
2月 22, 2025 • インドネシア, スタートアップ
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
日本の介護業界では、深刻な人手不足が続いており、特に高齢化が進む地域では外国人材の受け入れが加速しています。中でも注目されているのが「特定技能介護」としてのインドネシア人介護人材の活用です。本記事では、特定技能「介護」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。介護現場における外国人採用を検討している方や、インドネシア人材に関心のある企業担当者はぜひご一読ください。
特定技能「介護」は、日本の介護業界が抱える深刻な人手不足を背景に、2019年に新たに設けられた在留資格制度です。この制度により、一定レベルの専門知識やスキルを持った外国人が、介護職や看護補助者として日本国内で就労することが認められています。
特定技能「介護」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。
身体介護:入浴、食事、排せつなど、利用者の生活を直接支援する介護業務
関連支援業務:レクリエーション活動の企画・運営や、機能訓練の補助など
※2025年以降は、訪問介護(在宅サービス)にも従事可能となりました。
特定技能「介護」の在留資格を取得するためには、主に以下のような要件があります。
最大で通算5年間の在留が可能
更新は1年、6か月、または4か月単位
5年以内に介護福祉士国家資格を取得すれば、「在留資格:介護」への変更が可能となり、長期の在留が認められます。
特定技能「介護」の外国人を受け入れる施設や事業所は、以下の条件を満たす必要があります。
適切な業務内容:身体介護やこれに付随する支援業務を提供し、訪問介護を含まないこと。
受け入れ人数の制限:事業所単位で、日本人等の常勤職員数を超えない人数であること。
特定技能協議会への加入:初めて特定技能外国人を雇用した日から4カ月以内に、介護分野の特定技能協議会に加入すること。
特定技能「介護」は、日本の介護現場の即戦力として期待される制度であり、企業は適切な手続きを踏むことで、外国人材の受け入れが可能となります。
インドネシア人の介護スタッフは、国民性や文化的な背景から、次のような特長を持っています。
インドネシアには「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」という助け合いの価値観が根付いており、互いに協力し合う姿勢が強く見られます。
このような文化は、チームでの協働が求められる介護の現場において大きな強みとなります。
インドネシア人は、穏やかで寛容な性格の人が多く、笑顔を絶やさず、人に対して思いやりを持って接します。
そのような人柄は、高齢者との信頼関係を築く上で非常に役立ちます。
多数を占めるインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝を含む宗教的な習慣を大切にしています。
そのため、勤務中にも礼拝の時間を確保する必要があり、雇用者側の理解と配慮が重要になります。
仕事に全力を尽くす一方で、家族やプライベートの時間を大切にする考え方が根強くあります。
そのため、長時間労働や家庭を犠牲にする働き方には否定的な場合が多いです。
インドネシアでは、時間に対して柔軟な感覚を持つ人も多く、約束の時間に遅れることもあります。
ただし、日本での勤務においては時間を守ることの重要性を理解し、適応していく努力が求められます。
日本におけるインドネシア人介護人材の数は、近年大幅に増加しています。
特定技能(介護分野):2024年時点で 約9,700人
技能実習(介護):2023年時点で 15,000人超
在留資格「介護」:2023年末で 5,300人程度
EPA候補者(インドネシア):在留数約3,200人、介護福祉士合格者は約600人
→ 全体として、インドネシアから来日し、何らかの制度を通じて介護分野で働いている人材は、2万人を超えていると見られます。
これらの数字から、特定技能、技能実習、EPAといった複数の制度を経由して、日本で活躍するインドネシア人介護人材が着実に増えていることが明らかです。
インドネシア人の介護人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントをまとめました。
インドネシア人を含む外国人介護職員の給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。具体的な金額は、在留資格や施設の方針によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
技能実習生:令和4年の厚生労働省のデータによれば、技能実習生全体の平均賃金は月額177,800円です。
特定技能:同じく令和4年のデータで、特定技能者全体の平均賃金は月額205,700円と報告されています。
これらはあくまで平均値であり、地域や施設の状況、個々の経験や能力によって変動します。
外国人介護人材を採用する際には、以下の初期費用が発生します。
人材紹介手数料:20~40万円程度。
健康診断受診費:1~2万円程度。
在留資格申請費用: 10万円前後(行政書士などに委託する場合)。
住居の準備費用:物件によって異なりますが、敷金や礼金、家具・家電の購入費用などが必要です。
渡航費:3~6万円程度。
特定技能1号での雇用の場合、受け入れ機関にはさまざまな支援が義務付けられています。これらの支援業務を登録支援機関に委託する場合、以下の費用が発生します。
登録支援機関への委託費:月額2~4万円程度。
以下の費用も考慮する必要があります。
在留資格更新費用:更新時に必要な手数料や書類作成費用。手続き時に数千円~2万円程度
日本語学習支援費用:雇用契約日から12か月間の日本語学習にかかる経費など。
住居関連費用:家賃補助や住居手当など、住居に関する継続的な支援。
これらの費用は、施設の方針や地域の状況、個々の事情によって変動します。採用を検討する際には、これらの費用を総合的に考慮し、適切な予算計画を立てることが重要です。
インドネシア人を介護スタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが円滑な受け入れに繋がります。以下に、特に注意したいポイントをまとめました。
インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、国民の約85%がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝や、ラマダン(断食月)中の食事制限など、宗教上の習慣に配慮する必要があります。勤務時間中の礼拝スペースの確保や、ラマダン中の業務スケジュールの調整など、柔軟な対応が求められます。
インドネシアでは転職が一般的で、新しい環境やより良い条件を求めて職を変えることが珍しくありません。
このため、長期雇用を目指す場合は、キャリアアップの機会や働きやすい職場づくりなど、定着に向けた工夫が重要です。
時間に対する感覚が日本と異なり、多少の遅刻が許容される文化背景があります。
ただし、日本で働く際には時間厳守の大切さを伝え、現場に合わせた時間管理への意識づけを行うことが大切です。
インドネシア人は、人前で叱責されることに対して敏感な傾向があります。
指導や注意をする際は、できるだけ個別に、プライベートな場で丁寧に伝えることが望まれます。
会話を通じて人間関係を築くことに長けており、職場でもおしゃべりを通じて雰囲気を和らげる傾向があります。
この特性は、利用者や同僚との信頼関係づくりにおいてプラスに働く要素となります。
インドネシアの労働法は、労働者を強く保護する内容が多く含まれています。たとえば、宗教的祝日に支給される「THR(宗教手当)」や、病気休暇の扱いなど、日本とは異なる制度が存在します。
採用や雇用契約時には、こうした制度の違いもふまえて丁寧な説明と対応が求められます。
日本の介護業界では人手不足が続いており、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。
その中でもインドネシア人は、穏やかな人柄、助け合いの精神、そして高いコミュニケーション力を持つことから、多くの現場で高く評価されています。
文化の違いに理解と配慮を持つことで、双方にとって良い関係を築くことができ、安定した就労へとつながります。
では、実際にインドネシア人介護人材を採用するには、どのような方法があるのでしょうか?
採用ルートは主に3つ
技能試験+日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用できます。
登録支援機関と連携することで、生活面・日本語支援などのサポートも可能。
2. 技能実習制度(介護分野)
実習計画を基に、最長3年間の雇用が可能。実習後、特定技能に移行できる場合も。
3. EPA(経済連携協定)
政府間協定に基づく制度で、介護福祉士国家試験合格を目指す候補者を受け入れることができます。
インドネシア人は、他者との関係性を重視し、協調性や思いやりに富んだ性質を有しています。これらの特性は、対人支援が中心となる介護業務において、円滑なコミュニケーションやチーム連携に大きく貢献します。
しかしながら、時間に対する捉え方や指導方法に対する感受性など、文化的背景に起因する価値観の差異が存在することも事実です。たとえば、時間厳守の意識が日本ほど強くないことや、公衆の面前での叱責に抵抗感を示す傾向があります。これらのギャップに対しては、現場での丁寧なオリエンテーションや継続的な教育体制を通じて適切な対応を講じることが求められます。
インドネシアには多数の送り出し機関が存在しますが、それぞれの機関において育成プログラムの質や管理体制にはばらつきがあります。したがって、継続的な実績と高い教育水準を持つ機関と提携することが、採用後の現場適応や離職率の低減に直結します。
たとえば、弊社の関連機関である LPK Timedoor では、日本人の専任指導者が常駐し、N3相当の日本語指導、介護マナー教育に加え、日本独自の職場文化や生活習慣に関する適応支援も一体的に実施しています。これにより、送り出し段階での人材の品質確保と、現場へのスムーズな導入が可能となります。
インドネシア人の多くは、家族や宗教を生活の中で非常に重視しています。イスラム教徒である場合、1日5回の礼拝やラマダン期間中の断食が日常的に行われており、家庭の事情によっては急な休暇取得を希望することもあります。
このような個人の背景を尊重し、制度上・運用上の柔軟性を持たせた対応を行うことにより、従業員は職場からの配慮を実感しやすくなります。その結果、定着率の向上や職務に対するモチベーションの維持・向上に寄与する可能性が高まります。
インドネシア人介護人材の採用は、単なる労働力確保にとどまらず、思いやりや助け合いの精神をもった人材の導入によって、現場の雰囲気をより良くする可能性を秘めています。
ただし、宗教的背景や文化的な価値観、日本とは異なる労働習慣への理解が不可欠です。適切な研修や継続的なサポート、信頼できる送り出し機関との連携により、インドネシア人材は日本の介護現場で大きな戦力となります。
採用を検討する際は、費用面や在留資格制度のルール、施設側の受け入れ体制なども総合的にチェックし、長期的に定着・活躍できる仕組み作りが鍵となります。
LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
所在地と連絡先:
住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226
電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通)
メール: [email protected]
Website: lpktimedoor.com
Instagram: https://www.instagram.com/lpk_timedoor/
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インドネシアの基本情報をおさらい
インドネシアは、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家で、約17,000の島々から構成されています。 以下に、インドネシアの基本情報をまとめます。
面積
約192万平方キロメートルで、日本の約5倍の広さを持ちます。
人口
約2億8,000万人で、世界第4位の人口を有します。
首都
ジャカルタで、人口は約1,067万人です。
民族
約1,300の民族が存在し、主要な民族としてジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人などが挙げられます。
言語
公用語はインドネシア語です。
宗教
国民の約87%がイスラム教を信仰しており、その他にキリスト教(10.4%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教(0.7%)などがあります。
気候
赤道直下の熱帯性気候で、5~10月が乾季、11~4月が雨季となっています。
時差
東西に長いため、3つの時間帯があります。ジャワ島などの西部は日本より2時間遅れ、中部は1時間遅れ、東部は日本と同じ時間帯です。
インドネシアは、多様な文化と豊かな自然を持つ国であり、その多様性が国の魅力となっています。
本記事で使用した用語
特定技能(外食業)
2019年に新設された在留資格で、日本の外食業界で一定の知識やスキルを持った外国人が就労できる制度。試験に合格し、最大5年間の在留が認められる。
技能実習制度
開発途上国の人材が日本で技術・技能を学び、母国の発展に活かすことを目的とした制度。飲食業と直接の関係は薄いが、食品製造など周辺業務で就労可能。
JFT-Basic(日本語基礎テスト)
特定技能ビザ取得の際に必要とされる日本語能力試験の一つ。日常会話レベルの基礎的な日本語力を測る。
登録支援機関
特定技能外国人を雇用する企業に代わり、生活支援や行政手続きなどをサポートする機関。月額費用で業務委託が可能。
THR(Tunjangan Hari Raya)
インドネシアの制度で、イスラム教の祝日(ハリラヤ)などの前に支給される宗教手当。日本では必須ではないが、制度理解が重要。
Gotong Royong(ゴトン・ロヨン)
インドネシア語で「助け合い・協力」の意味。インドネシア社会の根本的な価値観であり、職場においても協調性として表れる。
よくある質問(FAQ)
Q1. インドネシア人を飲食店で雇うにはどんな資格が必要ですか?
A. 最も一般的なのは「特定技能(外食業)」ビザです。外食業技能評価試験と、日本語試験(JLPT N4またはJFT-Basic)に合格する必要があります。
Q2. 給与は日本人と同じにしなければいけませんか?
A. はい。法律上、日本人と同等以上の待遇が求められており、最低賃金や労働条件の差別は禁止されています。
Q3. ラマダン中に仕事を休まれることはありますか?
A. ラマダン中も就業は可能ですが、体力や勤務時間への配慮が必要です。また、礼拝の時間を確保する配慮も求められます。
Q4. 採用にはどのくらいの費用がかかりますか?
A. 初期費用として人材紹介手数料(20~40万円)、在留資格申請費用、渡航費、住居準備費用などが発生します。加えて、支援業務を委託する場合は月額2~4万円の支援費が必要です。
Q5. 長く働いてもらうために必要な工夫は?
A. キャリアパスの提示、文化的配慮、適切な指導方法、労働環境の改善などが重要です。特に「人前で叱らない」「家族都合への理解」などが離職率低下につながります。
Q6. 特定技能で働けるのは何年までですか?
A. 最大5年間の在留が可能です。5年以内に条件を満たせば、別の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)に移行して継続的な就労も可能です。
Q7. どこでインドネシア人材を探せますか?
A. 実績のある送り出し機関と提携している登録支援機関を通じて募集するのが一般的です。信頼性のある機関を選ぶことが、採用成功の鍵となります。
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