2月 20, 2025 • インドネシア, 財閥 • by Delilah

インドネシアの巨大財閥バクリーグループ(Bakrie)を徹底解説

インドネシアの巨大財閥バクリーグループ(Bakrie)を徹底解説

バクリーグループの概要

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアにおける最大級のプリブミ(土着のインドネシア人)系企業グループです。1942年にアフマッド・バクリー(Achmad Bakrie)氏によって設立され、現在では多岐にわたる事業を展開しています。バクリーグループは、インドネシアの経済発展とともに成長してきた多国籍企業グループです。設立当初は農産物の取引や消耗品の輸入を手掛けていましたが、現在ではエネルギー、鉱業、不動産、メディアなど多様な分野で事業を展開しています。特に、石炭採掘や石油・ガス開発、不動産開発、建材製造、メディア事業などで知られています。

創業者: アフマッド・バクリー(Achmad Bakrie)

創業年: 1942年

本拠地: インドネシア、ジャカルタ

主な事業:

  • エネルギー・鉱業:石炭採掘、石油・ガス開発
  • 不動産開発:住宅、商業施設、インフラの開発
  • 建材・製造業:建築材料、金属パイプの製造
  • メディア・通信:テレビ放送、オンラインメディアの運営
  • 農業・プランテーション:パーム油、天然ゴムの生産

代表企業:

  • PT Bakrie & Brothers Tbk:グループの持株会社であり、各種事業を統括しています。
  • PT Bumi Resources Tbk:石炭採掘を主な事業とする企業です。
  • PT Bakrieland Development Tbk:不動産開発を手掛けています。
  • PT Bakrie Sumatera Plantations Tbk:パーム油や天然ゴムの生産を行っています。
  • PT Visi Media Asia Tbk:メディア事業を展開し、テレビ放送局やオンラインメディアを運営しています。

従業員数: 具体的な最新の従業員数は公表されていませんが、主要子会社の一つであるPT Visi Media Asia Tbkは、2018年時点で約2,800名の従業員を擁していました。

グループ全体では、数万人規模の従業員が在籍していると推定されます。

売上規模: 最新の具体的な売上高は公表されていませんが、主要子会社の一つであるPT Visi Media Asia Tbkは、2017年に約2兆7,750億ルピアの売上を計上しています。

グループ全体としては、各事業分野で大きな売上を上げていると考えられます。

バクリーグループは、インドネシアの経済界において重要な役割を果たしており、多様な事業展開を通じて同国の発展に寄与しています。

 

バクリーグループのグループの歴史

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアを代表するプリブミ(土着)系の企業グループであり、その歴史は多岐にわたる事業展開とともに発展してきました。以下に、年表形式でその主な歴史をまとめます。

1916年

  • アフマッド・バクリー氏の誕生:創業者であるアフマッド・バクリー(Achmad Bakrie)氏が、南スマトラ州(現ランプン州)の小農家に生まれる。

1934年~1940年

  • 商業活動の開始:オランダの製薬会社の販売員として活動し、同時にコーヒーや胡椒の商取引にも従事。

1942年

  • 「バクリー・アンド・ブラザーズ」設立:アフマッド・バクリー氏が父や兄とともに、商社「バクリー・アンド・ブラザーズ・ジェネラル・マーチャント・アンド・コミッション・エージェント社」を設立。

1951年~1952年

  • 法人化と株式会社化:1951年に法人設立の認可を受け、1952年には「バクリー・アンド・ブラザーズ」として株式会社化。

1957年

  • 製造業への進出:カワット社の鉄工所を買収し、鉄鋼業に参入。同年、バクリー・スティール社を設立し、鉄鋼業を基幹産業とする体制を築く。

1970年代

  • 事業多角化:石油価格の上昇に伴い、資源加工部門や基礎産業への投資を拡大。鉄鋼業だけでなく、農園事業や建設業など多岐にわたる分野に進出。

1980年代

  • グループの再編と拡大:子会社を次々と設立し、ビジネス・グループとしての基盤を強化。1982年には、アフマッド・バクリー氏の長男であるアブリザル・バクリー氏が「バクリー・アンド・ブラザーズ」の副社長に就任。

1988年

  • 創業者の逝去と世代交代:創業者アフマッド・バクリー氏が逝去し、長男のアブリザル・バクリー氏が会長に就任。

1990年代

  • 持株会社体制の確立:1992年までに、持株会社3社とその傘下の子会社というピラミッド構造にグループ内を再編成。アブリザル・バクリー氏が「バクリー・アンド・ブラザーズ」を、次男のニルワン・バクリー氏が「バクリー・キャピタル・インドネシア」を、三男のインドラ・バクリー氏が「バクリー・インベスティンド」をそれぞれ統括。

1996年

  • 国内有数の企業グループへ:グループの総売上が2.4兆ルピアに達し、インドネシア国内で第17位、プリブミ系グループとしては第3位の規模となる。

2000年代以降

  • 政治・経済への影響力拡大:アブリザル・バクリー氏は、インドネシア商工会議所(KADIN)会頭や経済調整大臣、厚生福祉大臣などの要職を歴任。また、2009年にはゴルカル党の党首に選出され、政治的影響力も強化。

バクリーグループは、創業以来、多角的な事業展開と戦略的な再編を通じて、インドネシアの経済発展に大きく寄与してきました。現在では、エネルギー、鉱業、不動産、メディアなど多岐にわたる分野で事業を展開し、同国を代表する企業グループとしての地位を確立しています。

 

バクリーグループの主要事業

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアを代表するプリブミ(土着)系の企業グループであり、以下の主要な事業分野で活動しています。

1. エネルギー・鉱業

  • 石炭採掘:子会社のPT Bumi Resources Tbkを通じて、石炭の採掘・生産を行っています。
  • 石油・ガス開発:エネルギー資源の探査・開発にも積極的に取り組んでいます。

2. 不動産開発

  • 住宅・商業施設の開発:PT Bakrieland Development Tbkを通じて、住宅地や商業施設、インフラプロジェクトの開発を手掛けています。

3. 建材・製造業

  • 建築材料の製造:PT Bakrie Building Industriesを通じて、各種建築資材の製造・販売を行っています。
  • 金属パイプの製造:PT Bakrie Pipe Industriesを通じて、金属パイプの製造・供給を手掛けています。

4. メディア・通信

  • 放送メディア:PT Visi Media Asia Tbkを通じて、テレビ放送局やオンラインメディアの運営を行い、情報・娯楽コンテンツを提供しています。

5. 農業・プランテーション

  • パーム油・天然ゴムの生産:PT Bakrie Sumatera Plantations Tbkを通じて、パーム油や天然ゴムの生産・加工を行い、国内外の市場に供給しています。

これらの多角的な事業展開により、バクリーグループはインドネシアの経済発展に大きく貢献しています。

バクリーグループのインドネシアへの影響力

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアにおいて経済・政治の両面で大きな影響力を持つ企業グループです。その影響力は以下の点で顕著に現れています。

1. 経済的影響力

  • 多角的事業展開:バクリーグループは、エネルギー、鉱業、不動産、メディア、農業など多岐にわたる事業を展開しています。特に、石炭採掘や石油・ガス開発などの資源分野では、インドネシア国内で重要な役割を果たしています。また、建材や金属パイプの製造、不動産開発、メディア運営など、多様な産業に参入し、インドネシアの経済成長に寄与しています。
  • プリブミ系企業としての成功:インドネシアでは、華人系企業が経済界で大きな影響力を持つ中、バクリーグループはプリブミ(土着のインドネシア人)系企業として成功を収めています。これは、同国の経済における多様性と包摂性を象徴しています。

2. 政治的影響力

  • アブリザル・バクリー氏の政治活動:創業者アフマッド・バクリーの長男であるアブリザル・バクリー氏は、インドネシア商工会議所(KADIN)会頭や経済調整大臣、厚生福祉大臣などの要職を歴任しました。さらに、有力政党であるゴルカル党の党首も務め、政治界においても大きな影響力を持っています。
  • ビジネスと政治の相互作用:バクリーグループは、政治的コネクションを活用して国家プロジェクトを獲得するなど、ビジネスと政治の密接な関係を築いてきました。この相互作用により、同グループは事業拡大と影響力の強化を図ってきました。

以上のように、バクリーグループは多角的な事業展開と政治的影響力を通じて、インドネシアの経済発展と政治動向に大きな影響を及ぼしています。

 

バクリーグループの過去の事件

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアの大手コングロマリットとして知られていますが、過去にはいくつかの問題や批判に直面しています。以下に主な事例を挙げます。

1. ラプンド泥火山災害(2006年)

2006年5月、東ジャワ州シドアルジョ県で泥火山の噴出が発生し、多くの住民が避難を余儀なくされました。この災害は「ラプンド泥火山災害」として知られ、PT Lapindo Brantasという企業が関与していました。この企業はバクリーグループの関連会社であり、災害の原因が同社のガス掘削活動にあると指摘されています。しかし、同社は自然現象であると主張し、責任の所在を巡って論争が続いています。

2. 財務問題と債務不履行(2012年)

2012年、バクリーグループは財務上の問題に直面し、特に石炭関連事業の低迷により、債務不履行のリスクが高まったと報じられました。この状況は、投資家や金融機関からの信頼性に影響を与え、グループ全体の経済的安定性に疑問が投げかけられました。

3. 政治とビジネスの癒着

バクリーグループの経営陣、特にアブリザル・バクリー氏は政治的な影響力を持つことで知られています。彼はインドネシア商工会議所の会頭や経済調整大臣などを歴任し、政治とビジネスの密接な関係が指摘されています。このような関係性は、利益相反や権力の乱用といった批判を招いています。

これらの事例は、バクリーグループが直面した主な問題や批判を示しています。同グループはインドネシアの経済界で重要な役割を果たしていますが、同時にこれらの問題に対する適切な対応が求められています。

 

バクリーグループと日本企業との協業事例

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアを代表する複合企業であり、これまでに日本企業との協業を行ってきました。以下に、主な協業事例を挙げます。

1. PT. Bina Usaha Mandiri Mizusawaとの協業

バクリーグループ傘下のPT. Bina Usaha Mandiri Mizusawaは、砂型鋳造に強みを持ち、トラック用鋳物を生産しています。同社は主に日本製の設備やダクトを使用し、高品質な製品を日本のメーカーに納入しています。

2. メディア分野での協業

バクリーグループのメディア事業を統括するPT Visi Media Asia Tbkは、日本企業と共同でコンテンツ制作を行った実績があります。例えば、2013年には日本とインドネシアの企業が共同制作したヒーロー番組の放送が開始されました。

これらの協業を通じて、バクリーグループは日本企業との関係を深め、インドネシア市場におけるビジネス展開を強化しています。

 

まとめ

バクリーグループ(Bakrie Group)は、インドネシアのプリブミ系(土着のインドネシア人)企業として、1942年に設立され、エネルギー、鉱業、不動産、メディア、建材など多岐にわたる事業を展開しているコングロマリットです。グループは、特に石炭採掘や石油・ガス開発、建材製造、不動産開発などで重要な役割を果たしています。経済的影響力だけでなく、創業者のアフマッド・バクリー氏の政治活動や、彼の息子アブリザル・バクリー氏の政治的関与もあり、ビジネスと政治の密接な関係が指摘されています。また、過去にはラプンド泥火山災害や財務問題などの課題に直面したこともありますが、それでもインドネシア経済において欠かせない存在としての地位を築いています。

 

本記事で使用した単語の解説

  1. バクリーグループ(Bakrie Group)
    インドネシアを代表するプリブミ系の多国籍コングロマリット企業で、エネルギー、鉱業、不動産、メディアなど多様な事業を展開している企業グループ。
  2. アフマッド・バクリー(Achmad Bakrie)
    バクリーグループの創業者で、インドネシアにおける成功した実業家。
  3. PT Bumi Resources Tbk
    バクリーグループ傘下の企業で、インドネシア国内で大規模な石炭採掘を行っている。
  4. PT Bakrieland Development Tbk
    バクリーグループの不動産開発部門を担う企業で、住宅、商業施設、インフラ開発を手掛けている。
  5. PT Visi Media Asia Tbk
    バクリーグループ傘下のメディア企業で、インドネシアのテレビ放送やオンラインメディアの運営を行っている。
  6. ラプンド泥火山災害(Lapindo Mud Volcano Disaster)
    2006年にインドネシアのシドアルジョ県で発生した泥火山災害で、バクリーグループ傘下の企業PT Lapindo Brantasが関与していたとされる。
  7. プリブミ(Pribumi)
    インドネシアにおける土着の住民を指し、バクリーグループはプリブミ系企業として、インドネシア国内で重要な地位を占めている。

 

FAQ(よくある質問)

Q1: バクリーグループはどんな企業グループですか?

A1: バクリーグループは、インドネシアを代表するプリブミ系のコングロマリットで、エネルギー、鉱業、不動産、メディア、建材製造などの事業を展開している企業です。特に、石炭採掘や石油・ガス開発で知られています。

Q2: バクリーグループの創業者は誰ですか?

A2: バクリーグループの創業者はアフマッド・バクリー(Achmad Bakrie)氏で、1942年にインドネシアで企業を設立しました。

Q3: バクリーグループの主要な事業は何ですか?

A3: バクリーグループはエネルギー、鉱業、不動産開発、建材製造、メディア運営など多岐にわたる事業を展開しています。特に、石炭採掘や石油・ガス開発に強みを持っています。

Q4: バクリーグループのラプンド泥火山災害とは何ですか?

A4: 2006年に発生したラプンド泥火山災害は、バクリーグループ傘下の企業PT Lapindo Brantasのガス掘削活動が原因とされる泥火山の噴出事故です。この災害はインドネシア国内外で大きな注目を集め、責任問題を巡る論争が続いています。

Q5: バクリーグループの政治的影響力について教えてください。

A5: バクリーグループの創業者アフマッド・バクリー氏の長男であるアブリザル・バクリー氏は、インドネシア商工会議所会頭や経済調整大臣、ゴルカル党の党首などを歴任し、政治的影響力を行使しています。この影響力により、ビジネスと政治の密接な関係が注目されています。

Q6: バクリーグループは日本企業とどのように協業していますか?

A6: バクリーグループは、PT. Bina Usaha Mandiri Mizusawaなどを通じて日本企業と協業しています。日本の企業とは、製造業やメディア事業などで提携関係を築いており、特にコンテンツ制作や品質管理などでの協力が進められています。

Q7: バクリーグループのメディア事業にはどのような企業が関与していますか?

A7: バクリーグループのメディア事業は、PT Visi Media Asia Tbkが担当しており、インドネシア国内でテレビ放送やオンラインメディアを運営しています。特に、情報・娯楽コンテンツの提供を通じて、広く認知されています。

 

 

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