
2月 28, 2025 • インドネシア, システム開発
3月 31, 2025 • インドネシア • by Reina Ohno
目次
インドネシアで日本人がビジネスを行う際、現地スタッフとのコミュニケーションやマネジメントに戸惑うことは少なくありません。特に、部下やチームメンバーに対して「叱る」べきか「褒める」べきか、どのようなフィードバックが効果的か悩む経営者・マネージャーも多いでしょう。本記事では、インドネシア人の性格や文化的背景をふまえ、職場での効果的なフィードバック方法を詳しく解説します。叱責が逆効果になるケースや、称賛が大きなモチベーションにつながる理由、実際の現場で役立つフィードバックのコツなど、現地経験に基づいた実践的な内容です。
集団主義と協調性の重視
インドネシア社会は集団主義的な価値観が強く、個人の利益よりもチームやコミュニティ全体の調和を優先する傾向があります。 対立を避け、和を尊ぶ姿勢が見られ、職場でもチームワークや協力が重視されます。
礼儀と尊重の文化
インドネシア人は礼儀正しさや他者への配慮を非常に重視します。 相手を立てるコミュニケーションが一般的であり、直接的な対立や否定的な表現を避ける傾向があります。
宗教的価値観の影響
イスラム教が多数派を占めるインドネシアでは、宗教的な価値観が日常生活や仕事観に大きな影響を与えています。 怒りや感情的な行動は好ましくないとされ、穏やかで協調的な態度が求められます。
インドネシア人は、マネジメントのヒント:「人前で恥をかくこと」マネジメントのヒント:に非常に敏感です。これは、文化的・宗教的な価値観、そして「集団主義」と「面子(メンツ)を重んじる文化」から来ています。
例)会議中に「これは君のミスだ」と言うと、本人は黙り込むか、表面上は笑顔でも内心では深く傷ついています。
称賛はインドネシア人にとって、マネジメントのヒント:「認められた」「信頼されている」マネジメントのヒント:という実感につながり、大きなモチベーション源になります。
例)SlackやWhatsAppグループで「今日のクライアント対応、さすがだった!」と投稿するだけで、士気が高まります。
背景と理由
インドネシアでは、人前で叱られることは「恥をかかされた」と感じられやすく、信頼関係の悪化やモチベーションの低下につながります。
実践ポイント
例文
「この前の報告書、よくまとめられていて助かりました。一点だけ、数値の確認で見落としがあったので、次回はそこに注意してもらえるとさらに良くなります。」
背景と理由
インドネシアでは、あいまいな表現だと誤解を生みやすく、思った通りに動いてもらえないことがあります。
実践ポイント
例文
「この資料を、明日13時までに英語で10ページにまとめてください。クライアント提出用なので、見やすさにも注意してください。」
背景と理由
インドネシア人は「周囲から認められること」を大切にしており、努力を称えられるとやる気が大きく高まります。
実践ポイント
例文
「先日のプレゼン、とても分かりやすかったです。質問にも落ち着いて対応してくれて、クライアントの印象も良くなったと思います。」
背景と理由
信頼関係を築かないと、本音や悩みを話してもらえない傾向があります。1回のフィードバックより、日常的な対話が大切です。
実践ポイント
例文
「最近忙しそうだけど、何か仕事で困っていることはある?もし何かあれば、遠慮なく相談してほしい。」
インドネシア人の性格は、宗教・歴史・教育・家庭・社会構造など、さまざまな要素が複雑に影響し合って形成されています。特にビジネスシーンでは、その性格的傾向を理解しておくことが、円滑な人間関係やチームマネジメントにおいて非常に重要です。
インドネシア人は非常に協調性を重視します。これは「集団主義」の文化的背景が強く、チームやコミュニティの和を乱さないことが善とされているためです。
マネジメントのヒント:
多くのインドネシア人は穏やかで丁寧な言動を好みます。年上や上司への敬意を払うことは非常に重要視されます。
マネジメントのヒント:
フレンドリーで明るい性格の人が多く、笑顔やジョークを交えた会話が好まれます。職場でも和やかな雰囲気を大切にします。
マネジメントのヒント:
インドネシア人の性格を語るうえで欠かせないのが「“tidak enak”(気まずい・悪いと思う)」という感情です。誰かを傷つけたり怒らせたりしたくないという気持ちが強く、遠回しな表現が多くなります。
マネジメントのヒント:
イスラム教の教えや農耕文化の影響もあり、急かされたり怒られたりしても忍耐強く耐える性格の人が多いです。
マネジメントのヒント:
いわゆる「ジャム・カレット(ゴムのように伸びる時間)」という言葉に象徴されるように、時間に対する感覚が日本や欧米とは異なります。
マネジメントのヒント:
一度信頼関係を築くと、非常に義理堅く、助け合いの精神を持って接してくれるのもインドネシア人の特徴です。
マネジメントのヒント:
インドネシアにおけるマネジメントでは、「叱る」よりも「褒める」ことを重視したコミュニケーションが有効です。人前での叱責は本人のメンツを潰し、やる気や信頼を損なう原因になりやすいため、ネガティブな指摘は個別・非公開で行いましょう。一方、称賛はチームの前で行うことで本人のモチベーションだけでなく、チーム全体の雰囲気も高まります。また、明確で具体的な指示を出すこと、継続的な対話を通して信頼関係を築くことも大切です。インドネシア人の文化や性格を理解し、それに合った関わり方を実践することで、組織の成果向上と良好な人間関係の構築が可能になります。
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本記事で使用した用語の解説
フィードバック
部下や同僚に対して、仕事の成果や行動について評価やアドバイスを伝える行為。ポジティブなもの(称賛)とネガティブなもの(叱責)がある。
叱責(しっせき)
相手のミスや行動を厳しく注意すること。インドネシア文化では、人前での叱責は極力避けるべきとされている。
称賛(しょうさん)
努力や成果をほめて認めること。インドネシア人にとって称賛は大きなモチベーションの源になる。
tidak enak
インドネシア語で「気まずい」「申し訳ない」という意味。相手を不快にさせたくないという気持ちから、本音を言わずに曖昧な表現をする傾向がある。
ジャム・カレット(Jam Karet)
直訳すると「ゴムの時間」。時間に対して柔軟な感覚を持つインドネシア独自の表現で、遅刻や納期の遅延をやわらかく表す言葉。
FAQ(よくある質問)
Q1. インドネシア人は本当に叱られるのが苦手なのですか?
はい。特に人前での叱責は「恥をかかされた」と感じる傾向が強く、信頼関係を損ねる原因になります。叱る場合は、必ず個別に静かな環境で伝えるようにしましょう。
Q2. インドネシア人に対しては、褒めすぎても問題ありませんか?
基本的には問題ありません。称賛は本人のやる気を高め、チームの雰囲気を良くする効果があります。ただし、明らかに不公平な褒め方は避け、努力や成果に基づいた正当な評価を心がけましょう。
Q3. 明確な指示とは具体的にどういうことですか?
「何を」「いつまでに」「どのように」行うかを具体的に伝えることです。例えば、「資料を作成しておいて」ではなく、「明日13時までに、10ページ以内の英語の提案資料を仕上げてください」といった伝え方が望ましいです。
Q4. 文化の違いを意識したマネジメントには、他にどんな工夫が必要ですか?
まずは相手の文化を尊重し、頭ごなしに否定しないことが大前提です。また、定期的な1on1ミーティングや雑談を通して、信頼関係を築くことが非常に重要です。信頼があると、本音を話してもらいやすくなります。