
3月 31, 2025 • インドネシア, システム開発
2月 22, 2025 • インドネシア, スタートアップ • by Delilah
目次
Shopee(ショッピー)は、シンガポールを拠点とする電子商取引プラットフォームであり、東南アジアおよび台湾を中心に事業を展開しています。2015年に設立され、現在ではインドネシアを含む複数の国でオンラインショッピングサービスを提供しています。本社はシンガポールの5 Science Park Driveに位置しています。本記事ではインドネシアのEコマースマーケットプレイスの最大手Shopeeについて解説します。
Shopeeは、ユーザーが多様な商品をオンラインで売買できるプラットフォームを提供しています。モバイルアプリとウェブサイトを通じて、シームレスで安全な取引を実現しています。また、統合された物流サポートや決済システムを備え、ユーザーに快適なショッピング体験を提供しています。
会社名:Shopee Pte. Ltd.
創業者:フォレスト・リー(Forrest Li)
創業年:2015年
本社所在地:シンガポール 5 Science Park Drive, Shopee Building, Singapore 118265
Shopeeの創業者であるフォレスト・リー(Forrest Li)は、1977年または1978年に中国の天津で生まれました。上海交通大学で工学の学位を取得した後、モトローラに人事マネージャーとして入社しました。その後、スタンフォード大学経営大学院でMBAを取得しています。2009年、リーはオンラインゲーム会社であるGarena(現Seaグループ)を設立しました。Garenaは、2010年に中国の大手IT企業であるテンセントからの出資を受け、人気ゲーム『League of Legends』の東南アジアにおける独占配信権を獲得するなど、ゲーム事業で成功を収めました。
その後、リーは東南アジアにおける電子商取引の可能性に着目し、2015年にShopeeを立ち上げました。当初はモバイルファーストのC2C(消費者間)マーケットプレイスとしてスタートし、物流と決済サポートを統合したプラットフォームを提供しました。その後、B2C(企業対消費者)モデルも取り入れ、ユーザーにシームレスなオンラインショッピング体験を提供しています。
Shopeeは設立当初から、シンガポール、マレーシア、タイ、台湾、インドネシア、ベトナム、フィリピンなど、東南アジア各国および台湾へと事業を拡大しました。また、2019年にはブラジル、2021年にはメキシコ、チリ、コロンビアなど、ラテンアメリカ市場にも進出しています。
2017年10月、親会社であるSeaグループはニューヨーク証券取引所に上場し、Shopeeの事業拡大をさらに加速させました。その後も、Shopeeは積極的なマーケティング戦略や現地ニーズに合わせたサービス展開により、東南アジアおよびラテンアメリカにおける主要な電子商取引プラットフォームとしての地位を確立しています。
フォレスト・リーは、スタンフォード大学での学びやスティーブ・ジョブズのスピーチから影響を受け、起業家精神を育みました。彼のリーダーシップの下、Shopeeは急速な成長を遂げ、現在では多くのユーザーに利用されるプラットフォームとなっています。
Shopeeは、ユーザーが多様な商品をオンラインで売買できるプラットフォームを提供しています。主なサービスには、モバイルアプリとウェブサイトを通じたマーケットプレイスの運営、統合された物流サポート、決済システムの提供などがあります。特に「Shopee Guarantee」というエスクローサービスを導入し、購入者が商品を受け取るまで支払いを保留することで、安全な取引を実現しています。
Shopeeは、モバイルファーストの戦略を採用しており、ユーザーはスマートフォンのアプリやウェブサイトを通じて、いつでもどこでも商品を閲覧・購入できます。アプリ内では、商品検索、レビュー閲覧、購入手続き、出品など、すべての操作が直感的に行えるよう設計されています。
2017年には「Shopee Mall」を立ち上げ、公式ブランドや大手小売業者の商品を集めたオンラインモールを提供しています。これにより、ユーザーは信頼性の高い商品を安心して購入でき、ブランド側も公式チャネルとして活用することが可能です。
Shopeeは「Shopee LIVE」と呼ばれるライブ配信機能を提供しており、セラーやインフルエンサーがリアルタイムで商品を紹介することができます。ユーザーはライブ配信を視聴しながら、直接商品を購入することができ、双方向のコミュニケーションが可能です。
ユーザーエンゲージメントを高めるため、Shopeeはアプリ内でさまざまなゲームを提供しています。これらのゲームをプレイすることで、ユーザーは「Shopeeコイン」やブランドスポンサーの商品などのリワードを獲得できます。2020年上半期だけで、Shopeeのゲームは合計100億回以上プレイされました。
Shopeeは、独自の物流サービスである「Shopee Logistics Service(SLS)」を提供しています。これにより、セラーは商品をShopeeの物流センターに預けるだけで、Shopeeが商品の発送業務を代行します。これにより、セラーは物流に関する負担を軽減し、効率的な販売活動が可能となります。
Shopeeでは、初期費用や店舗維持費が無料であり、販売手数料と決済手数料を合わせても5.6%~7%と、他の主要なECプラットフォームと比較しても低コストで出店が可能です。
これらのサービスと特徴により、Shopeeはユーザーとセラー双方にとって使いやすく、魅力的なプラットフォームを提供しています。特にインドネシア市場では、積極的なマーケティングやプロモーション活動を展開し、多くのユーザーから支持を得ています。
ShopeeFood(ショッピーフード)は、Shopeeが提供するオンラインフードデリバリーサービスです。ユーザーはShopeeアプリを通じて、近隣のレストランや飲食店から食事を注文し、自宅やオフィスなど希望の場所へ配達してもらうことができます。このサービスは、マレーシア、インドネシア、ベトナムなど、東南アジアの複数の国で展開されています。
2015年
8月:シンガポールでサービスを開始。モバイルファーストのC2C(消費者間)マーケットプレイスとしてスタートし、物流と決済サポートを統合したプラットフォームを提供しました。
年内:インドネシア、マレーシア、タイ、台湾、ベトナム、フィリピンなど、東南アジア各国および台湾へ事業を拡大しました。
2017年
6月:「Shopee Mall」を立ち上げ、公式ブランドや大手小売業者の商品を集めたオンラインモールを提供開始。これにより、ユーザーは信頼性の高い商品を安心して購入できるようになりました。
10月:親会社であるSea Groupがニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場。これにより、Shopeeの事業拡大に向けた資金調達が強化されました。
2018年
10月:Shopeeのモバイルアプリが、Google Playストアにおいて東南アジアで最もダウンロードされたショッピングアプリとしてランクイン。
2019年
9月3日:シンガポール・サイエンスパークに新しい6階建ての地域本社を開設。約22,700平方メートルの広さを持ち、3,000人の従業員を収容可能なこの本社は、デジタル経済への取り組みを強化する拠点となりました。
10月:ブラジル市場への進出を発表し、ラテンアメリカ市場への足掛かりを築きました。
2020年
7月:日本市場向けにShopee Japan株式会社を設立し、越境ECプラットフォームサービスを展開開始。これにより、日本のセラーが東南アジア市場へのアクセスを容易にしました。
12月:Shopeeは、年間注文数が26億件を超え、前年から約130%の成長を遂げたと報告。
2021年
3月:メキシコ市場への進出を発表し、ラテンアメリカでの存在感をさらに強化しました。
6月:Shopeeは、東南アジアおよび台湾で最も訪問者数の多いeコマースプラットフォームとして認識されました。
8月:ベトナムでは、以前「Now.vn」として知られていたサービスが、2021年8月に「ShopeeFood」へとブランド名を変更。
2022年
1月:Shopeeは、年間取引額(GMV)が620億ドルを超え、前年から約76%の増加を記録したと発表。
3月:コロンビアとチリでのサービスを開始し、ラテンアメリカでの市場拡大を継続しました。
2024年
9月18日:YouTubeと提携し、インドネシアでオンラインショッピングサービスを開始。ユーザーがYouTube上で視聴した商品を直接Shopeeで購入できるようになり、タイやベトナムへのサービス拡大も予定されています。
インドネシアにおけるShopeeの主な競合企業には、以下のようなオンラインマーケットプレイスが存在します:
Garena(ガレナ)は、シンガポールを拠点とするオンラインゲームの開発・配信企業であり、現在はSea Limited(シー・リミテッド)のデジタルエンターテインメント部門として機能しています。2009年にフォレスト・リー(Forrest Li)によって設立され、当初はGarenaという社名で活動していました。2017年に親会社がSea Limitedへと社名を変更した後も、Garenaはゲーム関連事業のブランド名として存続しています。
Garenaは、東南アジアや台湾を中心に、オンラインゲームの配信や開発を手掛けています。代表的なタイトルには、Riot Gamesと提携して東南アジアで初めて配信した『League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)』や、自社開発のバトルロイヤルゲーム『Free Fire(フリー・ファイア)』などがあります。特に『Free Fire』は、2019年に世界で最もダウンロードされたモバイルゲームとなり、2024年2月時点で1億人以上のデイリーアクティブユーザーを記録しています。
また、Garenaはeスポーツ分野にも積極的に参入しており、2012年にはプロフェッショナルリーグ「Garena Premier League(GPL)」を設立しました。さらに、2014年には台北市内湖区にeスポーツ専用スタジオ「Garena e-Sports Stadium」を開設し、地域のeスポーツシーンの発展に寄与しました。
2017年5月、Garenaは親会社の社名をSea Limitedに変更し、事業の多角化を図りました。現在、Sea Limitedはデジタルエンターテインメント(Garena)、電子商取引(Shopee)、デジタル金融サービス(SeaMoney)の3つの主要事業を展開しています。Garenaは、東南アジアを中心としたオンラインゲーム市場で確固たる地位を築いています。
インドネシアの電子商取引市場は、近年急速な成長を遂げており、主要企業間で激しい競争が繰り広げられています。特に、Shopee、Gojek、Tokopediaの3社は、市場シェア拡大を目指して熾烈な争いを展開しています。
シンガポールを拠点とするShopeeは、東南アジア全域で事業を展開しており、インドネシア市場でも大きな存在感を示しています。2024年第2四半期には、eコマース部門の収益が前年同期比34%増の28億ドルに達し、同社の総収益の約3分の2を占めるまでに成長しました。さらに、2024年9月にはYouTubeとの提携を発表し、インドネシアで新たなオンラインショッピングサービスを開始しました。これにより、ユーザーはYouTube上で視聴した商品を直接Shopeeで購入できるようになり、タイやベトナムへのサービス拡大も予定されています。
一方、インドネシア発のライドシェアリングサービスを提供するGojekと、同国最大級のeコマースプラットフォームであるTokopediaは、2021年5月に合併し、GoToグループを設立しました。この合併により、モビリティ、デリバリー、eコマース、金融サービスなど多岐にわたる事業を統合し、東南アジア最大級のテクノロジー企業としての地位を確立しました。
しかし、競争環境は依然として厳しく、GoToグループ傘下のTokopediaは、TikTokによる買収後、さらに競争力を強化しています。TikTok Shopは2023年に東南アジアでの総商品取引額(GMV)が163億ドルに達し、前年から約4倍の成長を遂げ、Shopeeに次ぐ地域第2位のeコマースプラットフォームとなりました。
この激しい競争の中、インドネシアのeコマース企業であるBukalapakは、物理的商品の販売から撤退し、モバイル通信のクレジットやストリーミングのバウチャーなどのバーチャル製品に注力する方針を2025年1月に発表しました。これは、TokopediaやShopeeとの競争が激化する中での戦略的な転換とされています。インドネシアのeコマース市場は、主要プレーヤー間の熾烈な競争と戦略的提携、そして市場再編が進行中であり、今後も目が離せない状況が続くと予想されます。
Shopee(ショッピー)は、東南アジアを中心に急速に成長した電子商取引プラットフォームですが、その過程でいくつかの問題や論争が報じられています。
2024年6月、インドネシアの公正取引委員会(KPPU)は、Shopeeとその配送サービスであるShopee Expressが、他の配送業者を排除し、自社の配送サービスを優先することで競争法に違反していると指摘しました。Shopeeはこれを認め、サービスの調整を行うことに同意しました。
2019年6月、フィリピンで行われたBLACKPINKのファンミーティングに関連し、Shopeeが上位購入者568名に招待パスを提供するプロモーションを実施しました。しかし、一部のファンは当選通知を受け取ったものの、その後一方的に取り消されたと主張し、#ShopeeScamというハッシュタグがSNS上で拡散されました。この件に関して、フィリピンの貿易産業省が調査を行いました。
2021年4月、インドネシアのShopee配達員が、1件あたりの配達報酬が前年の0.34ドルから0.10ドルに引き下げられたと公表し、報酬の低さに対する不満が表面化しました。Shopeeは、この報酬体系がインドネシアの市場および規制に沿ったものであり、業界内で競争力があると主張しました。
2022年8月末、中国のSNSプラットフォーム「脉脉(マイマイ)」に、Shopeeからシンガポール本社での勤務をオファーされたものの、家族と共にシンガポールに到着した直後に内定を取り消されたという投稿がありました。同様の被害を訴える声が他にも上がり、複数の内定取り消しが行われたとされています。
2022年9月、Shopeeフィリピンが女優のトニ・ゴンザガをブランドアンバサダーに起用した際、大規模な人員削減が報じられた直後であったため、ユーザーから批判を受けました。さらに、ゴンザガの政治的活動に対する反発もあり、SNS上でボイコットの呼びかけが広がりました。
2022年、Shopeeは全従業員の3%にあたる600人を解雇しました。
2024年、Shopeeの顧客がアプリ外での支払いを行った結果、詐欺に遭い合計で399,000ドルの被害を受けました。
Shopee(ショッピー)は、2015年のインドネシア市場参入以来、同国の電子商取引(EC)分野において重要な役割を果たしてきました。その影響は、経済、社会、文化の各側面に広がっています。
Shopeeは、東南アジアおよび台湾を中心に急速な成長を遂げた電子商取引プラットフォームです。2015年の設立以来、モバイルファーストの戦略や統合された物流・決済システムを活用し、ユーザーに安全で便利なオンラインショッピング体験を提供しています。また、Shopee MallやShopee LIVE、ShopeeFoodなど、多彩なサービスを展開し、地域のデジタル経済の発展に大きく貢献しています。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
インドネシアの注目スタートアップを徹底解説シリーズ
インドネシアの注目スタートアップ企業Akulaku(アクラク)
インドネシアの注目スタートアップ企業Bukalapak(ブカラパック)
インドネシアの注目スタートアップ企業eFishery(イーフィッシャリー)
インドネシアの注目スタートアップ企業Gojek(ゴジェック)
インドネシアの注目スタートアップ企業GoWork(ゴーワーク)
インドネシアの注目スタートアップ企業Halodoc(ハロドク)
インドネシアの注目スタートアップ企業Investree(インベストリー)
インドネシアの注目スタートアップ企業Kitabisa(キタビサ)
インドネシアの注目スタートアップ企業OLX(オーエルエックス)
インドネシアの注目スタートアップ企業Ruangguru(ルアングル)
インドネシアの注目スタートアップ企業Rumah123(ルマ123)
インドネシアの注目スタートアップ企業Shopee(ショッピー)
インドネシアの注目スタートアップ企業SIRCLO(シルクロ)
インドネシアの注目スタートアップ企業Sociolla(ソシオラ)
インドネシアの注目スタートアップ企業Timedoor Academy(タイムドアアカデミー)
インドネシアの注目スタートアップ企業Tokopedia(トコぺディア)
インドネシアの注目スタートアップ企業Traveloka(トラベロカ)
インドネシアの注目スタートアップ企業Warung Pintar(ワルンピンタル)
インドネシアの注目スタートアップ企業Xendit(ゼンディット)