2月 20, 2025 • インドネシア, 財閥 • by Delilah

インドネシアの巨大財閥シナルマスグループ(Sinar Mas)を徹底解説

インドネシアの巨大財閥シナルマスグループ(Sinar Mas)を徹底解説

シナルマスグループの概要

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアを代表する多角的企業グループであり、以下の構成でその概要を詳しく説明します。シナルマス・グループは、紙パルプ、金融、不動産、食料、通信、電力の6つの主要事業を展開する世界有数の企業グループです。アジアを拠点に、幅広い分野で積極的な事業活動を行っています。

シナルマス・グループは、1970年にエカ・チプタ・ウィジャヤ(Eka Tjipta Widjaja)氏によって設立されました。同グループは、製紙業をはじめ、農業、不動産、金融サービス、鉱山開発、建設など多岐にわたる事業を展開しています。特に、アジア・パルプ&ペーパー(APP)はアジア最大の製紙会社であり、ゴールデン・アグリ・リソーシーズ(GAR)は世界第2位のパームプランテーションを有しています。

創業者

エカ・チプタ・ウィジャヤ(Eka Tjipta Widjaja)氏

創業年

1970年

本拠地

インドネシア

主な事業

  • 製紙業
  • 農業(パームプランテーション)
  • 不動産開発
  • 金融サービス
  • 鉱山開発
  • 建設

代表企業

  • アジア・パルプ&ペーパー(Asia Pulp & Paper)
  • ゴールデン・アグリ・リソーシーズ(Golden Agri-Resources)
  • シナルマス・ランド(Sinar Mas Land)
  • バンク・シナルマス(Bank Sinar Mas)

 

シナルマスグループのグループの歴史

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアを代表する多角的企業グループであり、その歴史は以下の通りです。

1938年

  • 創業者エカ・チプタ・ウィジャヤ(Eka Tjipta Widjaja)氏が、南スラウェシ州マカッサルで事業を開始。

1962年

  • スラバヤで「CV Sinar Mas」を設立し、天然資源の輸出と繊維の輸入を手掛ける。

1968年

  • 北スラウェシ州マナドにPT Bitung Manado Oilを設立し、食用油の製造を開始。

1972年

  • 台湾の投資家と共に、苛性ソーダ製造会社のTjiwi Kimiaを買収し、製紙業に参入。
  • 不動産開発会社のDuta Pertiwiを設立。

1982年

  • PT Internas Artha Leasing Companyを設立し、金融サービス業に進出。

1989年

  • ジャカルタ近郊のブミ・スルポン・ダマイ(BSD City)の開発を開始。

1994年

  • アジア・パルプ・アンド・ペーパー(Asia Pulp & Paper、APP)を設立し、製紙事業を統合。

1996年

  • PT Dian Swastatika Sentosaを設立し、エネルギー供給事業を開始。

2002年

  • シナルマス・ランドがBSD Cityを買収し、開発を継続。

2010年

  • シナルマス・ランドがインドネシア最大のデベロッパーとなる。

2019年

  • 創業者エカ・チプタ・ウィジャヤ氏がジャカルタで逝去。

 

シナルマスグループの主要事業

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアを代表する多角的企業グループであり、以下の主要事業を展開しています。

1. 製紙業(紙パルプ)

シナルマス・グループの中核事業の一つであり、アジア・パルプ&ペーパー(Asia Pulp & Paper、APP)を傘下に持ちます。APPはインドネシア最大の製紙会社であり、同国の紙出荷量の約70%を占めています。

2. 農業(アグリビジネス)

ゴールデン・アグリ・リソーシズ(Golden Agri-Resources、GAR)を通じて、パーム油の生産を手掛けています。GARは世界第2位のパーム油生産企業であり、広大なアブラヤシ農園を運営しています。

3. 不動産開発

シナルマス・ランド(Sinar Mas Land)は、インドネシア最大の不動産デベロッパーとして知られています。ジャカルタ近郊のブミ・スルポン・ダマイ(BSD City)などの大規模都市開発プロジェクトを手掛けています。

4. 金融サービス

バンク・シナルマス(Bank Sinar Mas)などを通じて、銀行業務や保険、リースなど幅広い金融サービスを提供しています。

5. 鉱業

ディアン・スワスタディカ・セントサ(Dian Swastatika Sentosa)を通じて、石炭採掘や火力発電などのエネルギー関連事業を展開しています。

6. 通信

情報通信分野にも進出しており、インドネシア国内での通信サービスの提供や関連インフラの整備を行っています。

これらの主要事業に加え、シナルマス・グループはヘルスケアや教育分野への進出も図っており、事業の多角化と持続可能な成長を目指しています

シナルマスグループのインドネシアへの影響力

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアにおいて多岐にわたる事業を展開し、経済、社会、環境の各分野で大きな影響力を持つ企業グループです。その影響力は以下の主要な側面に現れています。

1. 経済的影響力

  • 主要産業への貢献: シナルマス・グループは、製紙、農業、不動産、金融サービス、通信、鉱業などの主要産業で事業を展開しています。特に、製紙部門のアジア・パルプ&ペーパー(Asia Pulp & Paper、APP)は、インドネシアの紙出荷量の約70%を占めるなど、国内市場において重要な役割を果たしています。
  • 雇用創出: 同グループは、直接的および間接的に多くの雇用を生み出しており、インドネシアの経済成長と社会的安定に寄与しています。

2. 社会的影響力

  • インフラ開発: シナルマス・グループは、不動産開発を通じて都市インフラの整備に貢献しています。例えば、ジャカルタ近郊のBSD City(ブミ・スルポン・ダマイ)は、同グループが手掛けた大規模な都市開発プロジェクトであり、住宅、商業施設、教育機関などが集積する自立型コミュニティとして機能しています。
  • 教育・医療分野への参入: 同グループは、教育や医療分野への投資も行っており、インドネシア国内の生活水準の向上に寄与しています。

3. 環境への影響

  • 森林破壊と火災問題: シナルマス・グループは、過去に森林破壊や土地収奪、森林火災などの環境問題に関与してきたと報告されています。特に、APPは森林保護方針を採択したものの、泥炭地の開発や火災の問題が続いているとの指摘があります。
  • 国際的な批判と対応: 環境問題に関する批判を受け、ユニリーバやネスレなどの国際的な企業が同グループとの取引を見直す動きも見られました。

4. 金融・国際関係への影響

  • 国際的な金融取引: シナルマス・グループは、国内外の金融機関から多額の融資を受けており、インドネシアの金融市場においても重要な存在です。2015年から2020年第1四半期にかけて、同グループは約200億米ドルの融資・引受を受けており、その中には日本のメガバンクも含まれています。
  • 国際的な提携と投資: 同グループは、マレーシアのAxiataグループとの通信事業の統合など、国際的な提携や投資を積極的に行い、インドネシアの経済発展と国際的地位の向上に寄与しています。

総じて、シナルマス・グループはインドネシアの多くの産業分野で主導的な役割を果たし、経済的発展や社会的インフラの整備に大きく貢献しています。一方で、環境問題や持続可能性に関する課題も抱えており、これらへの対応が今後の重要な課題となっています。

 

シナルマスグループの過去の事件

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアを代表する多角的企業グループですが、その活動に関して以下のような批判や懸念が報告されています。

1. 環境破壊と森林減少

  • 森林破壊: 同グループ傘下のアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)は、インドネシア国内で大規模な森林伐採を行い、天然林をアカシアなどの植林地に転換したとの指摘があります。
  • 泥炭地の破壊: APPは、炭素貯蔵量が豊富な泥炭地を開発し、環境への悪影響を及ぼしていると報告されています。

2. 人権侵害と土地収奪

  • 土地収奪: シナルマス・グループは、先住民族や地域コミュニティの土地を不当に取得し、住民の生活基盤を脅かしているとの批判があります。
  • 暴力行為: 同グループの警備員や関連企業が、土地紛争に関連して住民に対する暴力や脅迫を行った事例が報告されています。

3. 国際的な批判と取引停止

  • 取引停止: これらの環境破壊や人権侵害の報告を受け、ユニリーバやネスレなどの国際的な企業が、シナルマス・グループとの取引を見直す動きを見せています。

シナルマスグループと日本企業との協業事例

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアを代表する多角的企業グループであり、複数の日本企業と協業関係を築いています。主な協業事例は以下の通りです。

1. 伊藤忠商事株式会社

2017年、伊藤忠商事はシナルマス・グループの子会社であるPT Pasar Dana Pinjaman(PDP社)に資本参加することで合意しました。PDP社は、インドネシアでP2Pレンディングサービス「Danamas」を運営しており、両社はこの協業を通じて、資産運用、個人向け融資、電子マネー決済、ポイントプログラム、保険などの総合的金融サービスの提供を目指しています。

2. 日本電気株式会社(NEC)

2024年10月、NECの現地法人であるPT. NEC Indonesiaと、シナルマス・グループの不動産開発部門であるSinar Mas LandのIT子会社であるPT Samakta Mitraは、適応ファイナンスの普及に向けた戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。この協業では、自然災害のリスク調査と防災対策の効果を可視化するソリューションの検討や、金融機関による効果的な金融商品の提供を目指しています。

3. 双日株式会社

双日は、シナルマス・グループの不動産部門であるSinar Mas Landと共同で、インドネシアの総合都市開発プロジェクト「デルタマス・シティ」を手掛けています。このプロジェクト内の工業団地「グリーンランド・インターナショナル・インダストリアル・センター(GIIC)」は、両社の合弁会社であるPT Puradelta Lestari Tbk(PDL)が開発・運営を行っています。

これらの協業を通じて、シナルマス・グループと日本企業は、金融サービス、都市開発、技術革新などの分野で相互に利益をもたらすパートナーシップを築いています。

 

まとめ

シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)は、インドネシアの多角的企業グループであり、製紙業、農業、不動産開発、金融サービスなど幅広い分野で事業を展開しています。1970年に創業者エカ・チプタ・ウィジャヤ氏によって設立され、現在ではアジア・パルプ&ペーパー(APP)やゴールデン・アグリ・リソーシーズ(GAR)などの企業を通じて、世界規模で事業を展開しています。特に製紙業とパーム油生産においては、アジア最大および世界第2位の規模を誇ります。シナルマス・グループは、インドネシア国内外の経済発展に大きく貢献しており、特に不動産開発や金融サービスの分野で重要な役割を果たしています。一方で、環境問題や社会的責任に関する批判もあり、これらへの対応が今後の課題となっています。

 

本記事で使用した単語の解説

  1. シナルマス・グループ(Sinar Mas Group)
    インドネシアを代表する大手複合企業グループ。製紙業、農業、不動産開発、金融サービスなど多岐にわたる事業を展開しており、世界的な規模で事業を展開している。
  2. アジア・パルプ&ペーパー(Asia Pulp & Paper, APP)
    インドネシア最大の製紙会社であり、シナルマス・グループの中核事業の一つ。アジア最大規模の製紙業者であり、同国の紙の出荷量の約70%を占めている。
  3. ゴールデン・アグリ・リソーシーズ(Golden Agri-Resources, GAR)
    シナルマス・グループの農業部門を担当し、世界第2位のパーム油生産企業。広大なアブラヤシ農園を運営しており、パーム油の生産と供給に貢献している。
  4. シナルマス・ランド(Sinar Mas Land)
    インドネシア最大の不動産開発企業で、ジャカルタ近郊の大規模都市開発「BSD City」などを手掛けている。
  5. バンク・シナルマス(Bank Sinar Mas)
    シナルマス・グループが展開する金融部門の一環で、銀行業務を中心に幅広い金融サービスを提供している。
  6. メイカルタ(Meikarta)
    シナルマス・グループが開発を進める大規模都市開発プロジェクト。インドネシア、特に西ジャワ州チカランに位置し、住宅、商業施設、オフィスビルなどを含む新しい都市を形成する計画。

 

FAQ(よくある質問)

Q1: シナルマス・グループはどのような事業を展開していますか?

A1: シナルマス・グループは、製紙業、農業(パームプランテーション)、不動産開発、金融サービス、鉱業、通信などの主要な事業を展開しています。特に製紙業とパーム油生産が注目されており、アジア最大規模の製紙業者と世界第2位のパーム油生産企業を誇ります。

Q2: シナルマス・グループの創業年と創業者は誰ですか?

A2: シナルマス・グループは1970年に創業され、創業者はエカ・チプタ・ウィジャヤ(Eka Tjipta Widjaja)氏です。

Q3: シナルマス・グループの代表企業にはどのようなものがありますか?

A3: 代表企業には、アジア・パルプ&ペーパー(APP)、ゴールデン・アグリ・リソーシーズ(GAR)、シナルマス・ランド(Sinar Mas Land)、バンク・シナルマス(Bank Sinar Mas)などがあります。

Q4: メイカルタ(Meikarta)プロジェクトとは何ですか?

A4: メイカルタは、シナルマス・グループが開発を進める大規模な都市開発プロジェクトで、ジャカルタ近郊のチカランに位置します。住宅、商業施設、オフィスビルなどを含む新しい都市を形成する計画です。

Q5: シナルマス・グループは日本企業と協業していますか?

A5: はい、シナルマス・グループは伊藤忠商事や双日などの日本企業と協業関係を築いています。例えば、伊藤忠商事とP2Pレンディングサービス「Danamas」に関する提携や、双日との都市開発プロジェクト「デルタマス・シティ」における共同事業があります。

Q6: シナルマス・グループが抱える環境問題について教えてください。

A6: シナルマス・グループは、過去に森林破壊や土地収奪、泥炭地の開発に関与したとの批判を受けています。特にアジア・パルプ&ペーパー(APP)の事業に関連して、泥炭地開発や森林火災が環境問題を引き起こし、国際的な企業との取引見直しに繋がった事例もあります。

 

 

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