飲食料品製造」分野の外国人労働者数は約23,000人。
その中でインドネシア人は約5,200人と推計されており、ベトナム、フィリピンに次いで上位の国籍となっています。

技能実習（食品加工関連）

技能実習制度においても、食品加工・包装などの業務に従事するインドネシア人技能実習生は年々増加傾向にあります。
2024年には、食品加工分野の技能実習生全体のうちインドネシア人が約19％を占めており、送り出し国として重要な存在です。

全体としての傾向

2024年現在、日本に在留しているインドネシア人労働者の総数は約169,539人となっており、前年比39.5%増と急成長を見せています。
この増加は、日本国内の深刻な労働力不足に対応するため、特定技能制度や技能実習制度を通じてインドネシアからの人材受け入れが加速していることを示しています。

これらのデータから、飲食料品製造分野におけるインドネシア人労働者の存在感が確実に高まっていることがわかります。今後も、両国間の協力強化や制度整備の進展により、日本の製造現場におけるインドネシア人材の活躍がさらに広がることが期待されます。

インドネシア人飲食料品製造人材の給料やその他費用

インドネシア人の飲食料品製造人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントをまとめました。

給与

インドネシア人を含む外国人製造スタッフの給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。具体的な金額は、在留資格や地域によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。

技能実習生（飲食料品製造分野）：厚生労働省の令和4年（2022年）のデータによると、技能実習生全体の平均賃金は月額177,800円です。飲食料品製造分野でもおおむね同水準とされています。
特定技能（飲食料品製造分野）：同データに基づき、特定技能労働者全体の平均賃金は月額205,700円となっており、食品工場などの飲食料品製造分野でもこれに近い水準が見込まれます。

※これはあくまで平均値であり、勤務地、工場の規模、業務内容、経験年数などにより大きく異なる場合があります。

採用時の初期費用

外国人製造人材を採用する際には、以下のような初期費用が発生します。

人材紹介手数料：20～40万円程度（送り出し機関・受入機関を経由する場合）
健康診断費用：1～2万円程度
在留資格申請費用：10万円前後（行政書士等に委託した場合）
住居の準備費：敷金・礼金・家具・家電など（物件により変動）
渡航費：3～6万円程度（インドネシアから日本までの航空券代）

継続的な支援費用

特定技能1号で雇用する場合、受け入れ企業や食品製造会社には、外国人材への支援が義務付けられています。登録支援機関に委託する場合、以下の費用が必要です。

登録支援機関への委託費：月額2～4万円程度

支援内容には、生活オリエンテーション、日本語学習支援、役所手続きの同行、相談窓口の設置などが含まれます。

その他の費用

飲食料品製造分野においても、以下のような継続的な費用が発生する可能性があります。

在留資格更新費用：数千円〜2万円程度（更新手数料・書類作成費など）
日本語学習支援費：雇用開始から12ヶ月間の語学サポート費
住居関連費用：家賃補助、交通費、住宅手当など

これらの費用は、雇用主の支援方針や地域の物価、スタッフの生活状況によって異なります。採用を検討する際は、単に給与だけでなく、総合的なコストを事前に見積もっておくことが重要です。

インドネシア人材の雇用は、慢性的な人手不足対策や持続的な人材確保につながる可能性があり、日本の食品工場における安定した生産体制と品質管理の向上にも大きく貢献します。

インドネシア人飲食料品製造人材を採用する際に気をつける事は？

インドネシアの文化・宗教とその影響

インドネシア人を飲食料品製造スタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが、工場現場での安定した定着につながります。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。

宗教習慣への理解と対応

インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、国民の約85％がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝や、ラマダン（月間断食）期間中の体調管理や勤務調整などに配慮が必要です。
製造作業の合間に礼拝のための短時間休憩を設けたり、ラマダン中は作業時間や作業負荷の調整を行うなど、柔軟な対応が望まれます。

転職への抵抗が少ない文化

インドネシアでは、より良い条件や職場環境を求めて転職することが一般的とされています。
長期的な雇用を目指すには、キャリアの見通しを提示したり、待遇を明確にするほか、働きやすい職場づくりなど「定着の工夫」が不可欠です。

時間感覚の違いへの対応

インドネシアでは、時間に対して比較的寛容な文化があります。遅刻や時間のルーズさが見られることもありますが、丁寧な説明と日々の積み重ねにより、日本の時間管理文化を理解してもらうことができます。
特に食品製造業では、ライン稼働時間や納品スケジュールなど時間厳守が求められるため、教育とフォローが重要です。

注意や指導は配慮ある方法で

インドネシア人は、人前で強く叱責されることに敏感です。
注意や指導は、できる限り個別に時間をとって、相手の気持ちを尊重した形で行うことで、信頼関係の構築につながります。

コミュニケーションを大切にする姿勢

インドネシア人は、同僚との会話や交流を大切にし、職場の人間関係を重視する傾向があります。
食品製造の現場でもチームで協力し合う場面が多く、このような性格は現場の雰囲気づくりにもプラスになります。

労働制度の違いを理解する

インドネシアには「THR（宗教手当）」や、家族行事に関連した休暇制度などが存在します。
病欠や帰省休暇などの取り扱いも日本とは異なるため、雇用契約時にこうした点を丁寧に説明し、相互理解を得たうえで雇用を進めることが大切です。

インドネシア人飲食料品製造人材の採用を検討している方へ

日本の食品製造業では高齢化と人手不足が深刻化しており、外国人材の採用が年々加速しています。
その中でもインドネシア人は、協調性、勤勉さ、まじめで穏やかな性格から、多くの企業や食品工場において高く評価されています。

文化や価値観の違いに理解を持ち、適切な受け入れ体制を整えることで、長期的な戦力として活躍してもらうことが可能です。

飲食料品製造分野での採用ルートは主に3つ

特定技能（飲食料品製造）

技能評価試験と日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用可能。
登録支援機関と連携することで、日本語や生活面の支援も受けられます。

技能実習制度（食品加工分野）

実習生として3年間（延長で最長5年）、食品加工や包装の実務を通して技能を習得。
実習修了後、特定技能に移行すれば継続雇用も可能です。

大学・専門学校卒業者（技人国）

食品科学や製造技術、品質管理などの学科を卒業した人材を「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用。
製造管理やライン監督、HACCP対応など、より高度な業務に従事できます。

インドネシア人材の活用は、日本の食品製造業界が抱える課題に対する重要な解決策の一つです。
しっかりとした準備と文化的理解をもって受け入れることで、現場に新たな活力と安定した労働力をもたらすことができるでしょう。

インドネシア人飲食料品製造人材採用を成功させるポイント

インドネシア人の強みと課題を理解する

インドネシア人は、人とのつながりや調和を大切にする国民性を持ち、協調性や粘り強さ、穏やかで真面目な性格が多く見られます。これらの特性は、チームで協力して作業を進める必要のある飲食料品製造の現場において、大きな強みとなります。

一方で、日本とは異なる文化的背景を持つことから、価値観や行動様式にギャップが生じる場合もあります。たとえば、

時間に対する感覚が柔軟であること
人前での叱責に対して強い抵抗感を持つ傾向があること

などが挙げられます。

こうした違いには、現場での丁寧なオリエンテーションや継続的な教育・指導を通じて対応することが大切です。相互理解を促しながら、日本の業務スタイルに徐々に適応してもらうことで、スムーズな工場運営が可能になります。

信頼性の高い送り出し機関との連携

インドネシアには多くの送り出し機関が存在しますが、それぞれの教育体制や管理品質には大きな差があります。
そのため、しっかりとした指導体制と実績を持つ信頼できる機関との連携が、採用の成否を分ける重要なポイントになります。

たとえば、弊社のパートナーである LPK Timedoor では、日本人の専任指導者が常駐し、

飲食料品製造分野の技能評価試験に向けたトレーニング
日本語（N3～N4相当）の集中指導
日本の労働文化や食品衛生マナーへの適応支援

などを実施しています。

このような事前教育は、就業後の職場適応をスムーズにし、離職リスクの低減にも効果があります。

宗教・家庭事情など文化的側面への理解

インドネシア人の多くはイスラム教徒であり、1日5回の礼拝やラマダン中の断食など、日常生活に宗教的行動が組み込まれています。
また、家族とのつながりを大切にする文化も強く、家族の事情によって急な帰省や休暇を希望することもあります。

このような文化的価値観を尊重し、

礼拝時間の確保
ラマダン中の作業量や勤務時間の調整
家族都合による休暇への柔軟な対応

などの制度的・運用的な配慮を行うことで、従業員は「理解されている」という実感を持ちやすくなります。

結果として、職場への愛着やモチベーションの向上、定着率の改善へとつながる可能性が高くなります。

インドネシア人の飲食料品製造スタッフは、協調性・勤勉さ・真面目さといった面で優れた資質を持つ人材です。文化や習慣の違いを理解し、適切な育成とサポート体制を整えることで、長期的に信頼できるスタッフとして製造現場で活躍してもらうことが可能になります。

まとめ

日本の飲食料品製造業は、慢性的な人手不足と高齢化という課題に直面しており、その解決策の一つとして、特定技能制度を活用したインドネシア人材の受け入れが注目されています。インドネシア人材は協調性があり、真面目で勤勉な性格を持つことから、食品工場での業務に適しており、多くの企業で即戦力として活躍しています。

ただし、宗教・文化・時間感覚などにおける違いを理解し、丁寧な受け入れ体制を整えることが、長期的な定着と効果的な雇用に繋がります。給与や採用費用、支援制度も事前に把握しておくことで、採用後のトラブルを避けることができます。

信頼できる送り出し機関と連携し、オリエンテーションや日本語教育、文化理解を含む総合的なサポートを行うことが、インドネシア人材活用を成功させる鍵となるでしょう。