
3月 30, 2025 • インドネシア
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
日本の林業分野では、深刻な人手不足が続いており、特に地方の山間部や高齢化が進む地域では、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも注目されているのが、「特定技能 林業」としてのインドネシア人林業スタッフの活用です。
本記事では、特定技能「林業」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。林業分野での外国人採用を検討している方や、インドネシア人材に関心のある森林組合・企業の方は、ぜひご一読ください。
特定技能「林業」は、日本の林業現場における労働力不足を背景に、2019年に新たに設けられた在留資格制度です。この制度により、一定レベルの専門知識やスキルを持った外国人が、造林や素材生産などの林業作業に従事することが認められています。
業務内容
特定技能「林業」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。
※主要な林業作業に携わることが前提であり、単純労働のみの従事は不可となっています。
特定技能林業の取得方法
特定技能「林業」の在留資格を取得するためには、主に以下の要件があります。
在留期間と更新
受け入れ企業・団体の要件
特定技能「林業」の外国人を受け入れる企業や森林組合等は、以下の条件を満たす必要があります。
特定技能「林業」は、日本の森林資源の持続的な管理と再生産を支える即戦力人材制度として注目されており、適切な手続きとサポート体制により、インドネシア人材の導入が可能となります。
インドネシア人の林業スタッフは、その国民性や文化的な背景から、以下のような特長を持っています。
インドネシアには「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」という助け合いの精神が根付いており、仲間と協力しながら作業を進めることを自然に行います。
山林の整備や伐採作業など、チームで行うことが多い林業現場において、この協調性は大きな強みとなります。
インドネシア人は穏やかで落ち着いた性格の人が多く、厳しい自然環境や高所での作業にも冷静に対応できます。
体力を要する作業が多い林業の現場でも、真面目にコツコツと取り組む姿勢が評価されています。
多くのインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝など宗教的な行動を大切にしています。
山林現場においても、礼拝スペースや時間の確保に配慮することで、安心して働いてもらえる環境づくりが可能です。
仕事に真剣に取り組みながらも、家族との時間や休息を大切にする文化を持っています。
過度な長時間労働が続くとモチベーションに影響する場合があるため、適切なシフト管理や休日の確保が重要です。
インドネシアでは比較的ゆるやかな時間感覚が一般的で、日本の厳格な時間管理とはギャップが生じることもあります。
ただし、多くのインドネシア人は日本のルールや文化に適応しようと努力しており、現場での丁寧な教育やフォローにより順応は可能です。
このように、インドネシア人の林業人材は協調性と忍耐力に優れ、林業の現場でも戦力として大きな可能性を秘めています。文化的な違いを理解し、働きやすい環境を整えることが、長期的な雇用と信頼関係の構築に繋がります。
日本におけるインドネシア人林業人材の数は、ここ数年で徐々に増加しています。特定技能制度の導入をきっかけに、林業分野においてもインドネシアからの労働者受け入れが進みつつあります。
2024年時点で、特定技能制度全体の外国人労働者数は約25万人に達しており、インドネシア人はその中で約44,000人を占めています。
林業分野に特化した正確な人数は公開されていないものの、2022年以降のデータでは、林業特定技能合格者の中にインドネシア人が多数含まれていることが確認されており、その割合は年々拡大しています。
技能実習制度においても、林業分野でのインドネシア人技能実習生の数は徐々に増えており、特に高知・北海道・岩手など林業が盛んな地域では受け入れが加速しています。
実習生全体に占める割合としては農業や建設業に比べてまだ少ないものの、「伐採・造林」分野での実務経験を積んだ人材が増加傾向にあります。
2024年時点で日本に在留しているインドネシア人労働者の総数は約169,539人で、前年比39.5%増と急速に伸びています。
これは日本国内の人手不足への対応として、特定技能や技能実習を通じたインドネシア人材の受け入れが強化されていることを示しています。
これらの状況から、林業分野においてもインドネシア人材のニーズは着実に高まっており、今後も制度整備や教育連携を通じて、その活躍の場はますます広がっていくことが期待されます。
インドネシア人の林業人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントをまとめました。
インドネシア人を含む外国人林業スタッフの給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。具体的な金額は在留資格や地域によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
※これはあくまで平均値であり、勤務地、事業体の規模、業務内容、経験年数によって大きく異なる場合があります。
外国人林業人材を採用する際には、以下のような初期費用が発生します。
特定技能1号で雇用する場合、受け入れ林業法人や森林組合には、外国人材への支援が義務付けられています。登録支援機関に委託する場合、以下の費用が発生します。
その他の費用
林業分野においても、以下のような継続的な費用が発生する可能性があります。
これらの費用は、雇用主の支援方針や地域の物価、スタッフの生活状況によって異なります。採用を検討する際は、単に給与だけでなく、総合的なコストを事前に見積もることが重要です。
インドネシア人材の雇用は、季節や地域による労働力不足の解消だけでなく、林業現場の持続的な労働力確保や作業効率の向上にもつながる可能性があります。適切な準備と支援体制を整えることで、安定した人材活用が実現できます。
インドネシアの文化・宗教とその影響
インドネシア人を林業スタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが、現場での安定した定着につながります。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
宗教習慣への理解と対応
インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、国民の約85%がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝やラマダン(月間断食)期間中の食事・体調管理・作業効率などに配慮が必要です。
山林での作業の合間に礼拝のための短時間休憩を設けたり、ラマダン中は作業時間や業務負荷を調整するなど、柔軟な対応が望まれます。
転職への抵抗が少ない文化
インドネシアでは、より良い条件や職場環境を求めて転職することが一般的とされています。
長期雇用を目指すには、キャリアパスの提示や待遇の明確化、安心して働ける環境づくりなど、**「定着の工夫」**が欠かせません。
時間感覚の違いへの対応
インドネシアでは、時間に対して比較的寛容な文化があります。
遅刻や時間のルーズさが見られることもありますが、丁寧な説明と日々の積み重ねにより、日本の厳格な時間管理を理解してもらうことが可能です。
特に林業では天候や作業スケジュールの正確性が求められるため、教育と現場でのフォローが重要です。
注意や指導は配慮ある方法で
インドネシア人は人前で強く叱責されることに対して敏感な傾向があります。
注意や指導を行う際は、可能な限り個別に時間をとって、相手の感情を尊重した方法で伝えることで、信頼関係を築きやすくなります。
コミュニケーションを大切にする姿勢
インドネシア人は、同僚との会話や交流を大切にし、職場の人間関係を重視する文化を持っています。
林業現場ではチームでの伐採・搬出作業も多く、こうした協調性は現場の雰囲気づくりに大きく貢献します。
労働制度の違いを理解する
インドネシアには「THR(宗教手当)」や、家族行事に関連した休暇制度など、日本と異なる労働文化があります。
病欠・帰省・宗教行事などの対応については、雇用契約時に丁寧に説明し、相互理解の上で合意形成することが大切です。
日本の林業分野では、高齢化や後継者不足、重労働を敬遠する若者の減少などにより、人手不足が深刻化しています。
その中で、インドネシア人は協調性、勤勉さ、温和で真面目な性格を持ち、多くの森林組合や林業法人から高く評価されています。
文化や価値観の違いを理解した上で、適切な受け入れ体制を整えることにより、長期的な戦力として現場で活躍してもらうことが可能です。
特定技能(林業)
林業分野の技能評価試験および日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用可能。
登録支援機関と連携することで、日本語や生活支援も提供できます。
技能実習制度(林業分野)
実習生として3年間(延長で最長5年)、育林や素材生産作業を通じて技能を習得。
実習修了後、特定技能へ移行することで継続雇用も可能です。
大学・専門学校卒業者(技人国)
林業や森林科学関連の大学・専門学校を卒業した人材を「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用。
林業経営、資源管理、山林整備計画などの高度業務にも対応可能です。
インドネシア人材の活用は、日本の林業が直面する課題に対する現実的かつ持続的な解決策となります。
十分な準備と文化的理解をもって受け入れることで、現場に新しい活力と安定した労働力をもたらすことができるでしょう。
インドネシア人は、人とのつながりや調和を大切にする国民性を持ち、協調性や粘り強さ、穏やかで真面目な性格が多く見られます。これらの特性は、チームで重機作業や伐採作業を進める必要のある林業の現場において、大きな強みとなります。
一方で、日本とは異なる文化的背景を持つことから、価値観や行動様式にギャップが生じる場面もあります。たとえば:
こうした違いに対しては、現場での丁寧なオリエンテーションや継続的な教育・指導を通じて対応していくことが重要です。相互理解を促しながら、日本の林業の業務スタイルに徐々に適応してもらうことで、スムーズな現場運営が可能になります。
インドネシアには多くの送り出し機関がありますが、教育体制や管理体制には大きなバラつきがあります。
そのため、しっかりとした指導実績と現場理解を持つ機関との連携が、採用成功のカギを握ります。
たとえば、弊社のパートナーである LPK Timedoor では、日本人の専任指導者が常駐し、以下のようなトレーニングを実施しています:
このような事前教育は、現場への早期適応を促進し、離職リスクの軽減にもつながります。
インドネシア人の多くはイスラム教徒であり、1日5回の礼拝やラマダン中の断食などが生活の一部となっています。また、家族とのつながりを非常に大切にする文化があり、家族行事のために急な帰省や休暇を希望するケースも見られます。
このような文化的背景を尊重し、
といった配慮を行うことで、従業員の信頼を得やすくなり、職場への愛着やモチベーションの向上、定着率の改善につながる可能性が高まります。
インドネシア人の林業スタッフは、協調性・勤勉さ・真面目さといった面で優れた資質を持ち、体力を要する林業の現場においても貴重な人材です。
一方で、宗教・文化・時間感覚などに違いがあるため、採用・育成の過程では相互理解を深める体制づくりが不可欠です。
これらを通じて、インドネシア人材とともに日本の林業の未来を担う体制づくりを進めていくことが求められています。
LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
所在地と連絡先:
住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226
電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通)
メール: [email protected]
Website: lpktimedoor.com
Instagram: https://www.instagram.com/lpk_timedoor/
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
インドネシアの基本情報をおさらい
インドネシアは、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家で、約17,000の島々から構成されています。 以下に、インドネシアの基本情報をまとめます。
面積
約192万平方キロメートルで、日本の約5倍の広さを持ちます。
人口
約2億8,000万人で、世界第4位の人口を有します。
首都
ジャカルタで、人口は約1,067万人です。
民族
約1,300の民族が存在し、主要な民族としてジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人などが挙げられます。
言語
公用語はインドネシア語です。
宗教
国民の約87%がイスラム教を信仰しており、その他にキリスト教(10.4%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教(0.7%)などがあります。
気候
赤道直下の熱帯性気候で、5~10月が乾季、11~4月が雨季となっています。
時差
東西に長いため、3つの時間帯があります。ジャワ島などの西部は日本より2時間遅れ、中部は1時間遅れ、東部は日本と同じ時間帯です。
インドネシアは、多様な文化と豊かな自然を持つ国であり、その多様性が国の魅力となっています。
本記事で使用した単語の解説
特定技能(とくていぎのう)
日本が2019年に創設した在留資格制度で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できる制度。林業を含む14分野が対象。
林業(りんぎょう)
森林の保全、育成、伐採、資源活用を行う産業。植林、下刈り、間伐、素材生産などが主要業務。
技能実習(ぎのうじっしゅう)
発展途上国の人材が日本で技能を学び、母国の経済発展に寄与することを目的とした制度。林業も対象分野の一つ。
JFT-Basic(日本語基礎テスト)
日本での生活に必要な日本語力を測定するテスト。特定技能ビザ申請において、日本語能力の証明手段の一つ。
ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)
インドネシア語で「助け合い」の意味。インドネシア文化の根底にある価値観で、チームワークを重視する働き方に通じる。
登録支援機関(とうろくしえんきかん)
特定技能外国人の生活支援を行うために政府に登録された法人や団体。雇用主が支援を外部委託する際に利用される。
THR(Tunjangan Hari Raya)
インドネシアの宗教的な年末ボーナス制度。イスラム教のラマダン明けなどに支給される。日本にはない制度で、文化的配慮が必要。
FAQ(よくある質問)
Q1. 特定技能「林業」と技能実習の違いは何ですか?
A. 技能実習は「学び」を重視した制度で、最長5年間の実習期間が設定されています。一方、特定技能「林業」は即戦力人材としての雇用が前提で、試験に合格すれば最長5年間の就労が可能です。
Q2. 特定技能で働くインドネシア人の日本語レベルはどれくらいですか?
A. 一般的に、日本語能力試験(JLPT)N4相当、もしくはJFT-Basicに合格している必要があります。これは日常会話や職場での簡単なやり取りができるレベルです。
Q3. ラマダン中の勤務について、どのような配慮が必要ですか?
A. 食事や水分の摂取を控えているため、作業の負荷を下げたり、休憩をこまめに取らせるなどの配慮が求められます。また、礼拝の時間確保も重要です。
Q4. インドネシア人林業スタッフの離職率は高いですか?
A. 信頼できる送り出し機関を選び、職場でのフォロー体制を整えている場合、定着率は比較的高くなる傾向があります。特に人間関係や文化理解が鍵となります。
Q5. 日本語が不自由な場合、どうやって現場でコミュニケーションをとるのですか?
A. 現場では簡単な日本語での指示に加え、身振り手振りや図解資料なども併用します。また、事前に日本語研修を受けている人材も多く、実務を通して上達するケースが一般的です。
Q6. 特定技能制度での採用にかかる費用は?
A. 採用初期費用として、紹介料や渡航費、住居準備費などが必要です。継続的な支援費用としては、登録支援機関への月額2~4万円程度の委託費用がかかります。
Q7. インドネシア人材の受け入れで、よくあるトラブルは?
A. 時間管理に関する認識の違いや、宗教的な配慮の不足がトラブルの原因になることがあります。事前の説明や継続的な対話が重要です。
インドネシア人技能実習生・特定技能人材シリーズ
インドネシア人技能実習生・特定技能人材需要急増の背景と採用のポイント
特定技能ビザのインドネシア人「レストラン・飲食店」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「飲食料品製造業」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「農業」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「工業製品製造業」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「自動車整備士」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「介護職」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「自動車運送業・ドライバー」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「建設業・建築大工」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「宿泊・ホテル・旅館」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「ビルクリーニング・清掃」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「航空」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「林業」人材の特徴や採用方法を徹底解説
特定技能ビザのインドネシア人「漁業」人材の特徴や採用方法を徹底解説