9月 13, 2026 • インドネシア • by Yutaka Tokunaga

特定技能1号「受入れ上限」予測。2028年に介護・建設・農業など5分野が軒並み受入れ制限か? 日本の労働力不足はどうなる!?(独自試算)

特定技能1号「受入れ上限」予測。2028年に介護・建設・農業など5分野が軒並み受入れ制限か? 日本の労働力不足はどうなる!?(独自試算)

これまで外国人材の受入れ拡大を支えてきた特定技能制度ですが、一部の分野では受入れ上限に近づきつつあります。実際に外食業では、特定技能1号の在留者数が設定された受入れ上限50,000人に接近したことで、海外からの新規受入れに一定の制限が設けられるなど、制度運用にも変化が見られています。

では、今後どの分野で受入れ上限への到達が見込まれるのでしょうか。

今回、インドネシアの送り出し機関 LPK Timedoor(代表:徳永裕)は、出入国在留管理庁やe-Statなどの公的データをもとに、最新のAIを活用したデータ分析を実施しました。

さらに、送り出し機関および登録支援機関として、外国人材の教育・紹介・生活支援に日々携わる現場担当者の知見を組み合わせ、特定技能1号の在留者数が2030年までどのように推移するのか、分野別に独自シミュレーションを行いました。

本記事では、その分析結果をもとに、今後の外国人材受入れ市場の変化と、企業が準備すべきポイントについて解説します。

 

特定技能1号分野「受入れ上限」到達予測!

※上限到達時期予測の色分けに関して、赤色は2028年内に到達予測のため上限到達度【高】、黄色は2029年から2030年内に到達予測のため上限到達度【中程度】、青色は2030年以降に到達予測のため上限到達度【低】と分類。

シミュレーション前提条件

分析対象: 特定技能1号16分野(新3分野であるリネンサプライ・物流倉庫・資源循環除く)
基準時点: 2026年6月末
将来予測期間: 2026年下期~2036年末の10年間
基準となる受入れ見込数: 805,700人
分析方法: 政府公表(出入国在留管理庁e-Stat発出)の在留者数データに加え、以下の条件や状況を考慮し、予測データを算出。

  1. 海外からの直接新規入国
  2. 技能実習や留学などからの国内純流入
  3. 特定技能1号から2号、または在留資格「介護」への移行
  4. 技術・人文知識・国際業務など他資格への移行
  5. 帰国・出国
  6. 特定技能1号の5年間という在留期間
  7. 各分野の受入れ上限
  8. 育成就労制度の開始

予測主体: LPK timedoor
注意事項: 本分析は独自のシミュレーションであり、政府による将来予測ではありません。制度改正、経済情勢、在留資格の移行状況、入国・出国動向等によって実際の数値は変動する可能性があります。また、現在設定されている特定技能1号の上限は、2029年3月末までを対象とした受入れ見込数です。そのため2029年4月以降については、現在の上限が同水準で継続すると仮定した場合のシミュレーションとしています。

 

特定技能1号「受入れ上限」到達予測

上記予測を見て分かるように、2029年には外食業に続いて軒並み上限制限に到達し、特定技能の主要な7業種が受入れ停止になることが想定さてます。これは各業界関係者に大きな影響を与えることになるでしょう。

 

上限到達が近いと予測される分野から順に並べると、以下のようになります。

■介護分野(受入れ上限:126,900人)

 

年/月 在留者数(人) 前年同月比(増減率)
2024年12月末 44,367 +15,967(56.2%)
2025年12月末 67,871 +23,504(52.9%)
2026年6月末 79,884 +24,968(45.5%)
以下予測値 以下予測値
2026年12月末 93,495 +25,624(37.7%)
2027年12月末 122,240 +28,745(30.7%)
2028年6月末 126,900 +18,228(16.8%)

※2027年6月末と比較

 

介護は今回の予測で最も注目すべき分野の一つであり、多くの企業で受入が加速しています。その結果、介護分野は、2026年6月末時点ですでに受入れ上限12万6,900人の63.0%に到達。今後も新規入国と国内からの流入が続く一方、出国・資格移行を差し引いても年間2万人超の純増が見込まれるため、2028年6月末までには上限に達すると試算しています。

 

 

■飲食料品製造業分野(受入れ上限:133,500人)

 

年/月 在留者数(人) 前年同月比(増減率)
2024年12月末 74,380 +13,285(21.7%)
2025年12月末 93,393 +20,013(26.9%)
2026年6月末 100,769 +16,698(19.9%)

※2025年6月末と比較

以下予測値 以下予測値
2026年12月末 109,208 +15,815(16.9%)
2027年12月末 127,470 +18,262(16.7%)
2028年6月末 133,500 +14,711(12.4%)

※2027年6月末と比較

 

飲食料品製造業は、2026年6月末時点で受入れ上限13万3,500人の75.5%に達しており、外食業分野を除く中で、一番割合が高くなっている注目分野となります。すでに10万人を超える在留者がおり、今後も新規入国や国内からの流入が続く一方、帰国者や特定技能2号への移行者が増える事が想定され、2029年6月末頃に上限に達すると試算しています。

 

■航空分野(受入れ上限:4,900人)

 

年/月 在留者数(人) 前年同月比(増減率)
2024年12月末 1,382 +750(118.7%)
2025年12月末 2,260 +878(63.5%)
2026年6月末 2,803 +985(54.2%)

※2025年6月末と比較

以下予測値 以下予測値
2026年12月末 3,469 +1,209(53.5%)
2027年12月末 4,708 +1,239(35.7%)
2028年6月末 4,900 +826(20.3%)

※2027年6月末と比較

 

航空分野は、2026年6月末時点で受入れ上限4,900人の57.2%に当たる2,803人が在留しています。上限規模が比較的小さく、上限まで残り約2,100人となる中、新規入国や国内からの流入が出国・他資格への移行を上回り、在留者数の純増が続くと試算。2027年末には約4,700人まで増加し、残り枠は約200人となることから、2028年中には受入れ上限に到達すると予測しています。空港グランドハンドリングなどで人手不足が続けば、上限の小ささそのものが外国人採用のボトルネックになる可能性があります。

 

■建設分野(受入れ上限:76,000人)

 

年/月 在留者数(人) 前年同月比(増減率)
2024年12月末 38,365 +13,932(57.0%)
2025年12月末 49,323 +10,958(28.6%)
2026年6月末 52,132 +8,533(19.6%)

※2025年6月末と比較

以下予測値 以下予測値
2026年12月末 57,169 +7,846(15.9%)
2027年12月末 67,627 +10,458(18.3%)
2028年12月末 76,000 +8,373(12.4%)

■農業分野(受入れ上限:73,300人)

 

年/月 在留者数(人) 前年同月比(増減率)
2024年12月末 29,157 +5,296(22.2%)
2025年12月末 37,952 +8,795(30.2%)
2026年6月末 44,050 +9,115(26.1%)

※2025年6月末と比較

以下予測値 以下予測値
2026年12月末 50,134 +12,182(32.1%)
2027年12月末 62,013 +11,879(23.7%)
2028年12月末 73,300 +11,287(15.4%)

 

農業分野では、2026年6月末時点で4万4,050人が特定技能1号として在留しており、受入れ上限7万3,300人の60.1%に達しています。農業は地域や季節によって労働需要が大きく変動する一方、国内の担い手不足が続いており、外国人材への需要が継続しやすい分野です。また、海外から直接来日する人だけでなく、技能実習を終えて特定技能1号へ移行する人材も多い分野です。今回のシミュレーションでは、こうした継続的な人材需要や技能実習からの移行等を背景に在留者数が増加し、2028年12月末までには上限に達すると試算しました。

 

 

■自動車整備分野(受入れ上限:9,400人)

年/月 在留者数(人) 対前年同月比(増減率)
2024年12月末 3,076 +557(22.1%)
2025年12月末 4,560 +1,484(48.2%)
2026年6月末 5,235 +1,488(39.7%)

※2025年6月末と比較

以下予測値 以下予測値
2026年12月末 6,016 +1,456(31.9%)
2027年12月末 7,617 +1,601(26.6%)
2028年12月末 9,131 +1,514(19.9%)
2029年6月末 9,400 +1,006(12.0%)

※2028年6月末と比較

自動車整備分野では、2026年6月末時点で5,235人が特定技能1号として在留し、受入れ上限9,400人の55.7%に達しています。自動車整備業界では、整備士の高齢化や若手人材の確保が課題となっており、今後も外国人整備人材への需要が続くと考えられます。今回のシミュレーションでは、こうした人材需要を背景に受入れが進みつつ、上限が小さいため比較的早く枠が埋まる可能性も踏まえた上で、2028年12月末までには上限に到達する見通しとなりました。

 

 

■宿泊分野(受入れ上限:14,800人)

 

年/月 在留者数(人) 対前年同月比(増減率)
2024年12月末 671 +270(67.3%)
2025年12月末 1,968 +1,297(193.3%)
2026年6月末 2,556 +1,291(102.1%)

※2025年6月末と比較

以下予測値 以下予測値
2026年12月末 3,299 +1,331(67.6%)
2027年12月末 4,680 +1,381(41.9%)
2028年12月末 6,585 +1,905(40.7%)
2029年12月末 11,039 +4,454(67.6%)
2030年12月末 14,800 +3,761(34.1%)

 

宿泊分野は、2026年6月末時点では2,556人と受入れ上限1万4,800人の17.3%にとどまり、現状では上限まで大きな余裕があります。しかし、宿泊業では外国人観光客の増加に伴う人手需要が見込まれており、今後の受入れ拡大が続く可能性が想定されております。今回のシミュレーションでは、現在は比較的余裕のある宿泊分野も、2030年には上限に達するとの結果となりました。

 

 

日本のブルーカラー外国人材は、今後どのように変化するのか?

※政府発表数字を元に送り出し機関LPK timedoorの独自モデルにより算出

 

技能実習(2027年4月より「育成就労」へ移行予定)や特定技能1号・2号など、日本の現場産業を支える外国人材について、在留資格別の推移と今後の構成を予測しました。

2019年以降、これらの外国人材は増加傾向にあり、これまで技能実習制度が大きな役割を担ってきました。今後は、新制度である育成就労への移行が進む一方、特定技能1号については分野ごとの受入れ上限に近づくことが想定されます。その後は、一定の技能・日本語要件を満たした人材が特定技能2号や在留資格「介護」へ移行し、より長期的に日本で活躍する流れが形成されていくと考えられます。

これに伴い、今後は人材の「量」だけでなく、「質」と「定着」がより重要になります。企業には、採用して終わりではなく、日本語教育・技能向上・職場適応・キャリア形成まで含めた継続的な人材育成への取り組みが求められます。

 

 

未来展望:本シミュレーション結果を踏まえて

徳永 裕

本資料をご覧いただきありがとうございます。

私自身、インドネシアで12年以上事業をしながら、教育にも携わる中で、今回の調査分析を通じて多くの気づきがありました。日本の外国人労働政策は、いま大きな転換点にあると思います。

今後、特定技能1号は分野ごとの受入れ上限に近づくにつれ、海外から直接入国するための入口という性格が弱まり、育成就労から次の段階へ進むための資格としての意味合いが強くなります。そして、その先では特定技能2号や介護福祉士へ進み、日本で長く働き続ける人が着実に増えていくと見ております。将来の日本は、外国人を一時的な労働力ではなく能力に応じて育成し定着してもらう存在へと見直すとともに、AIやロボットの普及も踏まえつつ、労働形態の再設計が求められる社会へと移行していくことでしょう。

私たち送り出し機関LPK timedoorも、単にインドネシアから人を日本へ送り出すのではなく、日本企業や地域社会から必要とされ、信頼され、長く活躍できる人材を育てたいと考えています。

弊社に興味を持っていただけた方はぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。

 

 

◆本記事におけるデータや文章の引用・転載時には、必ず本記事のリンクを設置していただけますと幸いです。

また、今回の分析資料の元データの提供や外国人人材事業に関するお打ち合わせをご希望の方はお気軽にご連絡ください。

 

 

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