
4月 5, 2025 • インドネシア
1月 31, 2025 • インドネシア • by Yutaka Tokunaga
目次
10年インドネシアで働いて見えた、日本流マネジメントの限界
インドネシアは、親日国であり、穏やかで人懐っこい国民性を持つ国です。
だから、日本人マネージャーが
「日本で成功したやり方を持ち込めば、うまくいくだろう」
と思うのも無理はありません。
しかし、私はこの10年間、インドネシアで数多くの日本人マネージャーが同じパターンで苦戦・失敗していく姿を何度も目の当たりにしてきました。
なぜ、日本式マネジメントはインドネシアではうまくいかないのか?
いくつかの実例を挙げながら、掘り下げていきたいと思います。
失敗例:
ある日系製造業の工場マネージャーは、毎朝ミーティングで「自分で考えて動け」「一々指示を待つな」と社員に伝え続けました。しかし半年たっても、部下たちは「言われたことしかやらない」まま。ついには、「なんで自分で動かないんだ!」と怒鳴ってしまい、チームの士気は崩壊。
インドネシアの現実:
インドネシアでは、「指示を守る=忠実な部下」という文化があります。日本の「空気を読んで先回りする」文化とは根本的に違うのです。
「言われなくてもやれ」ではなく、「具体的にやるべきことを明確に示す」ことが信頼に繋がります。
失敗例:
日本人マネージャーが現地スタッフに「明日までにお願いします」と伝えたところ、翌日の午後になっても音沙汰なし。確認すると、「今日中だから夜までに出せばいいと思ってました!」と悪びれず返答。さらに、会議開始時刻になってもみんな集まらず、10分、15分と遅れて人がぞろぞろ来る…。
インドネシアの現実:
インドネシアでは、「時間=だいたい」という感覚がまだ根強く残っています。特にジャカルタなど都市部でも「交通渋滞」や「予期せぬトラブル」は日常茶飯事であり、時間厳守に対する切迫感が日本ほど高くないのです。
求める納期・集合時間を伝える時は、「何時何分」「朝イチで」など具体的に指示し、リマインドを徹底することが不可欠です。
失敗例:
別の日本人マネージャーは、プロジェクト納期が近づくと「自分も夜遅くまで頑張るから、みんなも残れ!」と呼びかけました。日本では「上司が頑張っているから自分も」という文化があるかもしれません。
ところが、インドネシア人スタッフはあっさり定時退社。「家族が大事なので」とサラッと笑顔で帰っていきました。
インドネシアの現実:
インドネシアでは、「残業する=無能、段取りが悪い」と見なされることすらあります。家庭・宗教行事・プライベートを何よりも重んじる価値観を無視して、「犠牲の美徳」を押し付けた結果、むしろ尊敬を失ったのです。
失敗例:
「叱るのも愛情だ」と信じていたあるマネージャーは、部下のミスに対して会議中に激怒。
結果、その部下は数日後に会社を辞めてしまいました。周囲の社員もビクビクしてしまい、職場全体がギスギスした雰囲気に…。
インドネシアの現実:
インドネシアでは、人前で怒る=人格否定と捉えられる傾向が強いです。
日本の「厳しさは愛」という文化は、インドネシアでは通用しません。叱責はプライベートな場で、冷静に、そして建設的に行うべきなのです。
失敗例:
会議で「みんなで自由に意見を出して!」と促しても、誰も何も発言しない。
焦ったマネージャーが「何かないの?」と詰め寄ると、シーンと静まり返るだけ…。
インドネシアの現実:
インドネシアには「上司に逆らわない、波風を立てない」文化が色濃く残っています。
本音を引き出したいなら、まず1対1で「あなたの意見を尊重している」と伝えること。
いきなり「会議で自由に発言しろ」と言っても、心理的安全性がない場では誰も動きません。
インドネシアでマネジメントを成功させたいなら、単に「日本のスタイルの押し付け」では難しいです。
しかし逆に「現地の文化を尊重する」だけでは足りません。
インドネシアの文化や考え方を理解して、インドネシア人が適応できるところと、自分が適応しないといけないところを上手く見極めて、マネジメントのローカライズをしないといけないでしょう。
まずは道端でBaksoを食べて、インドネシア語を勉強して、インドネシアの事をもっと学ぶ事から始めるべきです。
インドネシアは日本とは違う。
でも、「違う」ことを面白がり、学び、謙虚に自分を変えられるマネージャーは、ここで成功して成果を出すことができる。
一方的な押し付けでは上手くいきません。しかし丁寧に自分の意図を説明すればインドネシアの人達も理解して適応してくれます。誰もが学び改善したいという気持ちを持っています。
10年ここで働いてきた私は心からそう信じています。
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