
4月 17, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習
4月 1, 2025 • インドネシア • by Erika Okada
目次
インドネシアでビジネスを展開する企業や現地に赴任するマネージャーにとって、現地の祝日制度や有給休暇制度を正しく理解しておくことは、人事管理や業務計画において非常に重要です。とくにインドネシアはイスラム教を中心とした宗教的行事が社会に大きな影響を与える国であり、そのスケジュールや文化を知らずに業務を進めると、思わぬトラブルや信頼の損失につながることもあります。本記事では、2025年の祝日カレンダーをベースに、労働法に基づく有給制度、そして現地特有のTHR(宗教祭日手当)制度について詳細に解説し、海外駐在者や現地法人の運営担当者が押さえておくべきポイントをまとめました。
インドネシアでは、宗教的・歴史的な背景から、多様な祝日が設定されています。以下に、2025年の主要な祝日をまとめます。
日付 |
曜日 |
祝日名(日本語) |
祝日名(インドネシア語) |
1月1日 |
水曜 |
新年 |
Tahun Baru 2025 Masehi |
1月27日 |
月曜 |
ムハマッド昇天祭 |
Isra Mikraj Nabi Muhammad S.A.W. |
1月29日 |
水曜 |
旧暦新年(春節) |
Tahun Baru Imlek 2576 Kongzili |
3月29日 |
土曜 |
サカ暦新年(ニュピ) |
Hari Suci Nyepi Tahun Baru Saka 1947 |
3月31日~4月1日 |
月曜~火曜 |
断食明け大祭(レバラン) |
Hari Raya Idul Fitri 1446 Hijriah |
4月18日 |
金曜 |
キリスト受難日 |
Wafat Yesus Kristus |
4月20日 |
日曜 |
復活祭(イースター) |
Kebangkitan Yesus Kristus (Paskah) |
5月1日 |
木曜 |
メーデー |
Hari Buruh Internasional |
5月12日 |
月曜 |
仏教祭(ワイサック) |
Hari Raya Waisak 2569 BE |
5月29日 |
木曜 |
キリスト昇天祭 |
Kenaikan Yesus Kristus |
6月1日 |
日曜 |
パンチャシラの日 |
Hari Lahir Pancasila |
6月6日 |
金曜 |
犠牲祭(イドゥル・アドハ) |
Hari Raya Idul Adha 1446 Hijriah |
6月27日 |
金曜 |
イスラム暦新年 |
1 Muharam Tahun Baru Islam 1447 Hijriah |
8月17日 |
日曜 |
独立記念日 |
Proklamasi Kemerdekaan |
9月5日 |
金曜 |
ムハマッド誕生日 |
Maulid Nabi Muhammad S.A.W. |
12月25日 |
木曜 |
クリスマス |
Kelahiran Yesus Kristus |
これらの祝日は、政府によって毎年発表され、日付が変動する場合があります。 特に宗教的な祝日は、各宗教の暦に基づいて決定されるため、毎年の日付が異なります。
インドネシアの労働法では、労働者の権利として以下のような有給休暇が定められています。
インドネシア政府は、祝日の前後に「有給休暇取得奨励日(Cuti Bersama)」を設定し、労働者に有給休暇の取得を促進しています。 これにより、連休が長くなり、帰省や旅行がしやすくなります。 政府機関は原則として休業となり、一般企業もこれに従うことが多いです。
インドネシアでは、Tunjangan Hari Raya(THR)と呼ばれる「宗教祭日手当」が、すべての正社員や契約社員に対して支給されることが労働法で義務付けられています。これは特定の宗教行事(主にレバラン=断食明け大祭)の前に、労働者の生活を支援するための重要な制度です。
THRを巡る企業対応と課題
近年では、景気や企業の財政状態を理由にTHRの支払いを遅延・分割する企業が問題視されることもあります。とくに2020年〜2021年のパンデミック時には、「労使協議の上で分割支払いを認める」特別通達が政府から発出されました。
ただし2022年以降は原則に戻り、一括支払いが基本とされており、労働省はこれを厳格に監督しています。
内容 |
詳細 |
支給義務 |
法律で義務づけられている(宗教に関係なく) |
支給金額 |
1か月分の基本給+固定手当(勤続1年未満は按分) |
支給タイミング |
各宗教祝日の7日前までに |
遅延・未払い |
罰則あり。遅延利息(5%)+行政制裁の可能性 |
最近の傾向 |
分割支払いは原則不可。企業財政の健全性が問われる |
経営者・マネージャーが知っておくべき運用ポイント
THRの支給は、企業にとってコスト負担が大きい一方、従業員の忠誠心・モチベーション向上に直結する制度でもあります。以下の観点から戦略的に運用することが重要です。
インドネシアでのビジネス運営においては、宗教や文化に根差した祝日制度と、それに基づいた休暇管理を理解しておくことが不可欠です。特にTHR(宗教祭日手当)など、独自の慣習に基づく制度が労働者の生活や会社の信用に大きな影響を及ぼすことから、経営者やマネージャーは制度の詳細と法的責任を理解し、適切に対応する必要があります。本記事を通じて、インドネシアでの労務管理の基本を押さえ、現地スタッフとの信頼関係の構築や安定した運営の一助となれば幸いです。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
本記事で使用した単語の解説
FAQ(よくある質問)
Q1: THRは全社員に支払う必要がありますか? A1: はい。インドネシア労働法では、1か月以上勤務した全ての正社員・契約社員に対してTHRの支給が義務付けられています。
Q2: THRの支給タイミングはいつですか? A2: 各従業員の宗教的祝日の少なくとも7日前までに支給する必要があります。
Q3: Cuti Bersamaは強制参加ですか? A3: 法的には強制ではありませんが、多くの企業では有給休暇としてこの日に合わせて休暇を取得するよう促しています。
Q4: 年次有給休暇はいつから取得できますか? A4: 同一の会社で12か月間連続して勤務した場合に、最低12日の年次有給休暇の権利が発生します。
Q5: パートタイマーや派遣社員もTHRを受け取る権利がありますか? A5: はい、契約期間や勤務状況によっては、パートや派遣社員もTHRの支給対象となります。