9月 29, 2026 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Ayako Yamamoto
技能実習が終わり育成就労が始まり、特定技能1号が上限に達し、これからの日本の外国人労働者はどうなるのか?
目次
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日本で働く外国人を取り巻く制度が、大きな転換期を迎えています。
これまで製造業、建設業、農業、食品製造、介護などの現場で多くの外国人を受け入れてきた技能実習制度は終了に向かい、2027年4月1日から新しい「育成就労制度」が始まります。
一方、2019年に始まった特定技能制度は急速に拡大しています。
特定技能1号の外国人は、2019年12月末には1621人しかいませんでしたが、2025年12月末には382341人、2026年6月末には425961人まで増えています。
政府は2029年3月末までの受入れ上限として、特定技能1号を805700人、育成就労を426200人と設定しています。
さらに外食業では、すでに分野別上限に近づいたことで、海外から新たに特定技能1号人材を受け入れるための手続きが制限される事態も起きています。
つまり、日本の外国人雇用は、
「外国人をどれだけ受け入れるか」
という段階から、
「受け入れた外国人をどのように育成し、長く働いてもらうか」
という段階へ移り始めています。
この記事では、技能実習、育成就労、特定技能1号、特定技能2号、外国人介護福祉士の人数推移をもとに、これから日本の外国人労働市場がどのように変わっていくのかを解説します。
1. 日本の外国人労働者はすでに重要な労働力になっている
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厚生労働省によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2571037人となり、過去最高を更新しました。
外国人を雇用する事業所も371215事業所まで増えています。
外国人雇用は、すでに一部の企業だけが利用する特殊な制度ではありません。
製造業、建設業、宿泊、外食、介護、農業など、日本のさまざまな産業で外国人が働いています。
日本企業が外国人を採用する最大の理由は人手不足
厚生労働省の外国人雇用実態調査では、外国人を雇用する理由として68.2%の企業が「労働力不足の解消・緩和」を挙げています。
同時に、56.2%の企業が「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待している」と回答しています。
外国人雇用は単なる人数合わせだけではなく、将来的に会社を支える人材を確保する手段にもなっています。
背景には、日本の生産年齢人口の減少があります。
15歳から64歳までの人口は減少を続けており、今後も人手不足が続く可能性が高いと考えられています。
そのため、今後の議論は、
「外国人を受け入れるかどうか」
ではなく、
「どのような外国人を、どの制度で受け入れ、どのように定着させるか」
へ移っていくでしょう。
2. 技能実習から育成就労へ何が変わるのか
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これまで外国人の現場人材を受け入れる代表的な制度だったのが技能実習制度です。
技能実習制度は、本来、日本で技能を身につけ、その技能を母国へ移転することで国際協力につなげることを目的としていました。
しかし実際には、日本国内の人手不足を補う労働力として大きな役割を持つようになりました。
その結果、制度上の目的と実際の利用方法の間に大きな差が生まれていました。
2024年の法改正によって技能実習制度を発展的に解消し、2027年4月1日から育成就労制度を導入することが決まりました。
技能実習生はすぐにいなくなるわけではない
2027年に育成就労が始まっても、技能実習生が突然ゼロになるわけではありません。
すでに技能実習を始めている外国人には経過措置が設けられています。
そのため、技能実習生は数年間かけて徐々に減少していくことになります。
今回の中央シナリオでは、
2025年12月末 456618人
2027年12月末 約300000人
2028年12月末 約90000人
2029年12月末 約10000人
と段階的に減少する想定としています。
これは政府の公式予測ではありませんが、制度上の経過措置を考慮した一つの想定です。
育成就労は「人材育成」と「人材確保」が目的
育成就労と技能実習の最大の違いは、制度の目的です。
技能実習では国際貢献が主な目的とされていました。
一方で育成就労では、日本の人手不足分野における人材育成と人材確保が明確な目的となります。
原則3年間、日本で働きながら技能や日本語を身につけ、その後に特定技能1号へ移行することを想定しています。
つまり今後は、
育成就労
↓
特定技能1号
↓
特定技能2号
というキャリアルートが、日本の外国人労働制度の中心になっていきます。
転籍が可能になることで企業間競争も起こる
育成就労では、一定条件を満たした外国人本人の希望による転籍が認められます。
技能実習では原則として自由に勤務先を変更することができませんでした。
しかし育成就労では、一定期間働き、技能や日本語能力などの条件を満たせば他社へ移れるようになります。
これは企業にとって非常に大きな変化です。
今後は外国人にとって、
給与
休日
住居
職場環境
人間関係
日本語教育
キャリアアップ
などを比較しながら勤務先を選ぶことが可能になります。
つまり、海外から人材を連れてくるだけでは十分ではありません。
採用後に「この会社で働き続けたい」と思ってもらえる環境づくりが重要になります。
3. 特定技能1号はどこまで増えるのか
参照:出入国在留管理庁
今後の外国人労働市場の中心となる可能性が高いのが特定技能1号です。
2019年に制度が始まって以降、人数は急速に増えています。
2019年12月末 1621人
2021年12月末 49666人
2022年12月末 130915人
2023年12月末 208425人
2024年12月末 283634人
2025年12月末 382341人
2026年6月末 425961人
制度開始から約7年で40万人を超える規模になりました。
特定技能1号には805700人の上限がある
政府は2029年3月末までの特定技能1号の受入れ上限を、全分野合計805700人としています。
ただし、これは「これから805700人を新たに受け入れる」という意味ではありません。
現在すでに日本で働いている特定技能1号外国人も含めた数字です。
また、805700人という一つの巨大な枠があるわけではなく、
介護
建設
農業
外食
飲食料品製造
など各分野ごとに上限が設定されています。
その合計が805700人です。
外食業ではすでに上限問題が発生している
外食業では2029年3月末までの受入れ上限が50000人に設定されています。
しかし2026年2月末時点で約46000人に達したため、政府は2026年4月から海外から新しく特定技能外国人を呼び寄せるための手続きを一時的に制限しました。
これは非常に重要な出来事です。
特定技能の「受入れ上限」は形式的な数字ではなく、実際に新規採用を止める可能性がある上限だからです。
今後、他の分野でも同様に上限へ近づく可能性があります。
その場合、
海外からの新規採用
だけに依存する企業は、人材確保が難しくなる可能性があります。
805700人に達しても外国人採用全体が止まるわけではない
一方で、特定技能1号の上限に達したからといって、日本の外国人雇用全体が止まるわけではありません。
育成就労は別枠です。
特定技能2号にも特定技能1号のような人数上限はありません。
さらに、
在留資格「介護」
技術・人文知識・国際業務
高度専門職
なども別制度です。
つまり今後は、特定技能1号だけを見て外国人雇用を考えるのではなく、その先の在留資格まで含めて人材戦略を作る必要があります。
4. 今後増えるのは特定技能2号と外国人介護福祉士
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特定技能1号には原則5年間という在留期間の上限があります。
そのため、特定技能1号が増えれば増えるほど、
「5年後にその人たちはどうなるのか」
という問題が大きくなります。
その出口の一つが特定技能2号です。
特定技能2号は長期就労が可能
特定技能2号は、特定技能1号より高い技能を持つ外国人向けの在留資格です。
2号では在留期間の更新回数に制限がありません。
条件を満たせば配偶者や子どもの帯同も可能です。
つまり日本で長期間生活しながら働くことができます。
2025年12月末の特定技能2号は7955人で、1号と比べればまだ非常に少ない人数です。
しかし今後、1号として働く外国人の在留期間が長くなるにつれて、2号への移行者も増えていく可能性があります。
今回の中央シナリオでは、
2027年12月末 55000人
2028年12月末 92000人
2029年12月末 140000人
2030年12月末 198000人
まで増える想定を置いています。
ただし、これらは政府の公式予測ではありません。
特定技能2号になるには分野ごとの試験や実務経験などが必要であり、企業側の教育体制によっても人数は大きく変わります。
介護では介護福祉士が長期定着の出口になる
介護は他の分野とは少し仕組みが異なります。
介護分野には特定技能2号がありません。
その代わり、介護福祉士の国家資格を取得することで、在留資格「介護」へ移行できます。
そのため、
育成就労
↓
特定技能1号・介護
↓
介護福祉士取得
↓
在留資格「介護」
というルートが重要になります。
在留資格「介護」の外国人は、
2021年12月末 3794人
2023年12月末 9328人
2024年12月末 12227人
2025年12月末 15891人
と着実に増加しています。
日本では今後も介護職員不足が続くと予測されているため、外国人介護福祉士の重要性はさらに高まる可能性があります。
5. 2030年ごろ日本の外国人労働市場はどう変わるのか
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今回の人数データを見ると、日本の外国人労働市場の構造変化がはっきり見えてきます。
2019年末は、
技能実習 410972人
特定技能1号 1621人
特定技能2号 ほぼ0人
在留資格「介護」 592人
でした。
圧倒的に技能実習が中心でした。
しかし2025年末には、
技能実習 456618人
特定技能1号 382341人
特定技能2号 7955人
在留資格「介護」 15891人
となっています。
特定技能1号がすでに技能実習に近い規模になっています。
2028年ごろには主役が完全に入れ替わる可能性
中央シナリオでは2028年12月末に、
技能実習 90000人
育成就労 370000人
特定技能1号 660000人
特定技能2号 92000人
在留資格「介護」 30000人
程度になると想定しています。
技能実習が急減する一方で、育成就労と特定技能が大きく増加します。
つまり、技能実習制度が終了して外国人労働者が減るのではありません。
外国人労働者の「在留資格の構成」が変わる可能性が高いということです。
短期滞在型からキャリア型へ
これまでの技能実習では、
来日
↓
数年間技能実習
↓
帰国
という形が基本でした。
今後は、
育成就労で3年間働く
↓
特定技能1号として最大5年間働く
↓
特定技能2号へ進む
というキャリアが形成されます。
育成就労と特定技能1号を合わせるだけでも最大8年間です。
さらに特定技能2号へ移行できれば、その後も長期間日本で働くことができます。
外国人を数年ごとに入れ替える制度から、日本国内で育てて定着させる制度へ変わっていくことになります。
6. これから外国人を採用する企業は何を変えるべきか
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制度が変われば、企業側の外国人採用戦略も変える必要があります。
これから重要になるのは「採用人数」だけではありません。
最初から5年、10年先まで考える
育成就労で採用する場合は、3年後に特定技能1号へ移行できるように育てる必要があります。
特定技能1号で採用する場合は、5年後に特定技能2号へ進めるのか、別の在留資格へ移るのかを考える必要があります。
外国人採用も日本人と同じように、中長期的なキャリア設計が重要になります。
日本語教育が重要になる
外国人が長く日本で働くためには、日本語能力が非常に重要です。
日本語ができるようになれば、
現場での安全管理
顧客対応
日本人社員とのコミュニケーション
新人教育
チーム管理
など、担当できる仕事が増えます。
外国人に日本語教育を行うことは、単なる福利厚生ではなく、人材投資として考える必要があります。
特定技能2号まで育てられる会社が有利になる
特定技能1号の外国人を採用しても、原則5年後には次の在留資格を考えなければなりません。
外国人が特定技能2号へ進めれば、その後も長期間働くことができます。
そのため企業側には、
技能教育
実務経験
資格試験対策
日本語教育
リーダー経験
などを提供する仕組みが必要になります。
外国人を単純作業だけに配置する企業より、将来のリーダーとして育成できる企業の方が人材を長く確保しやすくなるでしょう。
採用競争は日本国内だけではない
外国人材を確保する競争は、日本企業同士だけではありません。
外国人側から見れば、
日本
韓国
台湾
シンガポール
オーストラリア
中東
欧州
など、複数の就労先があります。
送り出し国の経済成長や円安が進めば、日本の給与の魅力が以前より低下する可能性もあります。
今後は、
「日本で働きたい外国人を探す」
という考え方だけではなく、
「外国人から日本や自社を選んでもらう」
という発想が重要になります。
まとめ
日本の外国人労働市場は、2027年以降、大きく構造が変わります。
これまで中心だった技能実習制度は終了し、育成就労制度へ移行します。
育成就労では3年間で外国人を育成し、その後特定技能1号へ移行する流れが基本になります。
特定技能1号はすでに40万人を超え、2029年3月末までの受入れ上限は805700人となっています。
一部の分野ではすでに上限が現実的な問題になり始めています。
一方で、特定技能1号の上限が近づいたからといって、日本の外国人労働者全体が減少するとは限りません。
今後は、
育成就労
↓
特定技能1号
↓
特定技能2号
というキャリアが広がる可能性があります。
介護では介護福祉士資格を取得し、在留資格「介護」へ進む外国人も増えていくでしょう。
これまでの外国人採用では、
「何人採用できるか」
が重要でした。
これからは、
「誰を採用し、どのように育成し、何年間働いてもらうのか」
がより重要になります。
外国人を一時的な人手不足対策として採用する時代から、長期的な人材として育成する時代へ、日本の外国人雇用は大きく変わり始めています。
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本記事で使用した主な単語
技能実習
日本で技能や知識を学び、それを母国へ移転することなどを目的として運用されてきた制度です。2027年以降、育成就労制度へ段階的に移行します。
育成就労
2027年4月から始まる新しい外国人就労制度です。原則3年間の就労を通じて技能と日本語を身につけ、特定技能1号へ移行できる人材を育成します。
特定技能1号
人手不足が認められる分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が働くための在留資格です。原則として通算5年間まで在留できます。
特定技能2号
より高い技能を持つ外国人向けの在留資格です。在留期間の更新回数に上限がなく、条件を満たせば配偶者や子どもの帯同も可能です。
在留資格「介護」
介護福祉士資格を持つ外国人が日本で介護業務を行うための在留資格です。
FAQ
技能実習制度は2027年になくなりますか?
2027年4月から育成就労制度が始まりますが、すでに技能実習を行っている外国人には経過措置があります。そのため、技能実習生が一斉にいなくなるわけではありません。
育成就労は何年間ですか?
原則3年間です。その間に技能と日本語を学び、特定技能1号への移行を目指します。
特定技能1号は何年間働けますか?
原則として通算5年間です。
805700人を超えると特定技能外国人を採用できませんか?
特定技能1号には分野ごとの上限があります。その分野で上限に近づいた場合、新規受入れが制限される可能性があります。ただし、外国人雇用全体が止まるわけではありません。
特定技能2号は何年働けますか?
更新回数に上限がないため、条件を満たし続ければ長期間日本で働くことができます。
介護にも特定技能2号がありますか?
介護は特定技能2号の対象ではありません。介護福祉士資格を取得することで、在留資格「介護」へ移行できます。