6月 17, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno

地方の中小企業は、外国人材の採用で再生できるのか?

地方の中小企業は、外国人材の採用で再生できるのか?

少子高齢化が加速する日本において、地方の中小企業はこれまでにないほどの人手不足に直面しています。若年層の都市部流出、地元人材の減少、そして後継者不在という三重苦が多くの事業者を圧迫しています。このままでは地域経済そのものが縮小し、長年培ってきた技術やサービスが失われてしまう恐れもあります。

そんな中、「外国人材」が注目されています。とくに技能実習生や特定技能制度を活用した外国人労働者の受け入れは、実際に多くの地方企業で行われており、その効果と課題が徐々に明らかになりつつあります。本記事では、地方の中小企業が外国人材の力で再生可能なのか、その現実と可能性について、制度や事例、課題、そして今後の展望を交えて詳しく解説します。
 
 

外国人材受け入れ制度の基礎知識

どの国がいい?国籍別に見る外国人技能実習生・特定技能人材の性格と特徴徹底比較

技能実習制度とは

技能実習制度は「人材育成を通じた国際貢献」を目的として始まりました。しかし、実態としては人手不足の補填手段として使われる場面が増えています。2023年時点で約30万人以上の技能実習生が日本で働いており、その多くが製造業、農業、建設、介護など地方に多い業種に従事しています。

特定技能制度とは

2019年にスタートした特定技能制度は、一定の試験に合格した外国人が即戦力として働ける制度です。業種は介護、農業、外食、建設、宿泊など12分野に限定されており、制度開始から5年で累計50万人以上が登録されました。インドネシア、フィリピン、ベトナムなど東南アジア諸国からの人材が多い傾向にあります。
 
 

地方企業での活用事例と効果

ケース1:福井県の製造業者がベトナム人材で操業維持

福井県のある繊維メーカーは、地元高校卒業生の採用が困難となり、インドネシアとベトナムから技能実習生を5名受け入れました。語学や生活指導に苦労しながらも、彼らの真面目さと勤勉さが現場に新しい活気をもたらし、離職率の低下と品質の安定につながったと報告されています。

ケース2:宮崎県の農業法人、特定技能で収穫期の労働力を確保

トマト農家を中心とした農業法人では、特定技能人材の導入で収穫期の労働力不足を解消。季節波動の大きな農業では安定的な人材確保が難しいものの、技能試験と日本語試験に合格した外国人が短期間でも即戦力となり、出荷量の増加と収益改善に寄与しました。
 
 

外国人材活用のメリット

外国人材活用の課題と注意点

1. 人手不足の根本的な解決

地方での若者の採用が難しい中、外国人材は貴重な戦力になります。とくに特定技能人材は最長5年まで就労可能であり、長期的な人材育成も視野に入れられます。

2. 職場の意識改革と活性化

異文化の人材が入ることで、日本人従業員の意識にも変化が生まれます。「教える」ことで現場の手順やマニュアルが見直され、結果として全体の業務品質が向上する例も多く見られます。

3. 海外進出の布石にも

インドネシアやベトナムの人材を受け入れることは、その国とのネットワーク構築にもつながります。現地の市場調査や販路開拓の一歩にもなり、中小企業のグローバル展開の足がかりになるケースもあります。
 
 

外国人材活用の課題と注意点

インドネシアのよくある採用課題とその対処法

1. 言語・文化の壁

日本語レベルにばらつきがあり、現場でのコミュニケーションに苦労することがあります。また、宗教的な価値観や文化の違いから、誤解やトラブルが起こることもあります。

2. 教育・受け入れ体制の未整備

日本人と同様に即戦力を期待するとミスマッチが起こります。導入初期は手厚いOJTや生活サポートが不可欠です。寮の整備や休日の過ごし方の配慮など、企業側の準備も必要です。

3. 法制度や契約の複雑さ

送り出し機関、登録支援機関との連携、ビザ管理、更新手続きなど法的な管理業務が多く、中小企業が単独で行うには負担が大きくなる場合があります。
 
 

今後の展望:制度改革と共生社会の実現に向けて

特定技能ビザ人材の活用の拡大

特定技能ビザ人材の増加は注目すべき動向の一つです。政府は2024年時点で、特定技能人材の受け入れ目標数を大幅に引き上げており、今後数年間でさらに数十万人規模の受け入れが見込まれています。とくに介護や外食、農業といった分野では、制度運用の見直しとともに受け入れ枠が拡大されており、地方中小企業にとっては持続的な労働力確保の新たな選択肢となりつつあります。

技能実習制度から新制度「育成就労」へ

政府は2027年に技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」へ移行する方針を明らかにしています。この新制度では、人材育成と人手不足対策の両立を図り、より実践的かつ透明性のある制度設計が予定されています。

地方自治体との連携強化

一部の自治体では、地域内の企業と連携し、外国人材の生活支援や教育支援を行う仕組みづくりが進んでいます。こうした地域全体での受け入れ体制の構築が、持続的な雇用の鍵となるでしょう。

日本人従業員との共生

「外国人だから特別扱い」ではなく、同じ職場で共に働く仲間としての意識づけが必要です。語学教育の機会提供や文化交流イベントなどを通じて、相互理解を深める企業努力が求められます。
 
 

まとめ

地方の中小企業が直面する人手不足や経営課題は、一朝一夕には解決できない構造的な問題です。しかし、適切な制度理解と準備、そして受け入れ企業側の意識改革があれば、外国人材は企業の未来を共に築く大切なパートナーとなります。

人材確保のためだけでなく、組織の多様性や国際的な感性を育てるためにも、外国人材の活用は今後さらに重要になっていくでしょう。

 

 

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本記事で使用した単語の解説
  • 外国人材:海外から日本に働きに来る労働者のこと。特定技能や技能実習などの制度を通じて受け入れられる。
  • 特定技能:2019年に開始された新しい在留資格制度。一定の試験に合格した外国人が日本で就労可能となる。
  • 技能実習:発展途上国の若者を受け入れ、日本で技能を習得させることを目的とした制度。近年は人手不足対策としての役割も強い。
  • 育成就労制度:技能実習制度の後継として2027年導入予定の制度。人材育成と労働力確保の両立を目指す。
  • 登録支援機関:特定技能人材の生活・職業支援を行う認可団体。企業と外国人の間の支援役。
  • 送り出し機関:外国人材の母国において日本への就労希望者を教育・送り出す機関。

 
 

よくある質問(FAQ)

Q1. 地方の企業でも外国人材を受け入れられるのですか?

はい。むしろ都市部以上に人手不足が深刻な地方こそ、外国人材の受け入れが進んでいます。ただし、受け入れ体制や支援体制の整備が重要です。

Q2. 外国人材の日本語レベルはどれくらいですか?

人によりますが、技能実習生はN4〜N3レベル、特定技能は日本語試験(JLPT N4相当)に合格している必要があります。受け入れ後の継続的な指導が推奨されます。

Q3. 文化の違いで問題が起きませんか?

異文化による誤解はゼロではありませんが、事前研修や企業内での交流促進により、相互理解は十分に深まります。宗教や習慣への配慮も重要です。

Q4. 外国人材を雇うのに高いコストがかかりますか?

初期の費用はかかりますが、長期的に見ると離職率の低さや安定性でコストパフォーマンスは高いと言われています。

Q5. 今後、制度の変更はありますか?

2027年に「育成就労制度」が導入される予定であり、技能実習制度は廃止されます。今後も制度改正に注視しながら準備することが重要です。

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