6月 16, 2024 • インドネシア, システム開発
7月 2, 2024 • by Reina Ohno
インドネシア人労働者が日本で働く理由とは?技能実習生と特定技能、国内事情を解説
目次
はじめに
はじめまして、我々timedoorはインドネシアのバリ島を拠点とするITの会社ですが、日本で働きたいインドネシア人人材の育成、紹介も行っています。
日本では、近年海外から日本に働きにくる外国人が多く、インドネシアもそのうちの一国です。逆に、日本人の若者が英語を学べる環境や海外生活の機会、お金稼ぎのためにオーストラリアやカナダに働きにいくケースも増えています。インドネシアでは、日本以上に海外で働く文化がありますが、なぜそのような文化があるのかこの記事で解説していきます。
海外労働者の数
インドネシアから海外へ出稼ぎに行く労働者の数は毎年数百万人に達します。2020年には約350万人のインドネシア人が海外で働いていると報告されています。
主要な国には、マレーシア、サウジアラビア、香港、台湾、シンガポール、韓国、アラブ首長国連邦(UAE)などがあります。
例えば、お隣の国マレーシアには約100万人、また、インドネシアの主要宗教であるイスラム教徒が多い、サウジアラビアには約60万人のインドネシア人労働者がいると言われています。
日本にインドネシア人労働者はどれくらいいるのか?
日本でも、10年ほど前と比べると、特に都市部で外国人を見かけることが多くなったと思います。
日本で働くインドネシア人も多くいます。
人それぞれ色々な理由がありますが、多くの理由が日本での給料が高いことが理由としてあげられます。
日本の全体の平均月収は約30万円~35万円程度とされているのに対して、インドネシア全体の平均月収は約28,000円~35,000円程度です。この比較から、およそ10倍の差があることがわかります。
在留資格(VISA)はいくつも種類がありますが、主に以下の在留資格で日本で働いている方が多いです。
技能実習生
日本には多くのインドネシア人技能実習生がいます。2019年のデータによれば、インドネシア人技能実習生の数は約40,000人に達しました。この数は年々増加しています。
留学生のアルバイト
多くのインドネシア人留学生が日本で学びながらアルバイトをして生活費を稼いでいます。2019年のデータによれば、日本に在留するインドネシア人留学生は約7,000人で、その多くがアルバイトをしています。
また、週28時間の就労制限があり、オーバーワークをする留学生が目立っています。
特定技能
新たな在留資格「特定技能」が2019年に導入され、これによりインドネシアからの労働者も増加しています。2020年には数千人のインドネシア人が特定技能の資格で日本で働いていると推定されています。
timedoorでも、特定技能として働きたいインドネシア人に対して、日本語教育やキャリア教育を提供し、送り出しをしています。
インドネシア経済にもたらすメリット
インドネシア人出稼ぎ労働者が送金する金額は、インドネシア経済にとって重要な収入源です。2020年のデータによれば、海外からの送金総額は約110億ドル(約1兆2,000億円)に達しました。
この送金は主に家族の生活費や教育費、医療費に使われるほか、地域社会のインフラ整備や小規模ビジネスの資金としても利用されます。
全体の平均給与
インドネシア全体の平均月収は約4,000,000~5,000,000ルピア(約28,000~35,000円)とされています。
都市別の平均給与
ジャカルタ(首都):約7,500,000~8,000,000ルピア(約52,500~56,000円)
スラバヤ(東ジャワ州):約4,500,000~5,000,000ルピア(約31,500~35,000円)
バンドン(西ジャワ州):約4,000,000~4,500,000ルピア(約28,000~31,500円)
バリ(観光業が主要産業):約3,500,000~4,000,000ルピア(約24,500~28,000円)
産業別の平均給与
製造業:約4,500,000ルピア(約31,500円)
サービス業:約4,000,000ルピア(約28,000円)
IT・テクノロジー業界:約7,000,000ルピア(約49,000円)
金融・保険業:約8,000,000ルピア(約56,000円)
最低賃金
インドネシアの最低賃金は地域ごとに異なり、2022年の全国平均は約2,500,000ルピア(約17,500円)とされています。ジャカルタの最低賃金は約4,416,186ルピア(約31,000円)です。
Tanggal Tua
インドネシアでは、「Tanggal Tua」 という言葉があり、「老いた日」を意味します。具体的には、「tanggal」は日付を意味し、「tua」は「老いた」や「年老いた」という意味です。この言葉は主に経済的な文脈で使われることが多く、友人と話していると、給料日が近づいてお金がなくなってしまった期間を意味する文脈で聞くことが多いです。
この場合の「Tanggal Tua」は貯金残高が本当に0に近い、お金がないという意味だったりします。日本では基本的に貯金がありますが、本当にお金がなくて、緊急でお金が必要になった場合は親戚や友人にお金を借りる場合が多いです。
給料基準
高等教育を受けた労働者は、より高い給与を得る傾向があります。大学卒業者の平均月収は約8,000,000ルピア(約56,000円)を超えることがあります。
また、人口が急増しているものの就労機会が少なく、4年制大学を卒業した学生でも就労機会が限られています。
職務経験が豊富な労働者は、同じ職種でもより高い給与を得ることが多いです。経験年数が10年以上の労働者は、平均月収が10,000,000ルピア(約70,000円)を超えることもあります。
海外でどのような仕事をするのか?
家庭労働者(メイド、ベビーシッターなど)
全体の約70%を占めると言われています。なぜなら、女性や低学歴者にとっては、家政婦などの職種が比較的アクセスしやすい職種だからです。
建設業や製造業
特に中東や東アジアでは多くのインドネシア人労働者がこれらの分野で働いています。
海外労働者の問題
国際労働機関(ILO)や他のNGOは、インドネシア人労働者がしばしば不当な労働条件や人権侵害に直面することを報告しています。
例として、サウジアラビアやマレーシアでの労働者の権利侵害に関する報告が多くあります。
最近では、ドイツでインターンをしたインドネシア人学生の問題が話題になっています。インドネシアの33の大学から1,047人の学生がドイツでフェリエンジョブ(学生のための短時間労働)の形で労働の被害者になったとされています。
インドネシア政府は、労働者の権利を保護するために、送出国と受入国間で二国間協定を結ぶ努力をしています。また、出稼ぎ労働者向けの技能訓練や教育プログラムも強化しています。
経済依存とリスクとは
海外送金に依存する地域経済は、近年変動が激しい、国際的な経済状況の影響を受けやすくなります。例えば、石油価格の下落や受入国の経済状況の変化により、出稼ぎ労働者の雇用状況が不安定になることがあります。
そのため、インドネシア政府は、国内での雇用機会を増やすためにインフラ投資や産業多様化を推進しています。これにより、海外に出稼ぎに行かなくても国内で安定した収入を得られるようにすることを目指しています。
過去に、多くのインドネシア人労働者が、コロナ禍の移動制限や国際航空便の制限により、一時的または長期間にわたって海外での仕事を失ったり、帰国を余儀なくされたりしました。これにより、収入源を失ったり、失業状態に陥った労働者が相当数生じました。そのため、国内雇用の創出も大事にしていますが、現状はやはり雇用機会が少ないため、海外に就労する人材も増えています。
timedoorの人材育成
timedoorでは、現在は外食の特定技能人材の育成、今後はITエンジニアの分野でも人材育成を行なっています。特定技能は日本の労働人口が不足する12分野に限り就労が可能ですが、現在一番割合を占めているベトナム人に次いで、二番目に多いのがインドネシアです。今後は、Next ベトナムとして人口ボリュームがあり若者が多いインドネシアが注目されています。
また、第一次産業ではすでに技能実習で日本で働く機会が多いものの、外食や宿泊といったホスピタリティの分野は技能実習には含まれません。そのため、インドネシアの送り出し日本語学校でもホスピタリティに特化して育成する学校が少ない状況です。timedoorではホスピタリティに特化した人材を輩出しようと、新しい挑戦をしています。
今後も日本で働きたいインドネシア人の人材紹介を行っていますので、お気軽にご連絡ください!
その他の関連ブログ
心を込めて書いています、よろしければこちらもご覧ください