3月 10, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアで仕事をするならビジネス系SNSのLinkedin活用は必須

インドネシアは東南アジア最大の経済圏として成長を続けており、デジタル化の波に乗ってビジネス系SNSのLinkedin（リンクトイン）の利用者も急増しています。特に、B2B企業やスタートアップ、リクルーティングを行う企業にとって、Linkedinはソーシャルメディアによる見込み顧客の獲得、人脈形成、採用活動に欠かせないツールとなっています。本記事では、最新のデータをもとにソーシャルメディア大国インドネシアのLinkedin利用者数の推移と成長率、ユーザー層の特徴を詳しく解説し、さらにビジネス活用のメリットを B2B・B2C企業、スタートアップ、採用活動という視点で具体的に紹介します。

インドネシアのLinkedin利用者数と成長率

インドネシアでは、Linkedinというビジネスソーシャルメディア（SNS）の利用者数が急増しています。2025年初頭時点で、インドネシアのLinkedin登録者数は約3,300万人に達しており、前年初頭（約2,600万人）から約700万人増加（+26.9%）する高い成長率を示しました。この増加により、インドネシアのLinkedinユーザーは人口全体の約11.6%（18歳以上人口の約16.4%）に相当し、世界でも有数のLinkedin利用国となっています。実際、2023年時点でソーシャルメディア大国のインドネシアは世界で7番目にLinkedinユーザー数が多い国（約2,300万人）であり、東南アジアでは最大のビジネス系SNSであるLinkedinユーザー基盤を持ちます。

過去数年の推移

インドネシアでのLinkedin普及は年々加速しています。

2022年：登録者数約2,000万人
2023年：登録者数約2,300万人
2024年：登録者数約2,600万人
2025年：登録者数約3,300万人

毎年数百万人規模で増加しており、デジタル化の進展やビジネスパーソンのオンラインプレゼンスへの関心の高まりを反映しています。

ユーザー層の特徴

ユーザーの大半は若手プロフェッショナル層で、以下の年齢層が中心です。

25～34歳：全体の半数以上を占める最大グループ
18～24歳：約3割前後

特に20代後半から30代前半のミレニアル世代が活発に利用しており、ソーシャルメディアであるLinkedinがキャリア志向のプラットフォームであることを裏付けています。

Linkedinをビジネスで活用するメリット

Linkedinはビジネス用途に特化したSNSであり、そのユーザー基盤と機能をうまく活用することで様々なメリットを得られます。特にインドネシアでは上述のようにプロフェッショナル人材が数多く参加しているため、適切に活用すれば現地での人脈構築やマーケティングに大きな効果を発揮します。以下では、企業形態や目的別にLinkedinの利点を解説します。

B2B企業での活用メリット

B2B領域の企業にとって、Linkedinは見込み顧客との接点創出や信頼構築に最適なプラットフォームです。インドネシア国内で事業を展開する日本企業や現地のB2B企業は、Linkedin上で業界関係者や意思決定者に直接リーチできます。具体的には、自社ページや担当者のプロフィールで専門知識に基づくコンテンツを発信することで業界内での認知度と信頼性を高められます（例えば、業界レポートや成功事例の投稿）。また、Linkedinには検索やフィルタ機能が充実しており、業種・職種・役職などでターゲット企業の担当者を探し出すことが可能です。これにより潜在顧客へのアプローチやリード獲得が効率的に行えます。たとえば、日本の製造業企業がインドネシアのサプライヤー開拓を行う場合、Linkedinで現地企業の購買担当者とつながりを持ち、関係構築を図ることでビジネスチャンスを創出できるでしょう。さらに、有料機能の「Sales Navigator」を活用すれば、より高度なリードの発掘や情報収集も可能で、B2B営業活動を強力に後押しします。

B2C企業での活用メリット

B2C企業にとってSNSであるLinkedinは、直接消費者向けに販促を行う場というよりも、ブランドイメージの向上や人材確保に寄与するプラットフォームとして価値があります。インドネシアではFacebookやInstagramなど一般消費者向けSNSが圧倒的な利用率を誇りますが、Linkedin上では自社の企業ブランドや製品・サービスに関する専門的な情報発信を行うことで、他社との差別化や信頼感の醸成につなげることができます。例えば、消費財メーカーが自社の品質管理やCSR活動についてLinkedinで発信すれば、ビジネス層に対する企業イメージ向上が期待できます。また社員の活躍や社内カルチャーを紹介する投稿は、将来の採用活動（新卒・中途問わず）において応募者に安心感を与え、優秀な人材を惹きつけるのに有効です。B2C企業でも特に高額商品や専門サービス（教育、金融商品など）を扱う場合は、Linkedin広告を使って興味関心や職業ベースで絞り込んだターゲティングを行うことで、質の高いリード獲得が可能になるケースもあります。つまり、B2C企業にとってSNSであるLinkedinは「プロフェッショナル層にリーチするマーケティング媒体」兼「採用ブランディングの場」として活用価値が高いのです。

スタートアップ企業・個人起業家での活用メリット

スタートアップや個人起業家にとって、リソースの限られた中で人脈や知見を広げられるLinkedinは極めて実践的なツールです。インドネシアのスタートアップエコシステムも活況を呈しており、多くの起業家がLinkedinを通じて国内外のネットワークを構築しています。具体的な利点として、潜在的な投資家やメンターとの接点を持てることが挙げられます。自社の事業内容やビジョンをプロフィールや投稿で発信し、共感する投資家や業界の有識者と繋がれば、資金調達やアドバイス獲得のチャンスが広がります。実際、現地のベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家の多くもLinkedin上で情報発信やネットワーキングを行っているため、オンライン上でピッチのきっかけを作ることも可能です。

スタートアップとしての活動

また、スタートアップにとっては優秀な人材の確保も死活的に重要です。Linkedinで自社ページを作成し、ミッションや社風、メンバーのプロフィールを発信することで、共感する人材からの応募やコンタクトを期待できます。特に新興企業では即戦力となる中堅層をスカウトするケースも多いですが、Linkedinの検索機能を使えば必要なスキルを持つ人材を直接リサーチしてアプローチできます。さらに、起業家自身が業界コミュニティ（Linkedinグループ）に参加し議論に加わることで、自身の知名度向上や業界トレンドの把握にも役立ちます。以上のように、スタートアップや起業家はLinkedinを活用することで「人（資金・人材）と情報」の両面で貴重な資源を獲得できるのです。

採用・リクルーティングでの活用メリット

人材採用での活用

人材採用の観点から見ると、ビジネス系ソーシャルメディアのLinkedinは企業の採用活動および個人の転職活動において不可欠なインフラになりつつあります。インドネシアでもLinkedinはプロフェッショナル人材のデータベースとして広く利用されており、現地企業はもちろん、日本企業の現地法人や日系進出企業も採用に活用しています。企業の採用担当者にとって、Linkedin上では職務経歴やスキルが可視化された優秀層の候補者プールに直接アクセスできる利点があります。求人広告を掲載するだけでなく、気になる候補者を検索してスカウトメッセージを送る「ダイレクトリクルーティング」が容易に行えるため、従来の求人サイトや人材紹介会社では接点を持てなかったような人材ともつながれる可能性があります。特にデジタル人材や管理職クラスなど不足しがちな人材の採用では、Linkedin経由でアプローチする手法が効果を上げています。

就職活動での活用

一方、求職者側にとってもSNSであるLinkedinはキャリア機会を広げる重要な場です。自身のプロフィールを充実させ、業界の話題について発信やコメントを行うことで、採用担当者の目に留まりやすくなります。インドネシアの求職者の中には、Linkedin経由で外資系企業からオファーを獲得したり、リクルーターにリーチされたりする例も増えています。さらに、Linkedinには求人検索機能や応募機能があり、興味のある企業のページをフォローすれば採用情報を逃さずチェックできます。このように、Linkedinは企業と人材をマッチングさせるプラットフォームとして、従来の求人媒体にはない双方向の利点を提供しています。

Linkedinの具体的な活用事例・戦術

上記の利点を踏まえ、最後にLinkedinをビジネスで活用する具体的な方法や事例をいくつか紹介します。求人・採用、人脈拡大、営業・マーケティング、ブランディングといった代表的な活用シーン別に見てみましょう。

求人・採用（リクルーティング）: 例えば、大手日系企業のインドネシア支社が現地でエンジニアを採用したい場合、Linkedinの求人広告機能を使って募集を掲載し、さらに条件に合致する人材を検索して直接アプローチする、といった戦術が有効です。実際にLinkedin上で興味を示した候補者にメッセージを送り、オンライン面談に繋げた事例もあります。逆に個人が転職を目指す際は、自分のプロフィールに実績やスキルを詳細に記載し、採用担当者から声がかかるよう専門分野に関する投稿や記事のシェアを行うことが有効です。
営業・マーケティング（リード獲得）: インドネシアのB2B営業担当者が新規顧客を開拓するケースでは、Linkedinの「共通の知り合い」機能を活用した紹介依頼や、ターゲット企業のキーマンに共感を得られるような有益なメッセージを送るソーシャルセリング手法が成果を上げています。例えば、ソフトウェア企業の営業担当がLinkedin投稿で業界の課題と解決策を発信し、それに反応した見込み客と商談につなげる、といった事例です。また、マーケティングではLinkedin広告を活用して自社ウェビナーやホワイトペーパーへの誘導キャンペーンを行い、短期間で質の高いリード情報を多数獲得した企業もあります。
ネットワーキング（人脈構築）: 個人起業家やビジネス開発担当者にとって、Linkedinは日常的な名刺交換をオンラインで拡張したような役割を果たします。実際に、ジャカルタで開催された業界イベントで出会った相手とその場でLinkedinで繋がり、後日改めて商談が成立したというケースも珍しくありません。Linkedin上では自分からコネクションを増やすだけでなく、相手からのリクエストも積極的に受け入れてネットワークを広げることが重要です。さらに、業界別の「Linkedinグループ」や最近導入された「イベント」機能を利用すれば、共通の関心を持つプロフェッショナル同士でディスカッションしたり情報交換したりできます。こうしたネットワーキング活動を継続することで、将来的なビジネスパートナーや顧客、メンターとの出会いにつながります。
ブランディング（企業・個人ブランド構築）: Linkedinは企業ブランドと個人ブランドの双方を構築する場としても有効です。企業公式ページでは、自社のニュースリリースやメディア掲載情報、社員インタビュー記事などを定期的に投稿することで、フォロワー（＝潜在顧客や求職者）に対して企業のストーリーや強みを訴求できます。例えば、インドネシアのあるスタートアップがプロダクト開発の裏側やチームの多様性を紹介する投稿を重ねた結果、投資家や大手企業から注目を集めた例があります。また、経営者や社員一人ひとりが自身の専門知見を記事や投稿で発信し「業界のオピニオンリーダー」として認知されることは、ひいては会社全体の信頼性向上につながります。日本人駐在員が現地の言葉や英語で積極的に情報発信することで、インドネシアのビジネスコミュニティ内で存在感を高め、日系企業の強みをアピールすることも可能です。

まとめ

インドネシアにおけるLinkedinの利用者数は年々増加しており、その成長率や利用層のデータから見ても、同国でビジネスを展開する上でLinkedinは重要なプラットフォームとなりつつあります。B2B企業にとってはリード獲得と信頼醸成の場、B2C企業にとってはプロフェッショナル層へのブランド発信の場、スタートアップや起業家にとっては人脈と機会を広げる場、そして採用担当者や求職者にとっては人材マッチングの場と、Linkedinは用途に応じて多面的な価値を提供します。

日本企業・現地企業を問わず、インドネシア市場で成功するためには現地の文化や商習慣への理解が不可欠ですが、Linkedin上で直接現地のプロフェッショナルと交流することはその近道にもなるでしょう。最新のデータが示す通りユーザー基盤が拡大し続けるLinkedinをぜひ積極的に活用し、求人・営業・ネットワーク構築・ブランディングといった領域で競争優位を築いてください。インドネシアの躍動するビジネスコミュニティにおいて、Linkedinは皆さんのビジネス目標達成を強力に後押ししてくれるはずです。

本記事で使用した単語の解説

LinkedIn（リンクトイン）
ビジネスプロフェッショナル向けのSNSプラットフォーム。企業のブランディング、B2Bマーケティング、採用活動、ネットワーキングなどに活用される。
B2B（Business to Business）
企業間取引を指す。企業が他の企業に製品やサービスを提供するビジネスモデル。
B2C（Business to Consumer）
企業が一般消費者向けに製品やサービスを提供するビジネスモデル。
プロフェッショナル層
高度な専門知識やスキルを持つビジネスパーソンのこと。主に会社員、経営者、フリーランス、専門職が含まれる。
リード獲得
見込み顧客（将来顧客になる可能性が高い人）を特定し、コンタクトを取ること。
Sales Navigator（セールスナビゲーター）
LinkedInの有料プランの一つで、ターゲット顧客を詳細に検索できるB2B営業向けツール。
ダイレクトリクルーティング
企業が求人サイトや人材紹介会社を介さず、直接求職者にアプローチする採用手法。
ソーシャルセリング
SNSを活用して潜在顧客と関係を築き、営業活動につなげるマーケティング手法。
ネットワーキング
ビジネス上の人脈構築。LinkedInでは、業界の専門家や企業とつながることを指す。
ブランドイメージ
企業や製品、サービスに対する顧客の認識や印象。LinkedInでは、企業の投稿やプロフィールを通じてブランドを強化できる。
ミレニアル世代
1980年代～1990年代生まれの世代。デジタル技術に精通し、キャリア志向が強いのが特徴。