
1月 31, 2025 • インドネシア
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
日本の自動車運送業界では、深刻な人手不足が続いており、特に地方の中小規模の運送会社や高齢化が進む地域では、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも注目されているのが、「特定技能 自動車運送業」としてのインドネシア人ドライバーの活用です。
本記事では、特定技能「自動車運送業」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。運送業界での外国人採用を検討している方や、インドネシア人材に関心のある企業経営者・物流責任者の方は、ぜひご一読ください。
特定技能「自動車運送業」は、日本の物流業界における深刻なドライバー不足を背景に、2024年に新たに追加された在留資格制度の対象分野です。この制度により、一定レベルの運転技術や安全運行知識を持った外国人が、トラックや配送車両などを使用した運送業務に従事することが認められています。
業務内容
特定技能「自動車運送業」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。
※主業務としての運転・配送が対象であり、補助的な作業や構内整理だけの従事は対象外です。
特定技能 自動車運送業の取得方法
特定技能「自動車運送業」の在留資格を取得するためには、主に以下のような要件があります。
在留期間と更新
受け入れ企業の要件
特定技能「自動車運送業」の外国人を受け入れる企業や法人は、以下の条件を満たす必要があります。
特定技能「自動車運送業」は、日本の物流インフラを支える即戦力人材として期待される制度であり、運送会社や物流事業者は、適切な手続きを踏むことで外国人ドライバーの受け入れが可能となります。
インドネシア人のドライバースタッフは、その国民性や文化的な背景から、以下のような特長を持っています。
インドネシアには「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」という助け合いの精神が根付いており、仲間と協力しながら仕事を進めることを自然に行います。
運送業では、積み込み・荷降ろし・報告業務などを含めたチームワークが求められる場面も多いため、この協調性は大きな強みとなります。
インドネシア人は穏やかで落ち着いた性格の人が多く、真面目にコツコツと業務をこなす傾向があります。
交通ルールや安全確認を確実に実施する姿勢が求められる運送業において、冷静さと忍耐力を備えた性格は高く評価されています。
多くのインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝など宗教的な行動を大切にしています。
運行スケジュールの合間に礼拝が行えるよう、適度な休憩時間の確保や、トラック基地などでの礼拝スペースの設置などの配慮を行うことで、安心して勤務できる環境づくりが可能です。
仕事に真摯に取り組む一方で、家族との時間や休息を大切にする文化も根強くあります。
そのため、長時間運転や休日出勤が連続するような過度な勤務体制は、モチベーションの低下につながる可能性もあるため、働きやすいシフト設計や勤務間インターバルの配慮が重要となります。
インドネシアでは比較的柔軟な時間感覚が一般的であり、日本の厳格な時間管理文化とはギャップが生じることもあります。
しかし、多くのインドネシア人は日本のルールに順応しようとする姿勢を持っており、丁寧な教育と日々のフィードバックによって、時間厳守の意識を高めることが可能です。
このように、インドネシア人のドライバー人材は、協調性と勤勉さに優れ、運送現場において即戦力となる可能性を秘めています。
文化的な違いを理解した上で、丁寧なフォローと働きやすい環境を整えることが、長期的な雇用関係を築くうえで重要です。
日本におけるインドネシア人ドライバー人材の数は、近年着実に増加しています。特に、2024年に新設されたばかりの特定技能「自動車運送業」分野の導入以降、インドネシア人労働者の受け入れが本格化し、注目を集めています。
2024年時点で、特定技能制度全体の外国人労働者数は約25万人に達し、前年比で大幅な増加を記録しました。
このうち、インドネシア人労働者は制度全体で約44,000人を占めており、新たに対象となったトラックドライバーや配送業務にも多くの人材が配置されています。
自動車運送業分野に限れば、2024年時点で特定技能「自動車運送業」分野の外国人労働者数は約11,000人。
その中でインドネシア人は約3,400人と推計されており、フィリピン、ベトナムと並んで主要な国籍の一つとなっています。
技能実習制度においても、配送補助や車両整備補助などの関連業務に従事するインドネシア人技能実習生は年々増加傾向にあります。
2024年には、物流・運送補助分野の技能実習生全体のうちインドネシア人が約18%を占めており、送り出し国としての存在感を強めています。
2024年現在、日本に在留しているインドネシア人労働者の総数は約169,539人となっており、前年比39.5%増と急成長を見せています。
この増加は、日本国内の深刻な労働力不足に対応するため、特定技能制度や技能実習制度を通じて、インドネシアからの人材受け入れが加速していることを示しています。
これらのデータから、新設されたばかりの自動車運送業分野においても、インドネシア人労働者の存在感が確実に高まっていることがわかります。今後も、両国間の協力強化や制度整備の進展により、日本の物流現場におけるインドネシア人材の活躍がさらに広がることが期待されます。
インドネシア人のドライバー人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントをまとめました。
給与
インドネシア人を含む外国人ドライバースタッフの給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。
具体的な金額は、在留資格や地域によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
※これはあくまで平均値であり、勤務地、運転距離、業務内容、経験年数などにより大きく異なる場合があります。
採用時の初期費用
外国人ドライバー人材を採用する際には、以下のような初期費用が発生します。
継続的な支援費用
特定技能1号で雇用する場合、受け入れ企業には、外国人材への支援が義務付けられています。登録支援機関に委託する場合、以下の費用が必要です。
その他の費用
自動車運送業分野においても、以下のような継続的な費用が発生する可能性があります。
これらの費用は、雇用主の支援方針や地域の物価、スタッフの生活状況によって異なります。採用を検討する際は、単に給与だけでなく、総合的なコストを事前に見積もっておくことが重要です。
インドネシア人材の雇用は、長距離・短距離を問わず深刻なドライバー不足への対策や、持続的な人材確保につながる可能性があり、物流現場の安定化とサービス品質の向上にも貢献します。
運転マナーや交通規則の違いへの対応
インドネシアと日本では交通規則や道路インフラ、運転マナーに明確な違いがあるため、特に採用初期には日本の交通法規や道路事情、運転者としての安全意識を徹底して教育・指導することが重要です。特にトラック運行では時間厳守と法令遵守が求められるため、スケジュール管理と運転モラルの両面において、段階的な指導体制が効果的です。
日本で運転するための免許取得
インドネシアの運転免許はそのままでは日本国内で使用できず、適切な手続きや日本での運転免許の取得が必要です。
特定技能制度を通じて就労する場合は、あらかじめ日本の中型・大型免許(または準中型免許)を取得させるスケジュールやサポート体制の整備が不可欠です。企業による教習所費用の補助や試験対策講習なども、実際の就労開始をスムーズにするうえで有効です。
インドネシアの文化・宗教とその影響
インドネシア人をドライバースタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが、現場での安定した定着につながります。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
宗教習慣への理解と対応
インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、国民の約85%がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝や、ラマダン(月間断食)期間中の体調管理や勤務スケジュールへの配慮が必要です。
運行スケジュールの合間に礼拝のための短時間休憩を設けたり、ラマダン中は運転時間や業務負荷の調整を行うなど、柔軟な対応が望まれます。
転職への抵抗が少ない文化
インドネシアでは、より良い条件や職場環境を求めて転職することが一般的とされています。
長期的な雇用を目指すには、キャリアの見通しを提示したり、待遇を明確にするほか、働きやすい環境づくりなど「定着の工夫」が不可欠です。
時間感覚の違いへの対応
インドネシアでは、時間に対して比較的寛容な文化があります。遅刻や時間のルーズさが見られることもありますが、丁寧な説明と日々の積み重ねにより、日本の時間管理文化を理解してもらうことができます。
特にトラック運行では時間厳守が重要なため、教育とフォローによって、スケジュール通りの運行意識を高める取り組みが求められます。
注意や指導は配慮ある方法で
インドネシア人は、人前で強く叱責されることに敏感です。
注意や指導は、できる限り個別に時間をとって、相手の気持ちを尊重した形で行うことで、信頼関係の構築につながります。
コミュニケーションを大切にする姿勢
インドネシア人は、同僚との会話や交流を大切にし、職場の人間関係を重視する傾向があります。
運送業では一人で行動する時間も多いですが、休憩所や営業所などでのチームワークや報告・連絡・相談の姿勢が、業務のスムーズな進行に貢献します。
労働制度の違いを理解する
インドネシアには「THR(宗教手当)」や、家族行事に関連した休暇制度などが存在します。
病欠や帰省休暇の取り扱いも日本とは異なるため、雇用契約時にこうした点を丁寧に説明し、相互理解を得たうえで雇用を進めることが大切です。
日本の運送業界では高齢化とドライバー不足が深刻化しており、外国人材の採用が年々加速しています。
その中でもインドネシア人は、協調性、勤勉さ、まじめで穏やかな性格から、多くの物流企業や運送事業者において高く評価されています。
文化や価値観の違いに理解を持ち、適切な受け入れ体制を整えることで、長期的な戦力として活躍してもらうことが可能です。
特定技能(自動車運送業)
技能評価試験と日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用可能。
登録支援機関と連携することで、日本語や生活面の支援も受けられます。
技能実習制度(運送関連分野)
実習生として3年間(延長で最長5年)、運転補助や配送関連の実務を通して技能を習得。
実習修了後、特定技能に移行すれば継続雇用も可能です。
大学・専門学校卒業者(技人国)
自動車整備、物流、運行管理などの分野を専攻した人材を「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用。
運行管理やドライバー指導、安全管理業務など、より高度な職務に従事できます。
インドネシア人材の活用は、日本の運送業界が抱える構造的課題に対する有効な解決策の一つです。
しっかりとした準備と文化的理解をもって受け入れることで、現場に新たな活力と安定した輸送体制をもたらすことができるでしょう。
インドネシア人は、人とのつながりや調和を大切にする国民性を持ち、協調性や粘り強さ、穏やかで真面目な性格が多く見られます。これらの特性は、安全運転や報連相(報告・連絡・相談)が求められる運送現場において、大きな強みとなります。
一方で、日本とは異なる文化的背景を持つことから、価値観や行動様式にギャップが生じる場合もあります。たとえば、
などが挙げられます。
こうした違いには、営業所や車庫での丁寧なオリエンテーションや、継続的な教育・指導を通じて対応することが大切です。相互理解を促しながら、日本の業務スタイルに徐々に適応してもらうことで、スムーズな運行管理が可能になります。
インドネシアには多くの送り出し機関が存在しますが、それぞれの教育体制や管理品質には大きな差があります。
そのため、しっかりとした指導体制と実績を持つ信頼できる機関との連携が、採用の成否を分ける重要なポイントになります。
たとえば、弊社のパートナーである LPK Timedoor では、日本人の専任指導者が常駐し、
などを実施しています。
このような事前教育は、就業後の職場適応をスムーズにし、離職リスクの低減にも効果があります。
インドネシア人の多くはイスラム教徒であり、1日5回の礼拝やラマダン中の断食など、日常生活に宗教的行動が組み込まれています。また、家族とのつながりを大切にする文化も強く、家族の事情によって急な帰省や休暇を希望することもあります。
このような文化的価値観を尊重し、
などの制度的・運用的な配慮を行うことで、従業員は「理解されている」という実感を持ちやすくなります。
結果として、職場への愛着やモチベーションの向上、定着率の改善へとつながる可能性が高くなります。
インドネシア人のドライバースタッフは、協調性・勤勉さ・真面目さといった面で優れた資質を持つ人材です。文化や習慣の違いを理解し、適切な育成とサポート体制を整えることで、長期的に信頼できるスタッフとして運送現場で活躍してもらうことが可能になります。
日本の自動車運送業界では、慢性的なドライバー不足と高齢化の影響を受け、外国人材、特にインドネシア人材の活用が急速に進んでいます。特定技能制度の導入により、一定のスキルと日本語能力を持った即戦力としての受け入れが可能となり、多くの運送事業者が人材確保の有効な手段として注目しています。
インドネシア人は協調性、勤勉さ、まじめな性格といった強みを持ち、運送現場においても非常に適した人材です。一方で、宗教・文化・時間感覚の違いを理解し、職場環境や支援体制を整えることで、長期的な定着と効果的な戦力化が実現できます。
今後ますます需要が高まるであろうインドネシア人ドライバーの採用を検討するうえで、本記事が実務面・コスト面・文化理解の参考になれば幸いです。
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インドネシアの基本情報をおさらい
インドネシアは、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家で、約17,000の島々から構成されています。 以下に、インドネシアの基本情報をまとめます。
面積
約192万平方キロメートルで、日本の約5倍の広さを持ちます。
人口
約2億8,000万人で、世界第4位の人口を有します。
首都
ジャカルタで、人口は約1,067万人です。
民族
約1,300の民族が存在し、主要な民族としてジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人などが挙げられます。
言語
公用語はインドネシア語です。
宗教
国民の約87%がイスラム教を信仰しており、その他にキリスト教(10.4%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教(0.7%)などがあります。
気候
赤道直下の熱帯性気候で、5~10月が乾季、11~4月が雨季となっています。
時差
東西に長いため、3つの時間帯があります。ジャワ島などの西部は日本より2時間遅れ、中部は1時間遅れ、東部は日本と同じ時間帯です。
インドネシアは、多様な文化と豊かな自然を持つ国であり、その多様性が国の魅力となっています。
本記事で使用した用語解説
特定技能
2019年に創設された在留資格制度で、日本で人手不足が深刻な業種において、一定のスキルと日本語力を持つ外国人労働者の就労を認める制度。自動車運送業は2024年から対象分野に追加。
自動車運送業
トラックや配送車を使って物品を運搬する業種。一般貨物運送、小口配送、宅配、倉庫内物流などが含まれる。
JFT-Basic
日本語基礎テスト。日本語能力試験(JLPT)N4相当とされ、特定技能ビザの申請要件の一つ。
技能実習制度
発展途上国の若者に日本の技術を学ばせることを目的とした在留資格制度。3~5年の滞在が可能で、一部は特定技能へ移行可能。
THR(宗教手当)
インドネシアにおける年1回の一時金制度で、断食明け(レバラン)前に支払われる。宗教行事に関連する帰省なども重視される。
登録支援機関
特定技能外国人を雇用する企業が、生活や労働に関する支援を委託できる外部機関。制度上の支援義務を代行。
FAQ(よくある質問)
Q1. 特定技能と技能実習の違いは何ですか?
A. 技能実習は「技術移転」が目的であり、一定期間で帰国を前提とします。一方、特定技能は「労働力確保」が目的で、即戦力としての活用が前提です。給与水準や支援義務にも違いがあります。
Q2. インドネシア人ドライバーは日本の交通ルールに適応できますか?
A. はい。特定技能ドライバーは評価試験に合格する必要があり、運転技術や安全意識も確認されます。雇用前に日本の交通ルールに関する研修を受ける体制が整っている送り出し機関を選ぶことが重要です。
Q3. 宗教的な配慮はどの程度必要ですか?
A. 礼拝時間の確保や、ラマダン期間中の体調変化への理解が必要です。事前に勤務スケジュールを相談しながら、柔軟な配慮を行うことで、信頼関係の構築にもつながります。
Q4. 採用コストは高いですか?
A. 初期費用(紹介料、渡航費、住居準備費など)や継続的な支援費用(月額2~4万円程度)が発生しますが、長期的に安定した人材確保を実現できるため、多くの企業が採用コストに見合う効果を実感しています。
Q5. インドネシア人は長く働いてくれますか?
A. 就労環境が整っており、文化的理解と支援がしっかりしていれば、長期間にわたって安定的に勤務してくれるケースが多く見られます。転職防止のためにも、待遇や成長機会の提示が重要です。
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