
3月 2, 2025 • インドネシア
4月 20, 2025 • インドネシア • by Yutaka Tokunaga
目次
Kabur ajaムーブメントは良いことか?若者の“脱出”がインドネシアの飛躍を導く鍵になる可能性
いま、インドネシアの若者の間で広がっている言葉が「Kabur aja(逃げちゃえ)」です。就職難、教育の質の低さ、政治への不信、経済格差——これら複合的な理由から、「この国にいても未来がない」と感じ、海外への移住や就労を志す人が増え続けています。
しかし、「逃げる」ことは本当に悪いことなのでしょうか?
これを単なる「ブレイン・ドレイン(頭脳流出)」として悲観したり嘲笑するのはよくありません。このムーブメントを“逆手”に取ることこそ、インドネシアが次のステージに進む鍵かもしれません。私はKabur ajaは、絶望の合図ではなく、未来を開く入口になりと考えています。
インドネシア国内には、確かに若者が「残りたい」と思えるだけの環境が整っていません。
結果として、「やる気や能力のある人ほど報われない」構造が広がり、優秀な若者が国外に目を向けるのは当然とも言えます。
中国やインドも、かつては今のインドネシアと同じように、多くの若者が「この国にはチャンスがない」と海外に飛び出していきました。
しかし、彼らはただ逃げただけではありません。
中国では、こうした人材を「海亀(Hai Gui)」と呼び、国家が帰国を支援し、イノベーションの担い手として迎え入れました。
インドでは、シリコンバレーで働いたエンジニアや起業家たちが帰国し、バンガロールやハイデラバードをアジア屈指のITハブへと成長させました。また、帰国せずとも海外と自国をつなぐ架け橋として国際ビジネスを創出する人材も多数誕生しています。
私はいつも言っています。インドネシアを平均1000ドル/monthの給料がもらえる国にしていきたい。しかし1000ドルの仕事をするには1000ドル分の能力や生産性 = 価値が必要です。
その価値を上げるには海外で修行することがとても有効な手段だと考えています。
日本、ドイツ、イタリア、韓国など、人口減少と高齢化に悩む先進国では、すでに「外国人労働力の受け入れ」が国家戦略となっています。
つまり、世界の一部の国々は「逃げたい若者」を“望ましい労働力”として積極的に受け入れているのです。
インドネシアは、いま「Kabur aja」を単なる流出ではなく、未来の成長モデルとして捉える必要があります。
以下の2つのルートに注目すべきです:
1. 帰国して変える「海亀」型
2. 海外に残りつつ貢献する「架け橋」型
インドネシアが中国・インドのように飛躍するには、以下のような国家戦略が不可欠です。
世界に羽ばたくことを前提にした教育と制度
帰国後のインセンティブ
「つながる人材」への支援
彼らは、「逃げた」のではありません。
世界で学び、世界を知り、インドネシアと世界をつなげている存在です。
いま必要なのは、「Kabur aja=裏切り」と見るのではなく、「Kabur aja=未来への投資」と捉える社会の視点ではないでしょうか。
外に逃げることで見える世界がある。
外で学ぶことで育つ視点がある。
外とつながることで動く未来がある。
Kabur aja、外に出て行くことをポジティブに考えていきましょう。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業