
4月 29, 2025 • インドネシア, 海外進出
6月 21, 2025 • インドネシア, 特定技能・技能実習 • by Reina Ohno
目次
外国人材の活用が進む中、なぜインドネシア人は「まじめで続く」と日本の企業から高く評価されているのでしょうか。本記事では、インドネシア人材の文化的背景や宗教的価値観、教育制度、そして日本企業との相性までをわかりやすく解説します。採用を検討中の企業や登録支援機関の方々にとって、インドネシア人材の本質を知る手がかりとなる内容です。
ここ数年、日本の多くの企業がインドネシア人材の採用に力を入れ始めています。背景には、少子高齢化にともなう労働力不足、外国人労働者の法整備の進展、そして「まじめで長く働く」という評価の広がりがあります。とくに製造業や介護業、飲食、清掃などの分野で、インドネシア人の採用事例が急増しています。
では、なぜインドネシア人は「まじめ」「定着率が高い」と言われるのでしょうか?その評価の根底には、文化や宗教、教育、家族観、そして国家的な人材育成政策が複雑に絡み合っています。本記事では、その背景を多角的に掘り下げ、日本企業が安心してインドネシア人材を受け入れるためのヒントをお伝えします。
インドネシアは1万7,000を超える島々と数百の民族からなる多様性の国です。異なる背景を持つ人々が共に暮らすこの国では、「他者と調和すること」が極めて重要な価値観とされています。
そのため、インドネシア人の多くは幼い頃から「場の空気を読む」「自己主張よりも調和を優先する」という姿勢を自然に身につけています。日本の職場文化においても、過度な自己主張よりチームワークや協調性が重視されるため、こうした価値観は相性が良いと言えます。
また、目上の人や年長者への敬意を重んじる社会であるため、上司や先輩に対して礼儀正しく、指示を素直に受け止める姿勢も日本企業にとっては好印象につながっています。
インドネシア人材の定着率が高い理由の一つに、経済的責任感があります。インドネシアでは「子が親を支える」「兄が弟を助ける」といった家族間の支援が非常に強く、特に地方出身の若者にとっては、自分の収入で家族を養うことが人生の目標とも言えます。
そのため、日本での就労は単なる「仕事」ではなく、家族の生活を支える重要な使命です。このような背景から、途中で辞めたり、いい加減な態度を取ったりすることは、本人にとって大きな失敗と捉えられるのです。
こうした「家族の期待に応えたい」「親に恩返ししたい」という動機は、働く力の源泉になっており、困難に直面しても粘り強く続ける理由にもなっています。
インドネシア人の多くは、穏やかで控えめな性格を持っています。怒鳴ったり感情的になったりすることは「恥ずかしい」とされており、むしろ静かに我慢し、空気を読みながら場を穏やかに保つことが美徳とされています。
そのため、日本の職場でも「怒られても感情的に反発しない」「言われたことを静かに受け止める」といった面で、高く評価されることがあります。
一方で、自分から積極的に質問したり、問題を報告したりするのが苦手な面もあり、フォロー体制やメンタリングがあると本来の力をより発揮しやすくなります。
インドネシアは世界最大のイスラム教徒人口を抱える国です。イスラム教の教えの中では、「労働は美徳」とされ、真面目に働くことは信仰の一部でもあります。
一日5回の礼拝を守る生活は、時間を意識し、規律正しく動く訓練にもなります。朝早くから活動を始め、遅刻や無断欠勤を避ける習慣が身についている人も少なくありません。
もちろん、宗教行事や食事に関する配慮は必要ですが、その分「責任感があり、信頼できる人柄」として捉えられることが多いのです。
インドネシアでは、政府機関や職業訓練校によって、日本就労希望者に対して厳格なスクリーニングと教育が実施されています。日本語、生活マナー、職種ごとの実技訓練、文化理解などを体系的に学び、試験に合格した人だけが渡航できます。
このプロセスを経た人材は、「やっと掴んだチャンス」として日本での就労に強い意欲を持ち、途中離職が少ない傾向があります。さらに、入国後も支援機関や送り出し機関によるフォローアップがあり、困ったことがあっても相談しやすい仕組みが用意されています。
このように、個人の資質だけでなく、制度的な支援によって「まじめで続く人」が生まれやすい環境が整っているのです。
インドネシア人材は「まじめで続く」「協調性がある」と高く評価される一方で、文化や宗教、性格的な傾向などによって、日本企業側が理解しておくべき点もいくつか存在します。以下に、代表的な注意点とその背景、対応策をまとめます。
インドネシア人は「場の調和を乱さない」ことを重視する文化的傾向があるため、自分の意見を強く主張することを避ける傾向があります。たとえ問題や不満があっても、それを上司や同僚に直接伝えることをためらうケースがあります。
そのため、現場では「何も言ってこない=問題がない」と思い込みがちですが、実は本人が我慢しているだけというケースもあるのです。これを防ぐには、定期的な1on1面談や、気軽に相談できる環境を整えることが有効です。
インドネシアの多くの人はイスラム教徒であり、信仰上のルールや習慣を大切にしています。例えば、一日5回の礼拝や、断食月(ラマダン)中の就業配慮、豚肉やアルコールを避ける食習慣などが該当します。
企業としては、礼拝用のスペースや時間の確保、食事内容の配慮が求められる場合があります。大きな負担になることではありませんが、こうした理解と柔軟な対応が信頼関係を築くうえで重要です。
一般的にインドネシア人は「おおらか」「おっとりした性格」と言われることがあり、細かい確認や正確な作業が求められる業務においては、日本人と比べて注意力や緻密さに差が出る場面もあります。
この点については、「できない」ではなく「慣れていない」だけのことが多いため、業務マニュアルを視覚的に整理したり、実践を通じて段階的に慣れてもらう工夫が効果的です。急ぎすぎず、わかりやすく伝えることが鍵です。
日本語での会話において、指示や説明をした際に「はい」と返答されても、実は内容を完全に理解していない場合があります。これは、失礼にならないようにとりあえず「はい」と言ってしまう文化的背景があるためです。
確認のためには、「どのように作業するか説明してみてください」など、復唱や簡単な再確認の時間をとることで、誤解を未然に防ぐことができます。
インドネシア人が日本の職場で「まじめで続く」と言われる背景には、調和を重んじる文化、家族への強い責任感、宗教による規律、そして国家的な人材育成体制が存在します。個人の性格だけでなく、制度と社会全体が「辞めにくい」「続きやすい」仕組みを支えています。
そのため、適切な受け入れ体制と相互理解があれば、インドネシア人材は長期的に企業の大きな戦力となり得ます。本記事で紹介した特徴や注意点を参考にしながら、自社に合った人材の受け入れを検討するきっかけとしてご活用ください。
LPK Timedoorは、インドネシア・バリ島デンパサールに拠点を置く職業訓練校で、日本での就労を目指すインドネシア人に対し、日本語や日本文化、仕事に対する価値観やマインドセットを学ぶ環境を提供しています。お気軽にお問い合わせください。
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本記事で使用した単語の解説
まじめ
誠実で、怠けずに責任感を持って行動する姿勢。日本の企業文化では非常に重視される資質の一つ。
定着率
採用された人材が長期間その職場で働き続ける割合。離職率の反対の概念で、安定した雇用を示す指標。
協調性
集団やチームで他人と円滑に協力していく能力。インドネシアでは教育や文化の中で自然に育まれる。
控えめ
自分の意見や感情を強く主張せず、周囲への配慮を優先する態度。インドネシア人の一般的な性格傾向の一つ。
イスラム教
インドネシアの多数派を占める宗教。礼拝や断食など日常生活に規律をもたらす要素があり、勤勉さに影響を与える。
送り出し機関
外国人を日本へ就労目的で派遣する役割を持つ機関。日本語教育や生活指導なども行い、受け入れ企業との橋渡しを担う。
よくある質問(FAQ)
Q1. インドネシア人は日本語をどの程度話せるのですか?
A. 日本で働く前に日本語の基礎を学んでから来日するケースが多く、N4〜N3レベルの会話が可能な人材が増えています。職種によっては実務日本語や敬語も指導されています。
Q2. イスラム教徒の就労にあたって配慮すべき点はありますか?
A. 礼拝時間、断食月(ラマダン)、ハラール食への理解が必要です。企業が礼拝スペースを設けたり、食事の選択肢を用意したりすることで安心して働ける環境になります。
Q3. 離職率は本当に低いのでしょうか?
A. インドネシア人材は家族への責任感や就労に対する意識が高く、制度的なサポートもあるため、他国の人材に比べて定着率が高い傾向があります。
Q4. 日本企業に馴染めるまでにどのくらい時間がかかりますか?
A. 個人差はありますが、最初の数ヶ月は生活や言語面での支援が効果的です。現場でのフォローや相談相手がいることで、適応スピードが格段に上がります。
Q5. 他の国の人材と比べてどんな違いがありますか?
A. インドネシア人は協調性や礼儀正しさ、責任感が強い傾向があります。感情を表に出さない性格から、職場の和を保ちやすいという声も多く聞かれます。