2月 20, 2025 • インドネシア, 財閥 • by Delilah

インドネシアの巨大財閥MNCグループを徹底解説

インドネシアの巨大財閥MNCグループを徹底解説

MNCグループの概要

MNCグループは、インドネシアを代表する多国籍コングロマリットであり、メディア、金融サービス、不動産、エンターテインメント、鉱業など多岐にわたる事業を展開しています。1989年11月2日にハリー・タヌスディジョ氏によってスラバヤで設立され、当初は証券会社としてスタートしました。その後、事業を拡大し、現在ではインドネシア最大級の無料放送局や金融機関を傘下に持つ企業グループとなっています。

MNCグループは、メディア、金融サービス、不動産、エンターテインメント、鉱業など多岐にわたる事業を展開するインドネシアの多国籍コングロマリットです。1989年に設立され、現在ではインドネシア最大級の無料放送局や金融機関を傘下に持ち、国内外で幅広いビジネスを展開しています。

創業者: ハリー・タヌスディジョ(Hary Tanoesoedibjo)

創業年: 1989年11月2日

本拠地: インドネシア、ジャカルタ特別州、中央ジャカルタ

主な事業:

  • メディア事業:RCTI、MNCTV、GTVなどの無料放送局の運営
  • 金融サービス:銀行、保険、リース、資産運用、証券業務など
  • 不動産・エンターテインメント:リゾートホテルの運営、オフィスビルの所有・管理
  • 鉱業:エネルギー資源の開発・投資

代表企業:

  • PT Global Mediacom Tbk:メディア事業の中核企業
  • PT MNC Kapital Indonesia Tbk:金融サービス部門の中核企業
  • PT MNC Land Tbk:不動産開発・管理を担当
  • PT MNC Energy Investments Tbk:エネルギー・鉱業部門を担当

従業員数: 2024年時点で9,732名

売上規模: 具体的な売上高の数値は公開されていませんが、MNCグループはインドネシア国内外で多岐にわたる事業を展開しており、その影響力と規模から、同国を代表する大手コングロマリットの一つとされています。

MNCグループは、設立以来、多角的な事業展開と積極的な投資活動を通じて、インドネシアの経済発展に大きく貢献しています。特にメディア分野では、国内最大級の視聴者数を誇る無料放送局を運営し、金融や不動産、エンターテインメント、鉱業などの分野でも確固たる地位を築いています。

 

MNCグループのグループの歴史

MNCグループは、インドネシアを代表する多国籍コングロマリットであり、1989年の設立以来、多岐にわたる事業分野で成長と多様化を遂げてきました。以下に、年表形式でその主な歴史をまとめます。

1989年

  • 設立:ハリー・タヌスディジョ氏により、証券会社としてPT Bhakti Investama(現:PT MNC Asia Holding Tbk)がスラバヤで設立されました。

1997年

  • 株式上場:インドネシア証券取引所に上場し、約800億ルピアを調達しました。

2001年

  • メディア事業への参入:PT Global Informasi Bermutu(GTV、旧称:GlobalTV)の株式70%を取得し、メディア業界に進出しました。

2002年

  • 社名変更:PT Bhakti InvestamaからPT Media Nusantara Citra Tbk(MNC)に社名を変更し、メディア事業を強化しました。

2004年

  • RCTIの買収:インドネシア初の民間全国テレビ局であるPT Rajawali Citra Televisi Indonesia(RCTI)を買収し、無料放送市場での存在感を高めました。

2006年

  • MNCTVの取得:PT Cipta Televisi Pendidikan Indonesia(MNCTV、旧称:TPI)の株式75%を取得し、無料放送チャンネルのポートフォリオを拡大しました。

2007年

  • オンラインニュースポータルの立ち上げ:ニュースとエンターテインメントを提供するオンラインサービス「Okezone.com」を開始しました。

2009年

  • ブランド刷新:新しいロゴを導入し、本社ビルの名称を「Menara Kebon Sirih」から「MNC Tower」に変更しました。

2010年

  • MNCTVへのリブランド:TPIを「MNCTV」として再ブランド化し、視聴者層の拡大を図りました。

2011年

  • Sindo Mediaの立ち上げ:新しいブランド「Sindo」の下で、Sindo Mediaを設立し、メディアプラットフォームを多様化しました。

2014年

  • SINDO TVの開始:4番目の全国テレビ局として「SINDO TV」を立ち上げ、後に「iNews TV」として再ブランド化しました。

2017年

  • GTVとiNewsへのリブランド:GlobalTVを「GTV」に、iNews TVを「iNews」にそれぞれ再ブランド化し、ブランドイメージを刷新しました。

2019年

  • RCTI+の公式ローンチ:4つのテレビ局(RCTI、MNCTV、GTV、iNews)のライブ放送を提供するストリーミングサービス「RCTI+」を開始しました。

2021年

  • Movielandの建設開始:子会社であるPT MNC Studios International Tbk(MSIN)を通じて、MNC Lido City特別経済区内に映画制作施設「Movieland」の建設を開始しました。

2022年

  • PT MNC Digital Entertainment Tbkへの改名:PT MNC Studios International Tbk(MSIN)が社名を変更し、インドネシア最大の統合型デジタルエンターテインメント企業としての地位を確立しました。

2023年

  • MNC Lido City特別経済区の運用開始:3月31日、インドネシア大統領ジョコ・ウィドド氏とMNCグループ会長ハリー・タヌスディジョ氏の立会いのもと、MNC Lido City特別経済区が正式に稼働を開始しました。

このように、MNCグループは設立以来、メディア、エンターテインメント、不動産、金融サービス、エネルギーなど多岐にわたる分野で事業を拡大し、インドネシアの主要なコングロマリットとしての地位を確立しています。

 

MNCグループの主要事業

MNCグループは、インドネシアを代表する多国籍コングロマリットであり、以下の主要な事業分野で活動しています。

1. メディア・エンターテインメント事業:

  • 無料地上波テレビ放送:RCTI、MNCTV、GTV、iNewsの4つの全国無料放送局を運営し、インドネシア国内のプライムタイム視聴率の約50%を占めています。
  • 有料テレビチャンネル:MNC Channels部門を通じて、19の有料テレビチャンネルを提供しています。
  • デジタルメディア:ニュースポータル「Okezone.com」やストリーミングサービス「RCTI+」など、オンラインプラットフォームを展開しています。
  • タレントマネジメント:約400人のアーティストが所属する「Star Media Nusantara」を運営し、JKT48などの人気グループもマネジメントしています。

2. 金融サービス事業:

  • 銀行業務:「MNC銀行」を通じて、個人および法人向けの銀行サービスを提供しています。
  • 保険業務:生命保険および一般保険の商品を取り扱っています。
  • リース業務:多様なリースソリューションを提供しています。
  • 資産運用・証券業務:資産運用管理や証券関連サービスを展開しています。

3. 不動産・ホスピタリティ事業:

  • 複合施設開発:西ジャワ州ボゴールにて、テーマパーク「MNCパーク」や映画撮影スタジオ、ゴルフ場、ホテルなどを含む大規模複合施設「MNCリドシティ」を開発しています。
  • リゾート運営:「MNCバリリゾート」などのリゾート施設を運営しています。
  • オフィスビル管理:ジャカルタのビジネス地区に複数のオフィスビルを所有・管理しています。

4. エネルギー・鉱業事業:

  • エネルギー資源開発:石炭や鉱物資源の探査・採掘・生産を行い、エネルギー供給に貢献しています。

これらの多角的な事業展開により、MNCグループはインドネシアの経済発展に大きく寄与しています。

 

MNCグループのインドネシアへの影響力

MNCグループは、インドネシアにおいて多岐にわたる事業を展開し、同国の経済、メディア、政治に大きな影響力を持つコングロマリットです。特にメディア分野では、RCTI、MNCTV、GTV、iNewsといった主要な無料放送局を運営し、インドネシアの無料放送市場で最大のシェアを占めています。

これらの放送局を通じて、ニュースやエンターテインメントなど多様なコンテンツを提供し、国民の情報源として重要な役割を果たしています。

また、MNCグループは政治分野にも影響力を持っています。創業者であるハリー・タヌスディビョ氏は、自ら政党を設立し党首を務めるなど、政治活動にも積極的に関与しています。同氏の政治的関与は、グループ傘下のメディアを通じて政治的影響力を行使する手段ともなっています。

さらに、MNCグループは西ジャワ州ボゴールにおいて、総面積3,000ヘクタールに及ぶ大規模複合施設「MNCリドシティ」の開発を進めています。このプロジェクトは、居住区域、商業施設、テーマパーク、撮影スタジオなどを含み、観光セクターとして経済特区(SEZ)の認可を受けています。政府は、このプロジェクトを通じて国内外からの投資や観光客の誘致を期待しています。

このように、MNCグループはメディア、政治、経済開発など多方面でインドネシアに大きな影響を及ぼしており、同国の主要なコングロマリットとしての地位を確立しています。

 

MNCグループの過去の事件

MNCグループは、インドネシアを代表する多国籍コングロマリットとして、メディア、金融サービス、不動産、エンターテインメントなど多岐にわたる事業を展開しています。しかし、

その影響力の大きさゆえに、いくつかの批判や懸念も指摘されています。

1. 政治との関係: 創業者であるハリー・タヌスディジョ氏は、政治活動にも積極的に関与しており、自ら政党を設立し党首を務めています。この政治的関与により、MNCグループ傘下のメディアを通じて政治的影響力を行使しているとの批判が存在します。

2. メディアの独立性に関する懸念: MNCグループは、RCTI、MNCTV、GTV、iNewsといった主要な無料放送局を運営し、インドネシアのメディア市場で大きなシェアを占めています。この集中度の高さから、報道の独立性や多様性に対する懸念が一部で示されています。

3. 大規模開発プロジェクトに関する懸念: 西ジャワ州ボゴールで進行中の大規模複合施設「MNCリドシティ」の開発において、土地の取得や環境への影響、地域住民への対応などに関する懸念が報じられています。特に、周辺住民の一部は土地の譲渡に反対しており、MNCグループは特区内での雇用創出などを通じて理解を得る努力を続けています。

これらの指摘や懸念は、MNCグループの影響力の大きさと多岐にわたる事業展開に起因するものです。同社は、これらの課題に対して透明性のある対応と社会的責任を果たすことが求められています。

 

MNCグループと日本企業との協業事例

MNCグループは、インドネシア国内外の企業と幅広い協力関係を築いています。日本企業との協業に関して、以下の事例が確認されています。

1. ファミリーマートとの提携: MNCグループの子会社であるMNC銀行は、インドネシア国内でファミリーマートを運営するPTファジャール・ミトラ・インダと提携し、共同ブランドの「ファミリーマートMNCチタニウムカード」を発行しています。このカードは非接触型のタッチ決済機能を備え、顧客に安全で快適な買い物体験を提供しています。

2. フジ・メディア・ホールディングスおよび伊藤忠商事との協業: 2013年、MNCグループはフジ・メディア・ホールディングスおよび伊藤忠商事と共同で、アジア各国におけるテレビ番組を核とした新規事業「アジア・メディア・ネットワーク構想」を推進しました。このプロジェクトでは、音楽権利ビジネスやテレビ通販事業などの分野で番組制作を行い、台湾、韓国、タイ、インドネシアのメディアグループやテレビ局と業務提携を結びました。

これらの協業を通じて、MNCグループは日本企業とのパートナーシップを強化し、インドネシア市場におけるサービスやコンテンツの多様化を図っています。

 

 

まとめ

MNCグループ(MNC Group)は、インドネシアを代表する多国籍コングロマリットであり、メディア、金融サービス、不動産、エンターテインメント、鉱業など、幅広い事業を展開しています。1989年に設立され、現在ではインドネシア最大級のメディア企業や金融機関を傘下に持つなど、その影響力は国内外に広がっています。特に、RCTI、MNCTV、GTV、iNewsなどの無料放送局を運営し、インドネシアのメディア市場において大きなシェアを占めています。一方で、政治的影響力やメディアの独立性に関する懸念、大規模開発プロジェクトにおける環境問題など、いくつかの課題も抱えています。MNCグループは、これらの問題に対して適切な対応をしつつ、今後の成長と発展を目指しています。

本記事で使用した単語の解説

  1. MNCグループ(MNC Group)
    インドネシアを代表する多国籍コングロマリットで、メディア、金融サービス、不動産、エンターテインメントなど多岐にわたる事業を展開する企業グループ。

  2. RCTI
    インドネシアの主要な無料放送局で、MNCグループが運営。インドネシア国内の視聴率で大きなシェアを誇る。

  3. MNCTV
    MNCグループが所有する無料放送局の一つ。インドネシア国内で広く視聴されているチャンネル。

  4. GTV
    MNCグループが運営する無料放送局で、エンターテインメントコンテンツを中心に放送している。

  5. iNews
    MNCグループのニュース専門放送局。インドネシア国内で重要なニュース提供元として広く認知されている。

  6. MNC Lido City
    MNCグループが開発したインドネシアの大規模経済特区で、エンターテインメント施設、リゾート、映画スタジオなどを含む複合施設。

  7. Okezone.com
    MNCグループが運営するニュースポータルサイト。オンラインで最新ニュースやエンターテインメント情報を提供している。

  8. MNC Digital Entertainment Tbk
    MNCグループ傘下のデジタルエンターテインメント企業。オンラインコンテンツやストリーミングサービスの提供を行う。

FAQ(よくある質問)

Q1: MNCグループはどのような事業を展開していますか?

A1: MNCグループは、メディア、金融サービス、不動産、エンターテインメント、鉱業など多岐にわたる事業を展開しています。特にメディア分野では、RCTI、MNCTV、GTV、iNewsなどの無料放送局を運営しています。

Q2: MNCグループの創業者は誰ですか?

A2: MNCグループの創業者はハリー・タヌスディジョ(Hary Tanoesoedibjo)氏で、1989年にインドネシアでグループを設立しました。

Q3: MNCグループのメディア事業にはどんな特徴がありますか?

A3: MNCグループは、インドネシア最大級の無料放送局(RCTI、MNCTV、GTV、iNews)を運営しており、国内の視聴率で大きなシェアを占めています。また、オンラインプラットフォームやデジタルメディアも展開しています。

Q4: MNCグループの政治的関与はどのようなものですか?

A4: MNCグループの創業者ハリー・タヌスディジョ氏は、政治活動に積極的に関与しており、自ら政党を設立して党首を務めるなど、インドネシアの政治にも影響力を持っています。

Q5: MNCグループの主な問題点や批判は何ですか?

A5: MNCグループは、政治的関与やメディアの独立性、土地の取得や開発プロジェクトに関する懸念が指摘されています。特に、MNCリドシティの開発においては環境への影響や住民との対立が報じられています。

Q6: MNCグループと日本企業との協業事例はありますか?

A6: はい、MNCグループは日本企業と協業しています。例えば、ファミリーマートと提携し、共同ブランドの「ファミリーマートMNCチタニウムカード」を発行したり、フジ・メディア・ホールディングスや伊藤忠商事との「アジア・メディア・ネットワーク構想」での協力があります。

Q7: MNCグループの最大のメディア資産は何ですか?

A7: MNCグループの最大のメディア資産は、インドネシア国内の無料放送局(RCTI、MNCTV、GTV、iNews)を含むメディア事業です。これらの放送局はインドネシア国内で高い視聴率を誇り、多くの国民に親しまれています。

 

 

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