2月 22, 2025 • インドネシア, スタートアップ • by Delilah

インドネシアの注目スタートアップ企業eFishery(イーフィッシャリー)

eFishery（イーフィッシャリー）は、インドネシアのバンドンを拠点とする養殖テクノロジー企業であり、魚やエビの養殖業者向けにIoT技術を活用した自動給餌システムや関連サービスを提供しています。2013年10月8日にギブラン・フファイザ氏によって設立され、インドネシア国内およびインドなどの国々で事業を展開しています。

eFishery（イーフィッシャリー）の会社概要

eFishery（イーフィッシャリー）は、インドネシアのバンドンを拠点とする養殖テクノロジー企業で、魚やエビの養殖業者向けにIoT技術を活用した自動給餌システムや関連サービスを提供しています。2013年10月8日にギブラン・フファイザ氏によって設立され、インドネシア国内およびインドなどで事業を展開しています。

会社名：PT Multidaya Teknologi Nusantara
創業者：ギブラン・フファイザ
創業年：2013年
本社所在地：インドネシア、バンドン

eFishery

eFishery（イーフィッシャリー）の創業の経緯やストーリー

eFisheryの創業者であるギブラン・フファイザ氏は、大学卒業後に養殖業に従事し、その経験から養殖業界が直面する課題を認識しました。特に、手動での給餌が非効率であり、餌の無駄や水質悪化などの問題を引き起こしていることに着目しました。これらの課題を解決するため、IoT技術を活用した自動給餌システムの開発を決意し、2013年にeFisheryを設立しました。

eFishery（イーフィッシャリー）の事業内容とサービス内容

eFisheryは、養殖業者向けに以下のような製品やサービスを提供しています。

自動給餌システム：IoT技術を活用し、魚やエビの養殖池に適切な量の餌を自動で供給するシステムです。これにより、餌の無駄を最小限に抑え、養殖効率を向上させます。
eFisheryKu：魚類養殖業者向けのアプリケーションで、養殖プロセスのモニタリングや管理をサポートします。
eFarm：エビ養殖業者向けのアプリケーションで、養殖場の運営状況をリアルタイムで監視し、最適な管理を支援します。
eFishery Fund：養殖業者が資金調達を行う際のサポートを提供し、金融アクセスの向上に寄与しています。

eFishery（イーフィッシャリー）の主要なマイルストーン

2013年10月8日：eFishery設立。

2018年：シリーズA資金調達の際、収益を人工的に増加させるためにペーパーカンパニーを設立し、虚偽の財務報告を開始。
2020年：eFisheryのシステムがインドネシア国内の120都市で導入され、広範な普及を達成。
2022年1月：シリーズCラウンドで9000万ドルの資金調達を実施。
2023年7月：シリーズDラウンドで2億ドルの資金調達を行い、企業評価額が10億ドルに達し、ユニコーン企業となる。
2024年末：内部監査により、2018年以降の虚偽の財務報告が明らかになり、収益を実際よりも4.8倍多く報告していたことが判明。この結果、創業者兼CEOのギブラン・フファイザ氏と共同創業者兼CPOのクリスナ・アディティア氏が辞任。
2025年1月：eFisheryは銀行からの債務を全て返済したと発表。しかし、100人の従業員を解雇し、2月にはさらに300人の解雇が報じられる。
2025年2月：インドネシア国家警察の犯罪捜査局が、ギブラン・フファイザ氏に対する捜査を開始。

eFishery（イーフィッシャリー）の競合企業

eFisheryの主な競合企業として、以下のような企業が存在します。

AquaConnect：インドを拠点とする養殖テクノロジー企業で、養殖業者向けにデジタルプラットフォームやサービスを提供しています。
XpertSea：カナダの企業で、AIとデータ分析を活用した養殖管理ソリューションを提供しています。
Jala Tech：インドネシアのスタートアップで、エビ養殖業者向けに水質モニタリングデバイスやデータ分析サービスを提供しています。

eFishery（イーフィッシャリー）の不正財務報告事件とは？

eFishery（イーフィッシャリー）は、インドネシアの養殖テクノロジー企業で、IoT技術を活用した自動給餌システムや関連サービスを提供しています。2013年にギブラン・フファイザ氏によって設立され、2023年には企業評価額が14億ドルに達し、ユニコーン企業となりました。

しかし、2024年12月、内部告発により、同社が2018年以降、売上高と利益を大幅に水増ししていた疑惑が浮上しました。内部調査によれば、2024年1月から9月の期間で、投資家に対して7億5200万ドルの売上高と1600万ドルの利益を報告していましたが、実際には1億5700万ドルの売上高と3540万ドルの損失であったとされています。この不正行為は、外部向けと内部向けの2種類の財務報告書を作成し、外部向けには虚偽の情報を提供するという手法で行われていました。

この事態を受け、共同創業者であるCEOのギブラン・フファイザ氏とCPOのクリスナ・アディティア氏は職務を解任され、暫定的にCFOのアディ・ウィビソノ氏がCEOに、アルバートゥス・サスミトラ氏がCFOに任命されました。この一連の不正問題は、インドネシアのスタートアップ業界全体に大きな衝撃を与え、業界の信頼性や透明性に対する懸念が高まっています。

eFisheryの粉飾決算によってインドネシアのユニコーンドリームが終わりを迎える？

eFishery（イーフィッシャリー）のインドネシアのユーザーの反応

eFishery（イーフィッシャリー）は、インドネシアの養殖業者から高い評価を受けてきました。同社の自動給餌システムや関連サービスの導入により、生産性の向上や収益の増加が実現し、多くの養殖業者がその効果を実感しています。しかし、2024年末に明らかになった財務不正問題により、ユーザーの間で不安や懸念が広がっています。特に、同社の信頼性や将来性に対する疑問の声が上がっており、業界全体への影響も懸念されています。この事態を受けて、eFisheryは信頼回復に向けた取り組みを強化する必要があります。具体的には、透明性のある情報開示やガバナンスの強化、ユーザーとのコミュニケーションの深化などが求められています。また、インドネシア政府や業界団体も、スタートアップ企業の健全な成長を支援するための制度や監督体制の見直しを検討する必要があります。eFisheryの今後の対応が、ユーザーの信頼回復と業界全体の健全な発展に大きく影響することが予想されます。

まとめ

eFishery（イーフィッシャリー）は、インドネシアのバンドンを拠点とする養殖テクノロジー企業であり、魚やエビの養殖業者向けにIoT技術を活用した自動給餌システムや関連サービスを提供しています。2013年にギブラン・フファイザ氏によって設立され、急速な成長を遂げ、2023年には企業評価額が10億ドルに達し、ユニコーン企業となりました。しかし、2024年末に内部監査により、2018年以降の虚偽の財務報告が明らかになり、創業者兼CEOのギブラン・フファイザ氏と共同創業者兼CPOのクリスナ・アディティア氏が辞任する事態となりました。この一連の不正問題は、インドネシアのスタートアップ業界全体に大きな衝撃を与え、業界の信頼性や透明性に対する懸念が高まっています。

本記事で使用した単語の解説

ユニコーン企業：企業評価額が10億ドル以上の未上場企業を指します。
IoT技術：「Internet of Things」の略で、モノのインターネットとも呼ばれ、各種デバイスがインターネットを通じて相互に情報をやり取りする技術です。
自動給餌システム：魚やエビの養殖池において、適切な量の餌を自動的に供給するシステムです。
シリーズA/B/C/Dラウンド：スタートアップ企業が資金調達を行う際の各段階を指します。シリーズAは初期段階、Bは成長段階、Cは拡大段階、Dは成熟段階の資金調達を意味します。
ペーパーカンパニー：実体のない法人で、主に税金対策や資金移動の目的で設立される会社を指します。
内部監査：企業内部の業務や財務状況をチェックし、問題点を洗い出すための監査活動です。
ガバナンス：企業統治とも呼ばれ、企業の経営管理や意思決定の仕組みを指します。