
4月 12, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習
3月 29, 2025 • インドネシア • by Erika Okada
目次
インドネシアは東南アジアでも特にSNS利用が盛んな国の一つです。スマートフォンの普及や若年人口の多さを背景に、WhatsApp、Instagram、TikTokなどのプラットフォームが生活の一部として定着しています。本記事では、最新の統計データをもとに、インドネシアで利用されている主要SNSの特徴やユーザー層、企業によるマーケティング活用の事例、そして今後のトレンドや政府の規制動向について詳しく解説します。これからインドネシア市場に進出したい方や、現地のSNS文化に関心のある方にとって、有益な情報が満載です。
SNS利用者数と推移: 2024年初時点で、インドネシアのソーシャルメディア利用者は約1億3,900万人に達し、これは全人口の約49.9%に相当します。過去数年間でSNS利用者は着実に増加しており、**2020年には人口の約66%**がSNSを利用していたのが、2024年には約50%(計算方法の違いによる)となり、今後も2026年には80%以上に達するとの予測もあります。特にコロナ禍で利用が加速し、パンデミック期には人々が対面の代わりにオンラインで繋がったことでSNS利用が大幅に伸びました。下表に主要プラットフォームの推定ユーザー数と普及率を示します。
プラットフォーム |
推定ユーザー数 (2024年初) |
インターネット利用者に占める利用率* |
|
(非公開:利用者最多) |
90.9% |
YouTube |
約1億3900万人 |
75.0% |
|
約1億1760万人 |
63.5% |
|
約1億90万人 |
54.5% |
TikTok |
約1億2680万人(※18歳以上) |
68.5% |
Twitter (X) |
約2469万人 |
13.3% ( |
*「インターネット利用者に占める利用率」は各SNSの広告リーチ等から推定される16~64歳ネット利用者に対する割合です。
このようにWhatsAppとYouTubeがユーザー数で突出しています。特にWhatsAppはインドネシアのインターネット利用者の約91%が使う国民的アプリで、Instagram(約85%)、Facebook(約82%)がこれに次ぎます。近年TikTokの躍進も著しく、2019年頃に約3,500万人だった利用者が2023年には人口の44%以上に拡大しました。Instagramも引き続き成長傾向で、2023年から2024年にかけて広告リーチベースで約12万人(+13.2%)増加しています。一方、Facebookは成長が頭打ちとなり、2023年には微減傾向(前年比-1.9%)が見られます。
(Digital 2024: Indonesia — DataReportal – Global Digital Insights)
(Digital 2024: Indonesia — DataReportal – Global Digital Insights)
(Ini Media Sosial Paling Banyak Digunakan di Indonesia Awal 2024)
年齢層・性別・地域別の利用率: インドネシアのSNS利用者は若年層に偏っており、25~34歳が全SNSユーザーの約37.7%と最大の割合を占め、次いで18~24歳が約27.1%、35~44歳が約20.8%となっています。若者が主要なユーザー層ですが、中高年層(45歳以上)のSNS利用も近年増加傾向にあります。性別では男女差は比較的小さく、インターネット全体の男女比は男性50.7%・女性49.1%とほぼ拮抗しています。個別SNSを見ると、FacebookやTikTokでは男性比率がやや高め(Facebook利用者の58.1%が男性、TikTok広告リーチの53.5%が男性ですが、Instagramでは女性が54.5%と過半を占めます。地域別には都市部の利用率が高く、ネット利用者の約70%が都市居住者です。農村部でもスマートフォン普及に伴い増加していますが、依然都市とのデジタル格差が存在します。
日常の利用時間・頻度: インドネシア人はSNSに非常に多くの時間を費やしており、1日あたり平均3時間17~20分程度をソーシャルメディアに充てています。これは世界平均(約2時間21分)を上回る長さです。特にTikTokは月間38時間26分と、ユーザー1人あたりの利用時間が最も長く、エンタメ視聴に多くの時間が割かれています。YouTubeも月間31時間28分と長時間利用され、長尺動画コンテンツが浸透しています。WhatsAppはチャット中心ながら月に26時間13分、Instagramも16時間10分程度利用されています。下表に主要SNSの月間平均利用時間を示します。
プラットフォーム |
月間平均利用時間(1ユーザーあたり) |
TikTok |
38時間26分 |
YouTube |
31時間28分 |
|
26時間13分 |
|
16時間10分 |
また、利用頻度もWhatsAppを中心に非常に高く、WhatsAppはユーザー1人あたり月に1,348回以上もアプリを開いており、1日に換算すると約45回とまさに生活インフラのように使われています。TikTokも月間373.7回(1日約12回)起動されており、習慣的に短い間隔でチェックされていることが分かります。
インドネシアは世界有数のSNS大国であり、都市部から農村部まで幅広い層が日常的にSNSを利用しています。ここでは代表的なSNSの特徴と、インドネシアでの利用傾向をわかりやすく紹介します。
世代を超えて根強い人気
Facebookはインドネシアでも依然として幅広い世代に利用されており、特に地方や中高年層に人気です。
若者を中心に人気のビジュアルSNS
Instagramは特に都市部の若者を中心に人気のSNSです。
短尺動画の王者として急成長
TikTokはエンタメ性の高い短尺動画で急速に広がり、若年層を中心に爆発的な人気を博しています。
リアルタイムの情報収集・議論に強み
Twitter(現X)は、インドネシアではリアルタイムな議論やニュースの追跡に使われています。
Instagram連携の新興SNSとして急成長中
ThreadsはMeta(旧Facebook)が提供する新しいテキスト中心のSNSで、Instagramアカウントと連携して簡単に始められる点が特徴です。インドネシアでもリリース直後から注目され、多くの若者やデジタルネイティブ層が試しに利用しています。
注目の新興SNS
Levelはまだ発展途上の新SNSですが、インドネシアでも話題になりつつあります。
最大級の動画視聴プラットフォームとして定着
YouTubeは動画共有サイトでありながら、事実上インドネシア最大級のソーシャルメディアでもあります。
最重要メッセージングツール
SNSというよりメッセンジャーですが、WhatsAppはインドネシアで最も使われているアプリの一つです。
ビジネス向けSNSとしてじわじわと浸透
LinkedInは、ビジネスネットワーキングやキャリア構築に特化したSNSで、インドネシアでも特に都市部の若年層やホワイトカラー層を中心に利用が拡大しています。
FacebookやInstagramに比べると娯楽性は低いものの、専門性や実用性を重視する層には確実に支持を広げており、今後も利用者数の増加が見込まれます。
インドネシアのSNS利用には、以下のような文化的要因が影響しています:
インドネシアではSNSが、友人や家族との日常的なやり取りから、公共的な議論の場まで幅広く使われています。
SNSは単なる情報発信ツールではなく、電話や対面のコミュニケーションの延長として活用されており、非常に人間味のある交流が見られます。
「おはよう」「おやすみ」などの何気ない挨拶や、日常のちょっとした出来事のシェアまで、SNSはインドネシア人の生活の一部として溶け込んでいます。
インドネシアの企業もSNSを積極的に活用し、顧客との接点を築いています。チャット文化が根付いた同国では、メールよりもSNSやメッセージングアプリが主な連絡手段になっています。
これらのSNSを通じた対応は他のユーザーにも可視化されるため、企業にとっては顧客満足と同時にブランドイメージ管理の一環としても機能しています。
SNSは個人や企業の枠を超え、コミュニティ形成の場としても広く活用されています。リアルな人間関係をオンラインで維持・拡張する重要な役割を果たしています。
こうしたコミュニティ活動は、SNSが単なる情報発信ツールではなく現代の社会インフラとして機能していることを物語っています。
主要プラットフォームでの広告展開が活発に
インドネシアでは、Facebook・Instagram・YouTube・TikTokなどのSNSが、マーケティングの主戦場として活用されています。これらのプラットフォームは数千万人~1億人規模のリーチを持ち、多くの企業が広告予算を投下しています。
ターゲティング精度の高さも魅力で、性別・年齢・地域などの属性に応じた広告展開が可能です。ただし近年、ユーザーが広告に慣れてきたことで、新規ブランド発見経路としての効果はやや減少傾向にあり、今後はよりクリエイティブで共感を呼ぶ広告表現が求められています。
信頼と共感を武器に急成長するプロモーション手法
インドネシアでは、SNSインフルエンサーを活用したマーケティングが非常に盛んです。
この手法の強みは「身近さと信頼性」。テレビCMよりも親しみやすく、消費者の生活に近い存在が語る言葉が大きな影響を持ちます。一方で、フォロワー数の不正取得やステルスマーケティング問題への懸念もあり、透明性や倫理への関心も高まっています。
マイクロインフルエンサー(フォロワー数1万人未満)の起用も増え、ローカルブランドの認知拡大にも一役買っています。
双方向コミュニケーションでブランドファンを獲得
インドネシア企業のSNS運用は年々洗練され、ブランド価値を高める成功事例が多数誕生しています。
共通点は、単なる情報発信にとどまらず、「コメントへの返信」「ユーザーの投稿のシェア」など、ユーザーとの双方向の関係構築に力を入れていること。SNS時代のブランディングにおいて重要な戦略です。
デジタル版“屋台市場”として拡大中
SNSを使った商品の売買=ソーシャルコマースは、インドネシアで爆発的に普及しています。
また、農家が果物をライブ配信で販売したり、服飾店が商品の試着ライブを配信するなど、ライブコマースの創意工夫も広がっています。もともと対面販売文化が根強いインドネシアにおいて、SNSはその親しみやすさをデジタルに再現した「新しい市場」となっています。
若年層と技術進化が牽引する未来
インドネシアは若年人口が多く、SNSの利用者は今後も増加が見込まれています。スマートフォンの普及や5Gなどインフラの発展もあり、ソーシャルメディアの市場は拡大傾向にあります。
高性能スマホと高速通信の普及により、動画・ライブ配信を中心とした「リッチな体験」が今後の主流になるでしょう。
政府の規制強化とデジタル主権政策
市場の健全化と表現の自由の狭間で揺れるSNS
インドネシア政府は、SNSをめぐる法制度の整備と規制強化を進めており、SNS事業者やユーザーに大きな影響を与えています。
これらの規制は、安全で健全なオンライン環境づくりを目指す一方で、言論の自由とのバランスも慎重に議論されるべき課題です。
総括的な展望
ユーザーの多様化と国際的発信力の高まり
インドネシアのSNS市場は、短期的には既存大手の優位が続くと見られますが、中長期的には以下の変化が予想されます:
今後は「ユーザーの拡大と多様化」「新サービスとの共存」「企業活用の高度化」「規制とのバランス」という軸で、インドネシアのソーシャルメディアはさらに進化していくと見られています。
インドネシアではSNSが単なる情報共有のツールではなく、人々の生活やビジネスに欠かせない存在となっています。若者を中心にSNSの利用は拡大を続けており、WhatsAppやTikTokをはじめとする主要プラットフォームは、それぞれ異なる役割で活用されています。企業はマーケティングやカスタマーサポートにSNSを積極的に取り入れており、インフルエンサーマーケティングやライブコマースも急成長中です。一方で、政府による規制も進んでおり、安全性や健全性を確保しながら活用していくことが求められています。今後は、新興SNSの登場やメタバース・ARといった技術革新とともに、さらに多様でダイナミックな展開が予想されます。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)
インターネット上で人と人がつながる仕組みやサービスのこと。FacebookやInstagram、TikTokなどが代表例。
エンゲージメント
SNSに投稿した内容に対してユーザーが反応すること。いいね、コメント、シェアなどが含まれる。
ソーシャルコマース
SNSを通じて商品やサービスを販売する仕組み。ライブ配信中に商品を紹介して販売する形なども含まれる。
インフルエンサー
SNS上で多くのフォロワーを持ち、商品やサービスに影響を与える人物。著名人だけでなく一般人も含まれる。
リーチ
投稿や広告が実際に届いたユーザーの数。閲覧された回数とは異なる。
アルゴリズム
ユーザーの興味や行動に基づいて、見せるコンテンツを自動的に選ぶ仕組みのこと。
メタバース
仮想空間上で人々がコミュニケーションや経済活動を行う新しいデジタル空間。SNSと組み合わせた展開も進んでいる。
AR/VR
ARは拡張現実、VRは仮想現実。SNSではエフェクトやバーチャルイベントなどに活用される技術。
Q1. インドネシアで一番使われているSNSは何ですか?
A. 最も多くの人に使われているのはWhatsAppです。家族や友人との日常的な連絡手段として幅広く利用されています。
Q2. TikTokは若者以外も使っていますか?
A. 主に若年層に人気ですが、中高年層の利用者も増えてきており、特に地方の文化紹介やビジネス目的で活用する人も見られます。
Q3. インドネシアでSNSを使ったマーケティングを始めるにはどうしたら良いですか?
A. ターゲットに合ったプラットフォームを選び、インフルエンサーとの協力やチャット対応の体制づくりが重要です。まずはInstagramやWhatsAppを活用する企業が多い傾向にあります。
Q4. 規制は厳しくなっているのでしょうか?
A. 一部のSNS機能に対して政府が制限をかけている事例がありますが、安全性を確保する目的であり、正しく使えば問題はありません。
Q5. 今後注目されるSNSはありますか?
A. ThreadsやLevelといった新興SNSが注目されています。ユーザーの新しいつながり方を提案しており、今後の成長が期待されています。