2月 27, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアの大手通信キャリア企業 Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット)

インドネシアの大手通信キャリア企業 Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット)

インドネシアの通信業界で注目されるIndosat Ooredoo Hutchison(インドサット・オレド・ハチソン)。現在はTelkomに次ぐ市場シェア第二位で日本のKDDIのような立ち位置にいます。本記事では、インドネシア通信企業大手のIndosatについて詳しく解説します。インドネシアの通信市場に興味がある方は、ぜひご覧ください。

 

Indosat(インドサット)の会社概要

インドサット・オレドー・ハチソン(Indosat Ooredoo Hutchison)は、インドネシアの主要なデジタル通信企業であり、1億人以上のユーザーにサービスを提供しています。本社はジャカルタに位置し、携帯電話サービス、ICTソリューション、データセンター、FTTH(Fiber to the Home)、電子決済サービス、金融サービス、その他のデジタルサービスを展開しています。同社は、インドネシアを力づけるという大きな目的を持ち、「ゴトン・ロヨン(Gotong Royong)」の精神で意義ある変化を生み出す主要な協力者となることを目指しています。

会社名:PT Indosat Tbk

創業者:ITTコーポレーション

創業年:1967年11月20日

本社所在地:Jl. Medan Merdeka Barat No. 21, ジャカルタ, インドネシア

indosat oredo

 

Indosat(インドサット)の創業の経緯やストーリー

Indosat(インドサット)の歴史は、1967年にアメリカのITT Corporation(International Telephone & Telegraph Corporation)によって設立されたことから始まります。当時のインドネシアは、国際通信インフラの整備が十分ではなく、外国企業の支援を受けながら通信ネットワークを発展させる必要がありました。Indosatは、国際通信を担う最初の民間企業として、インドネシアの通信インフラの基盤を築く役割を果たしました。

1969年:国際通信サービスの開始

設立から2年後の1969年9月、Indosatは正式に国際通信サービスの提供を開始しました。これにより、インドネシア国内から海外への通話や電報送信が可能になり、ビジネスや外交の分野で大きな進展をもたらしました。

1980年:インドネシア政府による買収

1980年、インドネシア政府はIndosatを完全に買収し、同社を国有企業(BUMN:Badan Usaha Milik Negara)として再編しました。これにより、Indosatは国家の通信インフラ整備に貢献する公的企業としての役割を担うようになりました。

1994年~2003年:事業の拡大とモバイル通信への進出

1990年代に入ると、Indosatは携帯電話事業に参入し、次第にモバイルネットワークオペレーターとしての地位を確立していきました。この時期に、以下のような子会社を設立・買収しながら成長を続けました。

  • 1994年:Satelindo(サテリンド)の設立
    • インドネシア国内の移動体通信(モバイルネットワーク)を担当。
  • 1996年:IM3(Indosat Multi Media Mobile)の設立
    • インターネットとモバイル通信を組み合わせたサービスを提供。
  • 1998年:Bimagraha Telekomindo(ビマグラハ・テレコミンド)の買収
    • 企業向け通信ソリューションを強化。

2003年には、Indosatはこれらの子会社を統合し、1つのモバイルネットワークオペレーターとして統合運営を開始しました。この合併により、IndosatはTelkomsel(テルコムセル)と並ぶインドネシア国内の主要な通信事業者の1つとなりました。

2009年:カタールのOoredooによる買収

2009年、カタールの通信大手Qtel(現在のOoredoo)がIndosatの株式を65%取得し、同社の主要株主となりました。これにより、Indosatは国営企業から民間企業へと移行し、ブランドの国際化が進められました。

2015年:Indosat Ooredooへブランド変更

2015年11月19日、IndosatはOoredooのグローバルブランド戦略に基づき、社名を「Indosat Ooredoo(インドサット・オレドー)」に変更しました。これにより、カタールのOoredooグループの一員として、より強力な国際的なブランドへと生まれ変わりました。

2022年:Hutchison Asia Telecomとの合併

2022年1月4日、Indosat Ooredooは、香港のHutchison Asia Telecom Groupが所有するTri Indonesia(トライ・インドネシア)と合併し、新たに「Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット・オレドー・ハチソン)」として事業を開始しました。この合併により、Indosatはインドネシア国内で2番目に大きな通信事業者となり、国内の競争環境が大きく変化しました。

 

 

Indosat(インドサット)の事業内容とサービス内容

インドサット・オレドー・ハチソンは、多岐にわたる通信サービスを提供しています。主な事業内容は以下のとおりです。

  • 携帯電話サービス:IM3や3(Tri)などのブランドで、プリペイドおよびポストペイドのモバイル通信サービスを提供しています。
  • ICTソリューション:企業向けにデータ通信、インターネット接続、データセンターサービスなどを提供しています。
  • データセンター:安全で信頼性の高いデータセンターサービスを通じて、企業のデジタルインフラをサポートしています。
  • FTTH(Fiber to the Home):高速インターネット接続を家庭向けに提供し、デジタルライフスタイルを支援しています。
  • 電子決済サービス:デジタル決済ソリューションを通じて、ユーザーの金融取引をより便利にしています。
  • 金融サービス:モバイルバンキングやその他の金融サービスを提供し、ユーザーの経済活動をサポートしています。

 

 

Indosat(インドサット)の主要なマイルストーン

  • 1967年:インドサット設立。
  • 1969年:国際電気通信サービスの提供開始。
  • 1980年:インドネシア政府が同社を完全買収。
  • 1994年~2003年:サテリンドやIM3などの子会社を設立・買収し、モバイル通信事業を強化。
  • 2003年:子会社との合併により、モバイルネットワークオペレーターとしての地位を確立。
  • 2009年:カタールのQtel(現Ooredoo)が株式の65%を取得し、主要株主となる。
  • 2015年:社名を「インドサット・オレドー(Indosat Ooredoo)」に変更。
  • 2022年:Hutchison Asia Telecom Groupとの合併により、「インドサット・オレドー・ハチソン(Indosat Ooredoo Hutchison)」として新たなスタートを切る。
  • 2024年8月:東南アジア最大のデジタルインテリジェンス運用センター(DIOC)を開設し、AIを活用したネットワーク運用の強化を図る。
  • 2024年8月:インドネシア初のAIエクスペリエンス・センターをセントラルジャワ州ソロに開設し、AI技術の普及と人材育成を推進。
  • 2024年8月:ファーウェイとの協力により、大規模なコアネットワーク統合プロジェクトを完了し、ネットワーク性能と信頼性を向上。

 

 

Indosat(インドサット)の競合企業

インドサット・オレドー・ハチソン(Indosat Ooredoo Hutchison)は、インドネシアの主要な通信事業者として、国内外の多くの競合企業と市場シェアを争っています。主な競合他社には、以下の企業が挙げられます。

  • テルコムセル(Telkomsel):国営企業であるPT Telkom Indonesiaの子会社で、インドネシア最大の通信事業者です。2023年9月時点で、1億5,800万人以上のモバイルユーザーを抱えています。
  • XLアクシアタ(XL Axiata):マレーシアのAxiata Group傘下の企業で、インドネシア国内で約5,800万人の顧客を有しています。2024年4月には、Smartfrenとの統合計画が発表され、約9,400万人の携帯電話加入者を持つ事業体となる予定です。
  • スマートフレン・テレコム(Smartfren Telecom):インドネシアのSinar Masグループの一部で、約3,600万人の顧客を持つ通信事業者です。XLアクシアタとの統合により、市場での地位を強化する計画が進行中です。
  • トライ・インドネシア(Tri Indonesia):Hutchison Asia Telecom Groupの一部であり、2022年1月にIndosat Ooredooと合併し、Indosat Ooredoo Hutchisonとして新たなスタートを切りました。

これらの企業は、インドネシア国内で激しい競争を繰り広げており、各社が独自のサービスやプロモーションを展開しています。特に、5Gサービスの導入やデジタルサービスの拡充など、最新の技術とサービスを提供することで、顧客の獲得と維持に努めています。

 

 

Indosat(インドサット)の過去に発生した問題

インドサット・オレドー・ハチソンは、過去にいくつかの問題や課題に直面してきました。特に、以下のような事例が報告されています。

  • サービスの中断:技術的な問題や自然災害により、一部地域で通信サービスが中断する事態が発生しました。これにより、顧客からの苦情や信頼性に関する懸念が高まりました。
  • データ漏えい:過去には、顧客情報の漏えいが報告され、セキュリティ対策の強化が求められました。この問題は、企業の評判や顧客信頼に大きな影響を与えました。
  • 競争激化による市場シェアの変動:他の通信事業者との激しい競争により、市場シェアの維持が難しくなる場面もありました。特に、新規参入者や既存企業の積極的なプロモーション活動により、顧客の流出が懸念されました。

これらの問題に対して、インドサット・オレドー・ハチソンは技術インフラの強化やセキュリティ対策の徹底、顧客サービスの向上など、さまざまな改善策を講じています。また、他の通信事業者との合併や提携を通じて、市場での競争力を高める努力も行っています。

 

 

Indosat(インドサット)のインドネシアのユーザーの反応

インドサット・オレドー・ハチソンのサービスに対するインドネシアのユーザーの反応は、多様であり、以下のような意見が見られます。

  • ポジティブな反応:多くのユーザーは、同社のデータ通信速度や広範なカバレッジエリアを高く評価しています。特に、都市部での高速インターネット接続や安定した通話品質が支持を得ています。
  • ネガティブな反応:一部のユーザーからは、特定の地域でのサービス品質の低下やカスタマーサポートの対応に関する不満の声も上がっています。また、料金プランやプロモーションに関する情報の分かりづらさを指摘する意見もあります。

 

 

まとめ

インドサット・オレドー・ハチソンは、インドネシアの通信業界で重要な役割を果たす企業です。1967年の創業以来、国際通信、モバイル通信、データサービスを展開しながら成長を続け、現在では1億人以上のユーザーを抱えています。特に2022年のHutchison Asia Telecomとの合併後は、より競争力のある企業へと進化しました。

しかし、過去にはサービスの中断やデータ漏えいなどの問題も発生し、競争の激化によって市場シェアの維持が課題となっています。それでも、技術インフラの強化やカスタマーサービスの改善を進めることで、インドネシア国内外での影響力を拡大しています。今後の成長に注目が集まる企業の一つと言えるでしょう。

 

 

本記事で使用した単語の解説

  • Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット・オレドー・ハチソン)
    インドネシアの大手通信企業。2022年にHutchison Asia Telecomと合併し、現在の名称に変更。
  • FTTH(Fiber to the Home)
    光ファイバーを各家庭に直接提供するインターネット接続方式。高速で安定した通信が可能。
  • ICTソリューション
    情報通信技術(ICT)を活用したビジネス向けのソリューション。企業向けのデータ通信やクラウドサービスなどが含まれる。
  • Telkomsel(テルコムセル)
    インドネシア最大の通信事業者。インドネシア政府系企業PT Telkom Indonesiaの子会社。
  • XL Axiata(XLアクシアタ)
    インドネシアの通信事業者で、マレーシアのAxiata Groupが所有する企業。
  • スマートフレン(Smartfren)
    インドネシアの通信事業者。XLアクシアタとの統合が予定されている。
  • Hutchison Asia Telecom(ハチソン・アジア・テレコム)
    香港のハチソン・ワンポア(Hutchison Whampoa)が所有する通信会社グループ。インドネシアでは「Tri(トライ)」ブランドで展開していた。

 

 

FAQ(よくある質問)

Q1. Indosat Ooredoo Hutchisonのサービスはどのようなものがありますか?

A1. インドサット・オレドー・ハチソンは、携帯電話サービス(IM3やTriブランド)、ICTソリューション、データセンター、光ファイバーインターネット(FTTH)、電子決済サービス、金融サービスなどを提供しています。

Q2. インドサットの競合企業はどこですか?

A2. 主な競合企業には、インドネシア最大手のTelkomsel、XL Axiata、Smartfren Telecomなどがあります。

Q3. インドサットはインドネシア国内でどのような評価を受けていますか?

A3. インドネシア国内では、都市部での通信品質の高さが評価される一方、一部の地域では電波の不安定さやカスタマーサポートの対応に対する不満もあります。

Q4. Indosat Ooredoo Hutchisonは今後どのような成長が期待されますか?

A4. 5Gの展開拡大、AIを活用したネットワーク最適化、デジタル決済や金融サービスの強化など、テクノロジーの発展とともにさらなる成長が期待されています。

Q5. Indosat Ooredoo Hutchisonの親会社はどこですか?

A5. カタールのOoredooグループと、香港のHutchison Asia Telecomが共同で主要株主となっています。

 

 

インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor 

システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業

お問い合わせはこちら

 

インドネシアの大手通信キャリアを徹底解説シリーズ

インドネシアの通信キャリア業界を徹底解説:大手3社の熾烈な争いとスターリンク

インドネシアの大手通信キャリア企業Telkom(テルコム)

インドネシアの大手通信キャリア企業 Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット)

インドネシアの大手通信キャリア企業 XL(エックスエル・アクシアタ)

 

 

 

弊社代表のTimedoor CEO徳永へ直接相談する

Timedoor CEO 徳永 裕の紹介はこちら

Testing