
4月 25, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習
2月 16, 2025 • インドネシア • by Reina Ohno
目次
インドネシアの学生にとって、海外での留学は長年にわたり大きな憧れとなっています。(弊社の優秀な若手社員が退職を希望する理由も海外での留学というケースが多いです。)特に、質の高い教育や専門的な知識を求めて、多くの学生が海外の大学や教育機関での学習を希望しています。しかし、経済的な制約や情報の不足など、さまざまな障壁が存在し、全ての学生がその夢を実現できるわけではありません。このような背景の中、インドネシア政府は優秀な学生を支援し、国の発展に寄与する人材を育成するために、LPDP(Lembaga Pengelola Dana Pendidikan)という奨学金プログラムを設立しました。
LPDP(Lembaga Pengelola Dana Pendidikan)とは、インドネシア政府が運営する教育基金管理機関であり、インドネシア国内外で高等教育を希望する優秀な学生に対して奨学金を提供する制度です。LPDPは、インドネシアの人材育成を目的とし、将来的に国の発展に貢献するリーダーや専門家を輩出することを目指しています。
LPDPの主な目的は、インドネシアの持続可能な開発と国際競争力の向上に貢献する人材を育成することです。特に、科学技術、経済、教育、健康、社会科学、芸術などの分野で優秀な人材を育て、国家の成長を支えることを目指しています。
また、LPDPはインドネシア政府が掲げる「SDM Unggul, Indonesia Maju(優秀な人材、進歩するインドネシア)」というビジョンを支援する役割も担っています。政府の戦略的優先分野に合わせた奨学金制度を提供し、インドネシアの発展に貢献できる人材の育成に重点を置いています。
LPDPにはいくつかの奨学金プログラムがあり、それぞれ対象や条件が異なります。代表的なプログラムを以下に紹介します。
(1) 一般奨学金(Beasiswa Reguler)
一般のインドネシア国民が対象となる奨学金で、国内外の大学院(修士・博士)課程で学ぶための資金を提供します。特に学術的な成果や社会貢献活動の実績が評価されます。
(2) 指定分野奨学金(Beasiswa Targeted)
政府が優先する分野(例:工学、医学、デジタル経済、環境科学、教育など)に特化した奨学金プログラムです。この奨学金は、特定の分野の専門家を育成し、国家戦略に貢献することを目的としています。
(3) 大統領特別奨学金(Beasiswa Presiden)
優秀なインドネシア人学生を対象に、世界のトップランク大学(ハーバード大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学、MITなど)への留学を支援する奨学金です。このプログラムは、特に将来の国家リーダーとして活躍することが期待される学生を対象としています。
(4) 国公立大学講師向け奨学金(Beasiswa Dosen PTN)
インドネシア国内の国公立大学で教鞭をとる講師(dosen)が、博士号を取得するための奨学金です。教育の質を向上させることを目的とし、特にアカデミックなキャリアを積みたい人向けのプログラムです。
(5) 特殊地域奨学金(Beasiswa Afirmasi)
地方や発展が遅れている地域(パプア、ナトゥナ諸島など)の学生を支援するための奨学金です。経済的に不利な状況にある学生が、質の高い教育を受けられるようにすることを目的としています。
(6) 産業界向け奨学金(Beasiswa Industri)
企業や業界団体と連携し、特定の産業分野に特化した人材を育成するための奨学金です。受給者は、卒業後に特定の企業や業界での就職を前提とする場合が多いです。
LPDP奨学金に応募するためには、以下の基本的な要件を満たす必要があります:
申請プロセスは以下の手順で進行します:
2021年10月の時点で、LPDPは合計27,997人の奨学金受給者を支援しており、そのうち13,000人以上が既に卒業しています。
LPDPの奨学金受給者には、学業終了後、インドネシア国内で一定期間(通常、学習期間の2倍プラス1年)勤務する義務があります。しかし、2023年の報告によれば、35,536人の受給者のうち413人が帰国義務を履行しておらず、これらの受給者には奨学金の返還や将来のLPDPプログラムへの参加禁止などの制裁が科されています。
インドネシアからの海外留学者数は年々増加傾向にあります。ユネスコ統計研究所(UIS)のデータによれば、2024年2月時点で海外留学をしているインドネシアの学生数は59,224人と報告されています。
この数字を他国と比較すると、インドネシアの留学生数はASEAN諸国の中でベトナムに次いで2番目に多いことがわかります。具体的には、ベトナムからの留学生数はインドネシアを上回っています。
ちなみに独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の「日本人学生留学状況調査」によると、2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)に海外留学を開始した日本人学生数は58,162人なのでインドネシアとほぼ同数となります。
世界全体で見ると、2022年の海外留学生数ランキングでは、1位が中国(1,052,283人)、2位がインド(621,623人)となっており、インドネシアはこれらの国々と比較すると留学生数は少ないものの、着実に増加しています。
LPDPの奨学金を受給するには、いくつかの義務があります。
LPDPは、インドネシアの高等教育と人的資本の向上に大きく貢献しています。LPDP奨学金を受けた卒業生は、政府、学術機関、企業、NGOなど、さまざまな分野で活躍しており、インドネシアの社会経済発展に貢献しています。
また、LPDPはインドネシア国内の大学の競争力向上にも寄与しており、国際的な大学ランキングの向上にも貢献しています。
インドネシア政府が提供するLPDP奨学金は、国内外で高等教育を受けることを希望する優秀な学生を支援する制度です。本記事では、LPDPの目的や種類、応募条件、申請プロセス、受給者数、他国との比較、受給者の義務などを詳しく解説しました。
LPDPの主な特徴は以下の通りです:
LPDPは、インドネシアの人材育成と国の発展に大きく寄与する制度であり、将来のリーダーや専門家を生み出す重要な役割を果たしています。
Q1. LPDP奨学金はどのような費用をカバーしますか?
A1. 学費、生活費、研究費、往復航空券、ビザ申請費、健康保険など、留学に必要な費用を包括的にカバーします。
Q2. LPDP奨学金の応募回数に制限はありますか?
A2. 応募回数に明確な制限はありませんが、過去に落選した場合、次回の募集で再応募することが可能です。
Q3. LPDPの奨学金は返済が必要ですか?
A3. いいえ、返済は不要です。ただし、卒業後にインドネシア国内で一定期間勤務する義務があります。
Q4. LPDP奨学金を受けるための最低GPAはいくつですか?
A4. 通常、GPAは3.0以上が推奨されますが、プログラムによって異なる場合があります。
Q5. LPDP奨学金を受けた後、卒業後すぐに海外で働くことは可能ですか?
A5. いいえ、LPDPの受給者は卒業後、最低2年間はインドネシア国内で勤務しなければなりません。
Q6. LPDP奨学金の応募には英語の試験スコアが必要ですか?
A6. はい、海外留学を希望する場合はTOEFLやIELTSなどの英語能力試験のスコアが必要です。
Q7. LPDP奨学金の申請期間はいつですか?
A7. 毎年複数回の募集があり、LPDPの公式ウェブサイトで最新のスケジュールが公開されます。
Q8. LPDP奨学金はどの国の大学にも適用されますか?
A8. 一部の国や大学は対象外になる場合があります。LPDPの公式リストを確認することをおすすめします。
Q9. どのような分野の学生がLPDP奨学金を受けることができますか?
A9. 科学技術、経済、教育、医療、社会科学、芸術など幅広い分野で奨学金が提供されています。
Q10. LPDP奨学金の受給者はどのようなキャリアパスをたどることが多いですか?
A10. 受給者の多くは政府機関、大学、企業、NGOなどで活躍し、国の発展に貢献しています。
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