3月 31, 2025 • インドネシア • by Delilah

インドネシアではアダルトやポルノは禁止?実際のところを調査

インドネシアではアダルトやポルノは禁止?実際のところを調査

インドネシアは世界最大のイスラム教人口を抱える国であり、宗教的価値観と文化的背景が日常生活に強く影響を及ぼしています。その中でも、アダルトコンテンツやポルノに対する規制は非常に厳しく、法律的にも社会的にもタブー視されています。一方で、インターネットやSNSの普及により、実際には多くの人々が制限を回避しながらアダルトコンテンツにアクセスしているという実情も存在します。本記事では、インドネシアにおける法的規制の概要、現地の人々の行動実態、社会的・文化的な反応、そして広告・ビジネスにおける注意点まで、包括的に解説します。インドネシア市場に進出する企業や担当者にとって、現地の価値観と法制度の理解は極めて重要な要素です。

 

 

インドネシアにおけるポルノグラフィの法的規制

インドネシアではアダルトやポルノは禁止?実際のところを調査

ポルノグラフィ禁止法(UU Pornografi / Undang-Undang Nomor 44 Tahun 2008)

インドネシアにおけるポルノ規制の根幹は、2008年に制定された「ポルノグラフィ法(法律第44号)」にあります。

法律の定義

この法律では「ポルノ(Pornografi)」を以下のように定義しています:

“性的行為、裸、性器、または性的な行為を描写し、公共の道徳または宗教的価値観に反するあらゆる絵、文書、音声、映像、アニメーション、会話、ジェスチャー。”

つまり、直接的な性行為の描写だけでなく、性的な仕草や露出の多い服装までも、文脈によっては規制対象になりえます。

禁止されている主な行為

この法律では、以下のような行為が禁止されています:

  • ポルノコンテンツの制作、複製、配布、販売、輸出入
  • 公共の場でのポルノの表示や広告
  • ポルノサイトの運営
  • ポルノの視聴やダウンロードの助長

罰則

違反した場合の罰則は非常に重く、

  • 最長12年の懲役
  • 最大60億ルピア(約5,500万円)の罰金

が科せられる可能性があります(内容と規模に応じて異なる)。

関連する他の法律・規制

ITE法(電子情報取引法) – UU No. 11 Tahun 2008(改正あり)

インターネットを利用してポルノを流通・発信する行為は、ITE法(UU ITE)にも違反します。

  • インターネット上での「電子的ポルノ流通」に対しても刑事罰が科されます。
  • 2020年以降の改正により、一部の「不快表現」への規制が緩和されましたが、ポルノに関しては依然として厳しいままです。

情報通信省(Kominfo)によるインターネット規制

Kominfo(情報通信省)はポルノを含む「ネガティブコンテンツ」に対するインターネット監視とブロッキングを積極的に行っています。

  • 2023年の時点で、100万件以上のポルノ関連ウェブサイトがブロックされているとの発表あり。
  • SNSやアプリ(例:TikTok, Telegramなど)にも監視が及び、必要に応じて一時停止や警告が発動されます。

社会的・宗教的影響

インドネシアは世界最大のイスラム教人口を擁しており、特にジャワ島やスマトラ島などでは保守的なイスラム的価値観が支配的です。そのため、たとえ法律に抵触しなくても、以下のような社会的圧力が存在します:

  • コンサートやイベントでの露出の多い衣装に対する抗議やキャンセル
  • SNSでのバッシング
  • 宗教団体からの公開抗議やデモ活動

 

インドネシアのポルノグラフィ・アダルトコンテンツのアクセス制限

インドネシアのポルノグラフィ・アダルトコンテンツのアクセス制限

インドネシアでは、ポルノグラフィに関する厳格な法律が存在し、政府はインターネット上のアダルトコンテンツへのアクセスを禁止しています。 しかし、実際には多くのインドネシア人がこれらの制限を回避し、アダルトコンテンツにアクセスしている現状があります。

アクセス制限の現状

インドネシア政府は、主要なアダルトサイトへのアクセスを遮断するなど、インターネット上のポルノグラフィに対する取り締まりを強化しています。 しかし、これらの措置にもかかわらず、多くのユーザーが技術的手段を用いて制限を回避しています。

インドネシア人は本当にアダルトコンテンツを見ていないのか?

法律上、インドネシアではポルノグラフィの制作・視聴・所持が明確に禁止されており、政府は多数のアダルトサイトをブロックしています。しかし、実際には多くのインドネシア人がアクセス制限を回避し、アダルトコンテンツを視聴しているという現実があります。

特に若者を中心に、VPN(仮想プライベートネットワーク)やプロキシサイトを利用してブロックを回避する手法が広く使われています。VPNの利用率は年々増加しており、複数の調査によれば40%以上のインターネットユーザーが何らかの形でVPNを利用しているという報告もあります。

また、YouTubeやTwitterのようなプラットフォーム上でも、アダルト寄りのコンテンツが間接的に流通しており、こうした情報への接触は完全には防ぎきれていないのが実情です。規制と現実のギャップがある中で、ユーザーは「見たいが違法」という矛盾に直面しながらも、技術的手段によってアクセスしているのが実態です。

社会的影響と課題

このようなアクセス回避行為は、以下のような社会的影響や課題を引き起こしています:

  • 法律遵守の意識低下: 多くの人々が法的制限を回避する行為を日常的に行うことで、法律遵守の意識が低下する可能性があります。
  • セキュリティリスクの増加: 信頼性の低いVPNサービスやプロキシサーバーを利用することで、個人情報の漏洩やマルウェア感染のリスクが高まります。
  • 倫理的・文化的価値観への影響: アダルトコンテンツへの容易なアクセスは、特に若年層に対して、性的価値観や行動に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

広告やアニメなどビジネスにおける影響

広告やアニメなどビジネスにおける影響

インドネシアは、多民族・多文化が共存する国であり、イスラム教が主要な宗教として深く根付いています。 この宗教的背景から、性的な表現や過激なコンテンツに対する社会的な感受性は非常に高く、広告やメディアにおける表現には厳格な規制と監視が行われています。 本記事では、インドネシアにおける広告での衣装の選択やアニメの過激なシーンに関する規制、社会的反応、そして企業が留意すべきポイントについて詳しく解説します。

広告における衣装の選択と規制

インドネシアでは、広告に登場するモデルやタレントの衣装に対して厳しい基準が設けられています。 特に、露出度の高い服装や性的なニュアンスを含む衣装は、公序良俗に反するとみなされ、放送禁止や修正の対象となることがあります。 これは、イスラム教の価値観に基づくものであり、女性の肌の露出や性的な魅力を強調する表現は、社会的に受け入れられにくい傾向があります。

例えば、過去には国際的なブランドがインドネシア向けの広告で、現地の文化や宗教的感受性を十分に考慮せずにキャンペーンを展開し、批判を受けたケースがあります。 このような事例からも、広告制作においては、現地の文化的背景や宗教的価値観を深く理解し、適切な衣装や表現を選択することが不可欠です。

アニメの過激なシーンに対する規制と社会的反応

日本のアニメはインドネシアでも高い人気を誇りますが、過激なシーンや性的な描写を含む作品に対しては、厳しい規制が適用されます。 インドネシア政府は、青少年の健全な育成を目的として、メディアコンテンツの内容を監視し、不適切と判断された場合には放送禁止や修正を求めることがあります。

具体的には、性的な描写や過度な暴力シーンを含むアニメ作品は、放送時間の制限や編集による修正が行われることがあります。 また、インターネット上での配信においても、これらのコンテンツはアクセス制限の対象となる場合があります。 このような規制は、インドネシアの社会的価値観や宗教的信念に基づくものであり、国民の多くもこれを支持しています。

企業が留意すべきポイント

インドネシアでビジネスを展開する企業やマネージャーは、以下の点に特に注意を払う必要があります。

  1. 現地文化と宗教的価値観の尊重: 広告やプロモーション活動において、現地の文化や宗教的価値観を十分に理解し、それに沿った表現を心掛けることが重要です。 特に、衣装の選択やビジュアル表現においては、過度な露出や性的なニュアンスを避けるべきです。
  2. コンテンツの事前確認と適合性の確保: 放送や配信を予定しているコンテンツが、現地の規制や基準に適合しているかを事前に確認することが必要です。 必要に応じて、現地の専門家やコンサルタントの意見を取り入れることで、リスクを最小限に抑えることができます。
  3. 現地当局との連携と遵守: インドネシアのメディア規制当局や関連機関との良好な関係を築き、最新の規制情報やガイドラインを常に把握することが求められます。 これにより、コンプライアンスの徹底と迅速な対応が可能となります。

 

まとめ

インドネシアでは「ポルノグラフィ法」と「ITE法」によって、アダルトコンテンツの制作・流通・視聴が厳しく規制されています。情報通信省(Kominfo)による監視体制も強化され、数多くのウェブサイトがブロックの対象となっています。しかし現実には、VPNやプロキシなどの技術を活用して制限を回避し、アダルトコンテンツにアクセスしているインドネシア人が少なくないという事実もあります。こうした背景には、性教育の不足や倫理観の変化、テクノロジーの普及などが影響しています。

また、広告やメディア表現においても、インドネシアの文化的・宗教的価値観を理解し、配慮ある内容でのマーケティングが求められます。企業としては、法的リスクの回避だけでなく、社会的信用を守るためにも、慎重な対応が必要です。本記事で得た知識を活用し、インドネシア市場における健全かつ持続的なビジネス展開を目指しましょう。

 

 

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本記事で使用した単語の解説

ポルノグラフィ法(UU Pornografi)
2008年に制定されたインドネシアの法律。性的表現を含むコンテンツの制作、配布、販売、視聴、所持などを禁止する。

ITE法(UU ITE)
電子情報・取引に関する法律。インターネットを通じた違法行為、名誉毀損、ポルノ流通などを取り締まる。

Kominfo(情報通信省)
インドネシアの通信情報省。インターネットコンテンツの規制やサイトブロックを担当する政府機関。

VPN(仮想プライベートネットワーク)
インターネット上で他国のサーバーを経由することで、IPアドレスを隠し、地域制限を回避する技術。

プロキシサーバー
ユーザーの接続を間接的に行う中継サーバー。インターネット上の制限された情報にアクセスするために使われる。

ミラーサイト
ブロックされたオリジナルサイトの複製サイト。ユーザーが同様の内容にアクセスできるように設置される。

公序良俗
公共の秩序や道徳、社会通念に反しないという概念。広告表現などにおいて重要な判断基準とされる。

FAQ(よくある質問)

Q1. インドネシアではポルノを持っているだけで逮捕されますか?
はい、所持しているだけでも「ポルノグラフィ法」に抵触する可能性があります。デジタルデバイス内のデータも対象となりうるため、非常に注意が必要です。

Q2. インドネシア人は実際にポルノを見ていないのでしょうか?
実際には、多くの人がVPNやプロキシを使ってアクセス制限を回避し、アダルトコンテンツを視聴しています。特に若年層でその傾向が顕著です。

Q3. VPNの使用は違法ですか?
VPNの使用自体は違法ではありませんが、VPNを使って違法コンテンツにアクセスした場合は、結果として違法行為とみなされる可能性があります。

Q4. 広告やテレビ番組でどのような表現が問題になるのですか?
露出の多い服装、性的な仕草や言葉、男女の接触を強調した演出などが問題視される可能性があります。事前に現地の文化的基準を確認することが重要です。

Q5. インドネシアに進出する日本企業が注意すべき点は?
現地の法律や宗教的感受性を理解すること、コンテンツや広告表現を適切に調整すること、従業員教育を通じてコンプライアンス意識を高めることが求められます。

 

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