6月 28, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno

外国人就労のための特定技能ビザと技能実習ビザの違いを徹底解説

外国人就労のための特定技能ビザと技能実習ビザの違いを徹底解説

あなたの企業が外国人材の受入れを検討する際、「どちらの制度を使うべきか?」は非常に重要な判断です。ここでは、目的・分野・在留期間・転職可否・試験要件・家族帯同・永住の可能性・支援制度といった観点から整理し、日本の企業や支援機関に向けて分かりやすく解説します。

 

制度の目的の違い

技能実習は「日本の技能や技術を開発途上国へ移転し、その地域の経済発展に貢献する」ことを目的としている制度です。この制度は、単に人手不足を補うためのものではなく、国際貢献や技術移転を中心に設計されています。技能実習生は日本の企業で技術を学び、帰国後に自国でその技術を活かすことが期待されています。しかし、近年では不正利用の懸念もあり、労働力の安定供給を目的とした利用が増えてきているという問題点もあります。

一方、特定技能は、国内の人手不足を解消するための即戦力として、日本の労働市場に必要な技能を持つ外国人を受け入れる制度です。特定技能は、企業が人材を迅速に採用できるように設計されており、特に介護、宿泊、建設、製造業などの分野で利用が広がっています。特定技能の目的は、日本国内の労働力不足を補い、短期的な経済成長を支えることです。

 

従事できる業種・分野

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技能実習は、91職種168作業が指定されています。このため、対象となる業種は非常に多岐にわたります。例えば、農業、建設業、食品製造業、漁業などの分野が含まれています。これにより、技能実習生は様々な職種で実習を受けることができますが、その分野が細分化されており、特定の分野における技術を学ぶことが求められます。

一方、特定技能は、現在16分野に限定されており、介護、宿泊、外食、製造業、建設業など、特定の業界で即戦力として活躍できる外国人材を受け入れることを目的としています。特定技能1号は、16分野の中から適切な分野を選んで、そこに従事することになります。今後、特定技能の対象となる分野は順次拡大する予定です。

 

在留期間・更新条件

技能実習の場合、在留期間は最大5年ですが、その内訳は次の通りです。1号は最大1年、2号は最大2年、そして3号はさらに最大2年となっています。ただし、2号と3号に進むには試験に合格する必要があります。このため、技能実習は長期間にわたる研修制度であることが特徴です。

一方、特定技能は、特定技能1号は最大5年の在留期間が設定されていますが、その後、特定技能2号へ移行すると、無期限の在留が可能となります。特定技能2号は、通常、特定技能1号を通算で5年働いた後に、企業と協力して移行することができます。

 

転職・転籍の自由度

技能実習では、原則として転職は認められていません。転籍という形で企業を変更することはありますが、それには監理団体を通じた厳しい手続きが必要であり、転職が許されるのは非常に限られた状況です。例えば、倒産や不正な取り扱いがあった場合に限り、転籍が可能です。この点が、特定技能との大きな違いと言えます。

特定技能は、同一分野内であれば、転職が自由であるため、外国人労働者にとっては働きやすい環境が整っています。ただし、転職先の企業でも同じ分野で働くことが求められます。また、企業は待遇を改善する必要があり、労働環境の選択肢が広がります。

 

試験・要件の違い

10. 受け入れ企業が注意すべきポイント(試験難度・費用・言語・文化対応・社内教育体制など)

技能実習では、送り出し国で日本語や技能の研修を受けてから日本に来ることが求められます。しかし、日本国内での試験は限定的であり、主に介護職など一部職種で試験が実施されます。その他の職種については、研修が中心となり、試験要件は必須ではありません。

一方、特定技能では、技能試験と日本語能力試験(JLPT N4程度)の両方をクリアすることが求められます。特定技能1号は、業務ごとの技能試験と日本語試験を受ける必要がありますが、2号に進んだ場合は試験の要件が緩和されます。

 

家族帯同・待遇

技能実習では、家族帯同は原則不可です。技能実習の目的はあくまで技術習得と帰国後の技術移転であるため、家族の同行は認められていません。したがって、実習生が日本で家族を呼び寄せることはできません。

一方、特定技能2号に進むと、配偶者や子供の帯同が可能になります。特定技能1号では帯同が認められませんが、2号に進むと家族の生活支援も受けられるため、長期的な生活の基盤を整えることができる点で大きなメリットがあります。

また、特定技能では日本人と同等の労働条件が求められますが、技能実習生は研修生扱いで、必ずしも同条件でない場合もあります。

 

永住取得の可能性

技能実習は、あくまで技術移転を目的とするため、永住権の取得には繋がりません。実習期間終了後は、必ず帰国する前提で設計されているため、永住申請の要件にカウントされることはありません。

特定技能は、特に特定技能2号に進むことで、永住申請のための在留要件としてカウントされることがあります。特定技能2号は、最長で無期限での滞在が可能となるため、永住を視野に入れることができる点で大きな利点です。

 

支援と登録団体・監理制度

支援と登録団体・監理制度

技能実習には、監理団体という組織が関わり、実習生はその監督のもとで研修を受けます。監理団体は、実習生の安全管理や労働環境の確認などを担当します。監理団体を通じて実習計画を立て、企業に対して報告義務があります。

特定技能では、企業が受け入れる外国人労働者に対して、登録支援機関を通じた支援が求められます。支援機関は、労働者の生活支援や行政手続きのサポートを行い、定期的な面談や状況確認を実施する義務があります。

 

今後の制度の動向と育成就労制度

技能実習制度は、2027年以降、育成就労制度への移行が予定されており、従来の技能実習生受け入れの枠組みは大きく変更される見込みです。また、特定技能も拡充され、技能実習制度と特定技能の違いが徐々に薄れていくことが予想されます。

 

企業が制度を選ぶ際のチェックポイント

各制度の特徴を踏まえて、企業として以下の点を整理してみましょう:

  • すぐに即戦力として入社してもらいたい場合:特定技能ルート

  • じっくり育てて、中期~長期の人的資産に育てたい場合:技能実習→特定技能へのステップ。

  • 将来的に永住や家族帯同を見据えるなら、最終的には特定技能2号へ結びつける構成がおすすめです。

 

 

まとめ

特定技能と技能実習は、それぞれ目的や制度設計が異なります。企業のニーズに合わせて、最適なビザ制度を選択することが重要です。また、送り出し機関の役割としては、どちらの制度においても適切な支援や制度運用のサポートを行うことが、成功するポイントになります。

 

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本記事で使用した単語の解説

特定技能ビザ
特定技能ビザは、日本国内で特定の分野における労働力不足を補うために外国人労働者を受け入れるためのビザ制度です。このビザは、一定の技能や日本語能力を持つ労働者を対象とし、特定の業種で働くことができます。

技能実習ビザ
技能実習ビザは、発展途上国から日本に来る外国人労働者が、日本の技術や技能を学び、帰国後にその技術を活かすことを目的としたビザです。主に技術移転を目的としており、長期的な労働力の受け入れには制限があります。

監理団体
監理団体は、技能実習生の受入れ企業を管理するための機関です。監理団体は、実習生の安全管理や労働環境のチェックを行い、適正な実習が行われるようにサポートします。

登録支援機関
登録支援機関は、特定技能ビザを持つ外国人労働者に対して、生活支援や法的手続きをサポートする機関です。企業は登録支援機関と契約し、外国人労働者の滞在中の支援を行います。

永住権
永住権は、特定の条件を満たした外国人が日本に長期間滞在できる権利を指します。永住権を取得すると、日本国内での滞在期間に制限がなくなり、就業・住居の選択肢が広がります。

JLPT(日本語能力試験)
JLPTは、日本語を母国語としない外国人のための日本語能力を測るための試験です。特定技能ビザを取得する際、最低限N4(中級レベル)の日本語能力が求められることがあります。

 

FAQ(よくある質問)

Q1. 特定技能ビザと技能実習ビザの違いは何ですか?
特定技能ビザは、日本国内の労働力不足を解消することを目的としたビザで、即戦力となる外国人労働者を受け入れるためのものです。技能実習ビザは、技術移転と国際貢献を目的とし、発展途上国に技術を学ばせることを主な目的としています。

Q2. 技能実習生は転職できますか?
技能実習生は原則として転職はできません。転籍が認められるのは、倒産や不正な取り扱いがあった場合など、特別な状況に限られます。

Q3. 特定技能ビザの永住権取得にはどれくらい時間がかかりますか?
特定技能ビザ1号では、最長5年の在留期間がありますが、特定技能2号に進むと、永住権申請のために必要な在留期間としてカウントされます。2号に進むには、1号での実績を基に進行する必要があります。

Q4. 技能実習ビザで家族を呼ぶことはできますか?
技能実習ビザでは、家族の帯同は原則として認められていません。実習生が日本で家族を呼び寄せることはできず、帰国後の生活支援に重きが置かれています。

Q5. 特定技能ビザでは家族を帯同できますか?
特定技能1号では家族の帯同は認められていませんが、特定技能2号に進むと、配偶者や子どもの帯同が可能になります。これにより、長期的な生活基盤を整えることができます。

Q6. 特定技能ビザを取得するには試験が必要ですか?
はい、特定技能ビザを取得するには、技能試験と日本語能力試験(JLPT N4以上)の両方に合格する必要があります。ただし、技能実習ビザから特定技能に進む場合、試験が免除される場合があります。

Q7. 技能実習ビザの受け入れ企業にはどのような義務がありますか?
技能実習ビザを受け入れる企業には、監理団体を通じた管理義務があります。企業は実習生の安全や健康、労働条件を適切に管理する責任があり、定期的な報告が求められます。

Q8. 特定技能ビザの受け入れ企業にはどのような支援が求められますか?
特定技能ビザを受け入れる企業は、登録支援機関と契約し、外国人労働者の生活支援や行政手続きのサポートを行わなければなりません。支援内容には、住居の提供や健康管理、労働環境のチェックが含まれます。

Q9. 特定技能ビザと技能実習ビザの選択基準は?
特定技能ビザは即戦力として労働力を確保したい場合に適しており、技能実習ビザは、長期的な技術移転や研修が目的である場合に選ばれることが多いです。企業のニーズに合わせて、適切なビザを選ぶことが重要です。

Q10. 技能実習ビザの労働条件はどうなっていますか?
技能実習ビザの場合、研修生としての扱いであり、必ずしも日本人労働者と同じ条件ではありません。特に賃金や労働環境については、企業や業種によって差があることがあります。

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