4月 29, 2025 • インドネシア, 海外進出 • by Delilah

オフショア開発の新たな選択肢:海外雇用代行サービス(EOR)とは?

海外進出やオフショア開発を検討している日本企業の中で、最近注目されているのが「海外雇用代行サービス(EOR)」です。特に、現地法人を設立するリスクを避けながらも、優秀な外国人材をスピーディーに確保したい企業にとって、EORは効果的な選択肢となっています。本記事では、EORの仕組みや他の形態との違い、実際の導入ステップや活用事例を通じて、導入を検討する企業が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

 

 

オフショア開発とは?

オフショア開発の定義と背景

オフショア開発とは、企業が自国以外の国でアプリ開発やシステム開発、アウトソーシング業務を行うことを指します。 例えば、日本の企業がベトナムに拠点を設けて開発業務や事務業務をアウトソーシングすることが挙げられます。 人件費やオフィス代などを考えたとき、日本よりも1時間当たりの経費が安い国に委託をするとそれだけ経費を削減することができます。

オフショア開発のメリットと課題

オフショア開発の主なメリットは、コスト削減、優秀な人材の確保、業務の効率化などが挙げられます。 一方で、言語や文化の違いによるコミュニケーションの課題、時差、品質管理の難しさなどのデメリットも存在します。

 

 

海外雇用代行サービス(EOR)とは?

海外雇用代行サービス(EOR)とは?

EORの基本的な仕組み

EOR(Employer of Record)は、企業が現地法人を設立せずに、海外の人材を雇用するためのサービスです。 EORサービス提供企業が、現地の法律や規制に基づいて従業員と雇用契約を結び、給与支払いや税務処理、社会保険の手続きなどを代行します。 これにより、企業は現地の法的リスクを軽減しつつ、迅速に海外市場での事業展開が可能となります。

EORとGEO、PEOの違い

EORと似たサービスにGEO(Global Employment Organization)やPEO(Professional Employer Organization)があります。 これらは、いずれも企業が現地法人を設立せずに人材を雇用し、ビジネス展開を可能にするサービスですが、提供範囲や契約形態に違いがあります。 一般的に、EORは雇用契約や給与支払いなどの代行を行い、GEOやPEOはさらに広範な人事・労務管理をサポートします。

 

EOR(雇用代行)のメリット

1. 現地法人設立の不要

EORを利用することで、現地法人を設立せずに人材を雇用できます。 これにより、法人設立に伴う手続きや費用を削減し、進出のスピードを向上させることができます。

2. 法的リスクの軽減

EORサービス提供企業が現地の労働法や税務規制を把握し、雇用契約の作成や給与計算、社会保険手続きなどを代行するため、法的トラブルのリスクを大幅に軽減できます。

3. スピーディな市場参入

現地法人の設立には時間と労力がかかりますが、EORサービスを活用すれば、設立手続きなしで即座に人材を雇用し、業務を開始できます。 これにより、競争の激しい市場に迅速に参入することが可能です。

4. 柔軟な事業展開

EORを利用することで、必要に応じて短期プロジェクトや市場調査を行うことが可能です。 これにより、進出前のリスクを最小限に抑えた試験的な事業展開ができます。

 

EOR(雇用代行)のデメリット

1. 雇用主としてのコントロールの制限

EORでは、従業員の雇用主がサービス提供企業となるため、企業が直接的に管理できる範囲が制限されます。 評価や配置転換などの意思決定に時間がかかる場合があり、迅速な対応が求められる場面では課題となる可能性があります。

2. 長期的なコスト増加の可能性

EORは短期的なコスト削減に効果を発揮しますが、長期的には累積する手数料が問題となる場合があります。 特に従業員数が増えると、法人設立を行う場合と比べてコストが高くなるケースもあります。 規模拡大を見据えたコスト計画が必要です。

3. サービス提供企業の選定リスク

サービス提供の選定はEORの成功に直結します。 信頼性が低いサービス提供企業では、雇用契約や給与計算の不備により法的リスクが高まるほか、サポート不足で給与遅延や保険手続きミスなどのトラブルが発生する可能性があります。 EORのサービス提供企業選びは慎重に行う必要があります。

 

 

EOR(雇用代行)の活用事例

EOR(雇用代行)の活用事例

1. 飲食産業の日系企業のマレーシア進出

スタートアップの飲食系の日系企業が、マレーシア国内および東南アジア全体でのディストリビューターの開拓を目指していました。 しかし、海外進出が初めてであるため、さまざまな課題に直面していました。 EORサービスを提供する企業が、現地法人を設立することなく、現地法に準拠した形で日本人駐在員の雇用手続きを代行。 初期コストを抑えつつ、法的リスクを最小限に抑えた形での迅速な進出を実現することができました。

2. インドネシアでのEORサービス活用

インドネシア進出でEORサービスを利用することで、現地法人を設立せずに人材を雇用し、ビジネス展開を可能にする施策として注目されています。 EORサービスを提供する企業が、現地の法律や規制に基づいて従業員と雇用契約を結び、給与支払いや税務処理、社会保険の手続きなどを代行します。 これにより、企業は現地の法的リスクを軽減しつつ、迅速に海外市場での事業展開が可能となります。

 

 

EOR(雇用代行)導入のステップ

ステップ1:目的とニーズの明確化

まず重要なのは「なぜEORを導入するのか」という目的を明確にすることです。例えば、開発チームの拡充、現地市場への足がかり、人件費の最適化など、導入の背景によって必要な国や人材、契約形態は変わってきます。社内の既存体制で対応しきれない課題が明らかであれば、EOR導入は非常に効果的な手段となりえます。

ステップ2:対象国とパートナーの選定

次に行うべきは、適切な国と信頼できるEORパートナーの選定です。進出先の国によって労働法規や税制、雇用文化は大きく異なるため、慎重な比較が求められます。また、パートナー企業は単なる代行業者ではなく、現地の法制度・人材市場に精通したアドバイザーであるべきです。実績や顧客事例を確認し、複数社を比較検討しましょう。

ステップ3:契約締結と体制構築

契約内容には、雇用関係の範囲、給与支払い、保険、福利厚生、トラブル時の責任分担など、詳細かつ明確な取り決めが必要です。EORとの契約後、社内チームと現地人材がスムーズに連携できるよう、業務フローやコミュニケーションルールを定めることも大切です。

ステップ4:オンボーディングと実務運用

採用した人材がパフォーマンスを発揮するには、初期オンボーディングの質が鍵を握ります。社内のビジョンや業務の目的、使うツール、報告の頻度などを丁寧に共有し、早期に信頼関係を築くことが理想です。また、定期的な面談やレビューによって、モチベーションや問題点を把握し、改善を図るサイクルを回していきましょう。

 

 

活用事例:実際の導入企業から見るEORのリアル

活用事例:実際の導入企業から見るEORのリアル

ケース1:急成長スタートアップによるベトナム人エンジニアの採用

東京のスタートアップA社は、国内エンジニアの採用難に直面し、EORを通じてベトナムのIT人材2名をチームに加えました。現地での雇用やビザ発行を全て代行してもらい、自社では業務指示と成果管理に集中。導入から半年で追加採用を行うなど、柔軟な体制強化を実現しています。

ケース2:現地法人設立前のパイロットチームとして活用

大阪の中堅企業B社はインドネシア市場への進出を検討していましたが、いきなり法人を設立するリスクを懸念。まずはEORを通じて現地マーケターを1名雇用し、1年間の市場リサーチと実証実験を行いました。その結果、事業可能性を確信し、正式に現地法人を立ち上げています。

トラブル事例と注意点

コミュニケーションの課題

国や文化が違えば、報連相の基準や期待値にもズレが生じます。特に「自己判断で進めてしまう」「報告のタイミングが遅れる」といった問題は、日本企業側のストレス源になりがちです。導入初期に定期ミーティングや明確なガイドラインを設けることで、トラブルは予防できます。

契約内容の誤解・齟齬

EORとの契約は一見シンプルに見えても、労働契約・業務委託契約・成果物の権利関係など、実務レベルでの食い違いが生じることがあります。リーガルレビューを怠らず、双方が納得できる条項設計が必要です。

どんな企業に向いているのか?

  • 現地法人を持たずに海外人材を使いたい中小企業
  • 採用スピードを重視するスタートアップ
  • リスクを抑えて海外展開をテストしたい企業
  • インドネシアやベトナム、フィリピンなどの新興国市場に興味がある企業

逆に、大規模な事業展開を計画しており、すでに法人を設立している場合や、長期的な人材育成を重視する企業には、EORよりも現地法人型のオフショアが適しているかもしれません。

 

 

まとめ:EORは一歩先の選択肢

海外雇用代行サービス(EOR)は、法人設立の煩雑さや法的リスクを回避しながら、スピーディーかつ柔軟に海外人材を活用できる手段です。オフショア開発の新たな選択肢として、特にスタートアップや中小企業、テストマーケティング段階の企業に適しており、既に多くの日本企業で導入実績があります。一方で、サービス提供企業の選定や契約内容の確認など、慎重な対応が求められる点も存在します。適切なパートナーと連携し、計画的に導入を進めることで、EORは貴社のグローバル成長を強力に後押しする武器となるでしょう。

弊社PT. Timedoor Indonesiaでも御社の海外雇用代行(EOR)をサポートすることが可能です。ご興味がある企業様がいればお気軽にご連絡ください。

 

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本記事で使用した単語の解説

オフショア開発
自国内ではなく、海外の拠点や外部企業に開発業務を委託するビジネス手法。主に人件費削減や人材確保を目的とする。

EOR(Employer of Record)
現地法人を設立せずに、海外の人材を法的に雇用するための代行サービス。雇用契約、給与、社会保険などを一括代行。

GEO(Global Employment Organization)
EORと類似するが、より包括的に人事・労務面の支援も行う組織。

PEO(Professional Employer Organization)
企業と共同で従業員を管理するパートナー組織。給与処理や福利厚生の管理などを担う。

オンボーディング
新たに雇用した人材を業務にスムーズに適応させるための初期教育・支援プロセス。

現地法人
海外で事業を行うために設立される現地拠点の法人。設立には登記、資本、現地規制の対応が必要。

 

 

FAQ(よくある質問)

Q1. EORと通常のオフショア開発との違いは何ですか?
A1. 通常のオフショア開発は業務委託契約によって行われますが、EORは雇用契約に基づいて現地人材を企業の一員として働かせる点が異なります。

Q2. 法人設立と比較してEORの初期費用は安いですか?
A2. はい。EORは法人設立に伴う登記費用や弁護士費用、事務所設置費用が不要なため、初期投資を大幅に抑えることが可能です。

Q3. EORはどの国でも利用できますか?
A3. 多くの国で利用可能ですが、国ごとに法規制やサービス提供可否が異なるため、対象国の法制度を確認する必要があります。

Q4. 長期的に見るとEORと現地法人設立のどちらがコスト効率的ですか?
A4. 小規模・短期であればEORが有利ですが、従業員数が増加したり長期展開を予定している場合は現地法人設立の方がトータルコストを抑えられることがあります。

Q5. 日本語しか話せない担当者でもEORを利用できますか?
A5.
多くのEORサービス提供企業は日本語対応のカスタマーサポートを用意しているため、導入自体は可能です。ただし、現地人材との業務上のやり取りは英語や現地語が求められる場合があります。

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