2月 26, 2025 • インドネシア, 会社紹介 • by Yutaka Tokunaga

インドネシアで起業し10年間マネジメントしてきた私の海外での組織の作り方(自己流)

インドネシアで起業し10年間マネジメントしてきた私の海外での組織の作り方(自己流)

はじめまして。Timedoorの徳永 裕です。私は2014年にインドネシア・バリ島に渡り、道も言葉も経営も何もわからないままTimedoorを立ち上げてから10年以上が経ちました。右葉曲折ありましたが会社はシステム開発事業からIT教育事業、人材送り出し事業と事業を増やし、何とか成長・存続し今では150人以上、パートタイムの先生などを含めると300名以上の方が弊社の社員として働いていてくれています。

10年の月日で多くの日系企業様や起業家達が事業に失敗し撤退していく中でなぜ私がこのインドネシアでビジネスをさせていただけているのか、それは一重に多くの皆様のサポートと一緒に戦ってきてくれた社員達のおかげでしかありません。

一方で上手くいっていない企業の経営者やマネージャーの方のお話を聞くと、なんでそんなマネジメントをするの?と感じることも多々あります。意外に自分が本能の赴くままに自己流でやってきたマネジメントや組織づくりは他の企業様の参考になるのかもしれない。

そう思って今回まだまだ未熟な経営者の私ですが、これまで10年間がむしゃらにやってきたインドネシアでのマネジメント、組織作りについて皆様に共有させていただければと思います。

 

辞められない会社を作る

まず私が会社経営で一番大事にしている事の一つ。それは「社員に辞められない会社を作る」です。

終身雇用という意味ではありません、綺麗事でもありません。
これは私の苦い経験からきている考え方です。

 

私が会社を創業した当初、当時10人くらいいた社員の半分が給料の低さや不透明なマネジメントに不満を持って辞めると言い出す事件がありました。

こんなに一生懸命働いているのに、、、社員のことを思ってやっているのに、、、最初はインドネシア人はジョブホッパーだからとインドネシアの文化のせいにして自分を納得させようとしました。

 

しかし全員と面談をして話を聞いてみると

「日本人が経営する外資企業に入ったと思ったのにやっていることはローカル企業と同じ」

「成人して自分の家族を支えないといけないのに」

「結婚したいのに、将来は家を買いたいのに、将来給料が上がるのかどうかわからない」

「もっと自分が成長できる会社で働きたい」

社員達から見ると全然いい会社に見えていなかったんだと思い愕然としました。

 

社員に辞められるということは自分の会社に何か問題があるか、社員と理解し合えていないという事。

結局は経営者として実力も考え方も三流で全然社会や会社、人の人生について考えられていなかったという事です。

 

それから私はそれがトラウマになりつつも、本当に社員のみんなが会社の将来に希望を持って幸せに働ける会社をインドネシアで作っていこうと心から誓いました。

創業期のTimedoorメンバー

創業期のTimedoorメンバー

 

実力より素直で長く働いてくれる人

エリートだけを集め、実力主義で経営を進めることは、私自身には難しく、また会社の文化にも合わないと感じています。またどんな優秀な人でも短期で辞められてしまっては会社として機能しません。

むしろ、素直で優しく、コツコツと努力を重ねてくれる社員が、長期的に見て会社を支えてくれる存在だと思っています。

経営者としての自分の仕事はそういうおっとりして優しいインドネシア人の社員達を上手く構成して結果を出すことだと考えています。

エリートを集めてきてやる経営はゲームで言えばチートみたいなもので、そのような社員を雇っても私の場合は長続きせず、上手くいきませんでした。

逆に素直で真面目で長く働いてくれる人達が長く勤めてくれて会社の中核となり、カルチャーを形成してくれて今のTimedoorがあると思っています。

実力より素直で長く働いてくれる人

 

 

サボり癖のある中途  <  真っさらな新卒

インドネシアで何度も採用をしていく中で実感したのは、ある程度の経験や実績があっても、サボり癖が見受けられたり、向上心が薄い中途採用のおっさんは逆に扱いが難しいという現実でした。逆に遠回りでもサボり癖がついていない、素直で向上心のある新卒社員を一から育てていくことの方が我々のようなスタートアップ企業には向いていました。すぐにカルチャーフィットしてもらうことも出来ますし、若いので少々の無理をしたハードワークも不満を言わずにやってくれます。

現在では大学との関係も構築し、多くの学生がインターンシップとして入ってきて、そこから優秀な人だけパートタイムやフルタイムで働いていただくというユースシステムが構築できており、良い採用フローが作れていると感じています。

中途半端な中途 < 真っさらな新卒

 

 

人間の習性を理解してマネジメントする

インドネシアのマネジメントでよく聞く悩み。「社員が時間を守らない」、「社員がモノを盗んだ」、「社員が急にいなくなった」

日本ではなかなか起きない問題が発生するのも事実です。我々の会社でも同じような課題がありました。

簡単な解決策はありません、プロフェッショナリズム意識を徹底し、諦めずに口酸っぱく言い続け、「だらしない事がかっこ悪い」という雰囲気を作り上げました。私が思っていることは「ほとんどの人間は周りの人に流される」という習性です。

全員会社に来るのが遅れる会社であれば新しく入ってくる人も同じように行動します。

逆に全員が時間を守って働いている会社で一人だけ毎日遅れてくることは気まずく恥ずかしいと思うのが人間の習性です。

 

 

家族や宗教を尊重

インドネシアでは、何よりも家族や宗教が最優先される文化があります。私がサラリーマンをしていた日本では仕事が生活の中心になりがちですが、ここでは家族との時間や信仰が、社員の心の支えになっています。初めは日本流の「仕事第一」の考え方を押し付けてたいという下心もあったのですが、それは健全なマネジメントではなくこの国の人達の文化を壊す悪影響であると考えるようになりました。そこで、家族や宗教を尊重し、仕事だけに固執しないマネジメントを心がけることが、良好な人間関係を築き、社員が長く働いてくれ仕事の成果につながる第一歩であると学びました。

家族や宗教を尊重

 

 

給料を上げられないなら死

インドネシアでは、法律で定められた最低賃金があり、毎年給料が上がるのが当たり前です。対照的に、日本では数十年にわたり給料が据え置かれるケースも多く、上がらないことに対する違和感や不満はそこまで大きくないでしょう。弊社は、社員全員の給料を年に少なくとも2回、よっぽど酷くなければ必ず上げる仕組みになっています。これにより、社員には「このままいけば収入は上がっていく」という安心感とモチベーションが生まれ、結果として帰属意識の向上や離職率の低下につながっています。(きっと社員たちには全然足りねーよ、もっと上げてくれと言われるでしょうが笑)

もちろん上げ続けるだけの財源を確保するために頑張って仕事をして稼がないとなりませんし、それが出来ないようなビジネスであれば待っているのは死のみだと日々自分に言い聞かせています。

給料を上げられないなら死

 

 

鬱になってもいいから年に2回の面談をやり切る

インドネシア人は、「tidak enak」(遠慮してしまう文化)が根付いており、上司に不満や悩みを伝えるのが苦手な傾向があります。そのため、初期の頃は何も相談されずに社員が辞めてしまうケースも見受けられました。そこで、年に2回の面談と評価制度を設け、社員一人一人とじっくり話す時間を確保しました。現在は流石に全員とは出来ていませんがこれを社員60人くらいの時までは自分で全部やっていました。これは本当に精神的にタフで面談時期は鬱になるんじゃないかと思いましたが、これにより、普段は言いにくい不満や不安も早期にキャッチし、お互いにわかり合うこともでき、会社の膿を出すこともできたので今では無くてはならないものになっています。

鬱になっても年に2回の面談をやり切る

 

英語とインドネシア語を学び心で会話する

私は英語はカタコト、当然インドネシア語は全く話せない状態から会社をスタートしています。しかし本当の意味で信頼関係を築くためには、通訳に頼るだけでは心で会話するのに不十分だと感じました。

英語が話せないと「どこか下に見られる」こともあり、また現地の言葉であるインドネシア語ができると、現地の社員から真の仲間として、近い存在、尊敬できる存在として認められる気がしました。これは時間がないと言い訳していてはダメだ、そう思い毎朝早起きして英語もインドネシア語も話せるようになりました。今では誰もが私に気を使わずにインドネシア語で話すようになって少し困っています笑

英語とインドネシア語を学び心で会話する

 

 

独裁リーダーシップ

インドネシアの文化や気質上、時に主体性を発揮するのが難しい状況もあります。そのため、私は会社が一定のサイズになるまでは独裁的と言われるほど強いリーダーシップを発揮し、周囲を引っ張ることを重視しました。むしろ「独裁なくらい圧倒的な存在でないなら外国人経営者の資格なし」くらいに考えていました。

もちろん、社員の自主性や創造性を尊重したいという思いもありましたが、結果的に物事を迅速に進めるためには、リーダーが明確な指示と方向性を示しある程度まではマイクロマネジメントしていくことが自分のDNAを組織に植え付ける上でも必要だと考えていました。その分、彼らが正しいと感じてくれるような正しい判断に対する責任と、どんな厳しいことでも受け入れてもらえるだけの人間関係の構築が大事なのは間違いありません。(現在は優秀なリーダー達がたくさん生まれてくれたので、このようなマネジメントスタイルから大人のスタイルに変わってきています。)

圧倒的な独裁リーダーシップ

 

 

家族のような存在になる

インドネシア人にとって最も大切なのは家族です。そこで、会社も単なる職場ではなく、家族のような温かい環境であることを目指しました。定期的な食事会、イベント、アウティングなどを通じて、社員同士が自然に信頼し合い、毎日会社に来るのが楽しみになるような環境を作り上げています。また私も社員の結婚式や葬式など本当の家族のように彼らの人生に寄り添った行動をする事を心がけています。こうした取り組みが、社員にとっての「第二の家」としての安心感を生み出して少々嫌なことがあっても長く勤めてくれる会社になっています。

家族のような存在になる

 

 

この会社に入ったことを後悔させない

10年間、人生を賭けて共に働いてくれた社員たちの存在は、私にとってかけがえのない財産です。彼らが「この会社に入って良かった」と心から感じられるよう、常に感謝の気持ちを持って対応してきました。特に、リーダーメンバー達を母国日本へ連れて行って一生に一度の体験をさせてあげる事ができた時は自分の夢が叶ったようで涙が止まりませんでした。これからも沢山の社員がいますが、彼らが人生を振り返ったときに、少しでもこの会社に入って働いたことが良かったと思っていただけるような会社をこれからも作っていきたいと思っています。

 

 

結びに

インドネシアでの10年間の経営経験から、異文化の中で組織を作り上げるためには、文化や価値観の違いを正しく理解し、本当に本質的に彼らの人生を幸せにするにはどういう会社を目指せばいいのかと日々考えてきました。沢山の失敗もしました。涙もしました。

経営をしていて一番辛い思いをすることは社員のことです。一方で一番幸せを感じられる瞬間も社員と一緒に会社の記念日や成功、結婚や出産などの一人一人の人生の成功を共に過ごすことかもしれません。

異国の地で外国人である経営者やマネージャーがやるべき使命は、ビジネスを成功させ、この国の社員達一人一人がより良く幸せになるようにマネジメントしていくことです。

私は現在の会社のカルチャーを作るのに10年かかりました、むしろ10年かけて弊社のカルチャーをインドネシア人の社員達が一緒に作ってくれました。

最近は「カルチャーフィット」という言葉をとても大切にしています。10年かけて形成した会社独自のカルチャーをしっかりと定義し、そこにフィットする人材を採用して育てていくこと。

それが成功する組織作りであり会社の成長につながる事だと確信しています。

 

私たちもまだまだ未熟で勉強中の会社ですが、10年間の歩みで学んだインドネシアでのマネジメントや組織作りが、何か皆様の参考になれば幸いです。

 

最後にぜひ私たちの行動指針であるTimedoor Valueをご紹介させてください。

 

Our Value

 

Do It Fast

すぐやるマインドセット

Customer Oriented

顧客志向

Always Initiative, Always Challenge

常に主体的で、常に挑戦する

Work Hard, Enjoy It

全力で働き、全力で楽しもう

Be Good Family, Be Good Human

良き家族であり、良き人であれ

 

 

 

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