
2月 20, 2025 • インドネシア, 財閥
3月 31, 2025 • インドネシア, システム開発 • by Delilah
目次
インドネシアは、東南アジア最大の人口を有し、近年はデジタル分野においても急速な成長を遂げています。多くの日本企業がコスト削減や東南アジア市場への進出を目的に、システム開発や制作をインドネシアの企業に委託するケースが増えてきました。しかし、ローカル企業に依頼することにはメリットだけでなく、注意すべきデメリットも存在します。本記事では、インドネシアのローカル企業にシステム開発を依頼する際の利点と課題、さらに日本企業にとって最適な選択肢としての日系開発会社の活用について、現地事情を踏まえて詳しく解説します。
インドネシアのIT技術者の平均月給は、ジャカルタであっても日本円で5〜10万円程度(2024年時点)。地方都市ではさらに低く、約3〜6万円の水準です。日本や欧米と比較して開発費用が1/3以下で済む場合もあり、コスト効率は抜群です。生活費が日本の1/4〜1/5程度で済むことや、エンジニアリング系の職業の供給が増えているため、価格競争力が維持されています。
現地のUI/UXトレンド、宗教文化に基づく仕様(例:ラマダン対応)、ローカル支払い手段(GoPay、Dana、OVO)への対応など、日本人にはわかりにくいインドネシア独自の仕様に強いのがローカル企業です。現地ユーザーにフィットするシステム・アプリを作りたい場合、ローカルとの協業はむしろ必須と言えます。
IT人材の育成が進む一方で、スキルや経験値の個人差が非常に大きいのが実情。ポートフォリオが立派でも、納品物の質が期待を下回るケースも多々あります。
事例:仕様書を渡したのに「この部分は自分の判断で変えました」と勝手にアレンジされることも。
対策:技術テスト+トライアル契約で見極める/GitHubやFigmaなどで逐次レビューできる環境を整える。
「ジャム・カレット(ゴムの時間)」という文化があるほど、時間に対する意識が緩い傾向があります。プロジェクト管理を任せきりにすると遅延リスク大です。
よくあるトラブル:途中でチームメンバーが辞めて進捗が止まり、報告もされない。
対策:スプリント単位での進捗レビュー、TrelloやJiraの導入、日次・週次のミーティング設定を徹底。
「わかりました」と言われても、実は理解していないケースが多くあります。日本人の感覚で「YES」と言われると安心しがちですが、実はNOの意味だったということも。
対策:「説明してみて」と逆質問する/図解・サンプルを活用しながら要件を共有/できるだけインドネシア語で伝える。
英語ができるエンジニアは増えてきていますが、ビジネスレベルの読み書きとなるとハードルが高く、日本語での意思疎通ができる人材はさらに限られます。
対策:ブリッジSEを活用する、もしくは日・英・インドネシア語の3言語で資料整備を。
まだ情報管理に対する意識が日本ほど高くなく、ソースコードの共有や個人情報保護に対してルーズな企業も存在します。
対策:契約書にNDA(秘密保持)条項・知的財産条項を明記/外部アクセス制限・クラウド管理の徹底。
インドネシアのローカル企業では、エンジニアや担当者が突然辞めるケースが珍しくありません。その際、十分な引き継ぎが行われずにプロジェクトが停滞することがあります。特に小規模な企業では、担当者に作業が属人化している場合が多く、後任が内容を把握できず、納期遅延や品質低下につながるリスクがあります。
対策:契約に引き継ぎ義務を明記し、仕様書や進捗情報を常にチームで共有する仕組みを整えておくことが重要です。
インドネシアでシステム開発を外注する場合、現地ローカル企業に直接依頼するか、日系の現地開発会社に依頼するか、という2つの選択肢があります。
一見すると、コストの安いローカル企業が魅力的に映りますが、日本企業にとっては多少コストが上がっても日系のシステム開発会社の方が、結果的に満足度が高く、トラブルも少ない傾向にあります。
日系の開発会社には、日本人のプロジェクトマネージャーやSEが在籍している場合が多く、要件定義から納品、運用サポートまで日本語で対応してもらえます。
日本語特有のあいまいな表現や、ニュアンスの違いにも対応してもらえるため、ローカル企業に直接依頼する場合に起こりがちな認識ズレや仕様誤解のリスクが格段に減ります。
日系企業の開発会社は、すでに多くの日本企業のシステム開発を請け負ってきた実績があり、日本の開発文化、業界慣習、求められる品質基準をよく理解しています。
例えば:
これらを把握した上で対応してくれるため、やりとりにストレスが少なくなります。
タスク管理、進捗管理、レビュー、バグ対応など、開発プロジェクトに必要な基本的な管理手法が、日本のスタンダードに近い形で導入されています。
WBS(作業分解構造)、日報、週報、成果物レビューなども整っており、日本本社への説明責任や社内稟議に必要な資料のフォーマットや粒度も整っています。
エンジニアはインドネシア人でも、プロジェクトマネージャーが日本人もしくは日本語が堪能な人材であれば、発注側の負担が大幅に軽減されます。
ローカル企業に直接依頼すると、通訳、技術解釈、品質チェックをすべて発注側が担う必要がありますが、日系企業であればその部分をすべて引き受けてくれる場合が多いです。
インドネシアは宗教文化、祝日、生活習慣、仕事観が日本とは大きく異なります。
日系開発会社であれば、現地スタッフとのやりとりを適切に通訳・調整しながら、日本企業の期待に合わせた成果物の提供が可能です。
たとえば:
こうした現地知識と日本的な品質要求の両方を理解しているのが強みです。
契約内容、秘密保持、ソースコードの権利など、法的・知財的な取り扱いについても、日系企業は日本的な考え方に近い対応をしてくれます。
ローカル企業では契約書が英語もしくはインドネシア語のみ、かつ曖昧な記述がある場合も多いですが、日系企業では日本語での契約や日本法に準じた条項設計が可能なこともあります。
インドネシアのローカル企業にシステム開発を依頼することは、コスト削減や現地ニーズへの対応という点で多くのメリットがあります。一方で、技術力のばらつきや進行管理の難しさ、コミュニケーションのギャップといったデメリットも存在します。
これらの課題に対応しながら安心して開発を進めたい場合は、インドネシアに拠点を持つ日系のシステム開発会社をパートナーに選ぶことが有効です。日本語対応や日本式の管理体制、現地との調整力を兼ね備えており、初めての海外開発にも適しています。
東南アジア市場への展開を検討している企業にとって、インドネシアは魅力的な選択肢です。適切なパートナーを選び、準備を怠らずに進めることで、プロジェクトの成功率を大きく高めることができるでしょう。
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本記事で使用した単語の解説
ローカル企業
インドネシアに本社を持ち、インドネシア人によって経営・運営されている現地企業のこと。
日系開発会社
インドネシアに進出している日本資本または日本人経営のシステム開発会社。日本語での対応や日本式のプロジェクト管理が期待できる。
ジャム・カレット
インドネシア語で「ゴムの時間」という意味。時間に対する柔軟な考え方を表す表現で、予定時間に遅れることが許容される文化的背景を指す。
ブリッジSE
日本と海外の開発チームの橋渡し役をするシステムエンジニア。言語・文化の違いを調整しながらプロジェクトを進行する役割。
WBS(Work Breakdown Structure)
プロジェクト全体をタスク単位に細分化し、体系的に管理するための手法。納期管理や責任分担の明確化に使われる。
よくある質問(FAQ)
Q1. インドネシアのエンジニアの技術レベルは日本と比べてどうですか?
技術力の高いエンジニアも多数存在しますが、全体的にはスキルのばらつきが大きいのが現状です。経験年数や教育背景により能力に差があるため、採用や外注先選びの際には技術テストやポートフォリオの確認が重要です。
Q2. なぜ日系開発会社の方が安心なのですか?
日本語でのコミュニケーションが可能な上、プロジェクト管理や品質基準が日本企業の期待に沿っているためです。文化や商習慣の違いからくるトラブルも、日系企業であれば未然に防げるケースが多く、結果的にスムーズなプロジェクト進行が実現します。
Q3. インドネシアでの開発費用は本当に安いのですか?
はい。ジャカルタやバリといった都市部でも、日本国内の約1/3以下のコストで開発可能です。特にUI/UXデザインやモバイルアプリ開発などは、コストパフォーマンスの高さが際立っています。
Q4. 納期の遅れや品質トラブルが不安です。どう対策すればよいですか?
開発管理ツール(Trello, Jira など)の導入、日次または週次の進捗報告、テスト体制の構築が効果的です。また、日本人PMやブリッジSEがいる企業を選ぶことで、トラブルの発生率を大きく減らせます。
Q5. ローカル企業に頼む場合と日系企業に頼む場合の費用差はどれくらい?
日系企業の方が若干高めになるケースが多いですが、その分品質・対応・管理面でのリスクが少なく、総合的なコストパフォーマンスでは高い満足度を得られることが多いです。