2月 27, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアの大手通信キャリア企業Telkom(テルコム)

インドネシアの大手通信キャリア企業Telkom(テルコム)

インドネシア最大の通信企業であるTelkom(テレコム・インドネシア)は、固定電話、モバイル通信、インターネットサービスを提供し、同国の通信インフラを支えています。本記事では、インドネシア通信企業No.1のTelkomについて詳しく解説します。インドネシアの通信市場に興味がある方は、ぜひご覧ください。

 

Telkom(テルコム)のの会社概要

PT Telkom Indonesia (Persero) Tbk(テレコム・インドネシア)は、インドネシアの主要な通信企業であり、固定電話、モバイル通信、インターネットサービスなど、多岐にわたるサービスを提供しています。本社はバンドンに位置し、運営本部はジャカルタのTelkom Landmark Complexにあります。同社はインドネシア証券取引所に上場しており、政府が約52.09%の株式を保有しています。2019年の収益は約135.567兆ルピアに達し、インドネシア最大の通信事業者としての地位を確立しています。

会社名: PT Telkom Indonesia (Persero) Tbk

創業者: インドネシア政府

創業年: 1991年

本社所在地: バンドン、インドネシア

telkomsel

 

Telkom(テルコム)の創業の経緯やストーリー

PT Telkom Indonesia (Persero) Tbk(テレコム・インドネシア)の創業の歴史は、インドネシアにおける通信技術の発展と密接に関連しています。その起源は、オランダ植民地時代の1856年10月23日に、バタビア(現在のジャカルタ)とブイテンゾルグ(現在のボゴール)を結ぶ電磁式電信サービスの設立に遡ります。この電信サービスは、インドネシア初の公式な通信手段として、情報伝達の迅速化に大きく貢献しました。

1884年、オランダ植民地政府はバンドンに本社を置く民間企業を設立し、郵便および国内電信サービス、さらには国際電信および電話サービスの提供を開始しました。これにより、インドネシア内外の通信網が拡大し、商業活動や行政運営の効率化が進みました。

1906年、郵便、電信、電話サービスが統合され、政府機関である「郵便・電信・電話サービス(PTT)」が設立されました。この統合により、通信インフラの一元管理が実現し、サービスの質と信頼性が向上しました。

第二次世界大戦後、インドネシアは独立を宣言し、1949年12月にPTTはインドネシア政府によって国有化されました。これにより、通信インフラは国家の重要資産として位置づけられ、国民へのサービス提供が強化されました。

1965年7月6日、政府はPTTを「PN Pos Giro」(郵便サービス担当)と「PN Telekomunikasi」(通信サービス担当)に分割しました。この再編成は、各分野の専門性を高め、サービスの効率化と拡充を目的として行われました。

1991年、PN Telekomunikasiは株式会社化され、「PT Telekomunikasi Indonesia(テレコム・インドネシア)」として新たに設立されました。この法人化により、同社はより柔軟で効率的な経営体制を構築し、急速に進化する通信業界に対応する基盤を整えました。

1995年11月14日、テレコム・インドネシアはジャカルタ証券取引所とスラバヤ証券取引所(後にインドネシア証券取引所に統合)で株式公開を実施し、民営化を達成しました。この上場により、資本調達の多様化と経営の透明性が向上し、さらなる成長の礎となりました。

その後、テレコム・インドネシアは通信分野の規制緩和や技術革新の波に乗り、国内外でのサービス拡充やインフラ整備を積極的に推進しています。現在では、インドネシア最大の通信事業者として、固定電話、モバイル通信、インターネットサービスなど、多岐にわたるサービスを提供し、国民の生活と経済活動を支えています。

 

 

Telkom(テルコム)の事業内容とサービス内容

PT Telkom Indonesia (Persero) Tbk(テレコム・インドネシア)は、インドネシアを代表する情報通信技術(ICT)サービスおよび通信ネットワークの提供企業です。同社は、以下の4つの主要セグメントを通じて、多岐にわたるサービスを展開しています。

  1. モバイルセグメント:

    • サービス内容: モバイル音声通話、SMS、付加価値サービス、モバイルブロードバンドなどを提供しています。特に、モバイルブロードバンドサービスは、インドネシア全土で広範なカバレッジを持ち、高速かつ安定したインターネット接続を実現しています。
  2. コンシューマーセグメント:

    • サービス内容: 家庭向けに「IndiHome」ブランドで固定音声サービス、固定ブロードバンド、デジタルサービスを提供しています。IndiHomeは、インターネット、電話、IPTVを組み合わせたトリプルプレイサービスとして、多くの家庭で利用されています。
  3. エンタープライズセグメント:

    • サービス内容: 企業や機関向けに、エンドツーエンドのICTソリューションを提供しています。具体的には、データセンター、クラウドサービス、IoTソリューション、ビッグデータ解析、サイバーセキュリティ、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)など、多岐にわたるサービスを展開しています。
  4. ホールセールおよび国際ビジネス(WIB)セグメント:

    • サービス内容: 相互接続サービス、専用線、衛星通信、ブロードバンドアクセスなどを提供しています。また、他の通信事業者や機関向けに、情報技術サービス、データ、インターネットサービスを提供し、国内外での通信インフラの発展に寄与しています。

さらに、テレコム・インドネシアはデジタルサービスの分野にも積極的に取り組んでおり、個人および法人向けにデジタルコンテンツ、ビッグデータ解析、B2Bコマース、金融サービスなどを提供しています。これらのサービスは、インドネシア国内のみならず、近隣諸国にも展開され、地域全体のデジタル化と経済成長に大きく貢献しています。

同社は、最新の技術を活用し、多様なサービスを提供することで、インドネシアのデジタルエコシステムの発展に寄与しています。特に、データセンター事業においては、2024年8月にゴールドマン・サックスやMandiri Sekuritasをアドバイザーとして戦略的投資家の誘致を進めており、さらなる事業拡大と価値向上を目指しています。

 

Telkom(テルコム)の主要なマイルストーン

PT Telkom Indonesia (Persero) Tbk(テレコム・インドネシア)は、インドネシアの情報通信技術サービスおよびデジタル通信分野で主導的な役割を果たしてきました。以下に、同社の主要なマイルストーンを時系列でまとめました。

  • 1856年10月23日: オランダ植民地政府がバタビア(現在のジャカルタ)とブイテンゾルグ(現在のボゴール)を結ぶ電磁式電信サービスを設立。
  • 1884年: バンドンに本社を置く民間企業が設立され、郵便および国内電信サービス、さらに国際電信および電話サービスを提供開始。
  • 1906年: 郵便、電信、電話サービスが統合され、政府機関「郵便・電信・電話サービス(PTT)」が設立。
  • 1965年7月6日: PTTが「PN Pos Giro」と「PN Telekomunikasi」に分割され、通信サービスを専門とする「PN Telekomunikasi」が誕生。
  • 1991年: 「Perumtel」が株式会社化され、「PT Telekomunikasi Indonesia(テレコム・インドネシア)」として設立。
  • 1995年11月14日: ジャカルタ証券取引所とスラバヤ証券取引所(後のインドネシア証券取引所)で株式公開を実施し、民営化を達成。
  • 1999年: インドネシア政府が通信分野の規制緩和法を制定し、テレコム・インドネシアとインドサットが共同所有していた通信会社の持分を段階的に解消。
  • 2001年: インドサットからテレコムセルの35%の株式を取得し、持分を77.7%に引き上げ。
  • 2002年: シンガポール・テレコム・モバイル(シングテル・モバイル)にテレコムセルの12.7%の株式を売却し、持分を65%に調整。
  • 2004年6月7日: 国際直通固定電話サービスの提供を開始。
  • 2005年11月16日: 「Telkom-2」衛星を打ち上げ、パラパB-4衛星に代わる衛星伝送サービスを提供。
  • 2009年: 通信、情報技術サービス、メディア、エデュテインメント分野への事業拡大を開始。
  • 2012年12月5日: インドネシア全土で100,000のWi-Fiアクセスポイントを展開する計画を発表し、アジア最大のWi-Fiネットワーク構築を目指す。
  • 2017年2月14日: 「Telkom-3S」衛星を打ち上げ、通信サービスの強化を図る。
  • 2023年6月27日: 固定ブロードバンドサービス「IndiHome」をテレコムセルに統合する契約に署名し、固定とモバイルの融合(FMC)戦略を推進。
  • 2024年5月3日: 2023会計年度の純利益の72%に相当する17兆6,800億ルピアの現金配当を分配することを年次株主総会で承認。

 

 

Telkom(テルコム)の競合企業

インドネシアの通信業界には、複数の大手企業が存在し、テレコム・インドネシアと激しい競争を繰り広げています。

  • Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット・ウレドゥ・ハッチソン)
    • インドネシア第2位の通信会社。カタールのOoredooと香港のCK Hutchisonの合併により強化され、全国的な5Gネットワーク展開に注力。
  • XL Axiata(XLアクシアタ)
    • マレーシアのAxiataグループが所有する通信会社で、都市部を中心に安定したモバイル通信サービスを提供。
  • Smartfren(スマートフレン)
    • CDMA技術を活用し、データ通信を重視する通信事業者。4G LTEに特化したプランを提供。
  • MyRepublic(マイリパブリック)
    • シンガポール資本のブロードバンド通信企業で、都市部を中心に高速光ファイバーインターネットを展開。

 

 

Telkom(テルコム)の過去に発生した問題

テレコム・インドネシアはインドネシア最大の通信会社としての影響力を持つ一方で、過去にいくつかの問題に直面しました。

  • インドサットとの独占権争い(2000年代初頭)
    • インドネシア政府が通信市場の自由化を進めた際、インドサットとの市場支配権を巡る対立が発生。結果として、通信業界全体の競争が激化し、サービス改善の契機となった。
  • インターネットの大規模障害(2017年)
    • Telkom-1衛星が技術的な問題により機能停止し、多くの企業、ATM、通信インフラに影響を与えた。これにより、バックアップ衛星の整備が進められた。
  • 通信料金の不透明な課金問題(2020年)
    • 一部の顧客が予期しないデータ使用料の請求を受け、消費者保護団体が調査を要請。Telkomselは料金体系を改善し、透明性を強化する対応を行った。
  • インドネシア政府との対立(2023年)
    • 政府が「国家デジタル化戦略」として通信インフラの統合を進める中で、Telkomの市場独占が問題視され、通信規制の見直し議論が発生。

 

 

Telkom(テルコム)のインドネシアのユーザーの反応

テレコム・インドネシアは全国規模での通信インフラを提供しているため、多くのインドネシア人に利用されていますが、評価は賛否両論です。

ポジティブな反応

  • 広範なカバレッジ
    • 「田舎でもTelkomの光回線IndiHomeが使えるので助かる」という声が多い。
  • 企業向けの信頼性
    • 「企業向けの回線は他社より安定している」「クラウドサービスも充実」と評価される。

ネガティブな反応

  • IndiHomeの速度問題
    • 「広告と実際の通信速度が違う」「ピーク時に極端に遅くなる」という不満が頻出。
  • カスタマーサービスの対応
    • 「問い合わせても問題が解決しない」「応答が遅い」との指摘が多い。
  • Telkomselの高額プラン
    • 「料金が他社より高い」「データプランの料金設定が分かりづらい」という批判もある。

 

 

まとめ

Telkom Indonesiaは、インドネシア通信市場のリーダーとして、長年にわたりインフラの整備とデジタルサービスの強化を進めてきました。その歴史は1856年の電信サービス設立に遡り、現在ではTelkomselなどの子会社を通じて、モバイル通信や光ファイバーインターネット(IndiHome)を全国展開しています。一方で、過去には市場独占や料金体系に関する問題が指摘されており、今後の課題としてサービス品質の向上と価格の透明性が求められています。競合他社との激しい競争が続く中、Telkomがどのように進化していくのか、今後も注目されるでしょう。

 

 

本記事で使用した単語の解説

  • FTTx(Fiber to the x): 光ファイバー技術の総称。FTTH(Fiber to the Home)など、異なるタイプがある。
  • 5G: 第5世代移動通信システム。高速・低遅延の通信が可能。
  • SDN/NFV(Software-Defined Networking/Network Functions Virtualization): ソフトウェアベースのネットワーク制御技術。
  • クラウドサービス: インターネット経由で提供されるデータストレージやコンピューティングサービス。
  • IoT(Internet of Things): インターネットに接続されたモノ(デバイス)が相互にデータをやり取りする技術。
  • サイバーセキュリティ: ネットワークやデータを保護するための技術や対策。
  • モバイル通信キャリア: 携帯電話ネットワークを提供する企業。
  • Wi-Fiアクセスポイント: ワイヤレスネットワークに接続するための設備。

 

 

FAQ(よくある質問)

Q1: Telkom IndonesiaとTelkomselの違いは何ですか?
A: Telkom Indonesiaは親会社で、固定回線や法人向けサービスを提供しています。一方、Telkomselはその子会社で、モバイル通信サービスを中心に展開しています。

Q2: TelkomのIndiHomeとはどのようなサービスですか?
A: IndiHomeは、Telkom Indonesiaが提供する光ファイバーインターネットサービスで、固定電話やケーブルテレビとセットになったプランもあります。

Q3: Telkomの5Gサービスはどこで利用できますか?
A: 5Gサービスはジャカルタ、スラバヤ、バリなどの主要都市で利用可能ですが、エリアは徐々に拡大中です。

Q4: Telkomの料金は他社と比べてどうですか?
A: Telkomselのモバイルプランは他社より高めの設定ですが、カバレッジの広さと安定性に定評があります。IndiHomeは地域によって価格と品質にばらつきがあります。

Q5: Telkom Indonesiaの株は購入できますか?
A: はい、Telkom Indonesia(TLKM)はインドネシア証券取引所(IDX)とニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しています。

 

 

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