7月 27, 2024 • システム開発 • by Yutaka Tokunaga

オフショア開発において外国人と日本語でチャットする時に気を付けるべきこと

オフショア開発において外国人と日本語でチャットする時に気を付けるべきこと

弊社PT. Timedoor Indonesiaではインドネシアで10年間オフショア開発をしてきていますが、近年は日本の発注元と日本語のできないインドネシア人のローカルプロジェクトマネージャーやプログラマーがSlackやChatworkでChatGPTなどを介して直接やり取りをする機会が増えてきました。一方でAIが全ての言葉の壁、コミュニケーションの課題を解決してくれる訳はなく、これまで様々な試行錯誤を繰り返してきました。本記事では弊社が試行錯誤しながらたどり着いたコミュニケーションロスを防ぐ日本語でのコミュニケーションの取り方のコツをご紹介させていただきます。

 

 

ChatGPTの出現により日本語チャットでオフショア開発が簡単になる

ChatGPTの出現により日本語チャットでオフショア開発が簡単になる

近年、ChatGPTや他のAIツールの登場により、日本語でのチャットを使ったオフショア開発が非常に簡単になりました。以前は、日本語ができるブリッジSE(システムエンジニア)やプロジェクトマネージャーが必要不可欠でした。彼らがクライアントと開発チームの間でコミュニケーションの橋渡しを行うことで、言語や文化の違いによる誤解やトラブルを防いでいました。

例えば、以前は日本語ができるブリッジSEがいないと、細かい仕様変更やバグ修正の指示を正確に伝えることが難しく、多くの時間とコストがかかっていました。しかし、AI翻訳ツールの進化により、現地のプロジェクトマネージャーが直接日本語の指示を受け取り、正確に翻訳して開発チームに伝えることが可能になりました。これにより、コスト削減と効率向上が実現し、より多くのプロジェクトを同時に進行できるようになりました。

インドネシア オフショア開発で日本企業側とローカルPMとの日本語でのチャット例

インドネシア オフショア開発で日本企業側とローカルPMとの日本語でのチャット例

 

弊社でもプロジェクトで何かしらのバグ修正が必要になった際、以前は緊急時でも日本語が堪能なブリッジSEが詳細な指示を翻訳し、現地の開発チームに伝えていました。しかし、AI翻訳ツールの導入後は、日本語が分からないローカルのプロジェクトマネージャーでもAIを使って迅速に指示を理解し、チームに共有することができるようになりました。

 

 

シンプルで短い文章を心がける

シンプルで短い文章を心がける

オフショア開発でのチャットコミュニケーションでは、できるだけシンプルで短い文章を心がけることが重要です。長文で指示を送ると、誤解が生じたり、相手が内容を十分に理解できないまま作業を進めてしまう可能性があります。AIの翻訳はまだ完全ではありませんが、シンプルで短い文章であれば、誤解を生むような翻訳の間違いが発生する可能性は限りなく小さくなります。

たとえば、「本社からの指示で最新のセキュリティパッチを適用する必要が発生したのでシステムのアップデートを行ってください。」という指示を、「システムをアップデートしてください。理由は最新のセキュリティパッチの適用です。」と短くすることで、相手にとって理解しやすくなります。相手にとって知る必要のない余計な情報を限りなく削って、大事なポイントに絞って説明してあげたほうがいいでしょう。

 

 

表現が曖昧な日本語は英単語にする

表現が曖昧な日本語は英単語にする

日本語には曖昧な表現が多く含まれており、それが原因で誤解を招くことがあります。特に専門用語や技術的な表現は、英単語に置き換えることで、誤解を防ぐことができます。

たとえば、「システムが不安定な様です」という表現は、「システムがvery unstableです」と英語で伝えることで、明確に理解してもらえます。また、技術的な用語も変な日本語を使わずに英単語を使用することで、相手が容易に理解できるようになります。

 

具体的な技術的な用語の例:

ソースコード: source code (プログラムの元のテキスト)

オブジェクトコード: object code (コンパイルされた機械語)

アプリケーションプログラミングインターフェイス: application programming interface (API)

ソフトウェア開発キット: software development kit (SDK) (開発に必要なツールやライブラリの集まり)

バージョン管理システム: version control system (VCS) (ソフトウェアの変更履歴を管理するシステム)

統合開発環境: integrated development environment (IDE) (開発に必要なツールが統合された開発環境)

テスト駆動開発: test-driven development (TDD) (テストコードを先に作成し、合わせて開発を進める手法)

ファイアウォール: firewall (不正なアクセスを防御するシステム)

侵入検知システム: intrusion detection system (IDS) (ネットワークへの侵入を検知するシステム)

ドメインネームシステム: Domain Name System (DNS) (ドメイン名をIPアドレスに変換するシステム)

仮想プライベートネットワーク: Virtual Private Network (VPN) (ネット上で安全に通信するための技術)

マルウェア: malware (コンピュータに悪影響を与えるソフトウェアの総称)

パスワードハッシュ: password hash (パスワードを暗号化して保存する方法)

二要素認証: two-factor authentication (2FA) (2つの異なる認証要素を用いた認証方式)

DevOps: development and operations (開発と運用の連携)

 

 

表現が難しい説明は図を使う

表現が難しい説明は図を使う

文章だけでは伝わりにくい複雑な説明は、図を使って視覚的に伝えると効果的です。特にシステムのフローやデザインの変更点など、視覚的な情報が多い場合は、図を添えることで理解が深まります。

例えば、新しい機能のワークフローを説明する際には、フローチャートやダイアグラムを用いると、相手がどのように機能するのかを一目で理解できます。これにより、指示が明確になり、作業の進行がスムーズになります。

また、UI/UXデザインの変更点を説明する際にも、スクリーンショットやワイヤーフレームを使うことで、具体的なイメージを共有できます。これにより、開発チームが誤解なくデザインを実装することができます。

 

 

周りくどい否定系を使わない周りくどい否定系を使わない

否定的な表現を多用すると、相手が混乱しやすくなります。特に二重否定などは避け、肯定的な表現を使用するよう心がけましょう。

たとえば、「おそらくこの方法は間違いではないと思いますが、他の方法も検討してみてください。」という表現は、「この方法は正しいです。しかし他の方法も検討してください。」と肯定的に伝えることで、相手が理解しやすくなります。

「おそらく間違いないのではないでしょうか?」の様な周りくどい否定系をなるべく使わずにストレートに外国人に伝わる表現を心がけましょう。

 

 

順番ごとに箇条書きでリスト化

順番ごとに箇条書きでリスト化

長文の指示は箇条書きにして、順番ごとにリスト化することで、相手が内容を理解しやすくなります。箇条書きにすることで、どの作業が優先されるべきか、どのような手順で進めるべきかが明確になります。

たとえば、以下のように箇条書きにすることで、指示が明確になります:

  1. システムにログイン
  2. 設定メニューを開く
  3. セキュリティパッチを適用
  4. 再起動して動作確認

このように具体的な手順をリスト化することで、相手が迷わずに作業を進めることができます。

これは外国人にメールを書く際にもすごく重宝される考え方となるでしょう。

 

 

伝わっていない気がしたら日本人に電話して確認してもらう

伝わっていない気がしたら日本人に電話して確認してもらう

コミュニケーションの中で、相手が指示を理解していないのではないかと感じた場合、直接電話やチャットで日本人に確認することも重要です。日本語が母語でない相手とのやり取りでは、わかっていないのに、わかったふりをして進めてしまったり、誤解が生じることが少なくありません。そのため、疑問や不安がある場合は、日本語が堪能なスタッフやブリッジSEに間に入ってもらい確認してもらうことを検討しましょう。

例えば、チャットでのやり取りが曖昧であったり、相手からの反応が期待通りでない場合、日本人と電話で直接話すことで、詳細な説明や質問ができ、誤解を解消することができます。また、緊急性の高い問題や重要な指示についても、電話で確認することで、迅速に対応することができます。

具体的には、次のような状況で電話確認が有効です:

  • 複雑な技術的説明が必要な場合
  • 期限が迫っている重要なタスクの場合
  • 相手の理解度に疑問がある場合
  • 緊急で修正しないといけない不具合が発生した場合

 

 

インドネシアで10年間の開発実績 timedoor

インドネシアで10年間の開発実績 timedoor

Timedoorは、インドネシアを拠点とするソフトウェア開発会社です。10年以上にわたり、日本企業を中心に、数多くのWebサイトやスマホアプリの開発プロジェクトを成功させてきました。バリ島の快適な環境を活かし、高品質かつコスト効率の良いオフショア開発サービスを提供しています。

私たちの強みは、日本人担当者が常駐し、クライアントとエンジニア間のコミュニケーションを円滑にすることで、プロジェクトの成功率を高めている点です。また、柔軟な開発体制により、お客様のご要望に合わせた最適なチームを構築し、人材の採用からトレーニングまで、ワンストップでサポートいたします。

人月単価は20万円〜30万円と、コストパフォーマンスの高さも魅力です。フロントエンドからバックエンドまで、幅広い技術に対応可能です。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

 

 

まとめ

オフショア開発で日本語チャットを使用する際には、いくつかのポイントに気を付けることで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。AIツールの活用、シンプルで短い文章、英単語の使用、図を使った説明、わかりやすく肯定的な表現、箇条書きのリスト化など、これらの工夫を取り入れることで、相手との理解を深め、プロジェクトの成功に繋げることができます。

コミュニケーションには間違いが起こる、という前提に立って事前に双方で気を付けてやり取りをすることでお互い気持ちよくスムーズにプロジェクトが進行できるでしょう。

これからオフショア開発を始める方や、既に取り組んでいる方も、これらのポイントを参考にして、より良いコミュニケーションを築いていきましょう。

 

 

 

 

FAQ

Q1: オフショア開発とは何ですか? A1: オフショア開発は、自国ではなく海外の企業やチームにソフトウェア開発や業務を委託することを指します。コスト削減や専門技術の活用を目的としています。

Q2: ChatGPTを使うメリットは何ですか? A2: ChatGPTはAIによる自動翻訳や対話を提供するため、日本語でのチャットを使ったオフショア開発を効率化し、コミュニケーションの誤解を減らすことができます。

Q3: シンプルで短い文章にする理由は何ですか? A3: シンプルで短い文章にすることで、翻訳の誤解を減らし、相手が指示を理解しやすくなります。特にAI翻訳ツールを使用する場合、誤解を避けるために有効です。

Q4: 専門用語を英単語に置き換える理由は何ですか? A4: 日本語には曖昧な表現が多く、誤解を招く可能性があります。英単語に置き換えることで、技術的な用語の意味が明確になり、相手が理解しやすくなります。

Q5: 図を使うことの利点は何ですか? A5: 図を使うことで、文章だけでは伝わりにくい複雑な説明を視覚的に伝えることができます。これにより、相手の理解が深まり、指示が明確になります。

Q6: なぜ周りくどい否定系を使わない方が良いのですか? A6: 否定的な表現や二重否定は、相手が混乱しやすくなるため、避けるべきです。肯定的な表現を使用することで、相手が理解しやすくなります。

Q7: 箇条書きでリスト化する理由は何ですか? A7: 長文の指示を箇条書きにすることで、相手が内容を理解しやすくなり、作業の手順が明確になります。これにより、効率的な作業が可能になります。

Q8: 伝わっていない気がした場合の対策は何ですか? A8: 相手が指示を理解していないと感じた場合、直接電話やチャットで日本語が堪能なスタッフに確認してもらうことで、誤解を解消し、迅速な対応が可能になります。

 

 

 

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