
5月 5, 2025 • インドネシア
4月 5, 2025 • インドネシア • by Reina Ohno
目次
これからインドネシア、特にジャカルタやチカランで駐在生活を始める日本人の方にとって、現地での暮らしや仕事の進め方には数多くの疑問や不安があるのではないでしょうか。ビザの取得方法や住居探し、交通機関の使い方、物価の実情、インドネシア人との関わり方など、知っておきたい情報は多岐にわたります。
本記事では、過去数年間の最新情報をもとに、インドネシアでの駐在生活を円滑にスタートさせるために必要な情報を網羅的に解説しています。現地で直面しやすい課題や文化の違いにも丁寧に触れ、日本と異なる環境でも自信を持って生活・仕事に臨めるよう構成しました。
特に駐在員が多く集まるジャカルタとチカランを中心に、生活の基盤から働き方、医療、教育、休日の過ごし方、そしてトラブル時の対処法まで、実践的な内容をお届けします。これから赴任する方、あるいはすでに駐在中で日々の生活をより良くしたいと考えている方にとって、実用的なガイドとなることを目指しています。
インドネシアで働いたり長期滞在するには、適切なビザと滞在許可を取得する必要があります。就労目的の駐在員の場合、多くは 「312就労ビザ」 と呼ばれる限定滞在ビザを取得し、入国後に現地で KITAS(一時滞在許可証)を発行してもらいます。312就労ビザには短期(1〜6ヶ月)と長期(7〜12ヶ月)があり、長期の場合は1年ごとに延長が可能で最大5年間まで滞在できます。ビザ申請の手続きは段階的で、以下のような流れを経ます。
家族帯同の場合、配偶者や子どもは「317家族ビザ」を取得し、一緒に滞在できます(ただし317ビザでは働くことはできません。配偶者が現地就労する場合は別途312ビザが必要)。ビザや許可の更新時期が来たら、有効期限の1〜2ヶ月前には更新手続きを開始するのが安全です。更新も基本的には会社の人事担当やビザ代行業者が手配してくれますが、必要書類(パスポート、KITAS、写真、健康診断結果など)を揃えるよう指示があります。インドネシアのビザ制度は頻繁に変更される傾向があるため、最新情報は人事担当者や現地のコンサルタントから随時入手しましょう。
なお、新型コロナウイルスの影響による入国制限やビザ発給停止措置は2022年以降段階的に緩和され、2023年にはほぼ通常の運用に戻っています。日本人は観光目的であれば到着ビザ(VOA)や査証免除枠で短期滞在が可能ですが、商用訪問や駐在開始前の下見などの場合はビザの種類に注意が必要です。観光ビザや到着ビザでは就労は厳禁ですので、目的に合ったビザで入国するようにしてください。
要点まとめ:インドネシア駐在には就労ビザ312とKITAS取得が必須であり、手続きには1〜2ヶ月程度かかります。家族帯同ビザやビザ延長手続きも忘れずに計画し、常に最新の入国規則を確認することが大切です。
初めてのジャカルタ生活では、どのエリアに住むかが快適さを左右します。ジャカルタ首都圏は広大で、地域ごとに特徴が異なります。また、郊外の工業団地があるチカランも駐在員が多いエリアです。以下、主要エリアの特徴と住居探しのポイントを解説します。
チカラン(Cikarang)や隣接するカラワン(Karawang)は、ジャカルタ東部郊外に位置する工業団地エリアで、多くの日系製造業の工場が集積しています。製造業駐在員はこちらに住むケースも多いです。チカラン周辺では近年駐在員向けサービスアパートメントが増えており、ジャカルタ市内より広い間取りの物件が見つかりやすいのが利点です。例えばリッポーチカラン地区やデルタマス地区には、日本人向けのサービスアパートやホテル型レジデンスが複数あり、24時間セキュリティや日本語対応スタッフがいる物件もあります。また、日本食レストランや日本食材店(ミニマート)が徐々に充実してきており、地方都市ながら生活面の不便さは解消されつつあります。ただし娯楽や医療に関しては選択肢が少なく、週末に家族でジャカルタ市内へ出かける駐在員も多いようです。
チカランでの住居探しでは、工場への通勤時間を最優先に考慮しましょう。渋滞がひどい高速道路を避けるため、勤務先から近いエリアに住むのが無難です。例えばデルタマス工業団地勤務なら近隣の住宅地に、チカラン中心部勤務ならリッポーチカラン内のアパート、といった具合です。チカランではジャカルタに比べ物件数が限られるため、早めに不動産エージェントを通じて希望に合う物件を探すのがおすすめです。
ジャカルタの交通は世界でも指折りの混雑都市として知られています。近年はインフラ整備が進むものの、渋滞(マチェットmacet)は依然として日常茶飯事です。ここでは渋滞事情と移動手段について紹介します。
渋滞の深刻さ:コロナ禍で一時緩和した渋滞は、経済活動の再開に伴い再び悪化傾向にあります。国際的な交通指数によれば、2023年のジャカルタ市民のラッシュアワー平均運転時間は前年より増加し、10kmの移動に平均23分以上かかるとのデータもあります。これは都市部ではしばしば1時間に満たない距離でも倍以上の時間がかかることを意味し、特に雨季の大雨時や金曜夕刻などは極端な渋滞になります。以前実施されていた「3-in-1」と呼ばれる高乗車人数車両優先政策に代わり、現在は主要幹線道路でナンバープレートの奇数偶数規制(Ganjil-Genap)が導入されています。月〜金曜の朝夕ラッシュ時間帯(おおむね7〜10時と16〜21時)は、奇数日には末尾奇数の車のみ通行可(偶数日は偶数のみ)とする制度です。駐在員で社用車を利用する場合、会社が規制回避のため車両を2台用意してナンバーを使い分けるケースもあります。このように渋滞は慢性的なので、「移動時間も仕事のうち」と割り切り、車内でメール処理や電話連絡を行うなど有効活用を心がけましょう。
主な交通手段
ジャカルタでの移動は基本「車」が中心ですが、状況に応じてタクシーや配車アプリを賢く使うのが鍵です。渋滞前提で早めの行動を心がけ、安全第一で交通手段を選択しましょう。
インドネシアの物価水準は日本に比べると概ね安いですが、都市部と地方、ローカル向けと外国人向けで大きな差があります。ジャカルタの生活費を見積もる際は、自身の生活スタイル(どれだけ日本と同じクオリティを求めるか)によって大きく変動します。以下、主要な費目ごとに概要を説明します。
駐在員の場合、住宅費は会社負担かどうかで大きく変わります。ジャカルタ市内の高級アパートは家具付き・サービス付きで月額数百万〜数千万円ルピア(日本円で数万円〜数十万円)と幅があります。例えば単身者向け1ベッドルームなら月5〜10万円程度から、家族向け3ベッドルーム大型物件では月20〜30万円相当も珍しくありません。南ジャカルタの人気エリアや新築高級物件ほど高額になりがちです。一方、チカランなど郊外では同じ家賃でより広い物件に住めるケースが多いです(例:チカランのサービスアパート2LDKで月10万円程度など)。賃貸は年払いが多いので、一時的に大きな支出となりますが、会社がまとめて払ってくれる場合は自己負担は発生しません。
食費はローカル食中心か、日本食や輸入品をどれだけ利用するかで差がつきます。一般的にインドネシアのローカル食堂(ワルン)や社員食堂でのランチは1食20,000〜40,000ルピア(約180〜360円)程度と非常に安いです。屋台のナシゴレン(炒飯)なら10,000ルピア台ということもあります。一方で、ショッピングモール内のレストランやカフェで食事をすれば1人100,000〜200,000ルピア(900〜1,800円)ほどは普通にかかります。日本食レストランは寿司・ラーメン・居酒屋など多数ありますが、価格は日本と同等かやや高めです(ラーメン一杯120,000ルピア=約1,100円前後など)。自炊の場合、地元市場で野菜や肉を買えば安いものの、衛生面や言葉の問題もあり、駐在員はスーパー利用が中心になるでしょう。ジャカルタにはランチマーケットやフードホール、グランドLuckyなど高級スーパーがあり、輸入食材や日本米・味噌なども入手可能ですが、日本からの輸入品は高価です。例えば日本産の醤油1本が50,000ルピア(450円)以上、味噌も小パックで同程度することがあります。現地産の野菜や果物は安い反面、牛肉などは輸入品だと高価です。
飲料水について付言すると、インドネシアでは水道水が飲用に適しません。そのため飲料水(アクアなどのボトルウォーター)を購入する必要があります。19Lガロンボトルの水を配達サービスで頼む家庭も多く、1ガロンあたり20,000ルピア程度(180円ほど)です。こうした日用品費も月に数千円程度は見込んでおきましょう。
お子様連れ駐在の場合、教育費が生活費の中でも大きなウェイトを占める可能性があります。ジャカルタ日本人学校(JJS)やチカラン日本人学校(CJS)に通わせる場合、授業料自体は日本の私立校ほど高額ではありませんが、学校債・維持会費などの費用負担があります(多くの企業は教育補助を出しています)。一方、インターナショナルスクールへ入学させる場合は更に高額です。学校にもよりますが年間の授業料だけで数百万〜数十億ルピア(100万円以上)になるケースもあります。例えばジャカルタの有名インターナショナルスクール(JISなど)では初年度に入学金・施設費等を含め数万ドル規模となることもあります。これらも通常は会社負担か一部補助があるでしょうが、事前に人事担当に確認しておきたい項目です。
保育園・幼稚園については、日本人幼稚園(JJS附属幼稚部や民間経営の幼稚園)や各国系プリスクールがあります。費用は園によりますが月謝は数万円程度からで、送迎バス代などが別途かかります。習い事(日本人向けの塾やお稽古事も駐在コミュニティ内で開催されています)も受講料はピンキリですが、日本に比べ特別安いわけではありません。
現地の物価感を知る上で、インドネシア人の収入水準を知っておくことも有用です。2024年時点でインドネシア全国の平均月収は約300〜500万ルピア(約2.7万〜4.5万円)と言われます。ジャカルタなど都市部では700万ルピア(約6.3万円)以上になることもありますが、多くの一般層は月収数万円程度で生活しています。そのため、ローカル向け価格は総じて低く抑えられています。ただし都市部には富裕層も多く存在し、高級モールでの買い物や高級車の価格は日本と大差ないかむしろ高いくらいです。駐在員の給与・手当は現地平均を遥かに上回ることが多いですが、その分安全で快適な生活のためのコストがかかる点を念頭に置いてください。
要点:インドネシアの物価は「安く済ませようと思えば非常に安くでき、高品質を求めると日本以上に高くなる」両極端な面があります。会社からの手当範囲内で無理なく生活できるよう、現地の相場を把握し計画的に予算を立てましょう。
インドネシア人全般の性格や仕事観について、よく言われる特徴を押さえておくと、現地スタッフや取引先との関係構築に役立ちます。もちろん2億8千万人以上の多様な国民を一概には語れませんが、ジャワ島を中心とした共通する文化的傾向を以下に紹介します。
働き方の特徴まとめ:インドネシア人と働く上では、彼らの協調性やポジティブさを尊重しつつ、こちらからは適度な指示の明確さと確認を徹底することが大切です。個人主義的なアプローチよりチームワークや家族的な雰囲気を大事にし、「共に成功しよう」というスタンスで接することで、力を発揮してくれるでしょう。
インドネシアは多様な文化と宗教が混在する国です。その中でもイスラム教が国民の約87%を占める最大の宗教であり、日常生活やビジネスにも影響を与えています。現地で暮らす上で知っておきたい文化・宗教上のポイントを挙げます。
文化・宗教に関する心構え:郷に入っては郷に従え——インドネシアの文化や宗教的習慣を理解し尊重することが、ビジネスでも生活でも信頼を得る近道です。自分とは異なる習慣に戸惑うこともあるかもしれませんが、多様性を受け入れ、お互いの文化についてオープンに学び合う姿勢を持ちましょう。
異文化の職場では、日本流のやり方をそのまま押し付けるのではなく、現地のビジネスマナーに合わせたコミュニケーションが重要です。インドネシアで仕事を進める上で留意すべきマナーや、現地スタッフとの接し方のポイントをまとめます。
挨拶は丁寧に笑顔で行うのが基本です。初対面では握手をしますが、日本ほど深いお辞儀は不要です(軽く会釈程度でOK)。肩書きや名前の呼び方も重要で、目上の男性には「パク(Pak=〜さん)」、女性には「ブ(Bu=〜さん)」を名字かファーストネームにつけて呼びます。例えばMr. Adiなら「Pak Adi」、Mrs. Sariなら「Bu Sari」という具合です。社内でも上司や年上社員には尊敬を込めてこのように呼び、対等の同僚や部下には名前だけでも構いません。インドネシア語で挨拶できると更に良いでしょう。「おはよう」はSelamat Pagi(スラマッパギ)、「こんにちは」はSelamat Siang(スラマッシアン)、「ありがとう」はTerima Kasih(トゥリマカシ)です。簡単なフレーズでも現地語を使うと喜ばれます。
名刺交換はビジネスシーンでは日本同様行われます。両手で渡し、受け取ったらその場ですぐしまわず氏名と肩書きを確認してからしまうのがマナーです。肩書き社会でもあるので、名刺のデザインはできればインドネシア語併記が望ましいでしょう。交換時に相手の名前の発音に自信がなければ、その場で正しい呼び方を確認しておくと良いです。
前述したように、インドネシアでは「ノーと言わない」文化があります。相手が「Yes」と答えても本当に了解しているかどうか判断に迷う場合があります。そのため、要点は書面で確認する習慣をつけましょう。会議後の議事録を共有し、「先ほどの内容で相違ないですね?」と優しく確認するなど、丁寧なすり合わせがトラブル防止になります。声を荒らげたり強い調子で詰問するのはNGです。指摘や注意をするときも、人前で叱責すると相手のメンツを潰してしまいます。注意はなるべく個別に短時間で、そして必要以上に感情的にならず冷静に伝えます。インドネシア人は基本的に恥をかくことやメンツを潰されることを非常に嫌います。皆の前で間違いを指摘されたり怒鳴られたりすると、その場では黙っていても心に深い不信感を抱いてしまうでしょう。逆に、人前での賞賛や感謝の言葉には素直に喜び、モチベーションを高めてくれます。会議でも良い提案や成果があれば積極的に褒め、「ありがとう、助かった」と伝えることを忘れないようにしましょう。
また、ビジネスメールなどでは敬称の使い方に注意が必要です。日本人同士のメールで使う「様(Mr./Ms.)」の代わりに、インドネシアでは男性なら「Bapak」、女性なら「Ibu」を宛名で使うのが礼儀です。例えばお客様のJohn Doeさんに送るなら「Yth. Bapak John Doe,」(Yth=敬愛する の意)で始めます。ビジネスメールは英語でやり取りする場合もありますが、その場合でも最初にDear Mr. ○○などフォーマルに始め、結びもSincerely等で丁寧に締めるようにします。カジュアル過ぎる表現はビジネス初期段階では避けましょう。
現地社員との関係作りでは、まず相手を知り尊重することが肝心です。日本では仕事上あまり私的な話をしないかもしれませんが、インドネシアでは家族の話題や週末の過ごし方などプライベートな会話も交えてコミュニケーションを図ると良いです。たとえば「ご家族は元気ですか?」「子供さんは何歳ですか?」などと尋ねると、嬉しそうに写真を見せてくれたりします。誕生日や結婚、お子さんの誕生などのお祝い事には皆でお菓子を持ち寄ったり食事会をする習慣もあります。日本人駐在員もそうしたイベントに参加し、お祝いの言葉をかけると距離が縮まります。
上下関係の捉え方にも注意しましょう。インドネシアでは上司に対して基本的に反論したり異議を唱えたりすることは少ないです。それゆえ、部下からはイエスとしか言われず、問題点が表面化しにくいことがあります。上司の側から「何か意見はない?」「困っていることはない?」とフランクに尋ねる場を設けないと、本当の状況が把握できないこともあります。1対1の面談や日々の声かけなどで本音を引き出す工夫が必要です。こちらが親身になって話を聞けば、徐々に信頼して相談してくれるようになります。
会議や指示の進め方は、曖昧さを残さない一方で押し付けがましくならないバランスが重要です。例えば締切を決めるとき、「このプロジェクト、いつまでにできると思う?」とまず相手の見積もりを聞き出し、それに対して「では○○日までにお願いできますね」と合意形成する形をとると相手も受け入れやすくなります。一方的に「来週月曜までにやっておけ」では、表向き「はい」と言っても実は無理をしていたり、対策なしにイエスと言ってしまったりする恐れがあります。合意形成型のコミュニケーションを心がけることで、相手の責任感も増し、協力的に動いてもらいやすくなります。
総括:インドネシアのビジネス文化では、穏やかな人間関係とフェイス・(面子)を大切にしたコミュニケーションが核となります。日本人の几帳面さや誠実さは信頼されやすい長所ですが、それを発揮するためにも現地流のマナーを理解し、相手の立場に立った言動を心がけましょう。良好な関係が築ければ、現地スタッフは家族のようにあなたを支えてくれるはずです。
海外生活では現地の銀行口座があると何かと便利です。インドネシアでも外国人駐在員は現地銀行口座を開設できます。また日本との間での送金方法についても知っておきましょう。
開設要件:基本的にインドネシアに長期滞在する外国人(就労、留学など)の場合、口座開設が認められます。ただし観光ビザなど短期滞在では開設はできません。開設には以下の書類が必要です。
主要銀行(例えばBCA、Mandiri、BNI、CIMB Niagaなど)では、おおむね上記書類で普通預金口座(タブンガン)を開設できます。支店の窓口に行き、開設申込用紙に記入して手続きを行います。用紙はインドネシア語ですので、社内の総務担当者や通訳が同行してくれると安心です。サイン(署名)はパスポートと同じものを書くよう求められます。初回デポジット(最低預入額)は銀行によりますが、だいたい100万ルピア前後(約9千円)をその場で入金する必要があります。
ATMカードとネットバンキング:口座開設時にATMカード(デビットカード)の発行手続きも行います。即日その場でカードを受け取れる銀行も多いです(もしくは後日受け取り)。ATMカードはキャッシュカード兼デビットカードとして使え、買い物の支払い時にVisa/Masterとして機能するものもあります。暗証番号(6桁)を設定して受け取りましょう。またオンラインバンキング利用もぜひ申し込みます。銀行によってはスマホアプリで残高確認・振込ができ、日本語は未対応ですが英語表示が可能なところもあります。ネットバンキング利用には追加の初期設定やデバイス登録が必要な場合がありますので、手続き時に確認してください。
本国送金:インドネシアから日本へ資金を送る場合、いくつか方法があります。一般的なのは銀行の海外送金です。開設した現地銀行口座から、日本の自分名義口座へ国際送金(電信送金)を行います。銀行窓口での手続きや、一部銀行ではオンラインからも手続き可能です。送金にはSWIFTコードや相手銀行支店名、受取人住所など詳細な情報が必要です。送金手数料は銀行によって違いますが、おおむね1回当たり数千円相当かかります。また日本側銀行でも着金手数料がかかる場合があります。為替レートも銀行の為替手数料込みレートが適用されるため、ある程度コストがかさむ点に留意しましょう。
新興の送金サービス:最近ではWISE(旧TransferWise)やWestern Unionといった国際送金サービスも利用できます。WISEは比較的低手数料・良レートで日本円⇔インドネシアルピアの両替送金が可能で、手続きもオンラインで完結します。こうしたサービスを使うには、日本側とインドネシア側双方で銀行口座が必要となりますが、駐在員には便利です。会社の給与を一部日本の口座に送金する制度がある場合は、会社が提携銀行経由で行ってくれることもあります。
日本からの仕送り・送金:日本の家族からインドネシアにお金を送ってもらう場合も、やはり国際送金か送金サービスの利用になります。国際郵便為替やトラベラーズチェックは今ではほとんど使われません。日本のメガバンクからインドネシア銀行口座宛に送金することもできます。送金目的によっては税務上の確認が入ることもあるため、一度に多額を動かすより分割したり、送金理由(家族の生活費等)を明確にしておくと良いでしょう。
ATM海外引き出し:短期的な現金ニーズであれば、日本の銀行口座のキャッシュカードでインドネシアのATMから現地通貨を引き出すことも可能です。CirrusやPLUSといった国際ネットワークに対応したATMが多数あります。ただし毎回引き出し手数料(数百円〜千円程度)と為替手数料がかかるので、常用には向きません。緊急用と割り切ったほうがよいでしょう。
注意点:インドネシアでは金融犯罪対策として、大口の現金移動には制限や報告義務があります。例えばインドネシアへ現金持ち込み・持ち出しはIDR 100,000,000相当を超える場合申告が必要です。また銀行送金でも1億ルピア以上の送金には送金目的の確認を求められることがあります。常識的な範囲での送金なら問題ありませんが、規制の存在は知っておきましょう。また、銀行窓口やATMで並んでいるときはスリや詐欺にも注意です(親切を装って声をかけてきてカードをすり替えるなどの事件も報告されています)。金融情報やカード情報の取り扱いは慎重にし、信頼できる場所以外ではカード番号を教えたりしないようにしましょう。
海外での病気や怪我は不安に感じるものですが、ジャカルタやチカランには日本人駐在員向けの医療サービスが整いつつあります。医療施設の状況と、いざという時の対処法について説明します。
ジャカルタ首都圏には総合病院からクリニックまで多数の医療機関があります。その中でも外国人、とりわけ日本人に利用しやすい施設として以下のようなものがあります。
インドネシアで長期滞在する場合、事前の予防接種も検討しましょう。日本で通常受けるもの(麻疹・風疹・破傷風など)に加え、A型肝炎・B型肝炎、腸チフスなどのワクチン接種が推奨されます。またデング熱やマラリアなど蚊が媒介する病気がありますが、これらはワクチンが無いため防蚊対策が重要です。蚊取り剤や虫よけスプレーは常備し、特に雨季には室内でも蚊に注意しましょう。
食あたり・感染症:環境が変わると日本人は下痢などしやすいです。水は必ず飲料水を使い、生野菜や屋台料理は最初は避け、徐々に慣れるようにしましょう。万一、食あたりで軽い腹痛や熱の場合、市販薬で様子を見る手もあります。ジャカルタ市内には「Guardian」や「Century」など大型ドラッグストアがあり、正露丸のような整腸剤や解熱鎮痛剤(Panadolなど)が購入できます。ただし自己判断が難しい場合は早めに病院へ。特に高熱が出た場合、デング熱など重症疾患の可能性もあるので注意が必要です。
救急車事情:日本のような119救急車サービスは、インドネシアでは残念ながら充実していません。公的救急車(119番)はありますが、到着に時間がかかったり英語が通じなかったりという問題があります。実際には各病院の救急ダイヤルや国際SOSなど救援会社を利用するケースが多いです。例えば国際SOSという民間医療サービス会社は24時間日本語対応のホットラインがあり、緊急時に提携病院への搬送や場合によっては医療用ジェットでシンガポール等への搬送手配をしてくれます。企業が契約していることも多いので確認しましょう。
緊急連絡先:在インドネシア日本大使館や日本人会も緊急時相談に乗ってくれます。在ジャカルタ日本大使館の領事部には日本語対応電話があり、重大事故や犯罪被害時には支援を要請できます。救急の場合は直接医療機関に連絡するのが先決ですが、その後の保険手続きや日本への連絡などで領事館の指示を仰ぐこともあります。また会社の緊急連絡網も整備しておきましょう。深夜・休日に具合が悪くなった場合、ためらわず上司や人事担当に連絡して指示を仰いでください。
医療費と保険:インドネシアの医療費は日本に比べれば安いですが、私立病院の高度医療はそれなりの費用になります。例えばデング熱で数日入院しただけでも数十万円程度の請求になることがあります(個室利用や点滴治療など込みで)。駐在員であれば会社が海外旅行保険や医療保険に加入しているはずなので、キャッシュレス提携病院を使えば直接の支払いなく治療を受けられます。赴任時に保険の案内を受けたら、提携病院リストや保険連絡先をスマホ等に保存しておきましょう。ジャカルタの大手私立病院はたいてい日本の損保会社と提携しています。
歯科:歯の治療は日本で済ませてから来るのが鉄則ですが、赴任中にトラブルが起きることもあります。ジャカルタには日本語対応可能な歯科クリニック(例:Menara Thamrinの日本人歯科など)があります。料金は保険適用外なので実費ですが、日本の自費診療ほど高額ではありません(虫歯の治療1本数千円程度から)。ただし技術や材質に差がある場合もあるので、軽い処置以外は一時帰国時に治療する選択も検討しましょう。
子どもの医療:小児科はジャカルタ日本人学校近くの病院やクリニックに日本語窓口があります。乳幼児向け予防接種は日本とはスケジュールが違うものもあるので、渡航前に小児科医に相談し計画を立ててください。現地で受ける場合は日本人親子が多く利用するクリニック(竹の子診療所など)で相談すると安心です。
まとめ:インドネシアでの医療は事前準備と情報収集が何より大切です。住居には必ず家庭用の常備薬(解熱剤、胃腸薬、風邪薬、消毒薬など)を用意し、家族の緊急連絡先リスト、かかりつけクリニックの電話番号、保険証券番号などをまとめておきましょう。元気な時に万全の備えをしておけば、いざという時も落ち着いて対処できるはずです。
お子さんを帯同して赴任する家庭にとって、現地での教育環境は大きな関心事です。ジャカルタとその近郊には日本人学校とインターナショナルスクールがあり、日本国内とは異なる選択肢があります。それぞれの概要と補習校などについて説明します。
ジャカルタ日本人学校(JJS):南ジャカルタ郊外のビンタロ地区にある日本人学校です。1969年開校の歴史ある学校で、小学部と中学部、さらに幼稚部も併設しています。在籍生徒数は近年500名超と、世界の日本人学校の中でも有数の規模です。文部科学省の認定を受けた教育機関で、日本の学習指導要領に準拠した授業を日本人教師(文科省から派遣)と日本語堪能な現地教師が行っています。授業は基本的に日本語で、日本国内とほぼ同じカリキュラムで進みます。校舎や設備も充実しており、体育館やプール、図書館などが完備されています。子ども達はスクールバスで広範囲から通学しており、ジャカルタ市内・郊外にバスルートが設定されています。バス停まで父兄が送り迎えする形になりますが、日本と同じような感覚で通わせることができます。
チカラン日本人学校(CJS):2019年4月に開校した新しい日本人学校です。場所はブカシ県チカランの大型開発都市デルタマス内にあり、日系企業の工場が多いエリアです。こちらも文科省認定校で小学部・中学部があります。児童生徒数はまだそれほど多くないですが、年々増加傾向です。チカラン・カラワン方面に住む日本人家族にとって待望の学校で、以前はジャカルタ日本人学校まで片道2時間以上かけて通っていたお子さんもいたため、開校により負担が大きく減りました。教育内容はジャカルタ日本人学校と同じく日本の標準カリキュラムで進められます。ジャカルタ日本人学校(本校)と一体運営されているため、人事異動で先生が行き来したり行事を合同で実施することもあります。
入学条件:日本人学校への入学には基本的に日本国籍または保護者が日本人であることが求められます。また現地校やインター校との二重在籍は禁止です。したがって一度日本人学校に通い始めたら、補習校など他の教育機関に同時に通うことはできません(習い事教室は除く)。編入の場合は日本の学校での在籍証明などが必要です。入学希望者は事前に学校維持会への入会と諸費用の納入が必要になります。
授業料等:日本人学校は私立扱いですが、文科省などからの補助と企業寄付で運営されています。保護者は維持会費として月額で一定額を負担します(おおむね数万円程度)。他にスクールバス代、給食費、教材費などがあります。詳しくは学校から説明がありますが、日本国内の私立校に比べれば負担は軽いケースが多いです。会社がこれらを補助してくれる場合もあります。
ジャカルタには多数のインターナショナルスクール(以下インター校)があり、各国のカリキュラムで教育を行っています。英語で授業を受けさせたい、将来的に国際的な進路を視野に入れたいという家庭はこちらを選択する場合もあります。
代表的なインター校:
日本人の在籍:インター校には日本人のお子さんも一定数在籍しています。特にJISなどは日本企業駐在員の子弟も多く、日本人保護者向けの委員会や日本語補習クラスが用意されることもあります。ただしやはり環境は基本英語になりますので、お子さんの語学適応力に応じた選択が必要です。小学校低学年くらいまでなら比較的スムーズに英語環境へ馴染む例が多いようです。
費用:インター校の学費は非常に高額です。入学金的なものに加え年間授業料がかかり、学校によっては初年度に数万ドル、次年度以降も毎年1万〜3万ドル程度の授業料がかかります。さらにスクールバス代や制服代などもかかります。企業が全額負担するケースもありますが、補助に上限がある場合は自己負担となる可能性もあるので、事前に会社と相談しておきましょう。また希望者が多い人気校はウェイティングリストがあり入学も簡単ではない場合があります。
補習授業校(補習校):ジャカルタには日本人会補習校がありましたが、日本人学校が存在するためフルタイムの補習校はありません。ただし以前からあるジャカルタ日本人会の土曜学校という形で、日本人学校に通っていない子供向けに日本語・日本の教科を補習的に教えるプログラムがあったようです。現在は日本人学校が二校あるため、補習校の需要は少ないですが、例えばインター校に通いながら日本の国語や算数だけ土曜日に補習を受ける、といったニーズも一部あります。最新情報は在ジャカルタ日本人会や各教育委員に問い合わせると良いでしょう。
日本語教育環境:インドネシア人にも日本語を学ぶ人は多く、ジャカルタ市内には日本語塾や大学の日本語学科もあります。駐在員家庭向けとしては、習い事としての日本語教室(子供が英語環境にいると日本語が伸び悩むことがあり、日本人ボランティアが週末に国語や漢字を教えてくれる場など)が開かれることがあります。ジャカルタ日本人母親クラブなどコミュニティ主催の学習会などの情報は、日本人会報やSNSで得られるでしょう。親としては、たとえインター校に通わせても母国語である日本語力は維持発展させたいところなので、家庭でも読書や通信教育など工夫されると良いです。
まとめ:ジャカルタ・チカランでの子育て・教育は、日本人社会のサポート体制が思った以上に整っています。日本人学校の存在は心強く、現地で日本と同じ教育を受けさせられますし、インターナショナルな環境も選べます。情報収集は在インドネシア日本人会や先輩駐在員家族から得るのが有益です。学校の説明会や見学も随時行われていますので、実際に足を運んでみて納得のいく進路を決めてください。
海外赴任では治安も気になるところです。インドネシアの治安は、一部地域を除き比較的安定していますが、日本と同じ感覚でいると思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。ここではジャカルタ周辺の治安状況と安全のための留意点を解説します。
犯罪発生率:ジャカルタは東南アジアの他の大都市(例えばマニラやホーチミン)に比べると凶悪犯罪は少なめと言われます。政治的にも安定しており、テロ事件も2010年代後半以降は大きなものは起きていません。ただし窃盗や詐欺などの軽犯罪は日常的に起こっています。日本人が被害に遭いやすいのはスリやひったくりです。混雑した場所(バス内、市場、イベント会場)では財布やスマホをすられたり、路上ではバッグを持った歩行者がオートバイからひったくられる事件がしばしば発生します。
安全な地域と危険な地域:駐在員が生活する南ジャカルタやチカランの高級住宅街は、警備員が常駐していることも多く比較的安全です。コンドミニアムは出入口でセキュリティチェックがあり不審者は入りにくいでしょう。一方で観光地や繁華街では注意が必要です。例えばジャカルタ旧市街のコタ(Kota)地区は観光客も訪れる場所ですが、スリの温床としても知られます。また独立記念塔(モナス)周辺や大きな公園ではスリや物売り絡みのトラブルが報告されています。夜間に酔客が集まる繁華街(例えばマンガブサール地区のナイトスポット)は治安が悪化しますので、あまり近づかない方が無難です。バリ島など観光地でも、クタ地区では外国人観光客を狙った盗難が頻発しています。
日本人コミュニティ周辺:日系企業が多いエリア(例えばスディルマンやクニンガンのオフィス街)や日本人学校周辺は、比較的警察の目も行き届き安全です。ただし、日本人が多いことは逆に犯罪者にも知られているため、日本人=お金を持っていると見られがちです。過去には日本食レストランからの帰宅時に後をつけられ、自宅付近で強盗に遭った事件なども起きています。高額な現金を持ち歩かない、身につける物(時計・バッグなど)も目立ちすぎないものにする、といった自衛が必要です。
警察:インドネシアの警察は観光警察や英語対応デスクもありますが、現場の警官は英語が苦手なことが多いです。被害に遭った場合は、可能であれば現地スタッフや知人に同行してもらって被害届(Surat Lapor Polisi)を出すとスムーズです。警察署での手続きは時間がかかることがあり、通訳がいないとストレスになります。また被害届は保険請求時に必要になるので、盗難に遭った際は必ず取得しておきましょう。
大使館への報告:事件に巻き込まれたら在インドネシア日本大使館にも連絡してください。とくにパスポートを盗まれた場合は、再発行手続きが必要です。大使館は犯罪被害に遭った日本人への支援も行っていますし、治安情報の統計にもなるので報告に協力しましょう。
自衛意識:日頃から、「ここは日本ではない」…「ここは日本ではない」という自覚を常に持ち、油断しないことが大切です。暗い夜道を一人で歩かない、高価な貴重品を人前で見せびらかさない、隙を作らない――これら基本的な自衛意識が最大の防御策となります。幸い現地の人々は親切で助け合いの精神も強いので、困ったときは周囲に助けを求める勇気も持ちましょう。インドネシアでの生活は過度に怯える必要はありませんが、「安全は自分で確保する」という意識を忘れずに、健全で楽しい駐在生活を送りましょう。
インドネシアの食文化は非常に多様で、日本人にとって興味深い料理がたくさんあります。また首都ジャカルタでは日本食も驚くほど充実しており、食に困ることはまずありません。ここではローカルフードの特徴と日本食事情、そして食の安全対策についてまとめます。
インドネシア料理は地域によって特色がありますが、共通しているのはお米(ナシ)を主食に、香辛料やハーブを効かせたおかずを組み合わせるスタイルです。代表的な国民食をいくつか紹介します。
これら以外にも、インドネシア各地にはバリ料理(豚の丸焼き「バビグリン」など)やジャワ料理(甘めの煮物)、スンダ料理(西ジャワの野菜中心の料理)など多彩な食文化があります。ジャカルタでは各地方の料理店があり、旅行せずとも様々な郷土料理を味わえます。
味付けの傾向:インドネシア料理は全体的に「甘辛い」味が多いです。日本の醤油に近い甘いソース(ケチャップマニス)や唐辛子を発酵させた激辛調味料(サンバル)が頻繁に使われます。辛さはお店で調節してもらえることもありますので、苦手な方は「Tidak Pedas」(チダッ・ペダス=辛くしないで)と伝えると良いでしょう。また揚げ物(ゴレンガン)も多く、鶏の唐揚げ「アヤムゴレン」や揚げ豆腐「タフゴレン」などは日本人にも人気です。米が合わない時はミーゴレンやソト(Soto=スープ料理)など麺類・汁物を選ぶと良いでしょう。
ハラルと食材:インドネシアはイスラム教徒が多数派のため、基本的に豚肉は敬遠されます。一般のレストランや食堂では豚肉を置かず、牛肉・鶏肉・ヤギ肉が中心です。豚肉料理が食べたい場合は、中華系のレストランやバリ料理店など「Non-Halal(非ハラル)」と表示された店に行く必要があります。ジャカルタ市内でも豚骨ラーメン屋やとんかつ屋は存在しますが、イスラム教徒のお客様は来ない前提になっています。逆に言えば、日常のローカル食では自然とハラル(戒律に適った)食材しか使われていないため、食文化の違いで戸惑うことは少ないでしょう。牛肉も宗教的に問題ありませんが、インドネシアでは鶏肉の方が安価でポピュラーです。
「海外駐在=日本食が恋しくなる」ものですが、ジャカルタでは質・量ともに日本食レストランが豊富に揃っています。特に南ジャカルタのブロックM地区(メラワイ通り)は「リトル東京」とも呼ばれ、日本食飲食店や居酒屋、カラオケが集まっています。在住日本人だけでなく現地の日本食ファンにも人気のエリアです。寿司、焼肉、ラーメン、うどん、居酒屋メニューと、ほぼ日本と変わらないものが食べられます。値段は日本よりやや高いか同程度ですが、現地で手に入りにくい食材(刺身用の魚や良質な米、和牛など)を使う店では高級になります。駐在員同士の会食や接待には、日本食レストランが選ばれることも多いです。
日本食レストランの例:
食材の調達:自炊派の方には、ジャカルタには日本食材店が数店舗あることをお知らせします。代表的なのは「パパイヤ(Papaya)」という日系スーパーで、日本米、味噌、豆腐、醤油、練り物、お菓子まで大抵のものが揃います。値段は輸入品のため高めですが、日本のものが手に入る安心感があります。またAEONモール(ジャカルタ郊外に2店舗)では日本直送の食材や調味料が豊富で、駐在妻たちにも評判です。ローカルの高級スーパー(グランドLucky、ランチマーケットなど)でも一部日本食品コーナーがあります。醤油や味噌などは現地製造品もあり、比較的安価です。野菜は日本の物とは種類が違うこともありますが、キャベツ・白菜・大根・長ネギといったおなじみの野菜も入手できます(高地栽培で生産)。肉・魚も、日本向けの刺身用サーモンやマグロが手に入りますし、牛肉もオーストラリア産が安く出回っています。鶏肉は安いですが、衛生管理の良いパック肉を買いましょう。
日本のお菓子・調味料:日本のスナック菓子(ポッキー、じゃがりこ等)やインスタント食品(カップラーメン、味噌汁)も手に入ります。これらは贅沢品扱いで価格は数倍しますが、どうしても食べたい時のためにパパイヤなどで買えます。醤油はキッコーマン現地版、味の素などはローカル調味料として広く普及しています。緑茶や日本酒も入手可能です。日本酒は輸入制限が厳しいため高価ですが、一部の和食店やスーパーで冷酒・焼酎が買えます。
海外生活で注意すべきなのは食あたりや衛生面です。日本と環境が異なるため、最初のうちはお腹を壊す駐在員も少なくありません。以下、安全のためのポイントです。
総じて、ジャカルタでは日本と遜色ない食生活が可能ですが、熱帯特有の細菌や衛生事情への配慮は必要です。お腹が慣れてしまえば、ローカル料理も存分に楽しめます。インドネシアの食文化に積極的に挑戦しつつ、体調管理もしっかり行って、美味しく健康な駐在生活を送りましょう。
慣れてくると週末や連休の過ごし方にも幅が出てきます。インドネシアは観光資源が豊富で、駐在中に各地を旅行する絶好の機会です。またジャカルタ周辺にも家族で楽しめる娯楽施設がたくさんあります。ここではインドネシア国内旅行とジャカルタ近郊のレジャーについて紹介します。
バリ島:インドネシア随一のリゾート地で、日本人駐在員にも不動の人気です。ジャカルタから飛行機で約2時間半。青い海と白いビーチ、ヒンズー文化の寺院、美しい稲田風景と、非日常を満喫できます。高級ヴィラからリーズナブルなホテルまで選択肢が多く、休日に家族や同僚と旅行する人も多いです。特にレバラン休暇(断食明け大休暇)など長期休暇時には航空券が取りにくくなるほど混み合うので、早めの計画が必要です。
ジョグジャカルタ(ジョグジャ):ジャワ島中部の古都で、世界遺産のボロブドゥール仏教遺跡とプランバナンヒンドゥー遺跡が有名です。歴史文化に興味がある方には最適な旅行先です。ジャカルタから飛行機で1時間強、または鉄道で8時間程度で行けます。街自体も王宮(クラトン)やバティック工房、伝統芸能の舞台など見所があります。物価も安く、2泊3日程度で見て回る人が多いです。
バンドン:ジャカルタの南東約150kmに位置する高原都市。かつて「パリ・オブ・ジャワ」と称されたオランダ植民地時代の避暑地です。気候が涼しく、週末にドライブで訪れる家族連れも多いです。近郊に火山湖のタンクバン・プラフや温泉もあります。2023年にはジャカルタ〜バンドン間で高速鉄道(中国の協力による)が開通し、わずか45分程度で移動できるようになりました。日帰り小旅行にも便利になっています。
その他の観光地:インドネシアは他にも魅力的な場所がいっぱいです。スマトラ島のトバ湖(巨大カルデラ湖)やオランウータンの生息地、カリマンタンの熱帯雨林クルーズ、スラウェシ島のトラジャ族文化、コモド島のコモドドラゴン見学、ニューギニア島パプアの秘境トレッキングなど、冒険好きには事欠きません。短い駐在期間では行き尽くせないほどです。特にダイビングやシュノーケリングが趣味なら、レンベ(スラウェシ)やラジャアンパット(パプア西部)など世界屈指のスポットがありますので、ぜひトライしてみてください。
近隣諸国旅行:インドネシア国内ではありませんが、ジャカルタから東南アジア各国へのアクセスも良好です。シンガポールへは飛行機で1時間半、クアラルンプールへ2時間程度です。連休に近隣国へ小旅行する駐在員もいます。特にシンガポールは日本食材調達や都会的な娯楽を楽しむ目的で訪れる人が多いです。
市内観光スポット:ジャカルタ市内にはいくつか観光名所があります。中心に建つ独立記念塔(モナス)は高さ132mのタワーで展望台から市街を見渡せます。またモナス周辺には国立博物館(歴史的財宝や人類史コレクションが充実)やイstiqlalモスク(東南アジア最大級のモスク)、コタトゥア(旧市街のオランダ風情緒ある街並み)など見どころがあります。週末にはこれらを巡ってジャカルタの歴史に触れてみるのも良いでしょう。
テーマパーク:家族連れに人気なのがアンチョール(Ancol)と呼ばれるジャカルタ湾沿いの大規模レジャーランドです。遊園地「Dufan(ドゥファン=ファンタジーランド)」、水族館、プールテーマパーク、ビーチ、ゴルフ場などが集まっています。子どもは一日中遊べますし、大人も海辺のレストランでゆっくりできます。入園料も手頃です。また南ジャカルタには「ラグナン動物園(Ragunan Zoo)」があり、広大な敷地で様々な動物を見ることができます。入園料が非常に安く、ローカル家族も多いですが、日陰が少ないため朝早く行くのがポイントです。
ショッピングモール:ジャカルタ人の娯楽といえば巨大ショッピングモール巡りです。市内には高級ブランド店から映画館、レストラン街、キッズ施設まで備えた大型モールが十数箇所あります。代表例として、グランド・インドネシア(中央ジャカルタ、東南ア最大級のモール)、プラザ・インドネシア(高級志向モール)、コタ・カサブランカ、ガンダリアシティ、ポンドックインダモール、リッポーモールなど挙げればきりがありません。週末に家族でモールに出かけ、買い物や食事、映画鑑賞を楽しむのはジャカルタ駐在員にとっても定番です。日本では味わえない豪華な内装や多国籍なレストラン街に驚くでしょう。映画館(シネマXXIやCGVなど)は日本より安価(1席500〜800円程度)で、英語音声・インドネシア語字幕ですので気軽に利用できます。
ゴルフ:インドネシア駐在の楽しみとしてゴルフを挙げるビジネスマンは少なくありません。ジャカルタ近郊には質の高いゴルフコースが数多く存在し、プレー費も日本に比べて安価です。週末に接待ゴルフや仲間内のゴルフコンペが頻繁に開催されます。特にボゴールやチカラン方面に名門コースが多く、都心から車で1〜2時間でアクセス可能です。常夏ですが午前中や高地では比較的涼しくプレーできます。キャディ付きでサービスも行き届いているため、ビギナーでも楽しめるでしょう。
小旅行(パンサー・自然散策):ジャカルタ近郊には自然を感じられるスポットもあります。有名なのはボゴール近郊のプンチャック高原で、紅茶プランテーションの丘陵や避暑地の別荘が点在します。景色は美しいですが、週末は渋滞がひどいので早朝出発が鍵です。プンチャックの途中にあるタマン・サファリはサファリパーク形式の動物園で、車で動物の間を巡る迫力満点の体験ができます。子供連れに大人気です。さらに遠出してウジュン・クロン国立公園(ジャワ島西端の秘境、ジャワサイで有名)や、バンドン近郊のチェアテル温泉なども探検気分で訪れる駐在員もいます。
リゾートホテルステイ:遠出せずリフレッシュしたい時は、ジャカルタ市内や近郊の高級ホテルでステイケーションを楽しむ方法もあります。五つ星ホテルの週末パッケージを利用してプールやスパでのんびり過ごすのも贅沢な時間です。ジャカルタにはシャングリラ、リッツカールトン、フェアモントなど多数のラグジュアリーホテルがあり、平日仕事で利用するのと違った顔を見せてくれます。またインドネシアの伝統マッサージ「ジャムウスパ」やアロマスパも是非体験してください。日本に比べて破格の料金で極上の癒しを得られます。
日本人会の催し:在ジャカルタ日本人会では運動会や夏祭り、バザーなど季節ごとのイベントが開かれることがあります。駐在家族が多数参加し、日本の学校行事のような雰囲気が味わえます。お子さん連れなら特に参加してみると良いでしょう。また日本人会には野球、サッカー、ゴルフ、テニス、釣り、写真など趣味のクラブ活動もあり、休日に同好の士と交流する場にもなります。
インドネシア文化体験:せっかく駐在しているのですから、現地の文化芸能にも触れてみましょう。例えばガムラン音楽コンサート、ワヤン(影絵芝居)鑑賞、バティック(ろうけつ染め)の体験教室、インドネシア舞踊の発表会などが開催されています。インドネシア人スタッフに聞けば情報が得られますし、日本人会でも文化交流イベントを企画することがあります。これらに参加すると、インドネシアへの理解が深まり駐在生活がより充実します。
海外旅行:有給休暇などを利用してヨーロッパや中東、オーストラリア方面へ旅行する駐在員もいます。ジャカルタから直行便が出ている都市も多いので、長期連休を活かして普段行けない場所へ足を伸ばすチャンスです。例えばトルコ(イスタンブール)、UAE(ドバイ)、オーストラリア各都市、などへは比較的アクセスが良好です。日本に一時帰国するついでに東南アジア別都市に寄る(シンガポール経由で寄り道等)人もいます。
まとめ:インドネシア駐在中の週末・休日は、国内観光から身近な娯楽まで選択肢が非常に多彩です。最初は勝手が分からずモール巡り中心になるかもしれませんが、徐々に行動範囲を広げてみてください。現地を知り尽くした日本人仲間や現地スタッフと親しくなれば、穴場スポットも教えてもらえるでしょう。仕事だけでなくプライベートも充実させて、この地ならではの経験をたくさん積んでください。
ジャカルタの夜は表と裏の顔を持っています。都会的なバーやクラブでナイトライフを楽しむこともできますが、一方で慣れないうちは避けたほうがよいディープな世界も存在します。ここでは駐在員が夜間に注意すべきポイントを整理します。
バー&クラブ:ジャカルタには洗練されたバーやナイトクラブが多数あります。中心部のスディルマン地区やクニンガン地区には高層ビルのルーフトップバー(夜景が見えるお洒落なバー)があり、ビジネス交流の場としても利用されています。例えばSKYEバー(ビル屋上にプールのあるバー)やCloudラウンジなどが人気です。またSCBD(スディルマン中央ビジネス地区)には若者や外国人が集まるクラブが集積しており、Lucy in The SkyやDragonfly、Fableといった有名クラブでは週末深夜まで盛り上がっています。音楽と踊りを楽しむ分には健全なナイトスポットと言えます。ただし酔っぱらいによるトラブルやスリには注意しましょう。荷物は最小限にし、移動は必ずタクシーやGrabを使い、自分で運転しないようにします。
在住日本人向けブロックMのカラオケ:前述のブロックM – Blok M(メラワイ通り)周辺には、日本人駐在員向けのスナック・カラオケが軒を連ねています。女性スタッフがついて一緒にカラオケや会話を楽しむ昔ながらの日本式クラブです。接待で利用されることもあり、日本語の通じるホステスがいる店も多いです。一見さんが一人で入るには敷居が高いかもしれませんが、同僚に連れられて経験することもあるでしょう。これらの店は基本会員制や紹介制が多く、会計もしっかりしています(もちろん安くはありません)。ただ、飲み過ぎて深夜にフラフラ帰ると危険ですので、帰りの足(送迎車)を必ず確保しておきます。
チカランのカラオケ:ジャカルタ郊外の工業団地エリアであるチカラン(Cikarang)にも、日本人駐在員向けのカラオケ店が点在しています。リッポーチカランやエクスパト向けのホテル周辺には、日本語が通じるスタッフや日本食が提供される店舗もあり、出張者や長期滞在者が利用することがあります。ただしジャカルタよりも情報が少なく、価格やサービス内容にばらつきがあるため、利用する際は信頼できる知人の紹介を通すのが無難です。
屋台街の夜食:夜遅くにローカルの友人と出かけるなら、繁華街の屋台村で軽い夜食を取るのも面白いです。例えばサバン(Sabang)通りは深夜まで屋台飯が楽しめることで有名です。ただし治安面は自己責任になりますので、現地の友人と一緒に行動し、周囲に目を配りましょう。
違法風俗・売春:インドネシアでは売春は法律で禁止されています。しかし実態としてはジャカルタにもそういった店やサービスが存在します。たとえばカラオケに付随する裏サービスや、特定のマッサージパーラーでの性的サービスなどです。中には日本人向けにそうした違法営業を持ちかけてくるところもあるかもしれません。しかし、これらに手を出すのは非常に危険です。まず法律違反であり、警察による摘発も行われています(過去に大規模風俗店が摘発・閉鎖された例もあります)。またHIV等の性病リスクも高く、言葉や環境に不慣れな外国人がトラブルに巻き込まれるケース(法外な料金を請求される、脅迫される等)もあり得ます。
実際に過去には、チカランの風俗施設で日本人駐在員が警察の摘発に巻き込まれ、新聞報道されるなど大きな問題となった事例もあります。こうした件は企業の信頼にも関わるため、会社からも厳しく指導されているはずです。どんな誘惑があっても、深入りしないことが賢明です。
ドラッグ(薬物):東南アジアの中には麻薬など薬物犯罪が蔓延している地域もあります。インドネシア政府は麻薬犯罪に非常に厳しく、外国人でも逮捕されれば死刑判決すらあり得ます。ナイトクラブの中には残念ながらドラッグが出回っている所もあると言われますが、絶対に関わってはいけません。たとえ好奇心でも、一度所持しただけで人生を棒に振る可能性があります。知らずに近づかないよう、自衛してください。
危険な地域:ジャカルタでも特に治安が悪いと言われる地区があります。例えば北ジャカルタのコタ地区周辺(マンガブサールなど)は売春街があり、夜間は治安が悪化します。スラム街も点在しており、そういった場所に踏み込むのは避けるべきです。また観光客が集まる場所ではぼったくりバーに誘う客引きもいるので、ついて行かないようにしましょう。日本人が集まる場所は比較的安全ですが、それでも深夜2時以降の外出はできるだけ控えるのが無難です。女性の一人歩きは昼間でも注意が必要ですが、夜間は絶対避けてください。
飲酒のコントロール:イスラム圏ではありますがジャカルタではお酒は合法で、バーやレストランでアルコールを提供しています。ただし酔って羽目を外すと事件に遭いやすくなります。特に単独で飲み歩くのはやめましょう。複数人でいても、全員泥酔しないようどこかでセーブすることです。UberやGrabが深夜に捕まりにくい場合に備え、信頼できるドライバーに待機してもらうのも一策です。
飲み物への細工:世界中どこでもそうですが、バーなどで注文したドリンクに薬物を混入される被害(いわゆるデートレイプドラッグなど)もゼロではありません。自分のグラスから目を離さない、見知らぬ人から勧められた飲み物は口にしないなど、基本的な警戒はしておきましょう。
警察との関わり:夜間、交通検問や警察の職務質問を受けることもあります。たとえば深夜に車で移動中に警官に停められ、違反を指摘されるといった場合です。中には袖の下を要求する不正警官もいるので要注意ですが、その場で揉めるのは避け、可能であれば相手の氏名や所属を確認し正式な手続(違反切符を切ってもらう)を求めるようにします。言葉に不安があれば、事前に会社のドライバーや現地スタッフに対処法を聞いておくと良いでしょう。
まとめ:ジャカルタの夜を楽しむこと自体は問題ありませんが、日本よりリスクが高い面があることは常に意識してください。適度なお酒と信頼できる仲間との外出にとどめ、危ない香りのする誘いには決して乗らないことです。「自分の身は自分で守る」という姿勢を崩さずにいれば、豊かなナイトライフの思い出も作れるでしょう。くれぐれも油断せず、安全第一で夜の時間を過ごしてください。
海外生活には予期せぬトラブルがつきものです。日本とは勝手が違うインドネシアで起こりがちなトラブル事例と、その対処法についてあらかじめ知っておきましょう。備えあれば憂いなしです。
ジャカルタの喧噪の中では、自分が気をつけていても事故に巻き込まれる可能性があります。もしも車やバイクとの接触事故を起こした/遭った場合の対応を心得ておきましょう。
ポイント:事故現場では野次馬が集まりやすく、外国人だと分かると妙に興奮する人もいます。下手に大声で言い訳したり逃げようとすると状況が悪化します。落ち着いて、謝るべきところは謝り、連絡すべきところに速やかに連絡することです。また普段から運転は現地スタッフに任せ、自分は極力ハンドルを握らないのもリスク管理です。会社が支給するドライバー付き車両を活用し、自分自身は被害者にならないよう歩行中も十分注意しましょう(信号無視の車両が多いので横断歩道でも油断禁物)。
スマホや財布を盗まれる被害は駐在員にも起こり得ます。万一盗難に遭った場合の対処と予防策です。
予防策:日頃から貴重品の分散を徹底しましょう。財布には必要最低限の現金とカードだけを入れ、カバンはファスナー付きのものを使う。バックパックは人混みでは前に抱える。ズボンの後ろポケットにスマホや財布を入れない。これらは基本ですが、慣れてくると油断しがちなので常に意識してください。また夜間にATMを使う時は、人通りの多い明るい場所を選ぶこと。何となく不安を感じたら利用をやめ別の場所へ移動する勇気も大切です。
駐在中の家(アパートや貸家)で起こりがちな問題とその対応です。
トラブル対応の基本:どんなトラブルでもまず落ち着くことです。海外では言語や文化の壁でパニックになりやすいですが、深呼吸し、優先事項を考え、頼れる先に連絡しましょう。幸い、在インドネシア日本大使館や日本人会、会社の現地スタッフなど支援資源はあります。また保険(医療保険、携行品保険、賠償責任保険など)にも加入しているはずなので、使えるものは使ってリスクを最小化してください。
以上、ジャカルタ及びチカランでの駐在生活について、主要なポイントを網羅してご紹介しました。ビザ取得から日々の暮らし、ビジネス習慣やトラブル対処まで、一度に盛りだくさんの情報をお伝えしましたので、最初は戸惑うこともあるかもしれません。しかし、現地での実体験を通じて少しずつ慣れていけば、インドネシアはきっと第二の故郷のように感じられるでしょう。現地のスタッフやコミュニティの仲間たちと協力し、文化の違いを楽しみながら、実り多い駐在生活を送られることを願っています。分からないことは恥ずかしがらず周囲に尋ね、そして自分の経験も後に続く方々に共有してあげてください。このガイドが、新天地インドネシアでのスタートを少しでもスムーズにし、充実した毎日への助けになれば幸いです。どうぞ安全と健康に留意しながら、仕事にもプライベートにも全力でチャレンジしてください。
インドネシアでのビジネスなら創業10周年のTimedoor
システム開発、IT教育事業、日本語教育および人材送り出し事業、進出支援事業
本記事で使用した用語の解説
KITAS(キタス):一時滞在許可証。外国人がインドネシアで就労・滞在するために必要な法的滞在許可。
312ビザ:インドネシアでの就労を目的とした限定滞在ビザ。KITASの取得とセットで使用される。
317ビザ:家族帯同用のビザ。就労はできないが、滞在は可能。
RPTKA(エルピーティーカーエー):外国人雇用計画書。インドネシアで外国人を雇用する際に必要な申請書。
ナシゴレン:インドネシア風炒飯。ケチャップマニスなどで甘辛く味付けされる。
サテ:ピーナッツソースをかけて食べる串焼きの肉料理。
ジャム・カレット(Jam Karet):インドネシア語で「ゴムの時間」。時間に対して柔軟である文化的特徴を指す。
ハラル(Halal):イスラム教で認められた食材や調理法。豚肉やアルコールは原則NG。
ブロックM(Blok M):ジャカルタ南部の日本人街。日本食レストランやカラオケなどが集まるエリア。
Grab / Gojek:インドネシアで広く利用されている配車アプリ。移動手段やフードデリバリーにも対応。
Ojol(オジェック・オンライン):オンラインバイクタクシーの略称。GojekやGrabを利用したバイクでの移動サービス。
NPWP:インドネシアの納税者番号。銀行口座開設や会社関連手続きに必要なことがある。
Yth.(Yth Bapak / Ibu):ビジネスメールなどで用いる「敬愛する○○さんへ」という意味の丁寧表現。
よくある質問(FAQ)
Q1. インドネシア赴任前に準備しておくべきことは何ですか?
A. パスポートの残存期間、就労ビザ申請書類、予防接種、現地で使える国際キャッシュカードやクレジットカード、日本語対応病院の情報、常備薬、緊急連絡網などの準備が必要です。また、英語やインドネシア語の簡単な挨拶も覚えておくと便利です。
Q2. 駐在員の給与水準は現地で十分な生活を維持できますか?
A. 多くの場合、駐在員の給与は現地平均を大きく上回るため、日本人向けの物件や医療、日本食などを利用しても十分な生活が可能です。ただし、インターナショナルスクールや高級住宅などは高額になるため、会社の補助制度を事前に確認しましょう。
Q3. 家族を帯同させても大丈夫ですか?治安や教育は?
A. ジャカルタやチカランの駐在員向け住宅はセキュリティが整っており、治安も比較的安定しています。また、日本人学校やインターナショナルスクールがあり、教育環境も整備されています。医療面でも日本語対応のクリニックや病院があります。
Q4. 渋滞対策はどうすればいいですか?
A. 通勤時間を避けた行動、配車アプリの利用、MRTや空港鉄道の活用がポイントです。社用車と専属ドライバーの利用も一般的です。目的地には余裕を持って出発する習慣を身につけましょう。
Q5. インドネシア人との仕事の進め方で注意点は?
A. 「Noと言わない文化」があるため、合意内容は必ず書面で確認する習慣をつけましょう。また、感情的な叱責や人前での批判は避け、個別に丁寧に伝えることが信頼構築の鍵です。賞賛を公の場で伝えるとモチベーション向上にもつながります。
Q6. 医療費は高いですか?保険は必要ですか?
A. 私立病院での治療費はそれなりに高額になる場合がありますが、会社が海外旅行保険や医療保険を提供しているケースがほとんどです。キャッシュレス対応の病院を事前に確認しておくと安心です。
Q7. 食事に関して衛生面で注意することは?
A. 水道水は飲用に適さないため、市販の飲料水を使用してください。また、屋台やローカル店での食事は衛生面に注意し、まずは信頼できる店から始めましょう。生野菜やカットフルーツは避け、果物は皮を剥いて食べると安心です。
Q8. 日本との送金はどうすればいいですか?
A. 現地銀行の海外送金サービスやWISEなどのオンライン送金サービスが利用可能です。手数料や為替レート、送金限度額などを確認のうえ、目的に応じた方法を選びましょう。給与の一部を日本の口座に送る制度を利用できる会社もあります。