
6月 2, 2025 • インドネシア
2月 27, 2025 • インドネシア • by Delilah
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インドネシアの通信市場で重要な役割を果たすXL Axiata(エックスエル・アクシアタ)は、手頃な価格と幅広いネットワークカバレッジを強みとする大手通信事業者です。現在はTelkom, Indosatに次ぐ市場シェア第三位です。本記事では、インドネシア通信企業大手のXLについて詳しく解説します。インドネシアの通信市場に興味がある方は、ぜひご覧ください。
PT XL Axiata Tbk(エックスエル・アクシアタ)は、インドネシアの主要な移動体通信事業者の一つであり、ジャカルタに本社を構えています。同社は、ジャワ、バリ、ロンボクをはじめ、スマトラ、カリマンタン、スラウェシの主要都市でもサービスを提供しています。そのサービスは、2G GSM、4G LTE、5G NR、光ファイバーなど、多岐にわたるネットワークインフラを活用しています。
XL Axiata(エックスエル・アクシアタ)の前身は、PT Grahametropolitan Lestariという企業で、1989年10月6日に設立されました。当初の事業は貿易や一般サービスの提供であり、通信事業にはまだ参入していませんでした。
インドネシアでは1980年代後半から、政府が通信インフラの発展に力を入れ始めていました。当時、固定電話が主流であり、移動体通信は国営企業Telkom(テルコム)が独占的に提供していました。しかし、通信の自由化が進むにつれ、民間企業の参入が可能になり、XLの前身であるPT Grahametropolitan Lestariも通信業界へとシフトしました。
1996年10月8日、PT Excelcomindo Pratama(エクセルコムインド・プラタマ)として正式に商業運転を開始しました。これにより、XLはインドネシア初の民間移動体通信事業者となりました。当時、Telkomsel(テルコムセル)やIndosatなどの大手通信会社は政府の影響下にありましたが、XLは独立系の企業としてモバイル通信を展開しました。
この時期、インドネシアの携帯電話市場は急速に成長しており、特にジャカルタやスラバヤなどの大都市を中心に携帯電話の普及が進んでいました。しかし、インフラの整備が十分ではなく、通信品質の向上が課題となっていました。
1. モバイル通信サービス
XL Axiataは、インドネシア全土で携帯電話向けの移動体通信サービスを提供しています。以下の通信技術を活用し、個人ユーザー向けのプリペイド・ポストペイドプランを展開しています。
また、同社は「XL Prabayar(XLプリペイド)」や「XL Prioritas(XLポストペイド)」といったブランドを通じ、異なるニーズに対応した料金プランを提供しています。
2. データ通信とモバイルブロードバンド
インドネシア国内でのスマートフォンの普及に伴い、XL Axiataはデータ通信サービスを強化しています。特に、動画ストリーミングやSNSの利用が多いユーザー向けに、以下のようなプランを提供しています。
また、ポータブルWi-Fiルーター「XL Go Izi」を提供し、モバイル環境でのインターネット利用を可能にしています。
3. AXISブランドの展開(若年層向け)
XL Axiataは、若者向けブランド「AXIS」を運営しており、低価格でSNSやゲームに特化したデータパッケージを提供しています。主な特徴として、以下のようなサービスがあります。
4. 企業向けソリューション(XL Business Solutions)
法人向けには、クラウドベースの通信ソリューションやIoT(モノのインターネット)サービスを提供しています。主要なソリューションは以下の通りです。
5. FTTH(光ファイバー通信)サービス「XL Home」
XL Axiataは、固定ブロードバンドサービスとして「XL Home」という光ファイバーインターネットサービスを提供しています。特にジャカルタやバンドン、スラバヤなどの都市部で人気があります。
6. デジタルサービスとフィンテック分野への進出
最近では、デジタルサービスの強化にも力を入れており、以下のようなフィンテック(金融テクノロジー)関連のサービスを展開しています。
インドネシアの通信市場は非常に競争が激しく、エックスエル・アクシアタの主な競合企業として以下の3社が挙げられます:
エックスエル・アクシアタは、これまでにいくつかの課題や問題に直面してきました。
1. 財務上の課題
2024年12月、エックスエル・アクシアタはスマートフレン・テレコムとの合併計画を発表しました。この合併は約65億ドル規模であり、インドネシアの通信業界に大きな影響を与えると予想されています。
しかし、フィッチ・レーティングスはこの提案された合併と所有構造の変更に関連して、エックスエル・アクシアタの長期外貨および現地通貨発行者デフォルト格付け(IDR)を「BBB」から「ネガティブ・ウォッチ」に置きました。
2. ネットワークの課題
エックスエル・アクシアタは、インドネシア全土で高品質の通信サービスを提供するために、ネットワークの拡張とアップグレードに取り組んできました。しかし、急速に増加するデータ需要や地理的な制約により、特定の地域でサービス品質の低下や接続性の問題が報告されることがありました。これに対応するため、同社はジュニパーネットワークスの400GおよびSRv6ルーティングソリューションを導入し、ネットワークの拡張性と運用性の向上を図っています。
エックスエル・アクシアタは、手頃な価格と多様なサービスパッケージで多くのユーザーから支持を得ています。特に、データ通信の需要が高まる中で、同社のデータパッケージは競争力があり、ユーザーから高い評価を受けています。しかし、一部のユーザーからは、特定の地域でのネットワークカバレッジや接続品質に関する改善を求める声もあります。これに対し、エックスエル・アクシアタはネットワークの継続的な拡充とサービス品質の向上に努めています。
さらに、2024年12月11日には、エックスエル・アクシアタとSmartfrenが合併を発表し、新たに「PT XLSmart Telecom Sejahtera Tbk(XLSmart)」として統合される予定です。
この合併により、約9,451万人のモバイル顧客を擁し、インドネシアの通信市場におけるシェアの約27%を占める大手通信事業者が誕生します。ユーザーからは、この合併によるサービスの向上やネットワークの強化に期待する声が多く寄せられています。
XL Axiata(エックスエル・アクシアタ)は、インドネシアの通信市場において重要なプレイヤーの一つです。1989年の設立以来、ネットワークの拡大やサービスの多様化を進め、特にデータ通信サービスの強化に力を入れています。
2024年にはSmartfrenとの合併を発表し、市場シェアを拡大する動きを見せましたが、財務リスクや競争の激化などの課題も抱えています。また、ネットワークの品質向上に向けた取り組みも続いており、今後の成長戦略に注目が集まります。
本記事を通じて、XL Axiataの歴史や事業内容、今後の展望について理解を深めていただけたなら幸いです。通信業界の最新動向を知る上で、XL Axiataの動向は今後も注目すべきポイントとなるでしょう。
Q1. XL Axiataはどのような会社ですか?
A1. XL Axiata(エックスエル・アクシアタ)は、インドネシアの大手通信事業者で、音声通話、SMS、データ通信、ブロードバンドインターネットなどのサービスを提供しています。
Q2. XL Axiataの競合企業にはどんな会社がありますか?
A2. 主な競合企業として、Telkomsel(テルコムセル)、Indosat Ooredoo Hutchison(インドサット・ウーレドゥー・ハッチソン)、Smartfren(スマートフレン)などがあります。
Q3. XL Axiataは最近どんな動きを見せていますか?
A3. 2024年12月にSmartfrenとの合併を発表し、統合後の新会社名を「PT XLSmart Telecom Sejahtera」とする予定です。
Q4. XL Axiataのネットワーク品質はどうですか?
A4. インドネシア全土でサービスを提供していますが、特定の地域では接続品質に課題があると指摘されることもあります。現在、ネットワークの拡張や改善に取り組んでいます。
Q5. XL Axiataの合併による影響は?
A5. Smartfrenとの合併により、インドネシアの通信市場でのシェアが約27%となる見込みです。サービスの向上やネットワークの強化が期待されていますが、財務リスクの増加も指摘されています。
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