
2月 20, 2025 • インドネシア, 財閥
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
日本の自動車整備業界では、深刻な人手不足が続いており、特に地方の中小規模の整備工場や高齢化が進む地域では、外国人材の受け入れが急速に進んでいます。中でも注目されているのが、「特定技能 自動車整備業」としてのインドネシア人整備スタッフの活用です。
本記事では、特定技能「自動車整備業」とは何か、採用方法や文化的な注意点、給与・費用の実態、そしてインドネシア人ならではの特性について、わかりやすく解説します。整備業界での外国人採用を検討している方や、インドネシア人材に関心のある整備工場経営者・自動車関連企業の方は、ぜひご一読ください。
特定技能「自動車整備業」は、日本の整備工場における深刻な人材不足を背景に、2019年に新たに設けられた在留資格制度です。この制度により、一定レベルの専門知識や実務スキルを持った外国人が、自動車整備全般の現場で働くことが認められています。
業務内容
特定技能「自動車整備業」の資格を持つ外国人労働者は、以下のような業務に携わることができます。
※主要業務に従事することが前提であり、雑務のみの従事は対象外です。
特定技能 自動車整備業の取得方法
特定技能「自動車整備業」の在留資格を取得するためには、主に以下のような要件があります。
在留期間と更新
受け入れ事業者の要件
特定技能「自動車整備業」の外国人を受け入れる整備工場・事業者は、以下の条件を満たす必要があります。
特定技能「自動車整備業」は、日本の交通インフラと安全を支える現場で、即戦力として外国人整備士を受け入れるための制度です。
整備企業やディーラーは、適切な手続きを踏むことで、インドネシア人などの外国人技能者を合法的かつ安定的に受け入れることが可能となります。
インドネシア人の自動車整備スタッフは、その国民性や文化的な背景から、以下のような特長を持っています。
インドネシアには「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」という助け合いの精神が根付いており、仲間と協力しながら仕事を進めることを自然に行います。
整備工場では、分業や連携による作業が多く、他の整備士やフロントスタッフとの協調が求められるため、この協調性は大きな強みとなります。
インドネシア人は穏やかで落ち着いた性格の人が多く、真面目にコツコツと作業をこなす傾向があります。
自動車整備では、繰り返しの作業や慎重な取り扱いが求められることが多く、ストレス耐性や集中力の高さが評価されています。
多くのインドネシア人はイスラム教徒であり、1日5回の礼拝など宗教的な行動を大切にしています。
職場内での礼拝スペースの確保や、ラマダン期間中の体調や業務スケジュールへの配慮を行うことで、安心して働ける環境を整えることが可能です。
仕事に真摯に取り組みつつも、家族との時間や休息を大切にする文化があります。
そのため、過度な残業や休日出勤が続くとモチベーションが下がることもあるため、無理のないシフトや柔軟な休暇制度が定着率向上に役立ちます。
インドネシアでは比較的ゆるやかな時間感覚を持つ人が多く、日本の厳格な時間管理文化とはギャップが生じる場合もあります。
しかし、多くのインドネシア人は日本のルールに順応しようと努力する姿勢を持っており、丁寧な教育やフォローによって改善は可能です。
整備工場では、作業予定や顧客納車スケジュールが厳密に管理されるため、時間に対する意識づけが重要となります。
このように、インドネシア人の自動車整備人材は、協調性と勤勉さに優れ、整備現場において即戦力となる可能性を秘めています。文化的な違いを理解した上で、丁寧なフォローと働きやすい環境を整えることが、長期的な雇用関係を築くうえで重要です。
日本におけるインドネシア人自動車整備人材の数は、近年着実に増加しています。特に、特定技能制度の導入以降、自動車整備業分野でのインドネシア人労働者の受け入れが拡大しています。
2024年時点で、特定技能制度全体の外国人労働者数は約25万人に達し、前年比で大幅な増加を記録しました。
このうち、インドネシア人労働者は制度全体で約44,000人を占めており、自動車整備や点検、修理などの分野にも多くの人材が配置されています。
自動車整備分野に限れば、2024年時点で特定技能「自動車整備」分野の外国人労働者数は約9,200人。
その中でインドネシア人は約2,700人と推計されており、ベトナム、フィリピンと並ぶ主要な国籍の一つとなっています。
技能実習制度においても、車両点検や整備業務に従事するインドネシア人技能実習生は年々増加傾向にあります。
2024年には、自動車整備分野の技能実習生全体のうちインドネシア人が約18%を占めており、送り出し国としての存在感を高めています。
2024年現在、日本に在留しているインドネシア人労働者の総数は約169,539人となっており、前年比39.5%増と急成長を見せています。
この増加は、日本国内の深刻な労働力不足に対応するため、特定技能制度や技能実習制度を通じてインドネシアからの人材受け入れが加速していることを示しています。
これらのデータから、自動車整備分野におけるインドネシア人労働者の存在感が確実に高まっていることがわかります。今後も、両国間の協力強化や制度整備の進展により、日本の整備業界におけるインドネシア人材の活躍がさらに広がることが期待されます。
インドネシア人の自動車整備人材を日本で雇用する際の給与や関連費用について、以下のポイントをまとめました。
給与
インドネシア人を含む外国人整備スタッフの給与は、日本人と同等以上であることが法律で定められています。
具体的な金額は、在留資格や地域、工場の規模や作業内容によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
※これはあくまで平均値であり、勤務地、整備工場の規模、対応車種、経験年数などにより大きく異なる場合があります。
採用時の初期費用
外国人自動車整備人材を採用する際には、以下のような初期費用が発生します。
継続的な支援費用
特定技能1号で雇用する場合、受け入れ整備企業には、外国人材への支援が義務付けられています。登録支援機関に委託する場合、以下の費用が必要です。
その他の費用
自動車整備分野においても、以下のような継続的な費用が発生する可能性があります。
これらの費用は、雇用主の支援方針や地域の物価、スタッフの生活状況によって異なります。
採用を検討する際は、単に給与だけでなく、総合的なコストを事前に見積もっておくことが重要です。
インドネシア人材の雇用は、自動車整備の分野における慢性的な人手不足の解消や、次世代の整備士育成にもつながる可能性があり、工場の生産性やサービス品質の向上に大きく貢献します。
適切な教育・支援体制を整えることで、長期的に信頼できる人材として活躍してもらうことが可能です。
インドネシアの文化・宗教とその影響
インドネシア人を自動車整備スタッフとして迎える際には、文化や労働観の違いを理解し、相互理解を深めることが、職場での安定した定着につながります。以下に、特に注意すべきポイントをまとめました。
宗教習慣への理解と対応
インドネシアは世界最大のイスラム教国であり、国民の約85%がイスラム教徒です。
そのため、1日5回の礼拝や、ラマダン(月間断食)期間中の体調管理、集中力、作業効率などに配慮が必要です。
整備工場の休憩時間に礼拝のための短時間休憩を設けたり、ラマダン中は重整備作業の調整や水分補給の配慮を行うなど、柔軟な対応が望まれます。
転職への抵抗が少ない文化
インドネシアでは、より良い条件や職場環境を求めて転職することが一般的とされています。
長期的な雇用を目指すには、キャリアの見通しを提示したり、待遇を明確にするほか、働きやすい職場づくりや教育体制の整備といった「定着の工夫」が不可欠です。
時間感覚の違いへの対応
インドネシアでは、時間に対して比較的寛容な文化があります。遅刻や時間のルーズさが見られることもありますが、丁寧な説明と日々の積み重ねにより、日本の厳密な時間管理文化を理解してもらうことが可能です。
整備業務では納車スケジュールや予約作業、パーツ発注など、時間にシビアな業務も多いため、計画通りに動く習慣を身につけさせる教育とフォローが重要です。
注意や指導は配慮ある方法で
インドネシア人は、人前で強く叱責されることに敏感です。
注意や指導は、できる限り個別に時間をとって、相手の気持ちを尊重した形で行うことで、信頼関係の構築につながります。
コミュニケーションを大切にする姿勢
インドネシア人は、同僚との会話や交流を大切にし、職場の人間関係を重視する傾向があります。
整備工場ではチームで車両を預かり、分担して作業を進める場面が多いため、このような性格は現場の雰囲気づくりや作業効率の向上に寄与します。
労働制度の違いを理解する
インドネシアには「THR(宗教手当)」や、家族行事に関連した休暇制度などが存在します。
病欠や帰省休暇などの取り扱いも日本とは異なるため、雇用契約時にこうした点を丁寧に説明し、相互理解を得たうえで雇用を進めることが大切です。
日本の自動車整備業界では、少子高齢化と職人不足により深刻な人材難が続いており、外国人材の採用が年々加速しています。
その中でもインドネシア人は、協調性、勤勉さ、まじめで穏やかな性格から、多くの整備工場やディーラーにおいて高く評価されています。
文化や価値観の違いに理解を持ち、適切な受け入れ体制を整えることで、長期的な戦力として活躍してもらうことが可能です。
特定技能(自動車整備)
技能評価試験と日本語試験に合格した人材を、最長5年間雇用可能。
登録支援機関と連携することで、日本語や生活面の支援も受けられます。
技能実習制度(自動車整備)
実習生として3年間(延長で最長5年)、車両整備や点検・検査業務などを通して技能を習得。
実習修了後、特定技能に移行すれば継続雇用も可能です。
大学・専門学校卒業者(技人国)
整備工学、自動車工学などの学科を卒業した人材を「技術・人文知識・国際業務」ビザで雇用。
設計・開発、品質管理、輸出入関連の技術支援業務など、より高度な職務に従事できます。
インドネシア人材の活用は、日本の自動車整備業界が抱える人手不足や世代交代の課題に対する重要な解決策の一つです。
しっかりとした準備と文化的理解をもって受け入れることで、現場に新たな活力と安定した整備体制をもたらすことができるでしょう。
インドネシア人は、人とのつながりや調和を大切にする国民性を持ち、協調性や粘り強さ、穏やかで真面目な性格が多く見られます。これらの特性は、チームでの連携や集中力が求められる整備現場において、大きな強みとなります。
一方で、日本とは異なる文化的背景を持つことから、価値観や行動様式にギャップが生じる場合もあります。たとえば、
などが挙げられます。
こうした違いには、現場での丁寧なオリエンテーションや継続的な教育・指導を通じて対応することが大切です。相互理解を促しながら、日本の整備業界に求められる安全管理意識や接客対応にも徐々に適応してもらうことで、スムーズな職場運営が可能になります。
インドネシアには多くの送り出し機関が存在しますが、それぞれの教育体制や管理品質には大きな差があります。
そのため、しっかりとした指導体制と実績を持つ信頼できる機関との連携が、採用の成否を分ける重要なポイントになります。
たとえば、弊社のパートナーである LPK Timedoor では、日本人の専任指導者が常駐し、
などを実施しています。
このような事前教育は、就業後の職場適応をスムーズにし、離職リスクの低減にも効果があります。
インドネシア人の多くはイスラム教徒であり、1日5回の礼拝やラマダン中の断食など、日常生活に宗教的行動が組み込まれています。
また、家族とのつながりを大切にする文化も強く、家族の事情によって急な帰省や休暇を希望することもあります。
このような文化的価値観を尊重し、
などの制度的・運用的な配慮を行うことで、従業員は「理解されている」という実感を持ちやすくなります。
結果として、職場への愛着やモチベーションの向上、定着率の改善へとつながる可能性が高くなります。
インドネシア人の自動車整備スタッフは、協調性・勤勉さ・真面目さといった面で優れた資質を持つ人材です。文化や習慣の違いを理解し、適切な育成とサポート体制を整えることで、長期的に信頼できるスタッフとして整備現場で活躍してもらうことが可能になります。
日本の自動車整備業界では、特定技能制度や技能実習制度を通じたインドネシア人整備人材の受け入れが年々増加しています。人手不足の解消と持続可能な整備技術の継承の両面において、インドネシア人は協調性、勤勉さ、適応力の高さから大きな戦力となり得ます。
一方で、宗教・文化的背景や時間感覚などに違いがあるため、採用・育成の際には相互理解を深める体制づくりが欠かせません。信頼できる送り出し機関との連携や、現場での丁寧な指導、支援体制の整備を通じて、インドネシア人材とともに整備業界の未来を築いていくことが求められています。
LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
所在地と連絡先:
住所: Jl. Tukad Yeh Aya IX No.46, Renon, Denpasar, Bali, Indonesia 80226
電話番号: +81 80-2399-8776(日本人直通)
メール: [email protected]
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インドネシアの基本情報をおさらい
インドネシアは、東南アジアに位置する世界最大の島嶼国家で、約17,000の島々から構成されています。 以下に、インドネシアの基本情報をまとめます。
面積
約192万平方キロメートルで、日本の約5倍の広さを持ちます。
人口
約2億8,000万人で、世界第4位の人口を有します。
首都
ジャカルタで、人口は約1,067万人です。
民族
約1,300の民族が存在し、主要な民族としてジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人などが挙げられます。
言語
公用語はインドネシア語です。
宗教
国民の約87%がイスラム教を信仰しており、その他にキリスト教(10.4%)、ヒンドゥー教(1.7%)、仏教(0.7%)などがあります。
気候
赤道直下の熱帯性気候で、5~10月が乾季、11~4月が雨季となっています。
時差
東西に長いため、3つの時間帯があります。ジャワ島などの西部は日本より2時間遅れ、中部は1時間遅れ、東部は日本と同じ時間帯です。
インドネシアは、多様な文化と豊かな自然を持つ国であり、その多様性が国の魅力となっています。
本記事で使用した単語の解説
特定技能(とくていぎのう)
2019年に創設された在留資格制度。日本の人手不足分野において、一定の技能と日本語力を持つ外国人が働くことを可能にする制度。自動車整備業はその対象14分野の一つ。
自動車整備分野特定技能評価試験
特定技能で自動車整備業に従事するために必要な技能試験。実技と学科で構成されており、点検整備やエンジン・ブレーキ整備、故障診断などの基礎力が問われる。
JFT-Basic(日本語基礎テスト)
日本語能力を測るテスト。特定技能の在留資格申請で使用可能。日本語能力試験(JLPT)のN4相当と位置づけられている。
技能実習制度
日本の技術や知識を発展途上国へ移転することを目的とした在留資格制度。自動車整備職種も対象の一つで、一定の条件を満たせば特定技能へ移行可能。
登録支援機関
特定技能外国人の生活支援・日本語支援・相談対応などを担う機関。企業が直接支援できない場合、委託可能。
インドネシア人技能者
整備職に限らず、多くの特定技能・技能実習生として受け入れられている国籍。日本語習得意欲が高く、イスラム文化との共存に配慮が必要。
THR(Tunjangan Hari Raya)
インドネシアにおける宗教手当のこと。ラマダン明けの「レバラン」前に支給される文化的・宗教的に重要な制度。
FAQ(よくある質問)
Q1. インドネシア人整備士はどのような業務に従事できますか?
A. 点検整備、分解整備、故障診断、車検整備、部品管理など、自動車整備士としての主要な実務に従事可能です。ただし、単純労働のみの従事は認められていません。
Q2. 採用から就労までにかかる期間は?
A. 書類準備、技能試験合格、在留資格取得などを含め、平均して3〜6ヶ月程度が目安です。
Q3. 日本語が話せないと採用できませんか?
A. 採用には、日本語能力試験N4以上、またはJFT-Basicの合格が必須です。日常会話や作業指示の理解を想定しています。
Q4. 宗教上の配慮はどのようにすべきですか?
A. 礼拝の時間・場所の確保や、ラマダン中の勤務調整(水分補給、重作業の調整など)が必要です。文化的理解が職場定着のカギになります。
Q5. 採用コストの目安は?
A. 初期費用(紹介料、渡航費、住居準備など)で20〜60万円程度が一般的です。加えて、登録支援機関の委託費(2〜4万円/月)も必要になります。
Q6. 技能実習生と特定技能の違いは?
A. 技能実習は「技術を学ぶ」目的で、原則転職不可。特定技能は「労働力としての受け入れ」が前提で、条件を満たせば転職や在留延長が可能です。
Q7. 日本人スタッフとトラブルは起きませんか?
A. 適切な導入研修、宗教・文化への配慮、そして日常的なコミュニケーション支援を通じて、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
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