3月 11, 2025 • インドネシア, 会社紹介 • by Reina Ohno

突如ジャカルタに現れたEVタクシーVinFastとXanh SMとは?

突如ジャカルタに現れたEVタクシーVinFastとXanh SMとは?

インドネシアのEV市場に新たなプレイヤーが登場しました。ベトナム発の電気タクシーサービス Xanh SM(サンエスエム) が、2024年12月にインドネシア市場へ進出し、ジャカルタでの運営を開始。これにより、EVタクシー市場の競争が激化することが予想されます。本記事では、Xanh SMの特徴、ブランディング戦略、インドネシア市場での展開、そして日本企業にとっての脅威について詳しく解説します。

 

 

EVタクシーXanh SM(サンエスエム)とは?

Xanh SM(Xanh Smart Mobility)は、ベトナム発の電気タクシーサービスで、環境に配慮した移動手段を提供する企業です。2022年にベトナムで設立され、VinFast(ヴィンファスト)の電気自動車を使用したサービスを展開しています。これまでにベトナム、ラオス、インドネシアの3カ国に進出しています。

2024年12月18日、Xanh SMはインドネシア市場に正式参入し、ジャカルタで電気タクシーサービスを開始しました。これは、同国のグリーンモビリティの推進を支援する大きな動きとなっています。

 

Xanh SMの特徴

  1. 100%電気自動車(EV)
    • VinFast LimogreenなどのEVを使用
    • ゼロエミッション・騒音なし・燃料臭なしの快適な移動を実現
  2. 高品質なサービス
    • 5つ星評価のドライバーが対応
    • 固定料金制度(ピーク時でも料金が変動しない)
  3. 簡単な予約方法
    • 専用アプリ(Xanh SM) で予約可能
    • ホットライン14068 での電話予約
    • 路上での直接乗車(緑色のライトが付いたタクシー)

 

 

VinFastとXanh SMのブランディング戦略

VinFastとXanh SMのブランディング戦略

ベトナムのEV車がタクシー会社を作ることで新ブランドを浸透させる戦略とは?

1. 実体験を通じたブランド認知
新しい市場では、消費者はブランドへの信頼が低い。タクシー会社を運営することで、多くの人がEVに実際に乗る機会を得て、快適性や性能を体験できる。

2. 街中での広告効果
タクシーは常に街を走る移動広告。ブランドロゴの入ったEVが目立つことで、視覚的な認知度が急速に向上し、広告費をかけずにプロモーションができる。

3. 競争優位性の確保
タクシー市場に先に参入することで、EVの普及を牽引し、インフラ(充電ステーションなど)の整備を促進。これにより、自社EVの優位性を確保し、後発の競合を牽制できる。

4. エコシステムの構築
タクシー運営で保守・運用データを蓄積し、最適なEVの改良や販売戦略に活用。さらに、法人・政府向けのEVフリート(大量導入)需要を開拓し、事業拡大につなげる。

 

 

インドネシア市場での展開

Xanh SMは、インドネシア市場において、以下の戦略的パートナーと連携しています。

企業名

提供するサービス

XL Axiata

ICTIoTソリューション提供

Lippo Group

EV専用ピックアップゾーンの設置

Bank Central AsiaBCA

決済・金融支援

ASRI

商業施設での専用乗り場設置(PIK Avenueなど)

VISA

キャッシュレス決済・プロモーション

Huawei

AI・ビッグデータ活用のクラウドインフラ

Lotte Group

EVタクシーの専用駐車場提供

Vietjet

空港送迎などの連携

FPT

インドネシアの企業向けEVタクシー導入支援

 

インドネシアにおける競争環境

インドネシアでは、すでにBlue Bird(ブルーバード)やGrab(グラブ)が電気タクシーサービスを展開していますが、Xanh SMはVinFast製EVを活用した独自のサービスで差別化を図っています。

現在、インドネシア政府はEV普及を推進しており、Xanh SMの参入はこの流れに沿ったものです。EVタクシー市場は拡大傾向にあり、将来的にはバリ島やスラバヤなど他都市への展開も予想されています。

 

 

インドネシアでEV車の販売を強化

インドネシアでEV車の販売を強化

VinFastはインドネシア市場で電気自動車(EV)の販売を開始しています。 2024年11月27日、ジャカルタで開催された「Gaikindo Jakarta Auto Week 2024」にて、サブコンパクト電気SUV「VF 5」の納車を開始しました。 また、2025年2月13日には、インドネシア国際モーターショー(IIMS)2025において、ミニSUV「VF 3」の発売を発表しています。

さらに、VinFastはインドネシアにおけるEV製造拠点の強化を進めており、2024年7月15日、西ジャワ州スバンに新工場の建設を開始しました。 この工場では、右ハンドル仕様のSUV「VF 3」「VF 5」「VF 6」「VF 7」を生産し、年間5万台の生産能力を目指しています。

 

 

日本企業への脅威となるか

VinFastとXanh SMのインドネシア進出は、日本企業にとって以下の3つの脅威となります。

  1. 低価格EV市場の席巻
    VinFastは低価格のEV(VF 3, VF 5)を販売し、現地生産も進めています。これにより、トヨタやホンダなどの日本メーカーが競争力を失う可能性があります。
  2. EVタクシー市場のシェア奪取
    Xanh SMのEVタクシーは、ブルーバードやGrabと競争し、日本車の市場シェアを縮小させる恐れがあります。特に、現地政府のEV推進政策が後押しとなり、ガソリン車を主力とする日本企業に不利な状況を生み出します。
  3. エコシステム構築による影響
    VinFastはEVだけでなく、充電インフラや金融、デジタルプラットフォームも展開。これにより、日本企業が持つ強み(品質やブランド力)が相対的に弱まり、市場競争で不利になる可能性があります。

 

 

環境への貢献と今後の展開

Xanh SMのミッションは、持続可能な都市交通の実現です。同社は「環境に優しいモビリティで未来を創る」という理念を掲げ、今後も以下の施策を進めていく予定です。

  1. EVタクシーの台数増加
  2. インドネシア国内での拠点拡大
  3. EV車の販売強化
  4. 企業・政府との連携強化
  5. 電動バイクやEVバスの導入検討

Xanh SMの参入は、インドネシアのグリーンモビリティを加速させる重要なステップとなるでしょう。

 

 

まとめ

Xanh SMは、EVタクシー事業を通じて新しい市場にブランドを浸透させるという革新的なマーケティング戦略を採用し、インドネシア市場に参入しました。同社の展開は、環境への配慮だけでなく、VinFastEV販売拡大にもつながる重要なステップとなっています。
一方で、日本の自動車メーカーにとっては、新たな競争相手の登場を意味し、EV市場でのシェア維持がより困難になる可能性があります。今後、インドネシア市場におけるXanh SMの動向は、日本企業にとっても注目すべきポイントとなるでしょう。

 

 

 

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