8月 3, 2026 • インドネシア • by Ayako Yamamoto

インドネシア人介護人材を採用する前に知っておきたい文化の違い

インドネシア人介護人材を採用する前に知っておきたい文化の違い

目次

日本の介護業界では、人手不足が長期的な課題となっています。高齢化が進む中で、介護サービスを安定して提供するためには、日本人職員だけでなく、外国人介護人材の受け入れも現実的な選択肢になっています。

その中でもインドネシア人材は、介護分野において注目される存在です。インドネシアは人口が多く、若い世代も多く、日本で働くことに関心を持つ人も少なくありません。また、家族を大切にする価値観や、人との関係性を重視する文化があり、介護の仕事と相性が良いと感じる企業や施設もあります。

一方で、インドネシア人材を採用する際には、日本人と同じ感覚で接すると、思わぬ誤解が生まれることがあります。仕事に対する考え方、報告や相談の仕方、宗教への向き合い方、食事、時間感覚、家族との関係、上司との距離感など、日本の職場文化とは異なる点が多くあります。

ただし、ここで大切なのは、文化の違いを「問題」として見るのではなく、事前に理解しておくべき「前提」として捉えることです。文化の違いそのものがトラブルを生むのではありません。違いを知らないまま採用し、説明せず、確認せず、現場任せにすることがトラブルを生みます。まるで説明書を読まずに機械を壊してからメーカーに怒るようなものです。

この記事では、インドネシア人介護人材を採用する前に知っておきたい文化の違いについて、介護現場で実際に起こりやすい場面を意識しながら解説します。制度や手続きだけでなく、受け入れ後の定着、職場づくり、教育、マネジメントまで含めて考えるための基礎知識として参考にしてください。

 

インドネシア人介護人材が注目される背景

インドネシア人介護人材を採用する前に知っておきたい文化の違い (1)

日本の介護業界では人材確保が大きな課題になっている

日本では、介護人材の確保が今後さらに重要になります。厚生労働省の資料では、介護職員の必要数は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人と見込まれています。2022年度の介護職員数を基準にすると、2040年度までに大幅な人材確保が必要になる計算です。

このような状況の中で、外国人介護人材の受け入れは一時的な穴埋めではなく、介護事業を継続するための重要な経営課題になりつつあります。もちろん、外国人材を採用すればすべて解決するという単純な話ではありません。採用、教育、生活支援、職場定着、資格取得支援まで含めた総合的な受け入れ体制が必要です。

インドネシアは若い人材が多い国

インドネシアは東南アジアの大国であり、人口規模も大きく、若い世代の労働力が豊富です。日本のように高齢化が進む国から見ると、若い人材が多いことは大きな魅力に見えます。

また、インドネシアでは日本への関心も一定程度あります。日本の技術、教育、アニメ、生活水準、仕事の安定性などに良いイメージを持つ若者もいます。特定技能や技能実習、EPAなどを通じて、日本で働くルートを目指す人もいます。

ただし、ここで注意すべきなのは、「日本に行きたい」と「日本の介護現場で長く働ける」は別の話だということです。採用前に期待値をすり合わせ、仕事内容や生活環境を正しく伝えなければ、入国後にギャップが生まれます。夢だけで採用して、現実で離職される。人類はこの手のミスを何度繰り返せば気が済むのでしょうか。

介護の仕事とインドネシア人材の相性

インドネシアには、家族を大切にする価値観、人との関係性を重視する文化、年長者を敬う考え方があります。もちろん個人差はありますが、こうした価値観は介護の仕事における高齢者への接し方と相性が良い場合があります。

利用者に対して丁寧に接する、笑顔で対応する、周囲との関係を大切にする、といった姿勢は、介護現場でも評価されやすい部分です。特に、利用者との距離感を温かく保てる人材は、施設の雰囲気づくりにも良い影響を与えることがあります。

一方で、日本の介護は感情的な優しさだけでは成立しません。記録、報告、リスク管理、感染対策、時間管理、チームケアなど、細かいルールの積み重ねが必要です。インドネシア人材の人柄の良さに期待するだけでなく、日本の介護現場で必要な行動を具体的に教えることが重要です。

 

まず理解しておきたいインドネシアの基本文化

インドネシアは多民族・多宗教の国

インドネシアと聞くと、イスラム教の国というイメージを持つ人が多いかもしれません。実際、インドネシアは世界最大級のムスリム人口を持つ国です。ただし、インドネシアを単純に「イスラム教の国」とだけ理解すると、現実を見誤ります。

インドネシアには、ジャワ人、スンダ人、バリ人、バタック人、ブギス人、ミナンカバウ人、華人系インドネシア人など、多様な民族や地域文化があります。宗教もイスラム教だけでなく、キリスト教、ヒンドゥー教、仏教、儒教などが存在します。

たとえば、バリ島出身者はヒンドゥー教徒が多く、北スラウェシや東ヌサトゥンガラ、パプアなどにはキリスト教徒も多くいます。ジャワ島やスマトラ島などではイスラム教徒が多い傾向があります。このように、出身地域によって宗教や文化が異なるため、「インドネシア人だから全員同じ」と考えるのは危険です。

個人よりも関係性を重視する傾向

インドネシアでは、個人の主張よりも、人間関係や場の調和を重視する傾向があります。もちろん都市部の若者や海外経験のある人材は比較的個人主義的な考え方を持つこともありますが、一般的には周囲との関係を壊さないことを大切にします。

この文化は、介護現場では良い面もあります。チームに馴染もうとする、相手に配慮する、利用者や同僚に対して柔らかく接する、といった行動につながることがあります。

一方で、悪い報告やミスの共有が遅れることもあります。上司に怒られたくない、迷惑をかけたくない、場の雰囲気を悪くしたくないという気持ちから、問題を自分の中に抱えてしまう場合があります。介護現場では、この「遠慮」が事故につながることがあります。

上下関係を重視する文化

インドネシアでは、年上の人、先生、上司、親、地域のリーダーなどに敬意を払う文化があります。日本にも上下関係はありますが、インドネシアではさらに「目上の人に反論しにくい」という感覚を持つ人もいます。

介護現場で日本人上司が「分からないことがあったら何でも聞いて」と言っても、実際には質問しにくいことがあります。本人が理解していなくても、「はい」と答えてしまう場合があります。これはやる気がないのではなく、目上の人に対して「分かりません」と言うことに心理的な抵抗があるためです。

そのため、教育担当者は「質問してね」と言うだけでなく、「今から一緒に確認しましょう」「ここまでを自分の言葉で説明してみてください」「分からない部分があるのは普通です」といった形で、質問しやすい空気を作る必要があります。

高文脈コミュニケーションの傾向

インドネシアのコミュニケーションは、直接的な言葉だけでなく、表情、雰囲気、人間関係、相手の立場を読みながら進むことが多いと言われます。いわゆる高文脈コミュニケーションに近い傾向です。

日本も高文脈文化と言われることがありますが、日本とインドネシアの「察するポイント」は同じではありません。日本人同士なら通じる暗黙の了解も、インドネシア人材には伝わらないことがあります。

たとえば、「できれば早めにお願いします」という表現は、日本人なら急ぎだと理解するかもしれません。しかし、外国人材にとっては「可能なら早めでよい」という柔らかい依頼に聞こえる場合があります。介護現場では、曖昧な表現ではなく、「今日の15時までに記録を入力してください」のように、期限、方法、判断基準を具体的に伝えることが大切です。

 

宗教に関する文化の違い

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イスラム教徒が多いが、全員が同じではない

インドネシア人材を受け入れる際、多くの企業が最初に気にするのが宗教です。特にイスラム教徒の場合、礼拝、食事、断食、服装などへの配慮が必要になることがあります。

ただし、イスラム教徒であっても、信仰の実践度合いは人によって異なります。毎日きちんと礼拝する人もいれば、仕事中は柔軟に対応する人もいます。ハラール食品を厳格に守る人もいれば、豚肉やアルコールを避けることを中心に考える人もいます。

大切なのは、「イスラム教徒だからこうだ」と決めつけるのではなく、本人に確認することです。採用前面談や入職時オリエンテーションで、礼拝、食事、服装、ラマダン中の働き方について、本人の希望と職場で対応できる範囲を話し合うことが重要です。

礼拝への配慮

イスラム教徒は、1日に複数回の礼拝を行うことがあります。日本の介護施設では、業務時間中に礼拝時間が重なることもあります。ただし、礼拝に必要な時間は長時間ではなく、短い時間で済む場合が多いです。

施設側ができる配慮としては、休憩時間の一部を使えるようにする、清潔で静かなスペースを用意する、シフト上可能な範囲で本人が礼拝しやすい時間を考慮する、といった方法があります。

ここで重要なのは、特別扱いというよりも、働き続けるための環境調整として考えることです。礼拝スペースと言っても、大きな部屋を専用で用意する必要はありません。清潔で人目が少なく、短時間利用できる場所があれば十分な場合もあります。

ハラールと食事の配慮

イスラム教徒のインドネシア人材の場合、豚肉やアルコールを避ける必要があります。調味料、加工食品、スープ、ゼラチン、肉エキスなどに注意する人もいます。

介護施設では、職員食、歓迎会、懇親会、夜勤時の食事などで配慮が必要になることがあります。たとえば、同じ鍋料理や焼肉店で豚肉が混ざる、アルコール中心の飲み会に参加を強く求める、弁当に豚肉が入っているのに代替がない、といった場面は注意が必要です。

ただし、すべてを施設側が完璧に準備しなければならないわけではありません。本人が弁当を持参する、食べられるメニューを事前に確認する、豚肉を使わない選択肢を用意するなど、現実的な方法を一緒に決めることが大切です。

ラマダン中の働き方

イスラム教徒にとって、ラマダンは大切な期間です。日の出から日没まで飲食を控える断食を行う人もいます。介護職は身体を使う仕事であり、入浴介助、移乗介助、夜勤などもあるため、ラマダン中の体調管理には注意が必要です。

施設側としては、ラマダン中の本人の体調を確認し、無理が出やすい業務や時間帯について相談できる環境を作ることが望ましいです。ただし、本人が断食をしているからといって、一律に業務から外す必要はありません。本人の希望、体調、職場の安全性を確認しながら調整することが大切です。

また、ラマダン明けの祝日であるレバラン、つまりイドゥル・フィトリは、インドネシア人にとって非常に大きな行事です。家族と過ごすために帰省や休暇を希望する人もいます。日本の年末年始に近い感覚と考えると分かりやすいでしょう。

宗教配慮はルール化しておく

宗教配慮でトラブルが起こる原因の多くは、個別対応が曖昧なまま進むことです。ある職員には配慮したが、別の職員には対応しなかった。ある上司は理解があるが、別の上司は否定的。こうなると、不公平感や不信感が生まれます。

そのため、採用前に施設として対応できる範囲を整理しておくことが重要です。礼拝スペース、食事、休暇、制服、ラマダン中の勤務相談などについて、基本方針を作っておくと現場が迷いにくくなります。

宗教配慮は「何でも受け入れること」ではありません。安全な介護サービスを提供するために必要な業務基準を守りながら、本人が働き続けやすい環境を整えることです。

 

食文化の違い

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米を中心とした食生活

インドネシアでは、米を中心とした食生活が一般的です。日本と同じく米文化があるため、食生活の面では馴染みやすい部分もあります。ただし、味付けや食べ方には違いがあります。

インドネシア料理は、辛味、甘味、香辛料、揚げ物、鶏肉、魚、卵、テンペ、豆腐などをよく使います。日本の食事は比較的あっさりしているため、最初は味が薄いと感じる人もいます。

施設の職員食や寮の食事がある場合、日本食だけでなく、本人が自分で調味料を使える環境や、インドネシア食材を買える場所の情報を提供すると、生活への適応がしやすくなります。

豚肉とアルコールへの注意

イスラム教徒の場合、豚肉とアルコールは特に注意が必要です。介護施設では、職員同士の食事会や歓迎会で問題になりやすい部分です。

たとえば、「せっかくだから一口だけ」「日本では普通だから」といった誘い方は避けるべきです。本人にとって宗教的に大切なルールである場合、軽い冗談のつもりでも強い不快感につながります。

また、アルコールを飲まない人に対して、飲み会参加を当然のように求めることも注意が必要です。日本の職場には、飲み会を通じて仲良くなる文化がありますが、外国人材にとっては負担になる場合があります。そもそも飲み会で結束を測る職場文化自体、そろそろ人類が卒業してもよさそうな習慣です。

食事は生活満足度に直結する

食事は単なる栄養補給ではありません。海外で働く人にとって、食事は精神的な安定にも関わります。慣れない国で働き、言葉も文化も違う中で、食事まで合わないとストレスは大きくなります。

インドネシア人材の定着を考えるなら、食事環境のサポートは軽視できません。近くのハラール対応店、アジア食材店、インドネシア食材が買えるオンラインショップ、自炊環境などを案内するだけでも、生活の安心感は変わります。

 

時間感覚と仕事の進め方の違い

日本の時間厳守文化はかなり特殊

日本の職場では、時間厳守が非常に重視されます。出勤時間、申し送り、送迎、食事介助、入浴介助、記録、服薬確認など、介護現場では時間通りに動くことがサービス品質や安全に直結します。

一方で、インドネシアでは日本ほど細かく時間に厳密ではない場面もあります。もちろん、都市部の企業や専門職では時間管理が厳しい職場もありますが、一般的な生活文化としては、日本のように数分単位で管理する感覚とは異なることがあります。

そのため、出勤時間に間に合うこと、始業前に着替えや準備を終えること、利用者対応の時間を守ること、休憩から戻る時間を守ることなどは、入職時に具体的に説明する必要があります。

「遅刻しないで」だけでは不十分

時間管理を教える際に、「遅刻しないでください」とだけ伝えても不十分です。日本の介護現場では、始業時間ちょうどに施設に到着するのでは遅い場合があります。制服に着替え、申し送りを受け、担当業務を確認した状態で業務開始できることが求められます。

この感覚を共有するには、「9時勤務開始なら、8時45分には施設に到着し、8時55分には現場に入れる状態にする」といった具体的な説明が必要です。

また、遅刻や欠勤の連絡ルールも明確にする必要があります。誰に、何時までに、どの方法で連絡するのか。体調不良の場合は診断書が必要なのか。シフト変更は何日前までに相談するのか。曖昧にしておくと、本人も現場も困ります。

仕事の優先順位を明確に伝える

介護現場では、複数の業務が同時に発生します。ナースコール、排泄介助、食事介助、記録、清掃、見守り、申し送りなど、優先順位を判断する力が求められます。

しかし、外国人材にとっては、日本語の理解だけでなく、日本の介護現場特有の判断基準を学ぶ必要があります。「何を先にするべきか」「どの状態ならすぐ報告すべきか」「自分で判断してよい範囲はどこまでか」を明確に伝えることが重要です。

優先順位は、口頭説明だけでなく、チェックリストや具体例で教えると効果的です。たとえば、転倒、発熱、食事量の低下、服薬ミス、利用者の急な表情変化など、すぐに報告すべきケースを具体的に示すことが必要です。

 

報告・連絡・相談の文化の違い

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「分かりました」の意味を確認する

インドネシア人材に限らず、外国人材の教育でよく起こるのが、「分かりました」と言ったのに実際には理解できていなかったという問題です。

これは本人が嘘をついているとは限りません。日本語が完全には理解できていない、上司に失礼だと思って質問できない、何が分からないのか自分でも整理できていない、ということがあります。

そのため、教育担当者は「分かりましたか」と聞くだけでなく、「では、次に何をするか説明してください」「この場合は誰に報告しますか」「利用者がこうなったらどうしますか」と確認することが大切です。

ミスを報告しやすい職場にする

介護現場では、ミスやヒヤリハットの早期報告が非常に重要です。しかし、インドネシア人材の中には、怒られることを恐れて報告が遅れる人もいます。これは文化的な遠慮や上下関係への配慮とも関係します。

施設側は、ミスを責める文化ではなく、早く共有して再発防止する文化を作る必要があります。もちろん、重大なルール違反を見逃すという意味ではありません。重要なのは、報告した人を感情的に叱責しないことです。

特に入職初期は、「ミスをしたらすぐ報告することが評価される」「隠すことが一番危険」「報告は怒られるためではなく、利用者を守るため」というメッセージを繰り返し伝える必要があります。

曖昧な指示は避ける

日本人同士の職場では、「いつもの感じで」「適当にやっておいて」「なるべく早く」などの曖昧な表現が使われることがあります。しかし、外国人材には伝わりにくい表現です。

介護現場では、曖昧な指示が事故や不満につながります。たとえば、「きれいにしておいて」ではなく、「食後にテーブルを拭き、床に食べこぼしがないか確認し、椅子を元の位置に戻してください」と具体的に伝える方が安全です。

指示は、誰が、いつまでに、何を、どの手順で、どの基準まで行うのかを明確にする必要があります。これは外国人材のためだけではなく、日本人新人職員にとっても有効です。

 

家族観の違い

家族とのつながりが非常に強い

インドネシアでは、家族とのつながりが強い傾向があります。親、兄弟姉妹、親戚、地域コミュニティとの関係を大切にする人が多くいます。

日本で働くインドネシア人材の中には、家族への仕送りを目的として来日する人もいます。自分の収入が家族の生活費、兄弟姉妹の教育費、親の医療費、家の建築費などに使われる場合もあります。

そのため、給与、残業、賞与、手取り額、家賃、生活費、送金可能額などは、本人にとって非常に重要です。採用時に給与条件を曖昧に伝えると、後から大きな不信感につながります。

家族都合による相談が起こることもある

家族を大切にする文化があるため、家族の病気、結婚式、宗教行事、親族の問題などで休暇相談が入ることがあります。日本の職場感覚では「本人の問題ではない」と感じることでも、インドネシア人材にとっては重要な家族の責任である場合があります。

もちろん、すべての希望を受け入れる必要はありません。介護施設にはシフトがあり、利用者へのサービス提供責任があります。ただし、家族都合の相談を一方的に否定すると、本人の不満や退職意向につながることがあります。

大切なのは、休暇申請のルールを事前に明確にし、相談しやすい環境を作ることです。何日前までに申請するのか、長期休暇はどの時期なら取りやすいのか、緊急時は誰に連絡するのかを整理しておくと、現場の混乱を減らせます。

仕送りと金銭トラブルへの注意

インドネシア人材の中には、家族への仕送りを重視する人がいます。そのため、残業代、控除、税金、社会保険、寮費、食費などについて、採用前から丁寧に説明することが重要です。

求人票に書かれた額面給与だけを見て来日すると、実際の手取り額との差に驚くことがあります。日本では税金や社会保険料が控除されるため、手取り額が想像より少なくなる場合があります。

ここを曖昧にすると、「聞いていた話と違う」と感じられます。採用時には、月給、手当、控除、想定手取り、家賃、光熱費、食費、送金可能額の目安まで説明することが望ましいです。

 

上司・先輩との関係性の違い

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厳しい指導が萎縮につながることがある

日本の介護現場では、忙しさや人手不足から、指導がつい厳しい口調になることがあります。利用者の安全を守る仕事である以上、注意が必要な場面は当然あります。

しかし、インドネシア人材の中には、強い口調で注意されると大きく萎縮してしまう人もいます。特に人前で叱られることを非常に恥ずかしいと感じる場合があります。

指導するときは、人格を否定せず、行動に絞って伝えることが大切です。「あなたはダメ」ではなく、「この場面では先に報告してください」「この手順を守らないと利用者が危険です」と具体的に伝えます。

褒めることも教育の一部

インドネシア人材に限らず、外国人材の定着には、できていることをきちんと伝えることが重要です。日本の職場では、問題があるときだけ注意し、できていることは言わない傾向があります。沈黙を評価だと思うのは、なかなか高度な人間バグです。

本人が何を評価されているのか分からないと、不安が強くなります。逆に、「今日の申し送りは分かりやすかった」「利用者への声かけが丁寧だった」「記録の書き方が前より良くなった」と具体的に伝えると、本人の成長につながります。

褒めることは甘やかすことではありません。良い行動を明確にし、再現できるようにする教育です。

相談役を決めておく

インドネシア人材が困ったとき、誰に相談すればよいのか分からない状態は避けるべきです。直属の上司、教育担当者、生活支援担当者、登録支援機関の担当者など、相談先を明確にする必要があります。

特に入職初期は、仕事の悩みと生活の悩みが混ざりやすい時期です。日本語が分からない、銀行や役所の手続きが難しい、寮生活に不満がある、食事に困る、ホームシックになるなど、さまざまな問題が起こります。

仕事だけ教えて生活面を放置すると、定着は難しくなります。介護人材として採用しているとはいえ、本人は日本で生活する一人の人間です。まあ、当たり前なのですが、なぜか採用現場では忘れられがちです。

 

日本語コミュニケーションの違い

日常会話と介護日本語は違う

インドネシア人材が日本語能力試験に合格していても、介護現場ですぐに問題なく働けるとは限りません。日常会話の日本語と、介護現場で使う日本語は違います。

介護現場では、利用者への声かけ、申し送り、記録、医療用語、身体状況の説明、緊急時の報告など、専門的な表現が必要になります。たとえば、「むくみ」「ふらつき」「誤嚥」「服薬」「排泄」「褥瘡」「傾眠」など、日常会話ではあまり使わない言葉も多くあります。

そのため、採用時の日本語レベルだけで判断するのではなく、入職後も介護日本語の教育を継続する必要があります。

利用者の方言や早口が難しい

日本語を学んできた外国人材にとって、現場で難しいのは教科書の日本語ではなく、利用者や職員の自然な話し方です。高齢者の方言、早口、小さな声、曖昧な表現、遠回しな言い方は、非常に理解が難しいことがあります。

特に地方の介護施設では、方言が大きな壁になる場合があります。利用者の言葉が聞き取れず、本人が困っていても、周囲に言い出せないことがあります。

施設側は、よく使う方言や表現をリスト化し、意味を教えるとよいでしょう。たとえば、「しんどい」「えらい」「なおす」「ほかす」など、地域によって意味が異なる言葉もあります。

記録業務の支援が必要

介護記録は、外国人材にとって難易度が高い業務の一つです。日本語で正確に、簡潔に、客観的に書く必要があるためです。

記録では、「元気そうだった」よりも、「朝食を8割摂取。表情は穏やか。歩行時にふらつきなし」のように、具体的な観察内容を書くことが求められます。これは日本人新人にも難しい作業です。

外国人材には、記録のテンプレート、よく使う表現集、NG例と良い例を用意すると効果的です。また、最初から完璧な記録を求めるのではなく、段階的に育成することが大切です。

 

介護観・高齢者観の違い

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家族介護の感覚が強い人もいる

インドネシアでは、家族が高齢者を支えるという考え方が強い地域や家庭もあります。そのため、高齢者施設で介護を受けるという仕組みに、最初は違和感を持つ人もいます。

日本では、介護保険制度のもとで、施設介護、通所介護、訪問介護などが整備されています。家族だけでなく、社会全体で高齢者を支える仕組みです。この制度的な背景を理解してもらうことも、介護人材の教育では重要です。

「なぜ家族ではなく施設が介護するのか」「なぜ記録が必要なのか」「なぜ利用者の自立支援を重視するのか」といった基本的な考え方を説明することで、仕事への理解が深まります。

優しさと自立支援の違い

インドネシア人材の中には、高齢者に対して非常に親切に接する人がいます。これは介護現場で大きな強みになります。しかし、日本の介護では、何でも手伝うことが良い介護とは限りません。

利用者が自分でできることまで職員が代わりにやってしまうと、身体機能や生活意欲の低下につながる場合があります。日本の介護では、利用者の尊厳や自立支援を重視します。

そのため、「親切にすること」と「自立を支えること」の違いを教える必要があります。たとえば、すぐに手を貸すのではなく、本人ができる部分を見守り、必要な部分だけ支援するという考え方です。

身体接触への理解

介護では、入浴介助、排泄介助、移乗介助、更衣介助など、身体に触れる業務があります。インドネシア人材にとって、異性への身体介助に戸惑いがある場合もあります。

特に宗教や個人の価値観によっては、異性の身体に触れることに心理的な抵抗を感じる人もいます。採用前や配属前に、介護業務の内容を具体的に説明し、本人の理解を確認することが重要です。

ただし、介護職として働く以上、必要な業務を避け続けることは難しい場合があります。職場として対応できる範囲と、本人に求める業務範囲を明確にしておく必要があります。

 

職場定着に影響する生活文化の違い

寮や住まいの環境

外国人介護人材の定着には、職場だけでなく住まいの環境も大きく影響します。寮が狭い、プライバシーがない、交通が不便、買い物がしにくい、インターネット環境が悪いといった問題は、生活ストレスになります。

インドネシア人材は、家族や友人とオンラインで連絡を取ることが多いため、インターネット環境は重要です。Wi-Fiがない、通信費が高い、電波が悪いといった問題は、本人の精神的な負担につながることがあります。

住まいを用意する場合は、家賃だけでなく、通勤時間、買い物環境、宗教施設へのアクセス、インターネット、キッチン、冷暖房、生活備品なども確認しておくべきです。

地域で孤立させない

日本に来たばかりのインドネシア人材は、職場以外に人間関係が少ない状態になりがちです。日本語に自信がない場合、地域の人と関わることも簡単ではありません。

孤立が続くと、ホームシック、不安、退職意向につながることがあります。特に地方では、同じ国の人が近くに少ないこともあります。

施設側は、同じ国の先輩人材、地域の国際交流団体、宗教コミュニティ、登録支援機関などと連携し、本人が相談できる外部のつながりを持てるようにするとよいでしょう。

休日の過ごし方も大切

介護職はシフト勤務であり、休日が不規則になることがあります。日本人職員でも負担が大きい働き方です。外国人材にとっては、休日に生活手続き、買い物、送金、家族との連絡、日本語学習などを行う必要があり、休んだ気がしないこともあります。

休日の過ごし方についても、入職後に確認するとよいでしょう。買い物に困っていないか、病院に行けるか、役所や銀行の手続きができるか、日本語学習の時間が取れているか。こうした小さな確認が、離職防止につながります。

 

採用前に確認すべき文化面のポイント

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宗教・食事・生活習慣の確認

採用面接では、スキルや日本語力だけでなく、宗教、食事、生活習慣についても確認しておくべきです。ただし、宗教を理由に不利な扱いをすることは避けなければなりません。目的は選別ではなく、入職後に必要な配慮を確認することです。

たとえば、礼拝の希望、食べられないもの、ラマダン中の働き方、服装への希望、寮生活で不安なことなどを確認します。聞き方は丁寧にし、施設として対応できることと難しいことを正直に伝える必要があります。

介護業務への理解

採用前には、介護業務の現実を具体的に説明することが重要です。介護は高齢者と楽しく話すだけの仕事ではありません。排泄介助、入浴介助、認知症対応、夜勤、記録、感染対策、看取りに近い場面など、身体的にも精神的にも負担のある仕事です。

ここを曖昧にしたまま採用すると、入職後に「思っていた仕事と違う」となります。きれいなパンフレットだけ見せて採用するのは、後で現場に請求書が回ってくるタイプの楽観主義です。

動画、写真、業務スケジュール、1日の流れ、夜勤の内容、利用者との関わり方などを使って、できるだけ現実に近い説明をすることが大切です。

家族との合意

インドネシア人材の場合、本人だけでなく家族の理解も重要になることがあります。特に若い人材が海外で働く場合、親や家族が強く関わることがあります。

家族が日本での仕事内容、給与、生活環境、契約期間、帰国時期を理解していないと、後から不安や反対が出る場合があります。可能であれば、送り出し機関や教育機関を通じて、家族にも正しい情報が伝わるようにすることが望ましいです。

キャリアプランの確認

インドネシア人材が日本でどのくらい働きたいのか、将来どうなりたいのかを確認することも重要です。一定期間働いて帰国したい人、介護福祉士を目指したい人、日本で長く働きたい人、将来は家族を支えたい人など、目的はさまざまです。

施設側の期待と本人の将来像が合っていないと、定着に影響します。たとえば、施設は長期定着を期待しているのに、本人は数年で帰国するつもりであれば、教育投資や配置計画にも影響します。

採用前から、資格取得支援、昇給、キャリアアップ、日本語学習、介護福祉士への道などを説明すると、本人も将来を描きやすくなります。

 

受け入れ側の職場づくりで大切なこと

日本人職員への事前説明

インドネシア人材を受け入れる際、本人への教育だけでなく、日本人職員への説明も必要です。外国人材が来ることを現場が十分に理解していないと、不満や誤解が生まれます。

たとえば、「なぜ礼拝時間に配慮するのか」「なぜ食事に配慮するのか」「日本語が完璧でない人にどう指示するのか」「ミスがあったときどう教えるのか」を事前に共有しておく必要があります。

日本人職員の中には、「外国人だけ特別扱いされている」と感じる人もいるかもしれません。そのため、宗教配慮や生活支援は優遇ではなく、働き続けるための環境整備であることを説明することが大切です。

教育担当者を固定する

外国人材の教育では、毎回違う人が違う指示を出すと混乱します。日本人でも混乱します。人類の職場はなぜこんなに属人的なのでしょうか。

教育担当者をできるだけ固定し、指導方法や評価基準を統一することが重要です。担当者が複数いる場合でも、教える順番、使用する資料、チェック項目、報告ルールを共通化する必要があります。

また、教育担当者には、文化理解と日本語コミュニケーションの基本を学んでもらうことが望ましいです。単に仕事ができる職員が、必ずしも外国人材をうまく育てられるとは限りません。

マニュアルをやさしい日本語で整備する

介護現場のマニュアルは、日本人職員向けに作られていることが多く、外国人材には難しい場合があります。専門用語が多い、文章が長い、曖昧な表現が多い、写真や図が少ないと、理解しにくくなります。

外国人材向けには、やさしい日本語、写真、イラスト、手順ごとのチェックリストを使うと効果的です。たとえば、移乗介助、食事介助、排泄介助、感染対策、記録入力、緊急時対応などは、視覚的に分かる資料があると学びやすくなります。

マニュアルは外国人材だけでなく、日本人新人職員にも役立ちます。外国人材受け入れをきっかけに業務を見える化することは、施設全体の教育品質向上にもつながります。

定期面談を行う

入職後は、定期的な面談を行うことが重要です。問題が起きてから面談するのではなく、問題が小さいうちに拾うための面談です。

面談では、仕事の理解度、人間関係、生活環境、体調、日本語学習、家族との連絡、宗教面の困りごとなどを確認します。特に最初の3カ月から6カ月は、適応の負担が大きい時期です。

また、面談では本人の話を聞くだけでなく、施設側の期待も伝える必要があります。できている点、改善が必要な点、次に目指すことを明確にすると、本人も成長しやすくなります。

 

文化の違いを定着率向上につなげる考え方

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文化理解は甘やかしではない

インドネシア人材への文化配慮というと、「そこまで施設が合わせる必要があるのか」と感じる人もいるかもしれません。しかし、文化理解は甘やかしではありません。採用した人材が能力を発揮し、長く働けるようにするためのマネジメントです。

介護業界では、採用コスト、教育コスト、現場負担が大きいため、早期離職は施設にとって大きな損失です。せっかく採用した人材が、文化の誤解や生活不安で辞めてしまうのは非常にもったいないことです。

文化理解は、本人のためだけでなく、施設経営のためにも必要です。

違いを「日本式に直す」だけではうまくいかない

外国人材を受け入れるとき、「日本に来たのだから日本に合わせるべき」という考え方があります。もちろん、日本で働く以上、日本の法律、介護基準、職場ルール、安全基準を守る必要があります。

しかし、すべてを一方的に日本式に合わせさせるだけでは、定着は難しくなります。本人の文化や価値観を理解したうえで、日本の介護現場で必要な行動を教えることが重要です。

つまり、「文化は尊重するが、業務基準は明確にする」というバランスが必要です。礼拝や食事には配慮する。一方で、記録、報告、安全確認、時間管理は妥協しない。この線引きを事前に整理しておくことが大切です。

外国人材の受け入れは職場改善のきっかけになる

インドネシア人材を受け入れるために、指示を具体化し、マニュアルを整備し、教育担当者を決め、定期面談を行う。このような取り組みは、外国人材だけでなく、日本人職員にも良い影響を与えます。

曖昧な指示が減り、新人教育が分かりやすくなり、職場のルールが見える化されます。結果として、施設全体の業務品質や定着率が向上する可能性があります。

外国人材の受け入れは、単に人手を増やすことではありません。職場の仕組みを見直す機会でもあります。ここを理解できる施設と、単なる労働力としてしか見ない施設では、数年後に大きな差が出るでしょう。

 

 

まとめ

インドネシア人介護人材を採用する前には、制度や日本語力だけでなく、文化の違いを理解しておくことが重要です。インドネシアは多民族・多宗教の国であり、同じインドネシア人でも出身地域、宗教、家庭環境、教育背景によって価値観は異なります。

特に、宗教、食事、礼拝、ラマダン、家族観、上下関係、報告文化、時間感覚、日本語コミュニケーション、介護観の違いは、受け入れ後の定着に大きく関わります。

大切なのは、文化の違いを理由に採用を難しく考えすぎることではありません。事前に知り、確認し、ルール化し、教育体制を整えることです。インドネシア人材は、適切な受け入れ環境があれば、介護現場で大きな力になる可能性があります。

一方で、文化理解をせず、現場任せにし、曖昧な説明のまま採用すれば、ミスマッチや早期離職につながります。採用前の準備こそが、採用後の成功を左右します。

インドネシア人介護人材の採用は、人手不足対策であると同時に、施設の教育力、マネジメント力、職場づくりの力が問われる取り組みです。文化の違いを正しく理解し、本人も施設も安心して働ける環境を整えることが、これからの介護現場には求められます。

 

 

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本記事で使用した単語の解説

特定技能

特定技能とは、日本国内で人手不足が深刻な分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人材を受け入れるための在留資格です。介護分野も対象に含まれています。介護分野で働く場合は、技能試験や日本語能力などの要件を満たす必要があります。

技能実習

技能実習とは、外国人が日本で技能を学び、母国の発展に役立てることを目的とした制度です。介護職種も対象となっています。ただし、制度の目的や仕組みは特定技能とは異なります。

EPA

EPAとは経済連携協定のことで、日本はインドネシア、フィリピン、ベトナムなどから介護福祉士候補者を受け入れてきました。候補者は日本で働きながら介護福祉士国家試験の合格を目指します。

在留資格「介護」

在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人が日本で介護職として働くための在留資格です。介護福祉士資格を取得することで、より長期的に日本で働ける可能性があります。

ハラール

ハラールとは、イスラム教の教えにおいて許されているものを意味します。食事の場面では、豚肉やアルコールを避けることが特に重要になります。ハラールへの考え方は個人差があるため、本人への確認が必要です。

ラマダン

ラマダンとは、イスラム教徒にとって大切な断食月です。日の出から日没まで飲食を控える人もいます。介護職は身体を使う仕事であるため、ラマダン中は体調管理や勤務調整について本人と相談することが大切です。

レバラン

レバランは、インドネシアで使われるイドゥル・フィトリの呼び方です。ラマダン明けの大きな祝日であり、家族と過ごすために帰省や休暇を希望する人もいます。

やさしい日本語

やさしい日本語とは、外国人にも分かりやすいように、難しい言葉や長い文章を避けて表現した日本語です。介護現場では、マニュアルや指示、掲示物をやさしい日本語にすることで、外国人材の理解を助けることができます。

高文脈コミュニケーション

高文脈コミュニケーションとは、言葉だけでなく、状況、表情、人間関係、空気を読みながら意味を理解するコミュニケーションのことです。日本にもインドネシアにもその傾向がありますが、何を察するかは文化によって異なります。

自立支援

自立支援とは、利用者ができることをできるだけ自分で続けられるように支える考え方です。介護では、何でも手伝うのではなく、本人の能力を活かしながら必要な部分を支援することが大切です。

 

 

FAQ

インドネシア人介護人材を採用する際、宗教配慮は必ず必要ですか?

必要になる場合があります。ただし、インドネシア人全員が同じ宗教ではなく、イスラム教徒であっても信仰の実践度合いには個人差があります。採用前や入職時に、礼拝、食事、ラマダン、服装などについて本人に確認することが大切です。

イスラム教徒の職員には礼拝室を用意しなければなりませんか?

専用の礼拝室が必ず必要というわけではありません。清潔で静かに短時間使えるスペースがあれば対応できる場合もあります。施設の状況に合わせて、本人と相談しながら現実的な方法を決めることが大切です。

ハラール対応の食事を施設がすべて用意する必要がありますか?

必ずしもすべて施設が用意する必要はありません。ただし、職員食や懇親会などで豚肉やアルコールを避ける選択肢を用意する、本人が食べられるものを確認するなどの配慮は重要です。本人が自炊する場合でも、買い物環境や調理環境の確認が役立ちます。

インドネシア人材は日本の介護現場に向いていますか?

人によります。家族を大切にする価値観や人との関係性を重視する姿勢は介護と相性が良い場合があります。一方で、日本語、記録、報告、安全管理、時間管理などは教育が必要です。国籍だけで向き不向きを判断するのではなく、本人の適性と受け入れ体制を見極めることが重要です。

日本語能力試験に合格していれば、介護現場で問題なく働けますか?

日本語能力試験に合格していても、介護現場の日本語は別に学ぶ必要があります。利用者への声かけ、申し送り、記録、医療・介護用語、方言などは現場での教育が欠かせません。

ラマダン中は勤務を減らすべきですか?

一律に勤務を減らす必要はありません。本人の体調、希望、業務内容、施設の安全管理を踏まえて相談することが大切です。入浴介助や夜勤など身体的負担の大きい業務については、本人と事前に話し合うと安心です。

インドネシア人材がミスを報告しない場合、どう指導すればよいですか?

まず、ミスを報告しやすい職場環境を作ることが重要です。感情的に叱るのではなく、早く報告することが利用者の安全を守る行動であると繰り返し伝えます。また、どのような場合に誰へ報告するのかを具体的に教える必要があります。

採用前の面接では文化面について何を確認すべきですか?

宗教、食事、礼拝、ラマダン、家族への仕送り、介護業務への理解、夜勤や身体介助への抵抗感、日本で働く目的、将来のキャリアプランなどを確認するとよいでしょう。質問の目的は選別ではなく、入職後のミスマッチを防ぐことです。

日本人職員にはどのような説明が必要ですか?

インドネシアの文化、宗教配慮の理由、やさしい日本語での指示方法、報告を促す指導方法、食事や礼拝への基本的な対応方針などを共有する必要があります。日本人職員が理解していないまま受け入れると、現場で不満や誤解が生まれやすくなります。

インドネシア人介護人材の定着率を高めるには何が大切ですか?

採用前の正確な説明、入職後の教育、生活支援、宗教や食事への配慮、定期面談、日本語学習支援、キャリアパスの提示が大切です。特に、本人が相談しやすい環境を作ることが早期離職の防止につながります。

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