
3月 1, 2025 • インドネシア
1月 22, 2025 • インドネシア • by Yutaka Tokunaga
目次
インドネシアのスタートアップ業界は、近年急速に成長し、多くのユニコーン企業を生み出してきました。しかし、eFisheryの不正会計疑惑は、この業界全体の信頼性を大きく揺るがしています。GoToやBukalapakが上場し、フィンテック関連以外のスタートアップ企業が成長やEXITに苦戦する中、アグリテックであるeFisheryはインドネシアスタートアップの希望の星でした。しかし今回内部調査の結果により7億5200万ドルの売上高と1600万ドルの利益と報告しましたが、実際には1億5700万ドルの売上高と3540万ドルの損失と虚偽であったと言われています。
eFisheryは2013年に設立された水産養殖分野のスタートアップで、魚やエビの養殖業者向けにIoT技術を活用したスマート給餌装置を提供しています。同社は以下のような主要な資金調達を受け、ユニコーン企業へと成長しました。
これらの投資を通じて、eFisheryは2023年に企業評価額14億ドルに達し、インドネシア初のアグリテックユニコーン企業となりました。
2024年12月、eFisheryの内部告発により、同社が数年間にわたり売上高と利益を水増ししていた疑惑が浮上しました。内部調査によると、2024年1月から9月の期間で同社は投資家に対し、7億5200万ドルの売上高と1600万ドルの利益を報告しましたが、実際には1億5700万ドルの売上高と3540万ドルの損失であったとされています。これは報告された売上高の約75%が虚偽であったことを示しています。
不正会計疑惑を受け、共同創業者であるCEOギブラン・フザイファ氏とCPOクリスナ・アディティア氏は職務を解任されました。暫定措置として、CFOのアディ・ウィビソノ氏が暫定CEOに、アルバートゥス・サスミトラ氏が暫定CFOに任命されました。この混乱により、同社の信頼性と業績に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。
Gibran Huzaifah
インドネシアのスタートアップ業界では、eFishery以外にも以下のような粉飾決算や不正のや事業の破綻などの事例が報告されています。
個人的に金融やコマース系が中心のインドネシアのユニコーン企業の中でアグリテックやディープテックを生業にするeFisheryはインドネシアの希望であり、大きな期待をしていたので、今回の事件をとても残念に思っています。
eFisheryの不正会計疑惑は、インドネシアのスタートアップ業界における信頼性と透明性の欠如を浮き彫りにしていて、業界全体の評判を損なうだけでなく、海外の投資家はより慎重に投資することになり今後の資金調達が困難になります。
このような事態を防ぐためには、ガバナンスの強化と透明性の確保が急務です。成長や成功の前提にあるべきは経営者の尊厳と正しい心です。
eFisheryの事件を教訓とし、インドネシアのスタートアップ業界が信頼を回復し、より持続可能な未来に向かって歩むことを期待しています。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業