
6月 14, 2024 • システム開発
7月 28, 2024 • システム開発 • by Reina Ohno
目次
オフショア開発は人口が減少しIT人材の不足が顕著になってきた日本で注目されているトレンドです。低い人件費を背景に、多くの企業が海外のエンジニアリソースを活用して、開発コストを大幅に削減しようと試みています。しかし、経済発展と通貨の変動により、特に新興国ではエンジニアの単価が上昇傾向にあります。企業によってはどの国にオフショア開発拠点を作るのがいいのか検討している企業もあるでしょう。この記事では、各国のオフショア開発の現状とその魅力について掘り下げていきます。
企業がオフショア開発を利用する際には、成功を確実にするために注意すべき事項を十分に理解しておくことが求められます。特に、失敗を避けるための重要なポイントを事前に把握しておくことは、プロジェクト全体の成否に大きく影響を与える可能性があります。
世界中には様々なオフショア開発の拠点が存在し、それぞれにユニークな特性があります。開発パートナーを選ぶ際には、その国の具体的な特性を理解し、自社の要求に最も適した国を選定することが極めて重要です。このプロセスには、国ごとの時差、使用されている公用語、労働コスト、そしてその国の社会的、政治的状況を比較検討することが含まれます。これらの要素を適切に評価することで、円滑なコミュニケーションと効率的なプロジェクト進行を実現し、最終的な成果の質を高めることができるでしょう。
国名 | 時差 | 公用語 | 人件費 | 情勢など |
インドネシア | 1-2時間 | インドネシア語 | ◎ | ◎ |
ベトナム | 2時間 | ベトナム語 | △ | ○ |
ミャンマー | 2.5時間 | ビルマ語 | ◎ | × |
中国 | 1時間 | 中国語 | △ | △ |
インド | 3.5時間 | ヒンディー語、英語(準公用語) | △ | ○ |
フィリピン | 1時間 | 英語・フィリピン語 | ○ | ○ |
バングラデシュ | 3時間 | ベンガル語 | ◎ | △ |
ウクライナ | 6時間 | ウクライナ語 | △ | × |
オフショア開発が注目される背景には、海外の低人件費のエンジニアリソースを利用して開発コストを削減できる利点があります。ただし、最近では急激な円安や新興国の経済成長が進む中で、エンジニアの単価が次第に上昇しています。この点で、インドネシアはミャンマーと共に、顕著なコストメリットを提供できる国の一つです。さらに、オフショア開発はコスト削減だけでなく、優秀な人材を確保する手段としても重視されています。近年ではミャンマーの政情不安から人口世界第4位を誇るインドネシアは、世界中から高い期待を集めている状況です。
出典:「オフショア開発白書(2023年版)」
インドネシアはコスト効率の高いオフショア開発拠点として注目されています。特に労働力の安さ、技術力の向上、豊富な若年層がその魅力です。東南アジア最大の国であり、人口は2億8000万人を超え、その半数以上が30歳以下です。若い労働力は、新しい技術やトレンドに柔軟に対応でき、学習意欲も高いため、IT業界にとって大きな資産です。エンジニアのコストが他国に比べて低く、技術教育も進んでいるため、多くの企業にとって理想的な選択肢となっています。ただし、オフショア開発の歴史が浅く、信頼できるパートナーを見つけるのが難しいという課題も存在します。
有望なオフショア拠点都市:
有望なエンジニア採用を出来る大学:
ベトナムは、日本企業のオフショア開発拠点として非常に人気があります。親日的な国民性、勤勉な労働力、地理的な近さ、そしてコストの安さがその背景です。ベトナム政府はIT人材の育成に力を入れており、リソースの確保が容易です。また、日本語教育が進んでいるため、日本語を話せる人材が豊富です。これにより、高度なシステム開発やAI、ブロックチェーン技術、パッケージソフトウェアの開発にも対応できる企業が増えています。しかし、経済成長に伴う人件費の上昇や、かつてのようなコストメリットの薄れがデメリットとなる場合もあります。オフショア開発企業は、ハノイやホーチミンといった大都市から地方都市へも広がっており、選択肢が増えています。欧米市場への関心が高まる中で、ベトナムのIT開発は今後さらに注目されるでしょう。
有望なオフショア拠点都市:
有望なエンジニア採用を出来る大学:
ミャンマーでは、2016年の民主化以降、国外からの投資が増加し、ITインフラの整備が進みました。安価な労働力を提供するオフショア開発拠点として人気を集めていましたが、2021年のクーデターにより政治的な不安定さが増し、リスク回避のために発注を控える企業が増えています。それでも、現地のオフショア開発は稼働しており、コストメリットを享受できる可能性があります。今後の政治情勢を注視しつつ、ミャンマーは有望なオフショア先としてのポテンシャルを持ち続けています。企業は慎重なリスク評価を行いながら、ミャンマーの利点を最大限に活用することで成功を目指すことができます。
有望なオフショア拠点都市:
有望なエンジニア採用を出来る大学:
中国のオフショア開発市場は、近年シェアが減少していますが、依然として多くの企業が中国のオフショア開発企業を利用しています。市場規模は依然として大きく、カントリーリスクや人件費の高騰を考慮すると、中長期的な戦略が必要です。中国に拠点を持つ企業は、既存の拠点との連携を考慮しつつ、新規でのオフショア開発を検討しています。中国の技術力は高く、特に製造業向けのソフトウェア開発やIoT、AI分野での実績が豊富です。しかし、政治的リスクや知的財産の保護に対する懸念があり、これらの要因を考慮してパートナーシップを築く必要があります。
有望なオフショア拠点都市:
有望なエンジニア採用を出来る大学:
インドはオフショア開発の先駆者であり、多くの企業に利用されています。英語が公用語であり、豊富なIT人材と高い技術力が大きな強みです。特にソフトウェア開発やAI、データサイエンスの分野で優秀な人材が揃っており、世界的に高く評価されています。他のアジア諸国と比べてコストはやや高いものの、競争力は十分にあります。しかし、経済成長に伴う人件費の上昇や都市部での競争激化がデメリットとなることもあります。インドのIT産業は成熟しており、複雑なプロジェクトにも対応できるため、多くの企業が引き続きインドを選んでいます。
有望なオフショア拠点都市:
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フィリピンは、英語が堪能な国としてオフショア開発のシェアを拡大しています。英語でのコミュニケーションが必要な企業にとって非常に魅力的です。日本企業のグローバル化が進む中、英語でのIT開発の需要が高まっており、フィリピンはそのニーズに応える形で成長しています。フィリピンのエンジニアは、ソフトウェア開発、ウェブ開発、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)分野で特に強みを持っています。政府の支援もあり、IT教育が充実しており、質の高い人材が多く存在します。しかし、インフラの課題や時差、プロジェクト管理の難しさがデメリットとして挙げられます。企業はこれらの要素を考慮しながら、フィリピンの利点を活用して成功を目指すことが求められます。
有望なオフショア拠点都市:
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バングラデシュは、急成長中の経済とIT分野での発展が目立っています。安価な労働力と豊富な若年層が強みで、政府主導でIT人材の育成が進んでいます。英語が堪能なエンジニアが多く、コミュニケーションの障壁が低いのも魅力です。多くの企業がバングラデシュをオフショア開発の拠点として選んでいますが、政治的な不安定さやインフラの整備がまだ不十分な点が課題となります。それでも、バングラデシュのポテンシャルは高く、適切な管理とリスクマネジメントを行えば、大きな成果を得ることができます。
有望なオフショア拠点都市:
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ウクライナは東欧におけるIT開発の中心地として急速に発展しています。高い技術力と質の高い教育システムに支えられた優秀なエンジニアが多く、特にソフトウェア開発やITセキュリティの分野で高い評価を受けています。欧州連合への近さもあり、多くの欧米企業がウクライナをオフショア開発の拠点として選んでいます。コストは西欧諸国と比べて低く、コミュニケーションも英語でスムーズに行えます。ただし、政治的な不安定さや一部地域での紛争がリスクとなる場合があります。これらのリスクを考慮しつつ、ウクライナの高い技術力を活用することで、多くの企業が成功を収めています。
有望なオフショア拠点都市:
有望なエンジニア採用を出来る大学:
PT. Timedoor Indonesia
弊社Timedoorはオフショア開発拠点としては珍しいインドネシアのバリ島でオフショア開発サービスを提供しています。創業10周年を迎えインドネシア国内や日本企業のWebサイトやスマホアプリの開発を数多く手掛けています。また現地に子供向けのプログラミングスクールを開校し5000人を超える生徒に教えており現地に根付いたIT企業となっています。
株式会社モンスターラボホールディングス
この企業は国際的な規模で事業を展開しており、デジタルトランスフォーメーション(DX)を主軸に事業を進めています。幅広い知識と豊かな開発経験を有しており、多言語での開発にも対応しています。日本語以外でのプロジェクトを考えている際にも最適な選択肢です。
株式会社ハイブリッドテクノロジーズ
日本およびベトナムに拠点を持つこの企業は、ベトナム市場で長い歴史を持ち、その知名度と実績は非常に豊富です。ゲームアプリの開発・運用からシステム開発、さらにはマーケティングまで、多岐にわたるサービスを提供しています。
株式会社Sun Asterisk
日本とベトナムを中心に、多くの開発拠点を有する企業です。DXコンサルティングから始まり、設計から実装に至るまで全工程を一手に担える広範な能力が魅力です。多様な開発リソースを活用して、Webサービス、業務システム、ゲーム、ECサイト制作など、多方面に対応可能です。
MothersonSumi INfotech & Designs株式会社
日本とインドに拠点を置く企業で、自動車部品製造大手「Samvardhana Motherson Group」の一員です。インドでのオフショア開発を手掛けるとともに、IT支援業務も行っています。
インディビジュアルシステムズ株式会社
日本とベトナムに展開しているこの企業は、日本企業向けのオフショア開発を専門としており、ベトナムの日系IT企業としての知名度が高まっています。業務系システム開発に関する豊富な経験があり、ベトナム進出を検討している企業に対するサポートも充実しています。
株式会社イノベイト
日本を本拠地とし、ベトナムのシステムベンダーと連携して開発を行っている企業です。Webアプリケーション開発に関する豊富な経験があり、システム構築のニーズに迅速に対応し、インフラ構築やシステム運用保守もサポートしています。
株式会社 Wakka Inc.
ベトナムの企業とのパートナーシップを通じて、開発プロジェクトを効率的に進めている会社です。特定の専門分野に強い企業へ業務を委託することにより、システムやコストの最適化を図っています。
株式会社キャピタルナレッジ
日本とミャンマーに展開するこの企業は、WebアプリケーションからECサイト、AI開発、Webサイト制作に至るまで、多様な技術ニーズに対応しています。日本企業としての実績も豊富で、信頼できるパートナーです。
株式会社オリエント・ソフトウエア
アジア、オセアニア、欧米市場を中心にシステム開発を展開している企業で、AIなどの最先端技術への積極的な投資が特徴です。スマホアプリやWebアプリ開発の実績も豊富に持っています。
株式会社サテライトオフィス
ホーチミンとハノイに拠点を持つこのベトナムIT企業は、クラウドコンピューティングに特化しており、日本の有力システム開発会社「サテライトオフィス」のグループ企業です。日本企業を親会社に持ち、安定した経営基盤のもと、信頼して業務を進めることができます。
世界各国で進むオフショア開発は、ただコストを削減するだけではなく、優秀な技術者を確保する重要な手段としても機能しています。特に人口が多く、若年層が多い東南アジアは、多くの国からの注目が集まっています。今後も、各国のオフショア開発の動向を見極めつつ、企業はコスト効率と品質のバランスを取りながら、最適なパートナーと協力していくことが求められます。このような背景を踏まえ、オフショア開発は今後もグローバルなビジネスの重要な戦略の一つとして位置づけられるでしょう。
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