6月 25, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno

インドネシア人材が向いている特定技能ビザの業種とは

インドネシア人材が向いている特定技能ビザの業種とは

近年、日本では少子高齢化に伴う労働力不足が深刻化しており、特に建設、介護、農業、外食などの分野では外国人材の活用が不可欠となっています。その中でも、特定技能ビザや技能実習生で働くインドネシア人材は一定の評価を受けながらも、実際にどの業種に向いているのか、また逆に適性が低い業種は何かについて、現場での経験や統計データをもとに詳しく解説します。

弊社も特定技能ビザで働くインドネシア人材を教育してきた経験をもとに、本記事では、受け入れ企業や登録支援機関の皆様が参考にできるよう、採用前に知っておくべきポイントを体系的にまとめました。
 
 

インドネシア人材の特徴と強み

インドネシア人材の性格・特徴

親しみやすい国民性

インドネシア人の国民性は非常に温厚で、他者との調和を大切にする傾向があります。家族や地域社会とのつながりを重視する文化が根付いており、職場でもチームワークを大切にする姿勢が見られます。また、イスラム教の価値観に基づき、年長者や上司への敬意を払う行動様式が自然に身についており、日本社会における上下関係や礼儀を重んじる文化との親和性が高いです。こうした背景により、日本の企業文化への順応も比較的スムーズで、現場の同僚とも良好な関係を築きやすいのが特徴です。

英語の基礎力と学習意欲

インドネシアでは小中高で英語教育が導入されており、都市部では英語を第二言語として学んでいる若者も少なくありません。そのため、他国の人材と比べて英語での簡単なコミュニケーションに抵抗がなく、外国語学習へのアレルギーが少ない傾向にあります。また、日本語に対しても非常に高い学習意欲を持っており、LPKなどの送り出し機関ではN4レベル以上の日本語を取得して来日するケースも多く見られます。特に目的意識を持った人材が多く、日本語の習得を通じて家族を支えたり、将来的なキャリアアップを目指したりする姿勢は、企業側にとっても安心できる要素です。

若年層人口が多い

インドネシアは総人口が2億7,000万人を超える大国であり、そのうち約半数が30歳未満という非常に若い労働力を有しています。このような人口構成は、日本のような少子高齢化社会とは対照的であり、今後数十年にわたり安定的な労働力供給が期待できます。また、若年層の多くはデジタルネイティブであり、スマートフォンやインターネットを通じた情報取得にも長けているため、新しい知識やスキルの吸収も早く、教育効果が高い点も企業側にとって大きな利点です。インドネシアは平均年齢が30歳前後と若く、エネルギーに満ちた労働力が豊富です。長期的な人材育成の視点でも魅力があります。
 
 

インドネシア人が向いている業種

インドネシア人技能実習生 介護人材の受け入れガイド:制度から採用手順、費用、注意点まで徹底解説

介護業

理由:思いやりのある性格と宗教的背景

インドネシア人は高齢者への尊敬の念が強く、イスラム教での家族重視の価値観からも、介護の現場に適応しやすい傾向があります。実際に技能実習・特定技能の分野でも介護を志望する人は多く、女性を中心に高いマッチ率を示しています。

現場の声

ある関西圏の特養では、インドネシア人介護職が約10名勤務しており、日本人スタッフとの信頼関係も良好で離職率が低いという結果が出ています。
 

外食業

理由:明るさと対人対応力

接客に必要な笑顔や礼儀を自然に持ち合わせており、日本の外食業界でも重宝されています。また、家族経営のワルン(食堂)文化があるため、調理や片付けなどの作業にも抵抗がありません。

注意点

豚肉やアルコールの扱いに対しては宗教的制約があるため、配置や業務内容に配慮が必要です。
 

清掃・ホテル業

理由:几帳面な性格と礼儀正しさ

ホテルの客室清掃や共用部の管理などでも、丁寧な仕事ぶりが評価されています。礼儀や清潔感を大切にする点も日本のサービス業に合致します。
 

製造業(食品加工、電子機器等)

理由:手先の器用さと忍耐力

長時間のライン作業にも対応可能で、集中力があり安定したパフォーマンスが期待できます。技能実習で製造系の職種を経験した人も多く、再就職先として選ばれることが多いです。
 

ドライバー職(軽貨物、送迎など)

理由:運転スキルと責任感

インドネシアでは多くの若者がオートバイや車を日常的に運転しており、交通事情への適応力があります。さらに、時間厳守や顧客対応が求められるドライバー職においても、誠実な性格と穏やかな対応で評価されています。

注意点

来日前に日本での運転免許取得や交通ルールの理解が必要ですが、丁寧に指導すれば習得は十分可能です。

 
 

採用にあたって考慮すべき特性と注意点

インドネシア人技能実習生受け入れ時の注意点

インドネシア人材は多くの業種で優れた適性を発揮しますが、文化的背景や性格的な傾向を踏まえて、以下のような点に配慮することで、よりスムーズな職場定着と高いパフォーマンスを引き出すことが可能です。

控えめで遠慮がちな性格

インドネシア人は相手に対して敬意を払い、自己主張を控える傾向があります。これは日本の「和」を重んじる文化とは親和性がある一方で、自発的な報告・連絡・相談(いわゆる「ホウレンソウ」)が不足しがちになる可能性があります。上司や同僚が日常的に声をかけて、話しやすい環境づくりを意識することが重要です。

宗教的配慮(イスラム教)

インドネシアは世界最大のイスラム教人口を抱える国であり、ハラール(許されたもの)とハラム(禁じられたもの)に関する理解が必要です。豚肉やアルコールを扱う職場では、本人が直接それらに触れることを避けたいと考える場合が多く、事前に仕事内容の確認と合意形成が欠かせません。また、礼拝(サラート)を1日5回行う習慣があるため、勤務中の短時間の礼拝時間を認める柔軟なシフト設計が求められます。

細かい作業や正確性に課題が出るケースも

全体として器用で根気強い人材が多い一方で、細部へのこだわりやマニュアル的な手順の遵守が甘くなるケースも見られます。特に品質管理や精密さが求められる業務では、定期的なフィードバックや段階的なチェック体制を設けると効果的です。

初期の言語障壁

日本語能力はN4レベル程度からスタートすることが多く、実務で必要とされる語彙や表現が不足する場合があります。特に安全や衛生に関わる業務では、指示内容をしっかりと理解しているかどうかの確認が不可欠です。絵や動画、ジェスチャーを活用した視覚的な説明も効果的です。

このような特性を理解し、受け入れ体制を整えることで、インドネシア人材は大きな戦力となります。

 

特定技能制度における分野別マッチ度

特定技能分野 インドネシア人材との相性
介護 ◎ 非常に高い
外食業 ◎ 高い
清掃業(ビル・ホテル) ◎ 高い
農業 ◯ 一部地域で高い
建設 △ 限定的
製造業 ◯ 中程度
飲食料品製造業 △ 宗教的制約を要考慮

 
 

インドネシア人の採用・教育時のポイント

10. 受け入れ企業が注意すべきポイント(試験難度・費用・言語・文化対応・社内教育体制など)

日本語レベルの確認と継続学習の支援

日本語能力試験(JLPT)N4相当での採用が多いものの、現場での会話や理解力には個人差があります。来日前後での継続的な学習支援が成果を左右します。

宗教文化への理解と配慮

礼拝スペースの確保や食事の制限に対する配慮は、信頼関係を築く上で不可欠です。企業によってはハラール食を提供したり、休憩室に礼拝スペースを設けたりと工夫をしています。

定着率を高める職場づくり

インドネシア人は家族とのつながりを重視するため、職場内での仲間意識や帰属感を高める工夫(例:社内イベントや相談窓口)が定着率向上につながります。
 
 

まとめ

インドネシア人材は、介護、外食、ホテル、製造、ドライバーなど多くの業種で高い適性を示しており、採用と定着の両面で成果を上げています。一方で、建設や豚・アルコールを扱う職場、営業など一部の職種では慎重なマッチングが求められます。

弊社LPK Timedoorでは、来日前の日本語教育やマナー教育、業種別の適性評価を実施しており、受け入れ企業とのスムーズな連携を心がけています。貴社での採用を検討されている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

 

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本記事で使用した単語の解説

特定技能ビザ
日本政府が2019年に導入した在留資格で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が人手不足の業種で働くことを目的としている。特定技能1号と2号の2種類がある。

技能実習制度
外国人が日本の企業で技能・技術を学び、母国の経済発展に貢献することを目的とした制度。3年間の実習を経て、特定技能1号へ移行することも可能。

LPK(Lembaga Pelatihan Kerja)
インドネシア語で「職業訓練機関」を意味し、日本語教育や就業前研修を行う送り出し機関のこと。

ハラール(Halal)
イスラム教の教えで「許されたもの」を意味する。食べ物・飲み物・生活習慣に広く関係しており、豚肉やアルコールは避けられる。

ホウレンソウ
日本の職場文化において重要視される「報告・連絡・相談」の略語。チームでの円滑なコミュニケーションを図る基本行動とされる。

N4レベル(日本語能力試験)
日本語能力試験(JLPT)のうち、初級の下から2番目のレベル。基本的な日本語の文型や語彙を理解できるレベルを指す。

マッチング
人材と職場の相性を指す言葉。スキルや性格、文化的背景などを総合的に考慮し、適切な配置や職種を選ぶこと。

 
 

よくある質問(FAQ)

Q1. なぜインドネシア人材は介護や外食業に向いているのですか?
インドネシア人は家族を大切にし、年長者への尊敬心が強いため、思いやりが必要な介護現場での適応力が高いです。また、明るくフレンドリーな性格から、接客業でも評価される傾向があります。

Q2. 宗教的な配慮はどの程度必要ですか?
豚肉やアルコールを扱う作業は避けたいという希望があることが多く、また1日5回の礼拝を希望する人もいます。それらに対応できる柔軟な職場環境づくりが定着率にもつながります。

Q3. 採用前にどのような準備が必要ですか?
日本語の理解度確認、業務内容の明示、ハラール食の対応可否の共有などが重要です。また、礼拝スペースや相談できる環境を用意しておくと安心です。

Q4. どんな職種には不向きですか?
建設や精密作業、営業などは一部の人材にとっては難易度が高くなる可能性がありますが、個人差が大きいため、一律には判断できません。適性評価を行った上でのマッチングが推奨されます。

Q5. 採用後にすぐ戦力になりますか?
多くの人材はすでに基礎的な日本語教育やマナー教育を受けており、実務においても早期に戦力化できるケースが多数あります。ただし、最初の1〜2ヶ月はフォロー体制があるとより安心です。

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