4月 17, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習
7月 4, 2026 • インドネシア • by Ayako Yamamoto
目次
日本の介護業界では、人材不足が長く続いています。採用活動を強化しても、なかなか応募が集まらない。採用できても、現場に定着しない。夜勤、身体介助、記録業務、利用者対応、家族対応、職員間の連携など、介護現場の仕事は簡単ではありません。
その中で、インドネシア人介護人材への注目は年々高まっています。インドネシアは人口が多く、若い世代も多く、日本で働くことに関心を持つ人材も少なくありません。介護分野では、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能など複数の受入れルートがあり、特に特定技能の介護分野ではインドネシア人材の存在感が大きくなっています。
しかし、ここで多くの事業者が誤解しやすい点があります。それは、「インドネシア人はまじめだから採用すれば自然に定着する」という考え方です。残念ながら、そんな都合の良い話はありません。人材定着は、国籍だけで決まるものではなく、職場環境、教育体制、評価制度、生活支援、人間関係、キャリア設計の積み重ねで決まります。
インドネシア人介護人材は、日本の介護現場にとって非常に重要な存在になり得ます。ただし、受け入れる側が「人手不足を埋める労働力」としてだけ見てしまうと、長期的な定着は難しくなります。介護は人と人が向き合う仕事です。働く側が安心して、成長でき、自分の将来を描ける職場でなければ、良い人材ほど別の職場や別の国を選ぶようになります。
この記事では、インドネシア人介護人材の定着率を高めるために、介護施設や事業所がどのような職場づくりを行うべきかを詳しく解説します。制度の話だけではなく、現場で実際に起きやすい課題、文化的な違い、日本語教育、生活支援、キャリア形成、管理者の姿勢まで、実務に近い視点で整理していきます。
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日本では高齢化が進み、介護サービスの需要は今後も高い水準で続くと見込まれています。一方で、介護職員の確保は簡単ではありません。介護職は社会的意義の高い仕事ですが、身体的負担、精神的負担、夜勤、給与水準、離職率などの問題があり、採用競争は年々厳しくなっています。
そのため、外国人介護人材の受入れは一時的な対策ではなく、介護事業を継続していくための重要な選択肢になっています。厚生労働省も、外国人介護人材の受入れについて、EPA、在留資格「介護」、技能実習、特定技能という複数の制度を整理しており、制度面でも外国人材の活用はすでに介護業界の一部になっています。
特定技能制度では、介護分野の受入れ見込み数も大きく設定されており、今後も外国人介護人材は増えていく可能性があります。つまり、外国人材の受入れは「珍しい取り組み」ではなく、介護経営における標準的なテーマになりつつあります。
インドネシア人材が介護分野で注目される理由はいくつかあります。まず、インドネシアは人口規模が大きく、若年層も多い国です。日本で働くことに関心を持つ若者も多く、特定技能やEPAなどを通じて介護分野を目指す人材がいます。
また、インドネシアでは家族を大切にする価値観が強く、高齢者への敬意や家族間の支え合いを重視する文化があります。もちろん、これを「だから全員が介護に向いている」と単純化するのは危険です。国籍で人の適性を決めつけるのは、雑すぎる人事判断です。しかし、介護の仕事に必要な思いやり、忍耐、対人配慮と相性の良い価値観を持つ人材が多いことは、受入れ側にとって大きな魅力です。
さらに、介護分野の特定技能外国人については、インドネシアが上位国の一つとして存在感を持っています。日本側の制度、インドネシア側の送り出し環境、日本語教育機関、登録支援機関、介護施設の受入れ経験が少しずつ蓄積されているため、今後も採用候補国として重要性が高まると考えられます。
外国人介護人材の受入れでは、どうしても最初は「どう採用するか」に関心が集まりがちです。どの国から採用するか、どの送り出し機関と組むか、費用はいくらか、日本語レベルはどれくらいか、入国まで何か月かかるか。これらはもちろん重要です。
しかし、実際には採用した後の定着こそが経営上の大きな課題になります。採用費用、教育時間、現場の受入れ準備、生活支援の労力を考えると、短期間で離職されてしまうことは大きな損失です。しかも、介護現場では利用者との関係性も大切です。職員が頻繁に入れ替われば、利用者も不安を感じます。
インドネシア人介護人材の定着率を高めるには、「採用して終わり」ではなく、「入職後にどう育て、どう支え、どう将来を見せるか」まで設計する必要があります。
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介護現場では、日本語能力が非常に重要です。利用者の体調変化を聞き取る、申し送りを理解する、記録を書く、家族と話す、事故報告を読む、緊急時に対応する。介護の日本語は、日常会話だけでは足りません。
特にインドネシア人材の場合、来日前に日本語を学んでいても、実際の現場では方言、早口、略語、介護独特の表現に戸惑うことがあります。例えば「トイレ誘導」「嚥下」「褥瘡」「移乗」「見守り」「傾眠」「不穏」など、介護現場では専門用語が自然に飛び交います。日本人職員にとっては普通の言葉でも、外国人職員にとっては小さな壁が毎日積み重なります。
日本語が十分に理解できないと、本人は「仕事ができない人」と見られることを恐れます。質問したいけれど、忙しそうで聞けない。聞き返すと迷惑だと思われそう。結果として、分からないまま作業し、不安を抱え込むことになります。この状態が続けば、仕事への自信を失い、離職につながります。
外国人介護人材の定着を左右する大きな要素が、職場の人間関係です。仕事そのものが大変でも、周囲に相談できる人がいれば続けやすくなります。反対に、仕事の負担がそこまで大きくなくても、孤立していると退職を考えやすくなります。
インドネシア人材は、表面上は明るく、礼儀正しく、周囲に合わせる人が多い傾向があります。しかし、それは必ずしも「問題がない」という意味ではありません。不満や不安を強く表に出さず、我慢してしまうこともあります。管理者が「何も言ってこないから大丈夫」と判断するのは危険です。
特に、休憩時間に日本人職員の会話に入れない、冗談が分からない、食事や宗教上の話題で距離を感じる、注意された理由が分からない、といった小さな体験が積み重なると、「自分はこの職場に歓迎されていないのではないか」と感じることがあります。
外国人材にとって、日本で働くことは仕事だけの問題ではありません。住居、銀行口座、携帯電話、病院、役所手続き、交通、買い物、食事、宗教、送金、家族との連絡など、生活全体が大きく変わります。
インドネシア人材の場合、初めて日本で生活する人も多く、寒さ、食材、交通ルール、ゴミ出し、近隣との関係など、細かな違いに戸惑うことがあります。特に地方の施設では、近くにインドネシア食材店やモスク、同国人コミュニティが少ない場合もあります。
生活の不安が大きいと、仕事への集中力も落ちます。例えば、給料の振込が分からない、家賃や光熱費の仕組みが理解できない、病院に行きたいが日本語が不安、母国の家族に送金できない。こうした問題を一人で抱えると、本人は日本で働き続けることに不安を感じます。
インドネシア人介護人材の中には、日本で長く働きたい人、介護福祉士を目指したい人、将来は家族を支えたい人、帰国後に経験を活かしたい人など、さまざまな目標を持つ人がいます。
しかし、職場側がキャリアの道筋を示さない場合、本人は「このまま何年働いて、自分はどうなるのか」と不安になります。特定技能1号の場合、在留期間には上限があります。在留資格「介護」や介護福祉士資格の取得を目指す道もありますが、そのためには日本語学習、実務経験、国家試験対策などが必要です。
日々のシフトに追われるだけで、資格取得やキャリア形成の支援がない職場では、本人のモチベーションは下がりやすくなります。介護人材を長く定着させたいのであれば、「今の仕事」だけでなく「将来の姿」を一緒に設計する必要があります。
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インドネシア人介護人材を受け入れる際に大切なのは、特別扱いと放置のバランスです。外国人だからといって過剰に甘やかす必要はありません。介護職員として働く以上、守るべきルール、利用者への責任、安全管理、記録、チームワークは当然求められます。
一方で、「日本に来たのだから日本のやり方に合わせて当然」と考えて放置するのも危険です。制度、言語、文化、生活環境が違う中で働く以上、最初から日本人職員と同じ理解度を求めるのは現実的ではありません。これは優しさの問題というより、管理の問題です。
外国人材の定着率を高める職場は、本人を一人の職員として尊重しながら、必要な支援を計画的に行っています。逆に失敗する職場は、「外国人だから」と雑に特別扱いするか、「同じ職員だから」と言って何も説明しないかのどちらかに偏りがちです。
定着支援は、入職後に慌てて始めるものではありません。採用前の段階で、誰が教育担当になるのか、誰が生活相談を受けるのか、日本語学習の時間をどう確保するのか、夜勤開始のタイミングをどうするのか、評価面談をいつ行うのかを決めておく必要があります。
受入れ体制がないまま採用すると、現場の日本人職員に負担が集中します。すると、日本人職員側に「外国人材が来たせいで仕事が増えた」という不満が生まれます。これは非常に危険です。本来、外国人材の受入れは人手不足を補うための取り組みなのに、準備不足のせいで職場の不満を増やしてしまうからです。
受入れ前には、管理者、現場リーダー、教育担当、事務担当、登録支援機関などの役割を明確にしておくべきです。誰が何を担当するかが曖昧な職場では、問題が起きた時に誰も責任を取らず、本人だけが困ることになります。
定着率を高めるには、感覚だけで判断しないことが重要です。外国人職員の人数、在籍期間、離職理由、相談件数、日本語学習時間、資格取得状況、夜勤開始時期、面談記録などを定期的に確認する必要があります。
例えば、入職後1か月、3か月、6か月、1年のタイミングで面談を行い、仕事、生活、人間関係、日本語、健康、将来の希望を確認します。面談内容は記録し、同じ問題が複数の職員から出ている場合は、個人の問題ではなく職場の仕組みの問題として改善します。
「最近元気がない気がする」という感覚も大事ですが、それだけでは対策が遅れます。定着率を上げる職場は、問題が表面化する前に小さなサインを拾います。
採用時には、介護の仕事の良い面だけでなく、大変な面も正直に伝える必要があります。利用者との交流、感謝される喜び、専門スキルの習得、日本でのキャリア形成など、介護には魅力があります。一方で、排泄介助、入浴介助、夜勤、認知症対応、記録業務、身体的負担もあります。
ここを曖昧にしたまま採用すると、入職後に「聞いていた話と違う」と感じやすくなります。特に介護未経験者の場合、介護の仕事を「高齢者と会話する優しい仕事」とだけイメージしていることもあります。実際には、身体介助や安全管理、感染症対策、チーム連携など、専門性と責任が求められます。
定着率を高めたいなら、採用時点で仕事の現実を伝えることが大切です。良いことだけを言って採用数を増やしても、入職後に離職が増えれば意味がありません。
インドネシア人介護人材を採用する際には、日本語能力だけでなく、介護の理解度も確認する必要があります。日本語試験に合格していても、現場で必要な聞き取り、記録、報告がすぐにできるとは限りません。
面接では、自己紹介や志望動機だけでなく、介護場面を想定した質問を行うとよいでしょう。例えば、利用者が転倒しそうになった時にどうするか、認知症の利用者が帰宅したいと言った時にどう声をかけるか、分からない業務を指示された時にどうするか、といった内容です。
また、採用前に本人の日本語学習歴、介護学習歴、実習経験、家族の理解、日本で働く目的を確認することも重要です。本人の目的が明確であれば、入職後の支援も設計しやすくなります。
インドネシア人材にとって、家族の意見は大きな意味を持つことがあります。日本で働く本人だけでなく、母国の家族が日本での生活や職場に不安を持っている場合もあります。
可能であれば、採用前後に、住居、給与、勤務時間、休日、支援体制、緊急時の連絡方法などを本人が家族に説明できるように資料を用意するとよいでしょう。インドネシア語の簡単な説明資料があると、本人も家族に説明しやすくなります。
家族が安心していれば、本人も日本での仕事に集中しやすくなります。反対に、家族から「日本は危ないのではないか」「給料は本当に払われるのか」「困った時に誰が助けてくれるのか」と不安を言われ続けると、本人の気持ちも揺らぎます。海外就労は本人だけの決断ではなく、家族全体のプロジェクトになりやすいのです。
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入職直後の1か月は、定着において非常に重要です。この時期に「この職場ならやっていけそう」と感じるか、「自分はここで続けられないかもしれない」と感じるかで、その後のモチベーションが大きく変わります。
最初から多くの業務を詰め込みすぎると、本人は混乱します。介護記録、利用者名、居室番号、シフト、物品の場所、職員の名前、ケア手順、感染対策、日本語表現、休憩ルールなど、覚えることは非常に多いです。日本人の新人でも大変なのに、外国人職員に同じ速度で覚えさせようとするのは無理があります。
最初の1か月は、職場に慣れること、安全に関わる基本業務を覚えること、相談できる相手を作ることを優先すべきです。業務範囲を段階的に広げることで、本人の不安を減らし、現場側も教育しやすくなります。
インドネシア人介護人材の定着には、教育担当者の存在が大きく影響します。毎日違う職員から違う説明を受けると、本人は混乱します。ある職員は「このやり方でいい」と言い、別の職員は「それは違う」と言う。日本の職場でよくあるローカルルールが、外国人職員をさらに混乱させます。
教育担当者を固定することで、本人は質問しやすくなります。また、教育担当者が本人の理解度や性格を把握し、段階的に指導できます。もちろん、教育担当者一人に負担を押し付けてはいけません。教育担当者には時間的余裕を持たせ、必要に応じて手当や評価に反映することも大切です。
教育担当者には、介護技術だけでなく、やさしい日本語で説明する力、相手の理解を確認する力、文化の違いを決めつけない姿勢が求められます。介護ができる人が必ずしも教育が上手いとは限りません。
職場のルールは、口頭だけでなく、やさしい日本語の資料として整理しておくと効果的です。例えば、出勤時の流れ、遅刻連絡の方法、休憩の取り方、記録の書き方、事故報告の流れ、感染症対策、服装、スマートフォンの使用ルールなどです。
日本人職員にとっては常識でも、外国人職員にとっては初めて聞く内容かもしれません。「普通は分かるでしょ」という言葉は、異文化マネジメントではほぼ役に立ちません。普通とは、その集団の中で長く暮らした人だけが共有している前提です。
説明する時は、短い文で、具体的に、例を使って伝えることが大切です。「きちんと報告して」ではなく、「利用者が転んだ時、すぐにリーダーに言います。その後、記録を書きます」のように伝えます。曖昧な表現を減らすことで、本人も行動しやすくなります。
外国人介護人材の定着を考える上で、日本語学習は避けて通れません。日本語が伸びれば、仕事の理解度が上がり、人間関係も作りやすくなり、資格取得の可能性も広がります。逆に、日本語が伸びないままだと、本人はいつまでも不安を抱え、職場側も任せられる業務が限られます。
ところが、多くの職場では日本語学習が本人任せになりがちです。「仕事が終わった後に自分で勉強してね」という形です。もちろん本人の努力は必要です。しかし、夜勤や身体介助で疲れた後に、毎日自力で勉強し続けるのは簡単ではありません。
定着率を高める職場では、日本語学習を業務支援の一部として考えます。週に数回の学習時間を確保する、介護用語のミニテストを行う、記録文の添削をする、国家試験に向けた学習計画を作るなど、職場として継続的に支援します。
一般的な日本語と介護現場の日本語は違います。日常会話ができても、介護記録や申し送りを理解するには別の練習が必要です。例えば、「食事摂取量」「水分摂取」「排泄状況」「バイタル」「皮膚状態」「転倒リスク」「服薬確認」など、介護現場には専門的な表現が多くあります。
職場では、実際に使う言葉を優先して教えるべきです。利用者への声かけ、職員への報告、記録で使う表現、事故時の説明など、現場で必要な日本語をリスト化します。
また、方言や略語にも注意が必要です。地方の介護施設では、利用者が方言で話すことも多く、外国人職員には理解が難しい場合があります。よく使われる方言や言い回しを共有しておくと、本人の不安が軽くなります。
日本語の間違いを強く責める職場では、外国人職員は話すことを怖がるようになります。話さなければ日本語は伸びません。つまり、間違いを過度に責める職場は、自分たちで外国人職員の成長を止めていることになります。
もちろん、介護現場では安全に関わる言葉の間違いは放置できません。薬、食事制限、転倒、体調変化など、誤解が事故につながる場面では正確な日本語が必要です。ただし、直し方が重要です。
「違うでしょ」と責めるのではなく、「この時は、こう言うと分かりやすいです」と具体的に直します。本人が報告できたことをまず認め、その上でより正確な表現を教える。この小さな積み重ねが、本人の発話量を増やし、結果として現場の安全性も高めます。
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インドネシアは世界最大級のムスリム人口を持つ国です。ただし、インドネシア人全員が同じ宗教観を持っているわけではありません。イスラム教徒もいれば、キリスト教徒、ヒンドゥー教徒、仏教徒などもいます。国籍だけで宗教を決めつけるのは避けるべきです。
一方で、インドネシア人材を受け入れるなら、イスラム教に関する基本的な理解は持っておく必要があります。礼拝、ハラール、豚肉やアルコールに関する配慮、ラマダン中の断食などは、職場生活に関わる可能性があります。
重要なのは、職場がすべてを完璧に用意することではありません。本人に確認し、可能な範囲で配慮し、無理な場合は理由を説明することです。例えば、礼拝スペースとして小さな空き部屋を一時的に使えるようにする、食事会では豚肉やアルコールを避けた選択肢を用意する、ラマダン中の体調に注意するなど、現実的な対応ができます。
食事は定着に意外なほど影響します。日本の食事に慣れる人もいますが、毎日日本食だけではストレスを感じる人もいます。インドネシア料理は、米、鶏肉、魚、野菜、唐辛子、香辛料を使う料理が多く、味付けも日本食とは違います。
施設の寮や周辺環境によっては、インドネシア食材を手に入れにくい場合があります。近くのスーパー、ハラール食品店、オンライン購入方法、調味料の入手先などを入職時に案内すると、本人は生活しやすくなります。
また、職場の食事会や歓迎会では、食べられないものを無理に勧めないことが大切です。善意で「これおいしいよ」と勧めても、本人にとっては断りにくい場合があります。食文化への配慮は、難しい国際マナー講座ではなく、単純に相手が困らないようにする配慮です。
イスラム教徒のインドネシア人材の場合、ラマダン中に日の出から日没まで断食を行うことがあります。断食中でも働く人は多いですが、体調や集中力に影響が出る場合があります。
職場としては、ラマダン前に本人と面談し、勤務上の配慮が必要か確認するとよいでしょう。夜勤、入浴介助、重い身体介助が続く日などは、体調を見ながら調整が必要になることもあります。ただし、過剰に特別扱いするのではなく、本人の希望と職場の安全を両方考えることが大切です。
断食をするかどうか、どの程度厳格に行うかは個人差があります。「インドネシア人だからラマダン中は必ずこうする」と決めつけるのではなく、本人に確認することが基本です。文化理解とは、相手を分類することではなく、相手に確認することです。
介護現場では、ミスを指摘する場面があります。安全に関わる仕事なので、注意や指導は必要です。しかし、注意の仕方が曖昧だと、外国人職員には意図が伝わりません。
例えば、「もっとちゃんとして」「気をつけて」「普通はこうする」「前にも言ったよね」といった表現は、日本人同士でも曖昧です。外国人職員にとっては、何をどう改善すればよいのか分かりにくい言葉です。
注意する時は、事実、理由、改善方法を分けて伝えます。「車椅子のブレーキをかける前に利用者を立たせると、転倒の危険があります。次からは、立つ前に必ず左右のブレーキを確認してください」のように伝えます。感情ではなく、行動を修正することが目的です。
介護現場では、小さな異変の報告が重要です。利用者の食欲がない、表情がいつもと違う、歩き方が不安定、皮膚に赤みがある、眠そうにしている。こうした小さな変化を早く共有できるかどうかが、ケアの質に関わります。
しかし、外国人職員が「報告すると怒られる」「日本語が間違っていたら恥ずかしい」と感じていると、報告が遅れます。報告が遅れると、現場は「なぜ早く言わなかった」と怒ります。そして本人はますます報告しにくくなります。
報告しやすい職場を作るには、報告したこと自体を評価する必要があります。たとえ日本語が不完全でも、「教えてくれてありがとう」と伝える。その上で、より正確な報告の仕方を教える。これにより、本人は次も報告しやすくなります。
外国人材の定着支援というと、外国人本人への教育ばかりに目が向きます。しかし、実際には日本人職員への教育も重要です。受入れ側が変わらなければ、外国人材だけが一方的に適応を求められることになります。
日本人職員には、インドネシアの基本情報、宗教や食文化、日本語の伝え方、注意の仕方、文化的な誤解が起きやすい場面などを共有するとよいでしょう。難しい研修である必要はありません。30分から1時間程度でも、受入れ前に基本的な理解を持つだけで現場の摩擦は減ります。
特に大切なのは、「外国人だから分からない」のではなく、「説明されていないから分からない」ことが多いという理解です。日本の職場には、暗黙のルールが多すぎます。暗黙にしたまま察してもらおうとする文化は、異文化職場ではほぼ機能しません。
インドネシア人介護人材の定着には、公平な評価制度が重要です。本人が頑張っていても、何を評価されているのか分からない職場では、モチベーションが続きません。
評価項目は、できるだけ具体的にする必要があります。例えば、出勤状況、介護技術、報告連絡相談、記録、利用者対応、チームワーク、日本語学習、資格取得への取り組みなどです。抽象的に「やる気」「まじめさ」「協調性」とだけ書いても、本人には何をすれば評価されるのか分かりません。
評価面談では、良い点と改善点を両方伝えます。外国人職員に対して、遠慮して良いことしか言わない職場もありますが、それでは成長につながりません。反対に、悪い点だけを指摘すると自信を失います。具体的な行動に基づいて、次の目標を一緒に決めることが大切です。
給与に関する誤解は、離職や不信感につながりやすい重要な問題です。外国人職員にとって、日本の給与明細は分かりにくい場合があります。基本給、夜勤手当、残業代、社会保険料、所得税、住民税、寮費、光熱費など、控除項目が多いためです。
採用時に聞いていた額面給与と、実際の手取り額が違うことに驚く人もいます。これは日本人でも分かりにくいので、外国人材が混乱するのは当然です。給与明細の見方を、入職時と初回給与支給時に説明することをおすすめします。
特に、送金を予定しているインドネシア人材にとって、手取り額は非常に重要です。母国の家族を支えるために日本で働く人も多いため、給与の透明性は信頼関係に直結します。「説明しなくても分かるだろう」は、給与に関しては本当に危険です。
長期的な定着には、昇給や資格取得の道筋を示すことが大切です。例えば、日本語能力試験の合格、介護福祉士国家試験への挑戦、業務範囲の拡大、リーダー補助、後輩指導など、成長に応じた評価があると、本人は将来を描きやすくなります。
「何年働いても同じ」「頑張っても評価が変わらない」と感じる職場では、優秀な人ほど離れていきます。これは外国人材に限らず、日本人職員でも同じです。努力と成長が報われる仕組みがなければ、人材は静かに別の選択肢を探します。
インドネシア人介護人材を長く雇用したいのであれば、資格支援と評価制度をつなげることが効果的です。日本語学習や国家試験対策を職場が支援し、成果に応じて待遇や役割を見直すことで、本人の定着意欲は高まりやすくなります。
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インドネシア人介護人材の中には、将来的に介護福祉士を目指したい人もいます。介護福祉士資格を取得できれば、専門職としての自信につながり、在留資格やキャリアの選択肢も広がります。
ただし、介護福祉士国家試験は簡単ではありません。介護の専門知識、日本語読解力、制度理解、医療知識などが必要です。働きながら勉強するには、本人の努力だけでなく、職場の支援が欠かせません。
職場としては、学習計画の作成、教材の提供、勉強時間の確保、模擬試験、先輩職員による解説、外部講座の活用などを検討できます。資格取得を個人任せにするのではなく、職場全体で応援する雰囲気を作ることが重要です。
定着率を高めるには、定期的な目標面談が効果的です。面談では、現在の仕事の悩みだけでなく、今後どのような職員になりたいか、どの資格を取りたいか、日本に何年いたいか、将来どのような生活をしたいかを確認します。
目標は大きすぎる必要はありません。最初は、「利用者の名前を全員覚える」「申し送りで一つ報告する」「記録を一人で書けるようになる」「N3に合格する」など、小さな目標で十分です。達成できる目標を積み重ねることで、本人は成長を実感できます。
面談を行う際には、本人が本音を話しやすい環境を作ることが大切です。上司に直接言いにくい内容もあるため、教育担当者、生活支援担当、登録支援機関など、複数の相談先を用意するとよいでしょう。
ある程度経験を積んだインドネシア人職員には、後輩指導を任せることも定着に効果的です。自分が教わる側から教える側になることで、責任感と自信が生まれます。
特に、新しく来日したインドネシア人材にとって、同じ母国出身の先輩がいることは大きな安心材料になります。仕事のことだけでなく、日本での生活、食事、病院、送金、休日の過ごし方など、同じ経験を持つ先輩から聞ける情報は貴重です。
ただし、同国人の先輩にすべてを任せすぎるのは避けるべきです。通訳、生活相談、教育、メンタルケアまで全部押し付けると、その先輩職員が疲弊します。後輩指導を役割として評価し、必要な時間とサポートを用意することが大切です。
住居は、外国人材の定着に大きく関わります。職場でどれだけ良い支援をしても、住まいが不安定だったり、不便だったり、孤独を感じやすい環境だったりすると、生活全体の満足度は下がります。
寮を用意する場合は、清潔さ、プライバシー、通勤距離、買い物のしやすさ、インターネット環境、キッチン設備、暖房・冷房などを確認する必要があります。特にインドネシアは温暖な地域が多いため、日本の冬の寒さに慣れていない人もいます。寒冷地では、防寒具や暖房の使い方も丁寧に説明する必要があります。
住居トラブルは、本人から言い出しにくい場合があります。定期面談で、睡眠、食事、近隣、設備、同居人との関係などを確認するとよいでしょう。
日本で体調を崩した時、外国人材は大きな不安を感じます。どの病院に行けばよいのか、保険証をどう使うのか、症状を日本語でどう説明するのか、薬をどう飲むのか。日本人にとって当たり前のことでも、外国人には難しいことがあります。
入職時には、近くの病院、休日診療、救急時の連絡先、会社の担当者、保険証の使い方を説明しておくべきです。可能であれば、インドネシア語ややさしい日本語の緊急連絡カードを用意すると安心です。
体調不良時に「迷惑をかけたくない」と我慢する人もいます。特に介護職は感染症対策も重要なため、体調が悪い時に早めに相談できる文化を作ることが、本人のためにも利用者のためにもなります。
職場と住居だけの生活になると、外国人材は孤立しやすくなります。休日に行く場所がない、友人がいない、日本語を使う機会が職場だけ、という状態が続くと、精神的な負担が大きくなります。
地域の日本語教室、国際交流協会、インドネシア人コミュニティ、宗教施設、地域イベントなどにつなげることで、本人の生活は安定しやすくなります。同じ国籍の友人ができれば、悩みを共有しやすくなりますし、日本人との交流が増えれば日本語も伸びやすくなります。
介護施設が地域資源を把握しておくことは、外国人材の生活支援に役立ちます。すべてを施設内で抱え込む必要はありません。地域の支援機関を上手に使うことも、現実的な定着支援です。
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外国人介護人材の受入れで失敗しやすい施設は、現場任せにしすぎます。管理者は「受け入れました」と言い、実際の教育、生活相談、トラブル対応は現場リーダーや一部の職員に丸投げする。これでは、外国人職員も日本人職員も疲れます。
受入れは施設全体のプロジェクトです。管理者が方針を示し、教育担当者を決め、必要な時間を確保し、日本人職員にも説明し、定期的に状況を確認する必要があります。
外国人材の受入れによって現場が混乱している場合、それは外国人材の問題ではなく、受入れ設計の問題であることが多いです。人を採用する前に、受け入れる器を作る。これができていないと、現場は「また管理者が思いつきで人を入れた」と感じます。
毎回、教育担当者が口頭で一から説明していると、負担が大きくなります。また、教える人によって内容が変わると、外国人職員も混乱します。
そのため、業務手順書、写真付きマニュアル、介護用語集、記録例、よくある質問、緊急時対応フローなどを作成しておくと効果的です。日本語はやさしくし、必要に応じてインドネシア語を併記します。
特に、写真や動画を使った教育は有効です。入浴介助、移乗、車椅子操作、食事介助、記録入力などは、言葉だけよりも視覚的に説明した方が理解しやすい場合があります。教育資料を標準化することで、外国人職員だけでなく、日本人新人職員の教育にも役立ちます。
外国人材の生活支援や相談対応が、特定の職員一人に集中すると、その職員が疲弊します。インドネシア語が少し分かる職員、面倒見の良い職員、外国人材と仲が良い職員に相談が集中しやすいですが、これを放置すると支援する側が限界を迎えます。
支援体制はチームで作るべきです。仕事の相談は教育担当、生活の相談は事務担当、在留資格や制度の相談は登録支援機関、メンタル面の相談は外部窓口など、内容によって役割を分けます。
また、相談を受けた内容を必要な範囲で記録し、個人情報に配慮しながら関係者で共有することも重要です。支援が属人的になると、その担当者が休んだ時や退職した時に一気に崩れます。
雇用契約、給与、勤務時間、休日、残業、夜勤、寮費、控除、退職手続きなどは、本人が理解できる言葉で説明する必要があります。契約書を渡しただけでは、説明したことにはなりません。
特に外国人材の場合、母国の労働慣行と日本の制度が違うため、誤解が生じやすい部分があります。例えば、有給休暇、社会保険、住民税、年末調整、退職時の手続きなどは、丁寧に説明する必要があります。
契約内容を理解しないまま働き始めると、後から不信感につながります。本人が納得して働けるように、入職前と入職後の両方で説明の機会を設けることが大切です。
外国人材同士は、SNSで情報交換をしています。職場環境、給与、寮、上司の対応、残業、休日、日本語支援、差別的な言動など、良い情報も悪い情報も広がります。
これは脅しではなく、現代の普通の現象です。職場の評判は、求人票よりも早く広がることがあります。受入れ環境が良い施設は、同国人の紹介につながる可能性があります。反対に、不満が多い職場は、次の採用が難しくなります。
インドネシア人材の定着を考えるなら、今いる職員を大切にすることが最も強い採用広報になります。採用広告にお金をかける前に、現場の評判を整える方が合理的です。
職場内の上司だけが相談窓口だと、本人は話しにくい場合があります。上司に言うと評価に響くのではないか、迷惑だと思われるのではないか、怒られるのではないかと考えるためです。
そのため、相談先は複数ある方が望ましいです。教育担当者、施設管理者、法人本部、登録支援機関、外部相談窓口など、内容に応じて相談できるルートを用意します。
外国人介護職員は、異国で働く不安、孤立感、言語や文化の違いなどに悩みながらも相談しにくい場合があります。つまり、相談体制は「あると親切」ではなく、定着支援の基礎インフラです。
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介護分野では、特定技能外国人や技能実習生の訪問系サービスへの従事について、近年制度面の見直しが進んでいます。一定の研修修了や実務経験、受入事業所の遵守事項などを条件に、訪問系サービスへの従事が認められる方向になっています。
これは、外国人介護人材の活躍の場が広がる可能性を意味します。一方で、訪問系サービスは施設介護とは違う難しさがあります。利用者宅で一対一に近い形で対応するため、日本語力、判断力、生活文化への理解、緊急時対応力がより強く求められます。
業務範囲が広がることは、キャリア形成の面では良いことです。しかし、十分な教育や支援なしに現場へ出すと、本人にも利用者にもリスクがあります。制度が認めたからすぐ任せる、という発想は危険です。
訪問系サービスでは、職員が一人で利用者宅に行く場面が多くなります。そのため、施設内勤務よりも孤立を感じやすくなります。困った時にすぐ近くに先輩職員がいないため、不安も大きくなります。
外国人職員に訪問系サービスを任せる場合は、同行期間を十分に設け、利用者ごとの注意点を分かりやすく共有し、緊急時の連絡方法を明確にする必要があります。また、訪問後の振り返りを行い、困ったことを早めに拾う仕組みが必要です。
訪問系サービスは、本人の成長機会にもなりますが、定着支援の難易度も上がります。だからこそ、キャリアアップ計画、研修、定期面談、相談体制をより丁寧に設計する必要があります。
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長く働きたいと思える職場には、質問しやすい雰囲気があります。分からないことを聞いても怒られない。何度も確認しても、必要なことは説明してくれる。日本語が完璧でなくても、最後まで聞いてくれる。この安心感は、外国人職員にとって非常に大きいものです。
介護現場では、分からないことを放置する方が危険です。質問が多いことを悪いことと見るのではなく、安全のための行動として評価することが大切です。
定着する職場では、本人の努力がきちんと見られています。日本語が上達した、記録が書けるようになった、利用者への声かけが上手くなった、夜勤に入れるようになった、後輩を助けた。こうした成長を上司が認めることで、本人は「自分はこの職場で成長している」と感じます。
逆に、できない点ばかり指摘され、できるようになった点を見てもらえない職場では、やる気が下がります。評価は給与だけではありません。日々の声かけ、面談でのフィードバック、役割の付与も評価の一部です。
インドネシア人介護人材が長く働くためには、将来の道が見えることが重要です。介護福祉士を目指せるのか、在留資格はどうなるのか、何年後にどのような役割を担えるのか、昇給はあるのか、家族を呼べる可能性はあるのか。こうした将来像が見えないと、不安が大きくなります。
すべての希望を叶えられるわけではありません。しかし、現実的な道筋を一緒に考えることはできます。本人の夢を聞き、制度上可能なことと難しいことを整理し、次に何をすべきかを共有する。このプロセス自体が、職場への信頼を高めます。
外国人介護人材を「安く雇える人材」として見る職場は、長期的に失敗しやすくなります。介護は専門性が必要な仕事であり、人の命や生活に関わる仕事です。安さだけを目的に採用すれば、教育や支援への投資を惜しみ、結果として定着しません。
インドネシア人材も、職場を見ています。自分が大切にされているか、ただ人手不足の穴埋めとして扱われているかは、日々の対応から伝わります。人材を大切にしない職場は、採用市場でも選ばれなくなります。
食事、宗教、名前、発音、日本語の間違いなどを軽くからかう行為は、本人にとって深く傷つく場合があります。言った側に悪気がなくても、受け取る側が不快に感じれば信頼関係は崩れます。
特に、宗教や食事に関する冗談は注意が必要です。豚肉やアルコール、礼拝、断食などを面白がるような言動は避けるべきです。職場の雰囲気を良くするつもりの冗談が、定着率を下げる原因になることもあります。
離職の多くは、突然起きるように見えて、実際には小さな不満や不安が積み重なった結果です。日本語が分からない、相談できない、生活が不安、評価されない、将来が見えない。こうした問題を放置すると、ある日退職の意思として表面化します。
問題が起きてから対応するのではなく、定期面談、相談窓口、教育記録、生活確認を通じて、早めにサインを拾うことが大切です。定着支援とは、離職を止める最後の説得ではなく、離職したくならない職場を作る日々の運営です。
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まず、法人や施設として、なぜインドネシア人介護人材を受け入れるのかを明確にします。単なる人手不足対策なのか、将来的な介護人材育成なのか、国際的な職場づくりなのか。目的が曖昧だと、現場への説明も曖昧になります。
受入れ方針には、採用人数、配属先、教育期間、夜勤開始の条件、生活支援の範囲、資格取得支援、評価制度を含めるとよいでしょう。
外国人材を受け入れる前に、日本人職員へ説明を行います。どのような人材が来るのか、どの制度で働くのか、日本語レベルはどの程度か、現場にどのような協力を求めるのかを共有します。
この説明を怠ると、現場は突然の受入れに戸惑います。事前説明は、外国人材本人のためだけでなく、日本人職員の不安を減らすためにも重要です。
入職後3か月は、特に丁寧な支援が必要です。この期間に、職場のルール、基本業務、相談相手、生活リズムを整えます。1週間ごとの短い面談、教育担当者からのフィードバック、生活面の確認を行うとよいでしょう。
最初の3か月で安心感を作ることができれば、その後の定着率は高まりやすくなります。逆に、この時期に放置すると、不安や誤解が積み重なります。
入職から半年ほど経つと、本人も職場に慣れ、将来について考え始めます。このタイミングで、今後の目標、日本語学習、資格取得、業務範囲、夜勤、生活上の希望などを話し合うとよいでしょう。
半年後の面談では、できるようになったことを確認し、次のステップを明確にします。本人にとって、自分の成長が見えることは大きな励みになります。
外国人材の受入れは、一度仕組みを作れば終わりではありません。1年ごとに、離職状況、面談内容、教育資料、日本語支援、生活支援、現場職員の負担を見直します。
問題があれば、本人の努力不足だけにせず、職場の仕組みとして改善します。受入れ経験を蓄積し、次の採用や教育に活かすことで、施設全体の外国人材マネジメント力が高まります。
インドネシア人介護人材の定着率を高めるためには、採用だけでなく、受入れ後の職場づくりが重要です。インドネシア人材は、介護分野において大きな可能性を持つ存在です。しかし、その可能性を活かせるかどうかは、受け入れる施設や事業所の準備にかかっています。
定着に必要なのは、特別な魔法ではありません。仕事内容を正直に伝えること。入職直後に丁寧に教えること。日本語学習を支援すること。宗教や食事への基本的な配慮をすること。相談しやすい関係を作ること。給与や評価を透明にすること。資格取得やキャリアの道筋を示すこと。こうした地味な取り組みの積み重ねです。
外国人介護人材の受入れに失敗する職場は、だいたい「採用すれば何とかなる」と考えています。一方で、定着に成功する職場は、「採用してからが本番」と考えています。この差は大きいです。人材不足の時代において、選ばれる職場になるためには、外国人材にとっても日本人職員にとっても働きやすい環境を作る必要があります。
インドネシア人介護人材は、単なる人手不足の補充ではありません。適切に育成し、支援し、信頼関係を築けば、利用者に寄り添い、職場に貢献し、将来的には後輩を育てる存在にもなります。そのためには、受入れ側が文化、言語、生活、キャリアを含めた総合的な職場づくりを行うことが欠かせません。
介護は、人が人を支える仕事です。だからこそ、介護をする人自身も支えられる職場でなければなりません。インドネシア人介護人材の定着率を高める職場づくりは、外国人材のためだけではなく、施設全体の介護品質と組織力を高める取り組みでもあります。
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LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
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システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
特定技能
日本の人手不足分野で一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。介護分野も対象に含まれており、介護技能評価試験や介護日本語評価試験などが関係します。
EPA
経済連携協定のことです。介護分野では、インドネシア、フィリピン、ベトナムから介護福祉士候補者を受け入れる仕組みがあります。候補者は日本で働きながら介護福祉士国家資格の取得を目指します。
在留資格「介護」
介護福祉士の資格を取得した外国人が、日本で介護業務に従事するための在留資格です。長期的に日本で介護職として働く道の一つになります。
技能実習
外国人が日本で技能を学び、母国で活かすことを目的とした制度です。介護職種も対象となっています。ただし、今後は育成就労制度への移行が予定されています。
登録支援機関
特定技能外国人を受け入れる企業や施設に代わって、生活支援、相談対応、行政手続き支援などを行う機関です。受入れ機関が自社で支援を行う場合もあります。
介護福祉士
日本の介護分野における国家資格です。専門的な知識と技術を持つ介護職として評価され、外国人介護人材にとっても重要なキャリア目標になります。
介護日本語
介護現場で使われる専門的な日本語のことです。日常会話とは異なり、利用者の状態、介助内容、記録、申し送り、医療的な表現などを理解する必要があります。
オンボーディング
新しく入職した職員が職場に慣れ、必要な知識や業務を身につけるための受入れプロセスです。外国人介護人材の場合、業務教育だけでなく生活支援も含めて考える必要があります。
ハラール
イスラム教の考え方において許されているものを意味します。食事では、豚肉やアルコールを避けるなどの配慮が必要になる場合があります。
ラマダン
イスラム教徒が一定期間、日の出から日没まで断食を行う月です。インドネシア人材の中にもラマダンを大切にする人がいるため、勤務や体調面で配慮が必要になることがあります。
インドネシア人介護人材は本当に介護職に向いていますか?
インドネシアには家族を大切にする文化や高齢者を敬う価値観があり、介護の仕事と相性が良い人材も多くいます。ただし、国籍だけで適性を判断するのは危険です。本人の性格、日本語力、介護への理解、学習意欲、職場の支援体制を総合的に見る必要があります。
インドネシア人介護人材の定着で一番大切なことは何ですか?
一番大切なのは、仕事、生活、日本語、キャリアを分けずに支援することです。介護技術だけを教えても、生活が不安定であれば定着しません。生活支援だけをしても、仕事で成長できなければ長続きしません。総合的な支援が必要です。
日本語レベルはどの程度必要ですか?
制度上求められる日本語能力と、現場で必要な日本語能力は分けて考える必要があります。介護現場では、利用者との会話、申し送り、記録、緊急時の報告などが必要です。そのため、入職後も継続的に介護日本語を学ぶ仕組みが重要です。
宗教への配慮はどこまで必要ですか?
すべてを完璧に対応する必要はありませんが、本人に確認し、可能な範囲で配慮する姿勢が大切です。礼拝、食事、ラマダンなどについて、事前に本人の希望を聞くことで、多くの誤解を防ぐことができます。
日本人職員から不満が出た場合はどうすればよいですか?
まず、日本人職員の負担が増えていないか確認する必要があります。外国人材の教育を現場任せにしていると、不満が出やすくなります。教育担当者の役割、業務時間、マニュアル、管理者のサポートを整え、日本人職員にも受入れの目的と方法を説明することが重要です。
インドネシア人職員が悩みを話してくれない場合はどうすればよいですか?
悩みがないのではなく、話しにくいだけかもしれません。定期面談を行い、仕事、生活、人間関係、日本語、健康、家族のことなどを分けて確認すると、本音を聞きやすくなります。上司以外の相談先を用意することも効果的です。
介護福祉士資格の取得支援は必要ですか?
長期定着を目指すなら、非常に重要です。介護福祉士を目指す道が見えると、本人は日本で働き続ける目的を持ちやすくなります。学習時間、教材、模擬試験、面談などを通じて、職場として支援することが望ましいです。
生活支援は登録支援機関に任せれば十分ですか?
登録支援機関の役割は重要ですが、職場側が何もしなくてよいわけではありません。日々の変化や小さな不安に気づけるのは、現場の上司や同僚です。登録支援機関と職場が連携することで、より安定した支援ができます。
訪問介護でインドネシア人材に働いてもらうことはできますか?
一定の要件を満たす技能実習生や特定技能外国人について、訪問系サービスへの従事が認められる方向で制度整備が進んでいます。ただし、訪問系サービスは一人で判断する場面が多いため、日本語力、実務経験、緊急時対応、同行研修、相談体制を十分に整える必要があります。
定着率を上げるために最初に取り組むべきことは何ですか?
まずは、入職後3か月の支援体制を整えることです。教育担当者を決め、やさしい日本語のマニュアルを用意し、週次面談を行い、生活面の不安を確認します。この初期支援が弱いと、その後の定着に大きく影響します。