
6月 14, 2024 • システム開発
2月 15, 2025 • システム開発 • by Erika Okada
目次
オフショア開発を成功させるためには、優れたプロジェクトマネージャー(PM)の存在が不可欠です。しかし、PMが必ずしもシステム開発のバックグラウンドを持っている必要はありません。むしろ、PMに求められるのは、プロジェクトを円滑に進行させ、関係者との橋渡し役となるスキルです。本記事では、オフショア開発におけるPMの具体的な役割について詳しく解説します。
オフショア開発とは、海外の開発チームに業務を委託してシステム開発を行う手法です。近年はラボ型開発のような形で海外でコスト削減や開発スピードの向上を目的として導入されることが多いですが、文化や言語の違い、時差、品質管理の難しさなどの課題もあります
そのため、PMは以下のような役割を果たしながら、プロジェクトの成功に向けてリーダーシップを発揮する必要があります。
オフショア開発において、明確な要件定義がなされていないと、開発チームとの認識のズレが発生しやすくなります。PMは、クライアント(日本側)と開発チーム(海外側)の間に立ち、以下の点を整理する必要があります。
– クライアントのビジネス要件を正確に理解する
– 開発チームが理解できる形で仕様書や要件定義書を作成する
– 仕様変更があった場合の影響範囲を分析し、適切に伝達する
特に、ドキュメントが日本語で書かれている場合、開発チームに正しく伝わるように翻訳や説明を行うこともPMの役割です。
オフショア開発の最大の課題の一つが「コミュニケーション」です。日本の開発現場では「暗黙の了解」や「行間を読む」文化が根強くありますが、海外の開発チームにはそれが通じません。
PMは以下のような工夫をして、スムーズな意思疎通を図る必要があります。
– 明確な指示を出す(曖昧な表現を避ける)
– 定期的なオンラインミーティングを設定する(週次・日次の進捗確認)
– 開発チームの文化を理解する(例えば、インドネシアの「Tidak Enak」文化に注意する)
また、「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」の概念が十分に理解されていない場合もあるため、進捗の見える化を徹底することが重要です。
開発スケジュールの管理はPMの重要な役割の一つです。オフショア開発では、以下の要因でスケジュールが遅延することが多いです。
– 時差によるレスポンスの遅れ
– 仕様の理解不足による手戻り
– 文化や休日の違いによる作業スピードの変化
PMは、以下の対策を講じてスケジュールの遅延を防ぎます。
– マイルストーンを細かく設定し、進捗を可視化する
– クリティカルパスを把握し、リスクを事前に洗い出す
– バッファ期間を確保する(納期ギリギリではなく、余裕を持たせる)
スケジュール管理ツール(Jira, Trello, Asana など)を活用し、リアルタイムで進捗を確認できる仕組みを作ることも有効です。
オフショア開発では、品質のバラつきが生じやすいため、PMは品質管理の調整役としても機能します。
– 開発初期の段階でコーディング規約やテスト方針を決定する
– 品質を担保するためのコードレビューやテストを義務付ける
– 納品前に十分なテストを実施し、不具合を最小限に抑える
また、日本の品質基準と海外の品質基準にはギャップがあることが多いため、「どの程度の完成度が求められるのか」を明確に伝えることが大切です。
オフショア開発では、さまざまなリスクが発生します。
– 開発遅延(仕様変更・トラブルによる)
– 品質問題(バグ・要件の誤解)
– エンジニアの離脱(急な退職・プロジェクト変更)
PMは、事前にリスクを洗い出し、以下のような対応策を用意しておく必要があります。
– 開発の進捗を細かくチェックし、問題があれば即座に対応する
– 開発チームの状況(モチベーション・労働環境など)を把握する
– バックアップ体制を整え、特定のエンジニアに依存しない仕組みを作る
特に、エンジニアの離脱はオフショア開発でよく起こるため、「属人化を防ぐ」ためのドキュメント整備やナレッジ共有を徹底することが求められます。
オフショア開発のメリットの一つは「コスト削減」ですが、コスト管理を適切に行わなければ、想定よりも高額になってしまうこともあります。
– 開発コストの見積もりを適切に行う(適正な見積もりを出す)
– 追加費用が発生する条件を事前に明確にする
– 適正な契約書を締結し、トラブルを防ぐ
特に、契約段階で曖昧な部分があると、後から追加コストを請求されるケースがあるため、「どこまでが範囲内なのか」を明確にしておくことが重要です。
オフショア開発では、エンジニアのモチベーションを維持することもPMの役割の一つです。
– 成果を適切に評価し、感謝を伝える
– 単なる「指示役」ではなく、チームの一員として協力する姿勢を見せる
– 文化の違いを理解し、尊重する
モチベーションが低下すると、開発スピードの低下や品質の低下につながるため、PMはエンジニアとの信頼関係を築くことが重要です。
オフショア開発におけるPMの役割は、単なる「管理者」ではなく、チームの橋渡し役、問題解決のリーダー、品質保証の調整役、リスク管理者、コスト管理者として多岐にわたります。
システムの専門知識がなくても、適切なコミュニケーションと管理スキルを持つことで、オフショア開発を成功に導くことが可能です。
Timedoorは、インドネシアにおいて10年以上にわたり、現地企業向けのWebサイト・スマホアプリの開発を手がけ、日本企業のオフショア開発にも豊富な実績を持つIT企業です。プロジェクトには日本人担当者が間に入り、円滑なコミュニケーションをサポートするため、言語の壁を気にすることなくスムーズに進行できます。
当社では、Webやアプリのフロントエンド・バックエンドエンジニアを、人月単価20万円〜25万円でラボ型開発として提供しています。これにより、貴社のプロジェクトチームの一員としてエンジニアを活用することが可能です。また、専属チームの編成や人材の採用・トレーニングにも柔軟に対応し、最適な開発環境を構築します。
拠点を置くインドネシア・バリ島は、世界有数のリゾート地であると同時に、ノマドワーカーやプログラマーにとっても理想的なワークプレイスとして注目されています。私たちは、この恵まれた環境の中で、快適なオフィス環境を整え、創造的かつ高品質なデザイン・システム開発を実現することに取り組んでいます。
企業がソフトウェア開発を海外の開発チームに委託すること。コスト削減や人材確保の目的で採用されるが、言語や文化の違いによる課題も存在する。
プロジェクトの進行管理を担当する責任者。オフショア開発では、国内と海外チームの橋渡し役を務め、スケジュール管理や品質管理を行う。
システム開発において、クライアントの要求を明確にし、開発チームに伝える工程。仕様書や要件定義書を作成することが一般的。
開発するシステムの機能や設計を詳細に記載したドキュメント。オフショア開発では、誤解を防ぐために明確な表現が求められる。
プロジェクトの作業が計画通りに進んでいるかを管理すること。オフショア開発では、時差や報告の遅れに対応するため、マイルストーンの設定が重要。
開発したシステムの動作確認を行い、不具合(バグ)がないかを検証する工程。オフショア開発では、品質基準のズレを防ぐために入念なテストが必要。
プロジェクトにおけるリスク(納期遅延・品質問題・人材流出など)を特定し、対策を講じること。オフショア開発では特に重要な管理要素となる。
開発費用を適正に抑えるための管理プロセス。オフショア開発では、人件費のコントロールや契約交渉が含まれる。
開発チームと業務契約を結ぶ際の交渉。料金、開発範囲、納期、追加費用の発生条件などを明確にすることが重要。
開発チームの意欲を維持し、生産性を向上させるための施策。オフショア開発では、文化や価値観を尊重しながら適切な評価を行うことが求められる。
メリット:
デメリット:
システムの詳細な技術知識がなくても、プロジェクト管理スキルがあればPMは務まります。特に、要件の整理、スケジュール管理、コミュニケーション調整などが得意であれば、開発チームとうまく連携できます。ただし、基本的なIT用語や開発フローについての理解は必要です。
多くの大手企業がオフショア開発を活用しています。例えば、楽天はフィリピンやインドで開発拠点を持ち、グローバルなエンジニアと協力してサービスを展開しています。また、トヨタもオフショア開発を活用し、現地のエンジニアを育成しながらソフトウェア開発を進めています。
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