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目次
インドネシアのEV市場に新たなプレイヤーが登場しました。ベトナム発の電気タクシーサービス Xanh SM(サンエスエム) が、2024年12月にインドネシア市場へ進出し、ジャカルタでの運営を開始。これにより、EVタクシー市場の競争が激化することが予想されます。本記事では、Xanh SMの特徴、ブランディング戦略、インドネシア市場での展開、そして日本企業にとっての脅威について詳しく解説します。
Xanh SM(Xanh Smart Mobility)は、ベトナム発の電気タクシーサービスで、環境に配慮した移動手段を提供する企業です。2022年にベトナムで設立され、VinFast(ヴィンファスト)の電気自動車を使用したサービスを展開しています。これまでにベトナム、ラオス、インドネシアの3カ国に進出しています。
2024年12月18日、Xanh SMはインドネシア市場に正式参入し、ジャカルタで電気タクシーサービスを開始しました。これは、同国のグリーンモビリティの推進を支援する大きな動きとなっています。
ベトナムのEV車がタクシー会社を作ることで新ブランドを浸透させる戦略とは?
1. 実体験を通じたブランド認知
新しい市場では、消費者はブランドへの信頼が低い。タクシー会社を運営することで、多くの人がEVに実際に乗る機会を得て、快適性や性能を体験できる。
2. 街中での広告効果
タクシーは常に街を走る移動広告。ブランドロゴの入ったEVが目立つことで、視覚的な認知度が急速に向上し、広告費をかけずにプロモーションができる。
3. 競争優位性の確保
タクシー市場に先に参入することで、EVの普及を牽引し、インフラ(充電ステーションなど)の整備を促進。これにより、自社EVの優位性を確保し、後発の競合を牽制できる。
4. エコシステムの構築
タクシー運営で保守・運用データを蓄積し、最適なEVの改良や販売戦略に活用。さらに、法人・政府向けのEVフリート(大量導入)需要を開拓し、事業拡大につなげる。
Xanh SMは、インドネシア市場において、以下の戦略的パートナーと連携しています。
企業名 |
提供するサービス |
XL Axiata |
ICT・IoTソリューション提供 |
Lippo Group |
EV専用ピックアップゾーンの設置 |
Bank Central Asia(BCA) |
決済・金融支援 |
ASRI |
商業施設での専用乗り場設置(PIK Avenueなど) |
VISA |
キャッシュレス決済・プロモーション |
Huawei |
AI・ビッグデータ活用のクラウドインフラ |
Lotte Group |
EVタクシーの専用駐車場提供 |
Vietjet |
空港送迎などの連携 |
FPT |
インドネシアの企業向けEVタクシー導入支援 |
インドネシアでは、すでにBlue Bird(ブルーバード)やGrab(グラブ)が電気タクシーサービスを展開していますが、Xanh SMはVinFast製EVを活用した独自のサービスで差別化を図っています。
現在、インドネシア政府はEV普及を推進しており、Xanh SMの参入はこの流れに沿ったものです。EVタクシー市場は拡大傾向にあり、将来的にはバリ島やスラバヤなど他都市への展開も予想されています。
VinFastはインドネシア市場で電気自動車(EV)の販売を開始しています。 2024年11月27日、ジャカルタで開催された「Gaikindo Jakarta Auto Week 2024」にて、サブコンパクト電気SUV「VF 5」の納車を開始しました。 また、2025年2月13日には、インドネシア国際モーターショー(IIMS)2025において、ミニSUV「VF 3」の発売を発表しています。
さらに、VinFastはインドネシアにおけるEV製造拠点の強化を進めており、2024年7月15日、西ジャワ州スバンに新工場の建設を開始しました。 この工場では、右ハンドル仕様のSUV「VF 3」「VF 5」「VF 6」「VF 7」を生産し、年間5万台の生産能力を目指しています。
VinFastとXanh SMのインドネシア進出は、日本企業にとって以下の3つの脅威となります。
Xanh SMのミッションは、持続可能な都市交通の実現です。同社は「環境に優しいモビリティで未来を創る」という理念を掲げ、今後も以下の施策を進めていく予定です。
Xanh SMの参入は、インドネシアのグリーンモビリティを加速させる重要なステップとなるでしょう。
Xanh SMは、EVタクシー事業を通じて新しい市場にブランドを浸透させるという革新的なマーケティング戦略を採用し、インドネシア市場に参入しました。同社の展開は、環境への配慮だけでなく、VinFastのEV販売拡大にもつながる重要なステップとなっています。
一方で、日本の自動車メーカーにとっては、新たな競争相手の登場を意味し、EV市場でのシェア維持がより困難になる可能性があります。今後、インドネシア市場におけるXanh SMの動向は、日本企業にとっても注目すべきポイントとなるでしょう。
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