
1月 29, 2025 • インドネシア
4月 6, 2025 • インドネシア • by Reina Ohno
目次
インドネシアでの長期滞在や駐在を検討している日本人にとって、現地の医療体制や病院の質を正しく理解しておくことは非常に重要です。本記事では、首都ジャカルタをはじめ、スラバヤ、バリ島といった主要都市における医療事情を詳しく解説します。日本人が安心して受診できる病院や医療制度の仕組み、医薬品の入手方法、緊急時の対応、さらには医師や看護師のレベル、感染症対策、医療通訳の利用方法まで、インドネシアでの生活に欠かせない医療関連情報を網羅しています。インドネシア進出を控えた企業経営者や現地マネージャー、駐在員の医療情報を事前に把握したい方にとって、必読のガイドです。
医師や看護師の質と育成体制
インドネシアの医療人材の育成は、医学部教育と専門研修を通じて行われており、国内には優れた医科大学も存在します。代表的な大学にはインドネシア大学、ガジャマダ大学、エアランガ大学などがあり、これらの大学では6年間の基礎医学教育の後、1年のインターンシップを経て医師資格を得ます。
ただし、日本や欧米と比べると臨床研修制度の厳格さや実地経験の量に課題があるとも言われています。また、地域による医師の偏在も大きく、都市部では優秀な医師にアクセスしやすい一方、地方や離島では慢性的な医師不足が続いています。
看護師についても同様に、都市部の私立病院では一定水準のケアが受けられるものの、研修内容や対応レベルにはばらつきがあります。英語が話せる看護師は大病院に多く勤務していますが、地方病院ではインドネシア語しか通じないことが一般的です。
医療機器と技術の導入状況
近年、インドネシアの主要な私立病院ではCTスキャン、MRI、心臓カテーテル、放射線治療装置など、先進国と同等レベルの医療機器が導入されています。特に首都ジャカルタやスラバヤの高級病院では、欧米メーカーの最新設備を整備し、検査精度も高まっています。
一方で、機器のメンテナンスや操作技術に課題を抱える病院も少なくなく、地方の公立病院では老朽化した設備が使われている例も見られます。高度治療の必要がある患者は、ジャカルタや海外に転院するケースも存在します。
また、ロボット手術や遺伝子検査といった次世代医療技術の導入はまだ限定的で、一部の私立病院で導入が始まっている段階にとどまっています。
専門医の数と診療科の偏り
インドネシアでは専門医の不足が大きな課題とされています。特に、がん治療、神経外科、小児外科などの分野では専門医の絶対数が足りておらず、予約が数週間~数か月待ちになることもあります。
また、地域によっては特定の診療科がまったく存在しないこともあるため、患者は都市部の病院まで移動しなければなりません。こうした偏りは、患者のアクセスや医療格差に直結しており、政府も専門医の地方派遣や育成支援に取り組んでいます。
都市部では多くの病院が専門外来を持ち、複数の分野にまたがる疾患にもチームで対応する体制が整ってきています。ただし、外国人が高度治療を受ける場合には、通訳の有無や専門医のスケジュール調整に時間がかかることもあります。
感染症・熱帯病への対応レベル
インドネシアは熱帯地域であり、デング熱、チフス、マラリア、肝炎などの感染症が今なお流行することがあります。都市部の病院ではこれらの感染症に対する診断・治療ノウハウが蓄積されており、早期に対応すれば回復も早いです。
特にデング熱については、血小板の推移を管理する入院治療が行われ、数日間の点滴で対応されることが多いです。ただし重症化リスクもあるため、早めの検査が重要です。
また、新型コロナウイルスに対しても、インドネシアの医療機関はPCR検査体制や集中治療室の整備を急速に進めました。この経験を通じて、感染症に対する医療体制の底上げが進んだ側面もあります。
患者と医療機関の信頼関係・倫理面
インドネシアでは医師と患者の関係が「先生と生徒」のように上下関係的なものとして捉えられる傾向があり、患者側から積極的に質問をする文化はまだ根付いていません。そのため、診察時にしっかりと意思疎通ができないまま治療が進んでしまうリスクもあります。
また、まれにですが誤診や過剰投薬、インフォームドコンセントの不備が指摘されることもあり、こうした倫理面・説明責任の問題が医療レベル全体への不信感につながることもあります。
一方、ジャカルタやスラバヤの先進病院では、国際基準の患者権利方針やサービスマニュアルを導入し、説明責任や透明性のある診療を心がける医師も増えています。日本人としては、言葉や文化の違いを乗り越えるためにも、可能であれば信頼できる通訳を通してコミュニケーションすることが重要です。
医療水準の総合評価
インドネシアの医療レベルは都市部と地方で大きく差がありますが、ジャカルタ、スラバヤ、バリのような主要都市では、私立病院を中心に国際水準に近づきつつあるといえます。特に医療設備の面では、先進国に引けを取らない病院も存在します。
ただし、医師の質、専門医の数、言語対応、保険制度との連携といった側面では、まだ整備が不十分な部分も多く、外国人が安心して利用するには事前準備や適切な選択が求められます。
予防医療、医療安全、患者の権利意識といった「医療文化」全体の成熟にはもう少し時間が必要ですが、都市部の上級病院ではすでに一定の信頼性が確立されつつあります。したがって、現地での生活に備え、信頼できる医療機関と常時連絡を取れる体制を整えることが、駐在員や長期滞在者にとっては非常に重要な対策となります。
公立病院と私立病院の特徴と利用者層の違い
インドネシアには公立(政府系)病院と私立(民間)病院があり、それぞれ設備やサービス水準、利用者層が異なります。公立病院は保健省や地方政府が運営するRSUD(地方総合病院)などが代表で、比較的低料金で利用できる反面、待ち時間が長かったり設備が古い場合があります。一方、私立病院は最新の医療設備や快適な個室・VIP室を備え、サービスも手厚いですが、費用は高めです。
サービス品質の差とVIP向け施設の導入
インドネシアの保健大臣も「公立病院と私立病院ではサービス品質に差がある」と述べています。自身のお子さんがデング熱で公立病院に入院した際、最上級の個室を利用しても不便を感じ、結局ジャカルタの高級私立病院(ポンドック・インダ病院)に移ったエピソードを紹介しています。夜間に訪れると、公立病院は閑散としていたのに対し、私立のポンドック・インダ病院は多くの患者で賑わっていたとのことです。これは私立病院がVIP向けの設備やサービスを充実させ、中間層以上の人々に選ばれている現状を物語っています。
政府もこの差を埋めるため、公立病院にVIP病棟(エグゼクティブウイング)を設け裕福層も受け入れることで収益を上げ、国民保険患者への補助に充てる改革を検討しています。
病院のクラス分類(A~Dタイプ)
病院の種類(クラス分類)も知っておきましょう。インドネシアでは病院は設備・専門科の充実度により、A・B・C・Dのタイプに分類されます。タイプAは高度な専門医療と教育・研究機能を持つ最上位の病院で、州都にある大病院(例えばスラバヤのDr.スートモ病院など)が該当します。タイプB・Cは地域の中核病院や大規模民間病院が多く、タイプDは小規模病院です。タイプによって受けられる診療科目数や設備が異なるため、重篤な場合はタイプの高い病院への転院が指示されることもあります。
JKN(BPJS)制度と外国人の加入義務
インドネシアには日本の国民皆保険に相当する制度として、JKN(国民保健保険制度)が整備されています。運営主体であるBPJS Kesehatan(社会保障機構)が全国民に医療保険サービスを提供しており、実は6か月以上インドネシアで働く外国人もBPJS加入が義務付けられています。企業の現地法人で就労する日本人駐在員の場合、BPJSへの加入手続きが行われ、保険証(参加者カード)を受け取ることになるでしょう。
BPJS利用時の流れと制限
BPJSに加入していれば、公立病院や一部提携私立病院での診療費用は大幅に軽減されます。ただし保険でカバーされる範囲は限定的で、利用の際は地域の指定クリニック(プライマリケア施設)を経由するなど、日本と異なるルールや煩雑な手続きがあります。
また、重症患者や専門診療は紹介状を得て上位病院へ行く必要があり、その過程で長い順番待ちになるケースも報告されています。BPJSでの治療は無料または安価ですが、そうした待ち時間や手続き上の負担があるため、中上流階級や外国人は民間医療保険や会社の医療費補助を利用して直接私立病院にかかることが多いのが実情です。
民間医療保険の活用とキャッシュレス対応
民間の医療保険(海外旅行保険や国際医療保険など)に加入していれば、私立病院でキャッシュレス治療を受けられる場合があります。例えばジャカルタのポンドック・インダ病院の日本人向けクリニック(J-Clinic)では、日本の複数の保険会社と提携し、保険での支払いに対応しています。会社の提供する医療保険によっては、入院や手術費用が全額カバーされることもあります。
必ず渡航前に自身の保険がインドネシアで適用可能か、どの病院でキャッシュレス対応しているかを確認してください。また、保険未加入で私立病院を利用する場合は預り金(デポジット)が求められるケースもあります。救急搬送や手術の際に保証金を請求されることがありますので、クレジットカードや現金の用意も念頭に置きましょう。
医療費の水準と近隣国との比較
医療費の水準について、日本との単純比較は難しいものの、一般にインドネシアの私立病院の自由診療費は日本の保険診療の自己負担額より高額になる傾向があります。例えば専門医の初診料は20万~50万ルピア(約1,800~4,500円)程度が多く、日本の3割負担初診料(数千円程度)と比べると、全額自己負担の場合は割高です。
また高度な検査や手術は数百万~数千万円ルピア(数万円~数十万円)に及び、保険無しでは負担が大きくなります。一方で、医療費そのものは近隣国マレーシアより割高との指摘もあります。インドネシアでの治療費はマレーシアの約5倍に達するケースもあり、このため富裕層の一部はシンガポールやマレーシアへの医療ツーリズムを選ぶという傾向も見られます。
この背景には医療機関への税制や医薬品価格、サービス面の差があるとされ、当局も費用低減や医師の患者対応改善に取り組んでいます。
公的保険と民間保険の併用がおすすめ
総じて、長期滞在者は公的保険(BPJS)と民間保険の併用が安心です。日系企業に勤務の場合、会社が民間医療保険に加入させてくれるケースも多いでしょう。万一に備え、保険証(BPJSカード)と保険会社の連絡先情報を常に携帯し、適切な病院を選択できるよう準備しておくことが肝心です。
ジャカルタにおける私立病院の概要
首都ジャカルタには数多くの病院がありますが、外国人、とくに日本人に利用されることの多い国際水準の私立病院がいくつか存在します。ジャカルタ都市圏(ジャボデタベック)には大小合わせて100を超える病院がありますが、ここでは特に評判の高い主な病院とその特徴を紹介します。
ポンドック・インダ病院グループ(RS Pondok Indah)
日本人駐在員にとって馴染み深い病院の一つがRSポンドック・インダです。南ジャカルタの高級住宅街ポンドック・インダに本院があり、西ジャカルタのプリ・インダ地区、郊外のタンゲランにも系列病院があります。医療サービスの質が非常に高く、国際的な医療評価機関からの認証も受けています。
特筆すべきは、ポンドック・インダ本院に「J-Clinic」と呼ばれる日本人患者専用のクリニックが併設されている点です。日本語に堪能な医療チームが在籍しており、日本語で問診・診療を受けることが可能です。内科、小児科、皮膚科、歯科などのサービスがあり、必要に応じて高度医療設備や専門医とも連携しています。
料金は日本の病院に比べると高めですが、日本の自由診療や欧米の医療費と比較すると抑えられています。健康診断パッケージや専門外来も用意されており、日本の医療保険と提携したキャッシュレス診療が可能な場合もあります。日本語スタッフが常駐している時間帯もあり、言語面でも安心できる病院です。
ラムゼイ・シメダービーグループの病院(RS Premier)
ジャカルタにはRSプレミア系列の病院もあり、代表的なのがRS Premier Jatinegara(東ジャカルタ)とRS Premier Bintaro(タンゲラン)です。特にRS Premier Jatinegaraは、国際病院グループの運営により高い評価を受けており、複数年にわたり「インドネシア年間最優秀病院」を受賞しています。
救急医療にも力を入れており、24時間体制の救急センターや救急車、緊急手術室を備えています。脳卒中ユニットや心臓カテーテル検査室もあり、迅速な対応が可能です。日本人向けの直接的なサービスはないものの、日本人会の生活ガイドなどでも紹介されており、国際保険の利用も多い病院です。
費用はポンドック・インダ病院と同程度かやや安い傾向にあります。外科手術や入院治療も、日本で自由診療を受けるよりもコストが抑えられることがあります。
その他のジャカルタの主要私立病院
公立の代表:Dr.スートモ病院(RSUD Dr. Soetomo)
スラバヤの公立病院の代表格であり、教育病院としても機能。22以上の専門外来と500床以上の病床を持ち、24時間体制の救急も対応可能です。費用は安価ですが、外国人の利用は限定的です。
私立の主要病院
その他のスラバヤの病院
デンパサール・南部エリアの私立病院
バリ国際病院プロジェクト(Bali International Hospital)
政府主導の医療特区として建設が進んでおり、2025年の開業を予定。心臓病やがん治療などの高度医療を提供する予定で、米国メイヨークリニックと連携する点が注目されています。医療機器・人材の国際水準導入が進められており、今後の医療の中心拠点として期待されています。
バリ島で医療を受ける際の注意点
主要都市部以外では医療施設が限られるため、離島やウブドなどに滞在する際は医療アシスタンスサービスの加入が推奨されます。デング熱や食中毒などの感染症リスクもあるため、発熱時には早めに受診することが安全です。旅行保険や病院の連絡先も常備しておくことが望ましいです。
救急医療体制と緊急時の対応
インドネシアでは119が全国共通の緊急医療通報番号であり、主要都市では24時間体制の救急指令センターが整備されています。アプリ「SATUSEHAT」を使った通報・位置共有も可能です。
ただし、公的救急車は数が限られており、実際には民間病院の救急車を利用することも多くあります。また、渋滞の影響でタクシーや自家用車による搬送が優先される場合もあります。必要に応じて病院の救急受付に直接連絡し、自力搬送か救急車手配かを判断しましょう。
国際SOSなどのサービスでは日本語対応のホットラインが用意されており、医師の派遣や医療搬送のアレンジも可能です。長期滞在者や企業駐在員は、加入状況を確認しておくと安心です。
薬局の種類と営業体制
インドネシアでの医薬品の入手についても押さえておきましょう。結論から言うと、一般的な医薬品は比較的容易に入手可能です。都市部には大小様々な薬局(Apotek)があり、24時間営業のチェーン薬局も充実しています。例えば有名な「Apotek K-24」は全国展開する24時間営業のフランチャイズ薬局で、その名の通り「K-24=Komplit 24 Jam(品揃えが充実&24時間営業)」を掲げています。実際、K-24薬局は深夜でも薬剤師が常駐し、急な病気の際に重宝します。
処方薬と購入のルール
処方薬に関しては、本来は医師の処方箋が必要ですが、インドネシアでは一部の薬は薬局で相談すると購入できてしまう場合があります。ただし抗生物質や強い薬剤は基本的に処方箋が求められますので、病院やクリニックで医師に処方してもらうのが原則です。医師にかかれば院内薬局で薬を受け取ることがほとんどですが、処方箋をもらって自分で薬局に行くこともできます。語学の不安がある場合は、病院の薬局でそのまま受け取る方が安全です。
日本の薬との互換性と市販薬
日本で普段使っている薬がある場合、それがインドネシアで手に入るかも気になるところです。有効成分が同じであれば、現地でも入手できる可能性が高いです。インドネシアの薬品名は日本と異なることが多いですが、病院で日本の薬の成分名(英語名)を伝えれば、相当する現地薬を処方してもらえるでしょう。例えばロキソニン(成分名ロキソプロフェン)は「ノイロン」(Neuromedなどのブランド)として市販されていますし、胃薬のガスター(ファモチジン)もFamocid等があります。
市販薬(OTC)も、風邪薬や解熱剤、整腸剤、ビタミン剤などは薬局やドラッグストア(Guardian等)で購入可能です。
偽薬リスクと信頼できる薬局の選び方
注意すべきは、偽薬や粗悪品を避けることです。信頼できる薬局チェーンで購入すれば基本的に問題ありませんが、露店や通信販売で安価に売られている医薬品には手を出さない方が賢明です。インドネシア当局も偽造医薬品の摘発に力を入れていますが、まれに市場に出回るケースがあります。特に高価な抗がん剤やホルモン剤などは注意が必要ですが、一般の駐在員生活で使う薬ではまず心配ないでしょう。万が一疑わしい薬を手に入れてしまった場合は使用せず、医師や薬剤師に確認してください。
医療費の支払い方
日本では公的医療保険で自己負担3割が一般的ですが、インドネシアでは保険種類により全額自己負担もありえます。企業医療保険やBPJSでどこまでカバーされるかを事前に確認しましょう。高額治療時にはクレジットカード決済やデポジットが必要になる点も、日本にはない習慣です。
待ち時間と予約システム
私立病院の専門医受診は予約制の場合が多く、予約すれば待ち時間は比較的短く済みます。一方、公立病院や人気の専門医は長時間待ち覚悟です。日本のような整理券システムはない場合もあり、名前を呼ばれるまで待つスタイルです。語学に自信がなければ、名前の呼び出しに注意を払う必要があります。
言語の壁と通訳体制
日本では医師・看護師と日本語で直接やりとりできますが、インドネシアでは多くの場合英語またはインドネシア語になります。日本語対応があるのは限られた病院のみなので、医療通訳をどうするか考えておきましょう。幸いジャカルタには医療通訳サービスもあり、通訳手配・受診同行、薬の受け取りまでサポートしてくれます。費用はかかりますが、必要に応じて利用を検討するとよいでしょう。
医師とのコミュニケーションの姿勢
日本人患者は診察時にあまり質問や意思表示をしない傾向がありますが、インドネシアの医師はこちらが質問すれば丁寧に答えてくれます。症状や困り事は遠慮せず伝えることが大切です。逆に黙っていると「問題ない」と見なされて早々に診察終了、ということもありえます。特に入院中は定期回診時に主治医に積極的に話しかけ、治療方針を確認しましょう。語学面が不安なら家族や通訳の同席をお願いすることも可能です。
予防接種と健康管理
インドネシア赴任前に推奨される予防接種(A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病など)は日本で済ませてくるのが望ましいですが、現地でも接種は可能です。ジャカルタやバリの病院では渡航者向けワクチンを扱う所もあります。また定期的な健康診断も大切です。日本人向けに人間ドックを実施している病院もありますので、年1回は受診しましょう。インドネシアの暑さや水・食事の違いで体調を崩すこともありますが、適応が進めば快適に暮らせます。日頃から十分な水分補給と栄養、休養を心がけてください。
インドネシアの医療体制は、都市部と地方で大きな格差があるものの、ジャカルタやスラバヤ、バリ島といった主要都市の私立病院では、国際水準に近い医療サービスを受けることが可能です。特に日本人駐在員にとっては、日本語対応やキャッシュレス診療が可能な病院の選定が鍵となります。また、インドネシア独自の保険制度「BPJS」や、民間医療保険の活用、医療費の実態、医薬品の入手方法、感染症への対応策も含め、総合的に準備をしておくことが安心・安全な滞在のカギとなります。
緊急時の救急医療体制についても、119番や各病院の救急対応、国際SOSなどの活用方法を把握しておくことが重要です。この記事を通じて、インドネシアでの医療リスクを正しく理解し、信頼できる病院や制度を利用するための知識を得ていただければ幸いです。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
本記事で使用した単語の解説
BPJS:インドネシアの国民保健保険制度。正式名称は「Badan Penyelenggara Jaminan Sosial Kesehatan」。6か月以上滞在する外国人も原則加入義務がある。
RSUD:公立病院の一種で、「Rumah Sakit Umum Daerah(地方総合病院)」の略。地方自治体が運営する。
J-Clinic:ジャカルタのポンドック・インダ病院内にある日本人専用の外来クリニック。日本語対応可。
Apotek:薬局。インドネシア語で、処方薬や市販薬を扱う。
IGD(Instalasi Gawat Darurat):救急外来。24時間体制で急患を受け入れる病院の部門。
VIP病棟:Private room(個室)以上の快適な入院施設。冷暖房、個別バスルーム、家族用ラウンジなどが整っている場合が多い。
KARS認証:インドネシア国内での病院評価制度。最高ランクは「Paripurna(完全評価)」。
よくある質問(FAQ)
Q1. インドネシアで日本語が通じる病院はありますか?
はい。ジャカルタのポンドック・インダ病院内のJ-Clinicは日本語対応が可能です。また、一部の病院では日本語通訳サービスを利用することもできます。
Q2. 日本の健康保険はインドネシアで使えますか?
原則として使えません。駐在員は民間の海外医療保険に加入するか、現地のBPJSに登録して医療費をカバーする形となります。
Q3. デング熱などの感染症はどのように対策すればいいですか?
蚊に刺されないように長袖を着用し、虫除けスプレーを使うなどの予防が有効です。発熱や体調不良を感じた場合は早めに血液検査ができる病院で診察を受けましょう。
Q4. 薬は日本から持ち込むべきですか?
持病のある方や特定の薬を服用している方は、あらかじめ日本から持参することをおすすめします。現地でも多くの医薬品は入手可能ですが、製品名が異なることがあります。
Q5. 救急車はすぐに来てくれますか?
119での通報は可能ですが、公的救急車の台数は限られており、渋滞の影響で時間がかかることもあります。私立病院に直接連絡して救急車を依頼するか、自家用車やタクシーで搬送することも一般的です。